二つのコスモス~続・新世紀エヴァンゲリオン 第四部・二つの光   作:VIA MEDIA

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第一話・再会

「レイ!! 聞こえるか!! 聞こえたら返事しろ!! レイ!!」

 

 アカシャの中でサトシが声を限りに叫ぶ。

 

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第一話・再会

 

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 エヴァンゲリオン零号機の中でも、

 

「サトシくん!! サトシくんなの!!? お願い!! 返事して!!」

 

「!?………」

 

 レイの叫びに、カヲルは訳が判らず、呆気に取られたままだった。

 

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 IBO本部中央制御室では、周囲が唖然とする中、シンジが怒り狂っていた。

 

「殺してやる!! 殺してやる!! キサマなんか絶対に殺してやるっ!!」

 

 興奮の余り、シンジはメインモニタに飛びかからんばかりに身を乗り出す。

 

「碇君! 落ち着け!! 落ち着くんだ!!」

 

 それを引き留めようと、五大はシンジを後から羽交い絞めに抱きかかえる。その時、モニタに映るゲンドウ達の姿は忽然と消えた。

 

「消えた!!」

 

 ミサトの声が響く中、通信状況を表示する計装機器の数字が一斉に変化し、

 

「ノイズが消えましたっ!! 通信回復!!」

 

 青葉が歓喜とも悲痛とも思えるような声で叫ぶ。

 

「!!! …………」

 

 シンジはようやく収まったかのように肩を落とした。そして五大の腕を抜けるように崩れ落ちて、力なく床に跪き、

 

「……うっ、……ううっ、……くそっ……。ううっ……」

 

 悔し涙が床を濡らす。やがてシンジの声は嗚咽となって行った。

 

「……くそっ、ううっ、………わああっ! うわあああああっ!!」

 

 激しく泣きじゃくるシンジを前に、全員、言うべき言葉を何も持たなかった。その時、

 

ビイイイイイイーーーーッ!!

 

 突然警報が鳴り響き、次々と計装機器が異状を表示して行く。シンジも驚いて立ち上がった。五大が顔色を変え、

 

「どうなったんだ!! 伊吹君!!」

 

「は、はいっ!!」

 

 慌ててコンソールを操作したマヤは青ざめた。

 

「!!! 通信回線に異状発生! 海外の支部からの通信が断たれて行きます!」

 

 五大とミサトも顔色を変え、

 

「なんだと!!!」

「なんですって!!」

 

 続いて日向が、

 

「国内の回線にも異状!! 市外との交信が不能です!!」

 

「市内はどうなんだ!!」

 

 五大の怒鳴り声に日向は慌てて回線を調べ、

 

「市内は……、市内は可能です!!」

 

「本部長……、これは……」

 

 やや震え声のミサトに五大が苦り切った表情で、

 

「始まったんだ。……さっき六分儀、いや、碇ゲンドウが言っていた、イロウルの侵攻が始まったんだ」

 

「じゃ、通信回線を!?」

 

「そうだ。通信回線が侵されたんだ。……日向君」

 

「は、はいっ!」

 

「電話もインターネット専用回線もやられているだろう」

 

「えっ、は、はい、ちょっとお待ち下さい。……!!! 全ての市外への通信回線は……使用……不能です……」

 

「やはりな。……市外からの電力供給も断たれたな……」

 

「チェックします!! ……!!! ……その通りです……。現在供給可能なエネルギー源は、市内専用の地熱発電だけです……」

 

 五大はミサトの方に向き直り、

 

「葛城君、……聞いた通りだよ。『外堀を埋めて兵糧攻めにする』と言うヤツだ。通信と供給を断って、その上で使徒を送り込むつもりなんだ。……恐らく海外でもそうだろう。通信が使えないとなれば、いくら強力な軍隊を持っていても使えないに等しい。IBO支部でも量産型を出すだけで精一杯だろうし、出しても誘導すら出来ない。それで、例え大型使徒は倒せても、細菌状の使徒はどうしようもない。もし量産型が使徒を倒せなかったら、人間は殺されるのをただ待つだけになってしまう……」

 

「でも、本部長! どうして使徒であるイロウルが通信回線や電力線に!?」

 

「忘れたのか。ヤツはただの使徒じゃない。『魔力』を持った『マーラ』でもあるんだぞ。今までのデータは通用しない」

 

「!! ……じゃ、私達は……」

 

「……『籠城』、だよ」

 

「!!!!!」

 

 ミサトは顔色をなくした。

 

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 エンタープライズメインブリッジ。

 

「松下!! 国内通信はまだ可能なのか!?」

 

 中之島のがなり声に松下は、

 

『なんとか可能です!』

 

「なら、今の内にすぐに政府に連絡を取って非常事態宣言の発令を要請せい! いつ日本国内の通信網がやられんとも限らんぞ!!」

 

『了解しました!! そちらとの回線は繋ぎっ放しにしておきます!!』

 

「了解ぢゃ!!」

 

 中之島はライカーの方に向き直り、

 

「艦長!! アメリカ本土とはどうしても連絡が取れんのか!?」

 

 ライカーは苦り切った顔で、

 

「ダメでーす! 米軍基地で連絡が取れるのは、在日基地だけね! 今、オキナワのカデナ基地との通信を試みていまーす! でも、向こうの回線、目一杯塞がってるようなので、接続待ちねー!」

 

「クソっ! 何と言う事ぢゃ! 通信がやられだけでこのザマかっ!!」

 

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 騒然としているJRL本部中央制御室では、松下が、由美子に向かって、

 

「由美子君!! 総務省の高沢担当に連絡を取ってくれ!!」

 

「了解しました!!」

 

 続いて、末川真由美に、

 

「末川君!! フェイズ・スキャナの方には何かないか?!」

 

「まだ何もありませんっ!!」

 

「可能な限り出力を上げろ!! どんな細かい事も見逃すな!!」

 

「了解!!」

 

 松下は、今度はインカムを手にし、

 

「機関部山上君!! 聞こえるか!?」

 

『こちら機関部山上です!!』

 

「残っているオクタ3機は何時でも出せるな!?」

 

『いつでも自動モードでの出撃が可能です!!』

 

「了解した!!」

 

 +  +  +  +  +

 

 嘉手納基地発令室でも、司令官のカジマが、通信員に向かって、

 

「生キ残ッテイル回線ハ!!?」

 

「日本以外ノ通信回線ハ全滅デス!! 衛星回線モ使エマセン!」

 

 別の通信員が振り返り、

 

「日本国内ノ米軍基地トハ通信可能デス!!」

 

「日本以外ノ米軍基地トノ連絡ハドウナノダ!!?」

 

「全ク不能デス!!」

 

「通信可能ナ回線ハ全テ繋イダママニシテオケ!!」

 

「了解!!」

 

「偵察衛星ハ使エルノカ!?」

 

 今度は、元の通信員が、

 

「衛星ソノモノハ生キテイルヨウナノデスガ、アメリカ本土カラ強烈ナノイズガ混ジッタ電波ガ送信サレ続ケテイルラシク、コチラデノ管制ハ不可能ナ状態デス!!」

 

「クソッ!! 眼モ耳モ塞ガレタヨウナモノカ!」

 

 オクタヘドロンのパイロット五人は、ずっとそばで心配そうに様子を見ていたが、マサキが進み出て、

 

「司令! どないなったんですか!?」

 

「通信が次々と断たれて行っている。これでは決戦部隊の召集もままならん……」

 

「ほんなら、僕ら、ちゅうか、在日米軍と自衛隊、それから、オクタだけで戦わんとあかん、言う事ですか!!?」

 

 カジマは、一層深刻な表情で、

 

「……いや、それよりも『悪く』なる可能性が高い」

 

「!!!!」

「!!!!」

「!!!!」

「!!!!」

「!!!!」

 

 顔色をなくした五人に、カジマは、

 

「今、在日米軍各基地と、月軌道に出ているエンタープライズを含めた残存戦力の今後の動きに関しては、在日米軍最高司令部が協議中だ。……しかし、私の見通しでは、使徒との直接対決は、我々だけでやらねばならなくなる、と思う」

 

「!! 我々だけ!?」

 

 思わず叫んだマサキに、カジマは、

 

「そうだ。オクタへドロンと沖縄の米軍の一部だけで決戦部隊を編成せねばならん可能性が高い、と言う事だ。……日本の自衛隊にせよ、他の在日米軍にせよ、もし、近くに使徒が現れたら、オクタへドロンが到着するまでの間の戦闘は不可避だ。それを考えると、決戦部隊は、我々『使徒撃退特命本部』だけで編成せざるを得ないだろう、と言う事だ……」

 

 ここで大作が進み出て、

 

「ですが、戦力的には!?」

 

「苦しい事は言うまでもない。……しかし、核兵器すら受け付けない怪物を倒す、となると、『カオス・コスモス』の時の話とは言え、実績があるのはオクタへドロンをおいて他にない、と言うのも現実だ。私も軍人としては内心忸怩たるものはあるがね………」

 

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

 

 言葉をなくした五人に、カジマは続けて、

 

「しかし、当然と言えば当然なんだが、『通信』と言うものがこれほど重要なものだった、と言う事がだ、こうなるまで実感としてはなかったとは、つくづく情けないよ……」

 

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

 

「とにかくだ、なんとか出来るだけ情報を集めるように最善の努力は尽くすが、いずれにせよ、最悪の状況だけは考えておかねばならん。我々だけで使徒を迎え撃つ覚悟が必要だ」

 

 ここで、今までにない真剣な顔のリョウコが、

 

「司令、わたしたちはもともと怪物と戦うために集められました。例えどんな状況でも最後まであきらめずに戦います。サポートをよろしくお願いいたします」

 

「!………」

 

 続いてマサキも、

 

「その通りです。今回の使徒に対するオクタの有効性に関しては未知数やとは思いますけど、最後までやります」

 

 タカシも、

 

「僕もやります。よろしくお願いします」

 

 サリナも、

 

「わたしも同じです」

 

 大作も、

 

「僕も同じです。最後まで戦います」

 

「君達……」

 

 そう言ったカジマは一瞬黙ったが、すぐに頷いて、

 

「君達……。よし、わかった。全力を尽くそう」

 

 ここで大作が、

 

「司令、なんとか使徒の位置がわからないものでしょうか。オクタは高速移動が可能ですから、ここで待つだけでなく、積極的に攻撃に出る事も不可能ではないと思いますが」

 

 しかし、カジマは苦り切った顔で、

 

「オクタへドロンだけを見ればそうなんだが、補給と支援に問題があるからな。もし攻撃に出て、通信が出来なくなったらどうしようもなくなる。それに、偵察衛星も使えないとなると、使徒の位置確認に関してはエンタープライズだけが頼り、と言うのが現実なのだ……」

 

「……なるほど……」

 

 その時、通信員が、

 

「司令! 月軌道ノエンタープライズカラ通信デス!」

 

 カジマは振り返って怒鳴った。

 

「繋ゲ!!」

 

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 エンタープライズメインブリッジ。

 

「艦長! 嘉手納基地ト接続シマシタ!!」

 

 通信員の言葉に、ライカーは頷き、

 

「了解シタ!」

 

 続いて、中之島の方を向いて、

 

「ドクター中之島! オキナワのカデナ基地と繋がりました! 通信に同席願いまーす!!」

 

「判った!!」

 

 ライカーはインカムを掴むと、

 

「こちらエンタープライズ! カデナ基地応答願いまーす!! ヘイ!! カジマ!! プリーズスピークウィズジャパニーズねー!!」

 

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 由美子から電話を受けた総務省の高沢は、

 

「なんだと!! やはりそうだったのか!!」

 

『はい! すぐに非常事態宣言の発令をお願い致します!』

 

「わかった!! すぐに手続きを取る!!」

 

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 エンタープライズメインブリッジ。カジマから状況を聞いたライカーは、

 

「……と、言う事はー、在日米軍がメインでやらざるを得ない、と言う事ねー!」

 

『…………そうだ。特に、「対使徒攻撃隊」はオクタへドロンを中心として、沖縄に駐留している部隊だけで結成せねばならん見通しだ。今、在日米軍最高司令部が協議中だが、もし通信が断たれたら今後どうなるか判らん!』

 

「とにかく、こっちとそっちはなんとか繋がるからー、今の内にメドを付けておかないとだめねー!」

 

『…………地上のレーダー網が全滅した上に、偵察衛星も使えない現状では、使徒の位置確認と監視はそちらに頼るしかない! 出来れば宇宙空間からの援護射撃も頼みたい所だ!』

 

「了解ねー! と、なると、行方不明のオクタへドロン3機は、どうしてもみつけたい所ねー! こっちにはドクター中之島もいるからー、なんとしてでも探し出しましょう!!」

 

『…………頼む! 3機の戦力はどうしても欲しいからな!』

 

「オーケーね!」

 

と、言った後、ライカーは中之島に、

 

「ドクター中之島、何か確認しておく事、ありませんかー?」

 

 中之島はインカムを手にすると、

 

「カジマ司令! オクタへドロンのパイロットは全員大丈夫かの!? 戦えそうか!?」

 

『…………大丈夫です。まだ若いのにみんな大したものですよ。彼等が地球を救う切り札になるかも知れない、と言う気さえして来ましたね』

 

「そうか! 分かったわい!」

 

『…………博士! 僕らは大丈夫です! 最後まであきらめずに戦いますさかい、なんとしても行方不明の3機を見つけて下さい!!』

 

と、マサキ。中之島は、

 

「了解した! こっちも全力を尽くす!」

 

『…………頼みましたよ』

 

と、カジマ。ここでライカーが、

 

「カジマ! いつでも通信出来るように、回線空けておいてねー!!」

 

『…………了解した! 1回線は常に確保しておく!』

 

「では、我々は捜索に戻りまーす!!」

 

『…………了解! 頼んだぞ』

 

 +  +  +  +  +

 

 嘉手納基地発令室。

 

「とにかく現状は見てもらった通りだ。とにかく君達は待機室で待機しておいてくれ。何かあったら連絡する」

 

「了解しました!」

 

 カジマの言葉に、マサキは力強く応えた。

 

 続く

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