二つのコスモス~続・新世紀エヴァンゲリオン 第二部・夏のペンタグラム   作:VIA MEDIA

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第三十二話・無我夢中

 さて、こちらはマンションのシンジとアスカ。

 

 風呂に入ったり、食事の支度や後片付けをしたりしている時は特に何とも思わなかったのだが、さて全部終わってしまうとどうも手持ち無沙汰で仕方ない。

 

 おまけにミサトは遅くなると言う事だし、二人とも、さてどうしたものかと言う気持ちでリビングの床に腰を降ろしてボケッとしながらテレビを見ていたが、それも暫くすると飽きてしまった。

 

 5日の昼に、結局は何もなかったとは言うものの、気持ちの上では「一歩踏み出してしまった」二人である。ミサトがいないとなると、妙な雰囲気になってしまうのも仕方なかった。

 

(なんかおちつかないわねえ……。ミサトもいないし、今だったら……。あ……、あたし、なにかんがえてんだろ……)

 

(……どうしようかな……。ミサトさん、まだおそくなるのかな……。なんだかアスカと二人でいるとなあ……)

 

 時計は22:40を指している。起きているのにも寝るのにも微妙な時間だ。二人は少しモヤモヤした思いを抱えながら、時々横目でお互いをチラチラと見ていた。

 

 +  +  +  +  +

 

第三十二話・無我夢中

 

 +  +  +  +  +

 

「シン……」

「アス……」

 

「なに?」

 

「え? その、アスカからどうぞ……」

 

「シンジが先に言いなさいよ……」

 

「え? ……う、うん……。……そろそろ、寝ようか……」

 

「え? ……あ……、そ、そうね……。寝ようか……」

 

「……で、アスカの方は、なに?……」

 

「え? う、うん、……あたしも、そろそろ寝ようかな、って……」

 

「あ、そっか……。じゃ、寝ようか………。あはは……」

 

「そうね、あはは……。寝ようか………」

 

 そう言いながらも二人ともなかなか立ち上がろうとしない。頭の中では「5日の出来事」や「映画のワンシーン」がぐるぐると駆け巡っている。どうしようかと思いながらそのままダラダラとしている。

 

「……ねえアスカ」

 

「うん?」

 

「あのさ、ケンスケと八雲のことだけどさ、……あの二人、どう思う?」

 

「んーとね、あたしのカンではさ、ナツミはケンスケのことをそんなに好きってことはないだろうけどさ、まあまあ、ちょっとずつなかよくして行ってるんじゃないかな、って気はするのよね」

 

「あ、アスカはそう思うのかあ。僕は、ケンスケの奴が八雲をさそった、って聞いてびっくりしたよ。あいつが女の子さそうなんて、今まで考えられなかったもんなあ」

 

「そうよねえ。でもさ、ナツミって、とにかくあっけらかんとしてるからさ、気楽にあそびに行ったりしている方がいいわよね。そしたらさ、そのうちだんだん気持ちが育ってくるんじゃないかな、って思うわよ」

 

「そうだよね。まあ今のところ、趣味は合うみたいだからね」

 

「あ、趣味って言えばさ、あんたこのごろ、ちっともチェロひかなくなったわね」

 

「あ、そう言われてみたら最近ひいてないなあ。また練習しようかな」

 

「そうよ、やんなさいよ。あたしが聞いてあげるからさ」

 

「でも、なんだかはずかしいな。大したことないからさ」

 

「なに言ってんのよ。そこそこやるじゃない」

 

「そうかな……、あははは……」

 

「なにてれてんのよ。人に聞かせられるぐらいでないとだめでしょ」

 

「うーん、ま、たしかにそうなんだけどさ……。あ……」

 

「どうしたの?」

 

「いやその、……なんでも、ないんだ……。あはは」

 

「なによ。はっきり言いなさいよ」

 

「いやそのさ、ちょっと思い出しちゃって……。たしか、あの日だったよね。……僕とアスカがさ、……初めて、……キス、したの……」

 

「え? う、うん、……そうだったわね……」

 

 話が意外な方向に流れて行き、思わず二人は言葉を止めてお互いを見詰め合った。もうキスぐらいには何の抵抗感もないのだが、今はそれ以上に踏み込んでしまいそうな予感が小さなためらいを呼び起こす。しかし、この日のシンジは何故か「欲望」が優っていた。急に頭に血が昇り、心臓は高鳴る。

 

「……アスカ……」

 

「うん?」

 

「……キス、……して、……いいかな……」

 

「……えっ? ……うん……」

 

 いつもは積極的なアスカだが今日は妙にしおらしかった。意外にもシンジから誘われたと言う事もあるのだが、それにも増して、何故か変に照れ臭くなってしまってしまい、少し頬を染めて俯いた。

 

 シンジは少し震えながら思い切って立ち上がると電気を消した。窓から射す街灯の仄かな光が二人のシルエットをリビングに浮かび上がらせている。

 

「……ソファに行こうよ……」

 

「……うん……」

 

 シンジは立ち上がったアスカの肩を抱いてソファに向かった。そして腰を降ろすと優しく唇を重ねた。

 

「…………」

「…………」

 

 二人はゆっくりと舌を絡めた。温かくて滑らかな舌の感触がお互いの欲望に小さな火を点した。

 

「…………」

「…………」

 

 アスカは少しずつシンジに体を寄せた。豊かなバストがシンジの体に密着する。

 

(あ、アスカ……)

 

 その張りのある柔らかな感触に、シンジの下半身は痛いぐらいヒートアップした。

 

「…………」

「…………」

 

 暫くの間、二人はお互いの唇を求め合っていたが、やがてアスカがそっと顔を離した。

 

「……ねえ、シンジ……」

 

「……うん?……」

 

「……あたしを、……しあわせに……してよ……」

 

「え?! ……う、うん……」

 

 シンジは驚いた。まるでアスカに自分の心を全て見透かされているようだ。

 

(……どうしよう。……どうしたら。……ええい、思い切って……)

 

 ためらいはあったが、シンジは思い切って震える右手をアスカの胸に添えた。

 

「!!……」

 

 アスカは少しピクリとしたが、体の力を抜いてシンジに身を委ねて来る。

 

「……あ……。うン……」

 

 アスカは小さな甘い溜息を漏らした。息遣いも少し荒くなっている。

 

「……アスカ……」

 

「……あ、……シンジ……、う……、あン……」

 

 アスカのバストは少し固くて張りがあった。さっき胸に受けた感触が今度は右手に伝わって来る。シンジは全身が心臓になったような気がした。

 

(はっ?!……)

 

 アスカのバストを撫で続けていたシンジの掌に小さな突起の感触が伝わる。そっと視線を落とすと、可愛い乳首がツンと立って薄いTシャツを押しのけているではないか。

 

(女の子の体って、こうなるのか……)

 

「あン……、シンジ……、きもち、いいよ……」

 

「アスカ……、大好きだよ……」

 

 シンジは思わず口走った。もう何も考えられない。

 

「あたしもよ。シンジ……」

 

 アスカはシンジにしなだれかかってますます体を密着させて来る。シンジの全身にじっとりと汗がにじんで来た。

 

「……ねえ、シンジ……」

 

「ん?……」

 

「……もっと、きもち……よく……してよ……」

 

「え? ……どう……したら……いい……の……」

 

 アスカは何も言わずに左手でシンジの右手を取り、Tシャツの内側にそっと導いた。

 

「!!!!……」

 

 初めて直接触れたアスカの肌の感触にシンジは我を忘れた。頭の中は完全に真っ白だ。シンジは無我夢中でアスカの胸をまさぐった。

 

「……アスカ……」

 

「あ……、あン……、う……、きもち、いいよ……」

 

 シンジの下半身は完全にオーバーヒートした。最早暴走寸前で痛みさえある。しかし今は「自分でする」訳には行かない。やむなく、「位置を修正して」股間の痛みを少しでも避けようと、素早くアスカの胸から右手を離して己の股間に伸ばした。

 

「……どうしたの?」

 

「ご、ごめん。……ちょっと……」

 

「………あ、そっか……。ごめんねシンジ、あたしばっかりしてもらってさ……」

 

「いや、その、そんなことないよ。……ごめんねアスカ……。はずかしいな……」

 

「でも、男の子って、そうなるんでしょ……」

 

「うん、それはそうなんだけど……」

 

 シンジはそれ以上何も言えなかった。幾ら「興奮の絶頂」にあると言っても、まさかアスカに「してもらう」訳にも行かない。どうしたらいいか判らないままアスカを抱き寄せているだけだった。

 

「……シンジ……」

 

「ん?……」

 

「……あたし、……して……あげよか……」

 

「えっ?! そんな……」

 

 アスカの言葉にシンジは心の底から驚いた。体は充分「して」もらいたがっているが、いくらなんでも「してくれ」とは言えない。シンジには返す言葉がなかった。

 

「……あたしじゃ、いや?……」

 

「いや、そんなこと、ないよ。……でも、アスカにそんなことしてもらうなんて、そんな……」

 

「……こわい?……」

 

「……いやその、……アスカに悪くてさ……」

 

「……あたしは、……いいよ……」

 

「で、でも……」

 

 シンジは困惑していた。「アスカに『して』もらったらどんなに気持ちがいいだろう」と言う妄想が頭の中を駆け巡る。しかし、如何な事、「じゃあ、してよ」とはどうしても言えない。そうこうしている内に、不意にアスカはシンジの股間に左手を伸ばして来た。

 

「!!!!!!!!!」

 

 ……スッ……、スッ……、スッ……。

 

「!!! あ、アスカ……」

 

 ショートパンツの上からではあるとは言うものの、アスカに「自分自身」を撫でられて、シンジは全身が震えた。今まで味わった事のない快感が背筋を走る。

 

「……きもち、いい?……」

 

「あ、アスカ……、だめ……だよ。そんな……こと……しちゃ……」

 

「……どうして?……」

 

「だ、だって、……そんな……こと……したら……」

 

「……いいじゃない……。ね……」

 

「あ……、あ……、アスカ……」

 

 シンジの思考回路は完全に暴走した。もう何も考えられず、快感に身を委ねているだけだったが、何故か無意識的に右手がアスカの太ももの内側に伸びた。

 

(!!! シンジ……)

 

 アスカは少し驚いたがシンジの手を振り払おうとはしなかった。ところがその時突然脳裏に自分の声が、

 

(『痛い!! 犯さないで!!』)

 

「いやっ!!」

 

 驚いたアスカは小さく叫んでシンジの股間から手を離した。シンジも慌てて右手を引っ込め、

 

「ご、ごめん!! どうしたの?!!」

 

「……はあっ……、あ、ごめんねシンジ、おどろかせちゃって……」

 

「いやその……、ごめんね。……いやだった?……」

 

「……そうじゃないのよ。……ちょっとへんなこと思い出しちゃってさ……」

 

「え? どんなこと?」

 

「うん、その……。ごめんねシンジ、……今は、言いたくないの……。おちついたら、……ちゃんと、言うからさ。……それまで、待ってて……」

 

「そ、そうなの。……うん、わかったよ……」

 

「……ごめんね。せっかくふたりですてきな気持ちになってたのに、へんなことになっちゃってさ……」

 

「ううん、そんな。……僕こそごめんね。アスカをびっくりさせちゃったみたいで……」

 

「ううん、シンジのせいじゃないわよ。……またいつか言うわね。……でもさ、きょうはさ、とても気持ちよかったわ。……ありがとシンジ……」

 

「僕もとても気持ちよかったよ。……なんか、アスカのこと、心から好きだって、思えたよ……」

 

「そう、よかった……。じゃ、そろそろ寝よか……」

 

「そうだね。……おやすみアスカ」

 

「おやすみシンジ」

 

 二人はどちらからともなく寄り添って唇を重ねた。

 

 +  +  +  +  +

 

 部屋に戻ったシンジは茫然自失のままベッドに転がり込んだが、今夜は到底そのままで収まる訳がない。無我夢中でパンツを下ろすと、既に目一杯充血している下半身に右手を伸ばし、

 

「……あ、……あ、……アスカ……、はあっ、はあっ、……うっ!……」

 

 けだるい快感の余韻を残したまま、シンジは枕元のティッシュに手を伸ばす。そして「事後処理」を済ますと再度右手に「自分自身」を取った。

 

「……はあっ、……はあっ、……はあっ……」

 

 +  +  +  +  +

 

(なんで、あんなこと思い出したの……。もうすっかりわすれたと思ってたのに……)

 

 アスカはベッドの中で横向きになりながらさっきの事を思い出していた。

 

(……もう思い出しちゃだめよ。……わすれるのよ。アスカ……)

 

 心の中で自分自身に強く言い聞かせながら、アスカはさっきのシンジの「愛撫」を思い出そうとした。「気持ち良かった」事を思い出せば、嫌な事を忘れられると思ったからだ。

 

(……そうよ。……もうすんだことなんだしさ。……きょうはシンジにきもちよくしてもらったんだしさ。……あ、そうだ、もしかしたら……)

 

 アスカは恐る恐る下着を下ろして自分の「女性」に右手を伸ばした。

 

(……自分でしてみて、きもちよかったら、あのこと、わすれられるかも……)

 

 ………、………、………、………

 

「……あ……、あン……、うン……、シンジ……」

 

 右手の中指の動きに合わせて快感が背筋を走る。アスカはこの前見た映画のシーンを思い出して、そこに自分とシンジを重ねながら指の動きに自分自身を委ねていた。

 

 +  +  +  +  +

 

 さてこちらは松代の例の会社。

 

 暗い倉庫に置かれた二つの大きな水槽の中では、成長促進を開始されたアダムとリリスが成長を始めていた。

 

「ギイッ」

 

 倉庫のドアが開き、二人の人物の影が浮かび上がる。その内一人が電灯のスイッチを入れると、明るくなった倉庫の中にゲンドウと祇園寺の姿が現れた。

 

「……碇」

 

「なんだ」

 

「赤木博士に、いつ『真の目的』を言うつもりだ」

 

「まだしばらくは言わん。もう少し様子を見る」

 

「そうか。まあ、賢明な選択だな」

 

「アダムとリリスの復活も使徒の再生も、『サード・インパクト』さえも、我々の『真の目的』のための『手段』に過ぎない。まあ、無論、それなくして『目的』は達成出来ないがな」

 

「その通りだ。そして『真の目的』が達成されると同時に、私の『復讐』も同時に達成されると言う事だ」

 

「うむ。そのためのアダムとリリスだ」

 

 オレンジ色のLCLが満たされた二つの水槽の中では、「銀色の髪のアダム」と「青い髪のリリス」が蠢いていた。

 

 続く

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