二つのコスモス~続・新世紀エヴァンゲリオン 第二部・夏のペンタグラム   作:VIA MEDIA

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第十八話・自由闊達

 今日は28日。第壱中学校の終業式の日である。

 

「いってきまーす」

「いってきまーす」

 

「行ってらっさいっ!」

「キュゥッ! クゥゥッ!」

 

 +  +  +  +  +

 

第十八話・自由闊達

 

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 シンジとアスカはいつも通りに登校、表通りにはナツミ、「全てこの世は事も無し」である。

 

「おはようございまーす♪」

 

「あ、ナツミ、おはよう」

「八雲さん、おはよう」

 

 二人と合流するや否や、ナツミはいつも通りの調子で、

 

「今日は終業式ですねえ♪ そしてあしたはうれしいハイキングでしょ♪ なんかウキウキしちゃうなあ♪」

 

 シンジも苦笑気味に、

 

「そうだね。明日は駅に9時集合だからね」

 

「はーい♪ わかってまーす♪」

 

 アスカはやや呆れ顔で、

 

「ところでさあ、ナツミ、まだ転校してから4日しかたってないのに、あんたよくそんなになじめるもんねえ」

 

「うーん、そうなんですよ。なんでかなあ。……それがわたしの『特技』なのかなあ。あはは♪」

 

 丁度その時、レイが前方の横道から出て来るや、

 

「あ、レイさんだ♪ おはようございまーす♪ あ、今日は渚さんもむこうにいるじゃないですあ♪ 渚さああんっ、おっはよおございまああすっ♪」

 

と、元気に声を張り上げるナツミに、シンジは、

 

「えっ?! 渚君がいるの? ……あ、そう言えばあの人、そうなのかな……」

 

 そう言われて見ると彼方にカヲルらしき人影が見える。アスカも驚いて、

 

「ねえナツミ、なんで渚くんだ、ってわかったの?」

 

「いえ、べつに意識してませんけど、あの人、渚さんでしょ」

 

「よくわかったわねえ。あたしにはわからなかったわ」

 

「うーん、わたし、確かに眼だけはいいから、それでわかったのかな♪」

 

 合流したレイも、

 

「おはよう。……でも、渚くんだって、よくわかったわねえ……」

 

と、少々驚き顔だった。

 

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 四人と合流したカヲルも流石に驚いた。

 

「えっ?! あんなに遠くから僕だってわかったのかい?」

 

「はい♪ わかりましたよ♪」

 

「ふーん……、すごいなあ……」

 

 アスカも、思わず唸って、

 

「ナツミ、って、カンもするどいのねえ……」

 

「あはは、そうなのかなあ♪ なにもかんがえてないだけですよお♪」

 

と、相変わらず屈託のないナツミであった。

 

 +  +  +  +  +

 

 五人は学校に到着した。教室の前には昨日のテストの成績が貼り出されている。流石にマークシート方式のテストは採点が早い。

 

「すごい! ナツミちゃんがトップなの!」

 

 レイは驚きの声を上げた。シンジも眼を丸くし、

 

「八雲、すごいなあ……。ほとんど満点だよ……」

 

と、思わずナツミの姓を呼び捨てにした程だ。カヲルも、

 

「ナツミちゃん、転校して来たばかりなのに……。ま、僕もそれほどたってるわけじゃないけど……」

 

 アスカも、

 

「ほんと。すごいじゃない、ナツミ」

 

と、脱帽の様子である。

 

「そんなあ。まぐれですよお♪」

 

 普通こう言う言い方をすればイヤミに聞こえても不思議はないのだが、ナツミの場合は何故かそう聞こえないのが不思議である。丁度その時ケンスケがやって来た。

 

「おはよう。……おおっ! 八雲ちゃんトップじゃないの! すごいなあ」

 

 ケンスケは、自分がナツミに惚れ込んでいる事を悟られないように、意識して自然体を装っているようだ。

 

「あ、相田さん、おはようございまーす♪ えへへ、まぐれですよお」

 

「どっちにしてもすごいや。……えっと、俺は、と……、はは、なんとかギリギリ及第点かあ……。かっこわるいなあ……。ま、いっか、あはは……。次はもっとがんばろ……」

 

「あ、そうだ♪ 相田さん、あしたはハイキングいっしょなんですね。よろしくおねがいしますね♪」

 

「えっ!? あ、ああ、そうだよね♪ こっちこそよろしくね♪」

(う、うれしいいいっ♪!♪!♪!)

 

「はーい♪」

 

 テストの点数で少々「ブルーな気分」になっていたケンスケは、ナツミの一言で急に元気になった。

 

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 講堂での終業式も終わり、みんな教室に戻って来た。後はプリントを貰って帰るだけである。

 

「起立! 礼! 着席!」

 

「えー、それではプリントを配ります。休みの間の注意事項なんかが書いてありますからよく読んでおいてくださいね」

 

 担任の老教師は最前列の生徒にプリントの束を渡した。後に順に回されて、これで全ておしまいである。

 

「全員に回りましたか。それではこれで終わります」

 

「起立! 礼! 着席!」

 

 ヒカリの号令の後、老教師が出て行くと、クラス全体に何とも言いようのない解放感が広がった。みんな思い思いに帰り支度を始めたが、やはり数人の男子はナツミの所にやってきて、「休み中のデートの約束」を取りつけようと自分を売り込み始めた。

 

 その様子を見ながら、アスカは、

 

(へへっ、みんなあいかわらずよねえ。でも、もしナツミとデートしたらびっくりするだろうなあ)

 

 ナツミの「天真爛漫過ぎる性格」が判って来たアスカにしてみれば、男子の真剣な眼差しがおかしくて仕方ない。ナツミのあの性格では、必死に自分を売り込んでも、「好きな子いないんですかあ♪ 縁結びしますよお♪」と言われて「暖簾に腕押し」になるだけだろう、と思ってしまったのだ。

 

「……はい♪ はい♪ どうもありがとうございます♪ ……そうだ、アスカさん♪ みなさんせっかくこんなに言ってくださってるんですから、みんなでいっしょにあそびに行きましょうよお♪」

 

「え? あはは、そうね。みんなで行こうか♪」

 

 ナツミとアスカのやりとりを聞き、「男子全員」は一斉に少々落胆した表情を見せた。流石に悪気があるとまでは思わなかったが、「手応えがない」と感じたようだ。まあ、これだけの美少女をそうそう簡単にゲット出来るとは彼等も考えていなかったから、その意味では仕方がないと言えば仕方がなかった。

 

「……そっか、じゃ、八雲さん、またよろしくね……」

 

「……またね……」

 

「はーい♪ またよろしく♪」

 

「男子全員」は、諦めたような表情で自分の席に戻って行った。その様子を見ながら、アスカは心の中で苦笑するしかなかった。

 

(へへっ、きのどくだけど、まーしかたないわね。……さて、と、じゃ、あとはあしたのだんどりか……)

 

 その時アスカは、ふと気付いてヒカリに声をかけた。

 

「あ、そうだ。ヒカリ、ちょっとちょっと」

 

「なに? アスカ」

 

「ちょっと廊下で」

 

「わかった」

 

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「……と、言うわけなのよ。さそわないでわるかったけどさ、今トウジは足がわるいでしょ。だから、わざと言わなかったの。言うのがおそくなってごめんね」

 

と、言ったアスカに、ヒカリは笑って、

 

「ううん、気を使ってくれてありがと。鈴原が完全に元気になったらまたみんなで行きましょ」

 

「うん、そうね。とにかくあしたはあたしたち六人で行ってくるからさ」

 

「うん♪ たっぷりたのしんで来てね♪」

 

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 アスカとヒカリが教室に戻って来ると、シンジ達四人は全員帰り支度を終えてアスカを待っていた。

 

「ごめーん♪ 今したくするからさ、ちょっとまっててよね」

 

と、言いながらアスカは手早く帰り支度を終え、

 

「おまたせー、かえろっか♪」

 

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「じゃ、僕はここでね。明日よろしく」

 

 いつもの別れ道でカヲルは去って行った。

 

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「じゃ、明日またね……」

 

 レイもいつもの別れ道で去って行った。

 

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「あしたよろしくおねがいしますねー♪」

 

 ナツミも去って行った。

 

 +  +  +  +  +

 

「うーん、やはりなあ……」

 

 加持は一人で情報部室にこもり、端末を操作していた。情報部のスタッフに関しては一応手配してあるが、時期が時期だし、いずれにしても来年からになる。しかし、他人がいない方がこう言う事はやりやすいから、その意味では有り難かった。

 

(量産型は現状維持のまま凍結か……。やはりな……。京都財団も特に怪しい組織ではない……。どうもわからんな……)

 

 しばらく操作した後、加持は電話に手を伸ばした。

 

「……もしもし、葛城か、俺だ……」

 

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「……わかったわ。じゃ今夜19時半にね……。ふう……」

 

 加持からの電話を切ったミサトは改めて机の上の書類の山を見て溜息を漏らした。一応の手配はしたが、総務部もまだスタッフは来ていない。おまけにマヤや日向、青葉と言った「気心の知れた面々」にはもう応援を頼めなくなったので忙しさは倍増している。しかし、部室に一人でいる分には、シンジや加持からの電話には然程気を使わなくて済むから、それに関してはやはり有り難かった。

 

「さて、と、次は相田君の件か。今日は終業式だけだから、もう帰ってるわね。……えっと、彼のお父さんの部署は、と……」

 

 +  +  +  +  +

 

 シンジとアスカはマンションに帰って来た。リビングに入るなり、アスカは思い切り両手を上げて伸びをし、

 

「あー、いよいよあしたから休みよねえ♪」

 

「そうだね。……ねえアスカ、明日はみんなで行くけどさ、休み中に、また二人でどこか行こうか」

 

「うん♪ 行こ行こ♪ ……あ、シンジ、ちょうどおひるだけどさ、てきとうにたべる?」

 

「そうだねえ……。かんたんにすませようか……。あ、そうだ、その前にケンスケに電話しとくよ。明日の確認のためにさ」

 

「うん、たのむわ」

 

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『……じゃ、ケンスケ、そう言うことだからよろしくね。9時に駅だよ』

 

「おおっ、絶対に遅刻しないように行くぜっ!♪ シンジ、ありがとおっ♪!」

 

と、電話を切った後、

 

「……おおっ♪ うれしいいいっ♪」

 

と、ケンスケは改めて喜びを噛み締めていた。その時、

 

トゥルルル トゥルルル トゥルルル

 

「はい、相田です」

 

『あ、相田君、IBO総務部の葛城です』

 

「あ、ミサトさんっ! お電話どうもですっ!」

 

『どうしたの? ずいぶん元気いいじゃない♪』

 

「え? いえ、べつになんでもありません。あはは」

 

『シンジ君から聞いてくれたと思うけどさ、IBOの研究の応援の件、今日あなたのお父さんにもお願いして了解をいただいたの。それでさ、正式にテンポラリスタッフをお願いしたいんだけど』

 

「そうですかっ! ありがとうごさいますっ! この相田ケンスケ、粉骨砕身してお役に立てるよう、努力いたしますので、どうぞよろしくっ!!」

 

『うふふ。はいはい、じゃよろしくね。詳しいスケジュールはまた連絡するから』

 

「はいっ! 了解いたしましたっ!! ではこれにてっ!!」

 

と、これまた受話器を置き、

 

「おおっ! 俺にも運が向いてきたっ!♪ 八雲ちゃんっ♪ 待っててねっ♪ 今行くからねっ♪」

 

 これでナツミとの接点も増える、と狂喜乱舞するケンスケであった。

 

 +  +  +  +  +

 

 電話の後、シンジは苦笑しながら、

 

「ケンスケ、すごく喜んでたよ」

 

「あーあ、でも、あのケンスケが女の子にメロメロになるなんてさ、まだちょっと信じらんないわ。うふふ」

 

と、アスカも苦笑していた。丁度その時、

 

トゥルルル

 

 すぐにシンジが、

 

「はい、葛城です」

 

『ああシンちゃん、ミサトです』

 

「あ、ミサトさん」

 

『今、相田君に正式に連絡しておいたわ。IBOの応援の件』

 

「はい、わかりました。今日もおそいんですか?」

 

『ううん、今日は早く帰るわ。たまには晩ご飯の当番もちゃんとしなくちゃいけないしね♪』

 

「はい、わかりました」

 

「ミサト、きょうもおそいの?」

 

「ううん、今日は早くかえるってさ。……ばんごはんの当番もちゃんとやるってさ……;」

 

「……ねえシンジ、おひるごはん、ちゃんと作ってたべておこうか……;」

 

 +  +  +  +  +

 

トゥルルル トゥルルル トゥルルル

 

「はい、綾波です」

 

『レイか、加持だ』

 

「あ、こんにちは」

 

『連絡だ。今夜19時半、葛城の所に集合だ』

 

「はい、わかりました」

 

 +  +  +  +  +

 

 エプロン姿のシンジが、笑いながら皿をテーブルに運び、

 

「はい、できたよ」

 

「わっ♪ おいしそうじゃない、このカルボナーラ♪」

 

「なんとかいけると思うけど……、うん、まあまあだな」

 

「けっこういけるわよ♪ やっぱりシンジは火かげんじょうずねえ♪」

 

「そ、そっかなあ……、あはは。……でもさあ、アスカの作ったこのスープとサラダもとってもおいしいよ♪」

 

「うん♪ ちょっと冒険して手作りドレッシングに挑戦してみたんだけどさ、思ったよりうまくできたわ♪」

 

「ごはん終わったら、明日の準備をしておこうよ」

 

「うん♪ そうね」

 

 +  +  +  +  +

 

 夕刻になり、ミサトが帰って来て、

 

「ただいまー、はい、これ晩ご飯♪」

 

「おかえりミサト。……あーあ、やっぱりレトルトかあ」

 

と、苦笑するアスカに、ミサトはニヤリと笑い、

 

「いーの。けっこうおいしいんだからさ♪ ところで今夜19時半に加持君とレイが来るわ。いつも通りよろしくね。おふろとごはん、すませちゃいましょ」

 

「はいはい」

 

 +  +  +  +  +

 

 いつも通り、シンジが、

 

「はい、食後のコーヒーです」

 

 ミサトは、

 

「ありがとシンちゃん♪」

 

と、カップを口に運びながら、

 

「……じゃ、あんたたち六人で明日はハイキング、ってことね」

 

 アスカが頷き、

 

「うん、言うのがおそくなっちゃったけどさ、スマートフォンはちゃんともってくから」

 

「オッケー♪ 楽しんでらっしゃい♪」

 

ピンポーン

 

 シンジはインタホンを取り上げた。

 

「……はい、あ、加持さん、……綾波も来てるんですか、今開けます」

 

 +  +  +  +  +

 

 全員の前で、加持は、

 

「さて、またみんなに集まってもらってすまないな。今日は大した事じゃないんだが、ちょっと連絡を、と思ってね」

 

 アスカが、ほんの少し不安げに、

 

「なにがあったの?」

 

「順番に言おう。まず、昨日昔の友達から入った情報なんだが、京都にある『京都財団』って所がだ、JAをまた製作させているらしい。深海開発用の名目でな」

 

 シンジは少し唸って、

 

「JAを、ですか……」

 

「JA、ってなに?」

 

と、尋ねたアスカに、加持は、

 

「日本政府が日本重化学工業共同体に命じて作らせたロボットなんだ。元々は対使徒用の兵器として開発したんだな。アスカが日本に来る前の話なんだが、完成披露の時な、リアクターが暴走して、それをシンジ君の初号機と葛城が止めたんだ」

 

「へえー、そんなことがあったの」

 

 ミサトが、それを受け、

 

「でもさ、その暴走事故、とんだ茶番劇だったのよ。わたしもおかしいとは思ってたんだけど、IBOになってからくわしく知ったの。要するに、碇司令が保安諜報部とリツコに命じて仕掛けた、『事故にみせかけた策謀』だったのよ」

 

 シンジは、意外そうに、

 

「そうだったんですか……」

 

 加持は続けて、

 

「それで、JAはお蔵入りになって、リアクターだけは外された。それからはそのままになっていたんだが、今度は京都財団の開発した新型エンジンを搭載して動かすらしい」

 

「まさか、『反重力エンジン』、なんちゃってね」

 

と、少しおどけたミサトに、加持は、

 

「それはわからないが、あながち荒唐無稽じゃないかも知れないぜ。なにしろ、『京都』だろ」

 

 レイも少し不安気に、

 

「そうですね。……また『京都』なんですね……」

 

「そうなんだ。あの本も京都、本部長も京都、JAも京都、と来れば、絶対に京都になにかある、と考えるしかないだろ。それでだ、今度の正月休みを利用して、京都に行って来るよ」

 

 アスカが心配そうに、

 

「加持さんひとりで行くの?」

 

「ああ、今回は俺一人で行く。だけどな、いずれみんなで行く事になるような気がするんだ。根拠はないけどな。だからそのためにも、今回は俺一人で行く。みんなは留守をしっかり守って欲しいんだ」

 

 シンジ、アスカ、レイは、

 

「そうですか。……はい、わかりました。気を付けて下さいね」

 

「オッケーよ。加持さん、気をつけてね」

 

「お気をつけていらしてください……」

 

「みんな、ありがとう。それから次にだ、これは特になにもない、と言う事の報告なんだが、結局今の所、例の本の著者や出版社の事は全くわからないままだ。これも京都へ行った時に調べて来るよ。

 

 それから、量産型エヴァシリーズの事だ。今日入った情報では、建造中だった9機は全て建造中止にはなったんだが、どうも事実上は、モノとしては完成しているらしい。今は起動テストはやってないみたいだがな。……こっちのエヴァ3機もそのままだしなあ。あまりいい話じゃないよ」

 

 今度はシンジが心配そうに、

 

「解体しないんですか」

 

「それがなあ、困った事に、いくら国連直属のIBOと言っても、各支部があるそれぞれの国の思惑が絡んでいてな。量産型は、アメリカが2機、フランス、イギリス、ロシア、中国、ドイツ、カナダ、オーストラリアの支部がそれぞれ1機ずつ持っているんだが、上手く使えばとんでもない兵器になるから、その意味で、国の方がどうも解体させないようにしているようなんだな。

 

 ……まあ、いくら国連本部が日本にあると言っても、国際間の力関係を考えると、どうにもならない事もあるんだ……」

 

 その時レイが、

 

「でも、起動はできないんでしょ」

 

「そこなんだ。確かに今はこっちの3機はなぜか起動出来なくなったし、量産型もそうだとは思うんだが、なにかの時には、『夢よもう一度』って考えてもおかしくはないだろ。だから、大金をかけて解体するよりも、このままにしておけ、って事もあるんだろうな」

 

 それを受け、ミサトは、

 

「ま、とにかくさ、それに関しては今ここで悩んでも仕方ないし、気をつけるようにだけはしておきましょうよ。もしなにかおかしな動きがあったらその時にはどうせ手を打たないとだめなんだしさ」

 

「そうだな。ま、みんなそう言う事だから、あまり心配しないようにな」

 

と、締めくくった加持に、

 

「はい」

 

「わかったわ」

 

「わかりました」

 

と、三人は頷いた。続いて加持は、

 

「それからな、例のアダムとリリスの件なんだが、これは今の所さっぱりわからん。ゼーレが持っていた裏死海文書も、結局はウヤムヤになったままだし、今の歴史じゃ、最終決戦で使徒が4体、大型が3体と小型が1体だけどな、それが同時に侵攻して来て、結局はシナリオ通りにならなかった事を考えると、今更役立つ事が書いてあったとも思えないしなあ」

 

 ミサトは、首を傾げて、

 

「でもさあ、結局、裏死海文書、って、なんだったのかしらね」

 

「わからんなあ。……ま、その件は今はやめとこう。今日の話は以上だ」

 

 続く

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