二つのコスモス~続・新世紀エヴァンゲリオン 第三部・トップはオレだ!   作:VIA MEDIA

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第八話・色即是空

 リモコンを手にしたゆかりは、二人に、

 

「では、続きを映しますわね」

 

「はい、おねがいします」

「はい、よろしく」

 

 +  +  +  +  +

 

第八話・色即是空

 

 +  +  +  +  +

 

(レイ……、碇君……)

 

 サトシの眼は、再び画面に引き込まれて行った。

 

 +  +  +  +  +

 +  +  +  +  +

 

「新世紀エヴァンゲリオン Another Case」

 

 +  +  +  +  +

 

(騒然とするネルフ発令室。メインモニタには空中を飛行する使徒ゼルエルの姿が。ゼルエルは地上からのミサイル攻撃や銃撃は全く受け付けない)

 

日向「パターン青!! 使徒に間違いありませんっ!!」

 

ゲンドウ「弐号機を射出。レイは初号機で出撃させろ」

 

(ゼルエルは飛行しながらビームを地上に発射。凄まじい爆音と共に地面に大きな穴が開く)

 

青葉「一撃で地上との隔壁の半分が融解!! 地下への侵入は時間の問題ですっ!!」

 

冬月「なんて奴だ!! 一撃で半分もかっ!!」

 

(ゲンドウをちらりと見る冬月。相変わらずのポーカーフェイスのゲンドウ。そこへミサトがやっと駆け付ける)

 

ミサト「弐号機の迎撃は間に合うのっ!?」

 

マヤ「射出準備完了ですっ! なんとかギリギリ間に合いますっ!!」

 

ミサト「アスカ!! この使徒は今までとはちがうわっ!! 充分注意するのよっ!!」

 

アスカ『了解っ!!』

 

リツコ「レイ! 起動するわよっ!!」

 

 +  +  +  +  +

 

(初号機の中でレイが起動を待っている)

 

マヤ『神経接続開始!!』

 

レイ「うぐっ!!!」

 

(吐き気が走り、口を押さえるレイ)

 

レイ「……そう、……そうなの……」(もう、だめなのね……)

 

 +  +  +  +  +

 

マヤ「だめですっ!! 神経接続を拒絶!! 起動出来ませんっ!!」

 

リツコ「なんとかならないのっ!!」

 

ゲンドウ「初号機はダミーで起動。レイは零号機で出撃させろ」

 

ミサト「しかし! 零号機はまだ左腕が!!」

 

レイ『かまいません。行きます』

 

ミサト「レイ!!」

 

 +  +  +  +  +

 

レイ「……いいんです。……行きます……」(どうせわたしは、かりそめの存在……。あの人にとっても……)

 

 +  +  +  +  +

 

(地上に開いた穴の所にやってたゼルエル。そこへ弐号機が射出される)

 

アスカ「来たわねっ!! こんなやつ、バカシンジなんかいなくったって! 行けええっ!!」

 

ドスウンンンンッッ!!!

 

(弐号機はゼルエルに横から体当たりを食らわせる。轟音と共に転倒するゼルエル。しかしゼルエルはすかさず畳んだリボンのような腕を伸ばし、弐号機めがけてムチのように振り下ろす)

 

アスカ「わわっ!!!」

 

(弐号機は咄嗟に避けた。ゼルエルの腕は後方のビルを直撃)

 

ドオオオオオンンッ!!

 

(一撃にしてビルは粉々に砕け散る)

 

アスカ「なんて破壊力なのっ!!」

 

 +  +  +  +  +

 

(駅近くの入口からジオフロント内部のシェルターに逃げ込んだシンジ。隅のほうで膝を抱えて蹲っている)

 

シンジ「…………」(絶対に乗ってなんかやるもんか……。絶対に……)

 

 +  +  +  +  +

 

マヤ「だめですっ!! 初号機がダミーも拒絶!! 起動しませんっ!!」

 

(立ち上がるゲンドウ)

 

ゲンドウ「すまん、冬月、少し頼む……」

 

(無言でゲンドウを一瞥する冬月、それを顧みる事もなく退室するゲンドウ)

 

冬月「…………」(これも、シナリオ通りだとでも言うのか……)

 

 +  +  +  +  +

 

アスカ「うおおおおおおっ!!! このおおおおおっ!!!」

 

(地上で戦闘を続ける弐号機とゼルエル。しかしゼルエルは弐号機の攻撃を全く受け付けない。弐号機は攻撃を躱すだけで精一杯である)

 

アスカ「ミサトっ!! こいつは今までの使徒とはぜんぜんちがうわっ!! まともにぶつかるのは自殺行為よっ!! 早く応援をっ!!」

 

(ゼルエルの目が光る)

 

アスカ「あっ!! よけてっ!!」

 

ブシュウウウウウウッ!!!

 

(ゼルエルの光線を何とか躱した弐号機。しかし、光線はアンビリカルケーブルを直撃した)

 

バチイイイイイイイッ!!!

 

アスカ「しまったっ!! 電源がっ!!」

 

 +  +  +  +  +

 

日向「弐号機ケーブル断線!! 内部電源に切り換わりましたっ!!」

 

ミサト「アスカ!! 一時撤退してっ!!」

 

マヤ「零号機起動完了!! 射出しますっ!!」

 

 +  +  +  +  +

 

(右手に小型N2爆雷を持って地上に射出された零号機。ゼルエルの背後から攻撃を仕掛ける。弐号機はゼルエルの攻撃を躱しながら一時撤退のチャンスを窺っている。零号機が腕を振り上げて爆雷を投げ付けようとしたその時、ゼルエルが背後の零号機に気付いて振り返る)

 

ミサト『レイ!! よけてっ!!』

 

(ゼルエルは振り上げた零号機の右手首めがけて素早く腕を伸ばす。零号機は咄嗟に躱したが、ゼルエルの腕がかすり、爆雷を飛ばしてしまう)

 

レイ「しまった!! 爆雷が!!」

 

(運悪く爆雷はゼルエルが開けた穴に落ちる)

 

ドオオオオオオオオオオオンッッ!!

 

(爆雷は激しく爆発。隔壁は貫通し、ジオフロント内に破片が落ちる)

 

 +  +  +  +  +

 

青葉「N2爆雷が穴で爆発っ!! 隔壁が貫通してしまいましたっ!!」

 

ミサト「ジオフロント内での迎撃用意!!」

 

 +  +  +  +  +

 

(爆煙が収まった地上。突然ゼルエルはエヴァ両機を無視して穴に飛び込む)

 

アスカ「しまったああっ!! 追撃しなきゃ!! ……あっ!!」

 

(電源の残量が少ない事に気付いたアスカ)

 

アスカ「ミサト!! 追撃するわ!! 近くの電源を準備しておいて!!」

 

(ゼルエルを追って弐号機が穴に飛び込む)

 

ミサト『了解!!』

 

レイ「零号機も追撃します」

 

(零号機も外部電源をパージ。穴に飛び込む)

 

 +  +  +  +  +

 

(初号機ケージ。ダミーでの起動作業が続くが依然初号機は動かない)

 

操作員「だめですっ!! ダミーを全く受け付けませんっ!!」

 

ゲンドウ「もう一度やり直せ」

 

 +  +  +  +  +

 

(ジオフロントに侵入したゼルエルに対して砲撃が浴びせ掛けられる。しかし、全く素知らぬ顔で低空を飛行し、ネルフ本部に向かうゼルエル。それを追う弐号機)

 

アスカ「エアブースタ作動!! 着地姿勢とって!! 着地後すぐに電源供給して!!」

 

ブオオオオオオオオオッ!!!

 

(着地した弐号機は地下でケーブルを接続)

 

アスカ「よし! 電源OK! 追撃して!!」

 

(零号機も同様に着地、ケーブルを接続してゼルエルを追撃)

 

ミサト『レイ! アスカ! 武器を用意したわ!! 使徒がATフィールド中和地点に入ったら銃撃して!! 何とか足止めして!!』

 

アスカ「了解!!」レイ「了解」

 

 +  +  +  +  +

 

(医療施設のあるシェルターに避難したトウジ。ヒカリが付き添っている)

 

ヒカリ「鈴原! だいじょうぶ?! しっかりして!」

 

トウジ「ああ……、なんとかだいじょうぶや……、そやけど……」

 

ヒカリ「どうしたの?」

 

トウジ「ワシの妹のサクラ……、ちゃんと避難させてもらえたやろか……」

 

ヒカリ「え?」

 

(多分避難はしただろうが確証はない。しかし今は止むを得ず、咄嗟にウソをつくヒカリ)

 

ヒカリ「う、うん、ちゃんと避難したわよ」

 

トウジ「そうか……、安心したわ……。そやけどすまんな委員長……。こんなワシのために付き添うてもろて……」

 

ヒカリ「ううん、気にしないで……」

 

トウジ「なんや足の感覚がおかしいわ……。どないなったんや……」

 

(トウジの足は切断を免れていた。整復手術が成功していたのだ)

 

ヒカリ「大怪我したけど、なんとか切断しなくてすんだわ……。早く元気になってね……」

 

トウジ「ああ……、また眠うなってきよった……」

 

 +  +  +  +  +

 

(中和地点に入るゼルエル)

 

アスカ「今だっ!! 銃撃!!」

 

ズガガガガガッ!!!

 

(ライフルを乱射する弐号機。しかしゼルエルは一顧だにしない)

 

アスカ「くそおおおおっ!!! こいつのATフィールドはどうなってんのよっ!!」

 

 +  +  +  +  +

 

(無言だが真剣な顔のレイ。唇を噛み締めてロケット弾をひたすら連射するが効果はない)

 

ドオオンンッ!! ドオオンンッ!!

 

レイ「…………」

 

 +  +  +  +  +

 

アスカ「だめだわっ!! このままじゃ本部に突入されて、……ああっ!!」

 

(突然振り返ったゼルエル。両腕を急速に伸ばす)

 

アスカ「よけてっ!!」

レイ『回避!』

 

(回避が間に合わず、ゼルエルの両手がそれぞれ弐号機と零号機の首に巻き付く。弐号機は両手で、零号機は残った右手でゼルエルの腕を掴んで何とか振り解こうとするがなかなか離れない)

 

アスカ「しまったっ! ……くううっ!!」

レイ『くううううっ!!』

 

(アスカとレイに首を締められるような激しい苦痛が走る。その時ゼルエルの眼が光る)

 

ドオオオオオオンッ!!

 

アスカ「わああっ!!」

レイ『あああっ!!』

 

(最後の力を振り絞って逃げようとしたエヴァ両機。しかし光線がそれぞれの肩を直撃、装甲板を吹き飛ばす。その時のショックでゼルエルは手を離す。エヴァ両機もダメージを受け、よろけて倒れる。それをじっと見詰めるゼルエル)

 

 +  +  +  +  +

 

(吹き飛ばされた装甲板がシンジのいるシェルターを直撃)

 

ドオオオオオオオオオンッッ!!!

 

「ギャアアアアアアアアッ!!」

「ギャアアアアアアアアッ!!」

「ギャアアアアアアアアッ!!」

 

(シェルター内に悲鳴がこだまする。装甲板を見て愕然とするシンジ)

 

シンジ「!!!! ……アスカ!! 綾波!!」

 

係員「全員避難させろっ!!! 急げっ!!」

 

 +  +  +  +  +

 

(騒然とする発令室)

 

青葉「エヴァ両機、立ち上がれませんっ!!」

 

マヤ「両機ともシンクロ率が急激に低下!! パイロットの脳波も弱っていますっ!!」

 

リツコ「初号機はまだだめなのっ!?」

 

日向「だめですっ!! 依然起動しませんっ!!」

 

ミサト「このままじゃ本部に侵入されるわっ!! なんとかしないとっ!!」

 

(思い詰めたような表情の冬月)

 

冬月「葛城三佐、後を頼む。初号機ケージに行く」

 

ミサト「は、はいっ!」

 

 +  +  +  +  +

 

(倒れたままなかなか立ち上がれないエヴァ両機)

 

アスカ「……く、くそおおおおっ……」

 

(突然アスカの脳裏に、浅間山噴火口に飛び込んで来た初号機のイメージが浮かぶ)

 

アスカ「……なんで……こんなときに……バカシンジなんかの……ことを……おもいだす……の…よ……」

 

(更に、シンジとキスした時のイメージが浮かぶ)

 

アスカ「……シンジ……、シンジ……、はやく……、きて……」

 

 +  +  +  +  +

 

(レイの脳裏にもヤシマ作戦終了時のシンジの顔が浮かぶ)

 

(「笑えばいいと思うよ……」)

 

レイ「……いかり…くん……」

 

 +  +  +  +  +

 

(シェルターの外に出たシンジ。倒れたエヴァ両機とゼルエルを見て思わず立ち止まり、言葉を失う。その側を避難する人波が走り抜けて行く)

 

シンジ「……僕はもう、絶対に乗らないって……」

 

係員「おい君!! 早く避難するんだっ!!」

 

シンジ「……僕はもう、絶対に、…………はっ!!」

 

(突然シンジの脳裏に、アスカとキスした時のイメージと、ヤシマ作戦終了時のレイの微笑が浮かんだ)

 

シンジ「くそおおおっ!!!!」

 

(本部目指して走り出すシンジ)

 

シンジ「くそおおおおおおおおおおおおっ!! アスカ!! 綾波!! 死ぬな!! 絶対に死ぬな!!」

 

 +  +  +  +  +

 

(依然として起動しない初号機ケージで陣頭指揮に立つゲンドウ。流石にその顔にも段々焦燥の色が浮かんで来る)

 

操作員「だめですっ!! 起動しませんっ!!」

 

ゲンドウ「もう一度だ。最初からやり直せ」

 

(そこへ現れた冬月)

 

冬月「碇」

 

ゲンドウ「なんだ」

 

冬月「参号機の修復不可能なまでの破壊。初号機パイロットの造反と解任。その挙句の果てに、使徒のジオフロント侵入。……これでも貴様、まだシナリオ通りだと言うのか」

 

ゲンドウ「問題ない」

 

冬月「問題ない、だと? なら早く初号機を起動させろ。使徒がここの地下に入ったらシナリオもクソもないんだぞ」

 

ゲンドウ「…………」

 

(その時、スピーカーから声が鳴り響いた)

 

シンジ「乗せてくださいっ!!」

 

(驚いて窓から初号機ケージを見るゲンドウと冬月。そこには息を切らしたシンジの姿が)

 

ゲンドウ「!………」

冬月「!………」

 

シンジ「はあっ、はあっ、……僕を、僕を初号機に乗せてくださいっ!!」

 

(シンジの叫びにも、ゲンドウは表情を崩さず)

 

ゲンドウ「……なぜ、ここにいる……」

 

シンジ「なぜ、だって……」

 

(シンジの中で何かがブチ切れる)

 

シンジ「なぜ、だとおおおっ!!!!! 今、そんなことを言っている時かああああっ!!!」

 

ゲンドウ「!!…………」

冬月「!!…………」

 

(シンジの眼に浮かぶ怒りの炎に一瞬言葉を失うゲンドウと冬月。しかし冬月の決断は早かった。操作員に向かって叫ぶ冬月)

 

冬月「初号機パイロットの搭乗準備を急げ!!」

 

(驚き顔のゲンドウ)

 

ゲンドウ「……冬月、……貴様……」

 

(憑き物が落ちたような顔の冬月)

 

冬月「クビにしたけりゃしろ。殺したけりゃ殺せ」

 

(と、ゲンドウに言った後、また操作員の方を向き)

 

冬月「準備を急ぐんだ!!」

 

ゲンドウ「…………」

 

 +  +  +  +  +

 

(動きの止まったエヴァ両機を暫く見ていたゼルエル。今度はゆっくりと両腕を伸ばし、弐号機と零号機の首にそれぞれ巻き付け、両機を空中に吊り上げる)

 

アスカ「……うぐぐぐっ……、シンジ……」

 

レイ「……くううっ……、いかり…くん……」

 

 +  +  +  +  +

 

(騒然とする発令室。モニタを見て叫ぶミサト)

 

ミサト「全神経接続解除!! プラグ排出してっ!!」

 

日向「だめですっ!! 指令を受け付けませんっ!! このままではパイロットの生命も時間の問題ですっ!!」

 

(その時、マヤが顔色を変えた)

 

マヤ「ああっ!! これはっ!! ……初号機起動しましたっ!!」

 

リツコ「シンジ君が乗ってるわっ!!」

 

ミサト「なんですってえっ!!」

 

(突然モニタに初号機の姿が映る。初号機はゼルエルの後方から体当たりを食らわせる)

 

ドスウウウンンッッ!!!

 

(よろけたはずみに慌てて弐号機と零号機を放し、振り返るゼルエル)

 

 +  +  +  +  +

 

シンジ「くそおおおおおおっ!! アスカ!! 綾波!! 死ぬなっ!!」

 

 +  +  +  +  +

 

「新世紀エヴァンゲリオン Another Case」

 

第拾九話終わり。第弐拾話に続く。

 

 +  +  +  +  +

 +  +  +  +  +

 

 第拾九話後半のファイルは終わり、ゆかりは再びリモコンを手にした。

 

「ここまでが第拾九話ですのよ」

 

 サトシとアキコは、少なからず感心し、

 

「いや、ありきたりですけど、そこそこ行けますねえ」

 

「ほんとじゃねえ。碇くんとは思えんかったです」

 

 二人の言葉に、ゆかりは軽く頷き、

 

「じゃ、続いて第弐拾話を映しますわね」

 

「はい、おねがいします」

 

「おねがいします」

 

 続く

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