ハリー・ポッターとオリーブの杖   作:Tohka.A

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仮面舞踏会Ⅰ

 

日頃から圧倒的な力の差を見せつけて、荒い仕草・ランダムな大声によって怯えさせておくこと。ただ向き合うだけで危険を感じさせるようにして、緊張と安堵のタイミングを支配すること。

その準備のあとに、一対一になる状況をつくりだして、「君は他の子より見どころがある」と囁きかけること。

そうやって、“君だけの強大な支援者”を気取ること。

“怯えている他の子”とは違う立場にさせて、即席の自信を与えてやること。

実際には、その身体と生命を狙うこと―――…

 

よくある手口だ。実に、実によくある手口だ。

油断大敵!この程度のことはマグルでも行う。

 

男は、女より愚かな生き物というわけではないのだが、この手の悪意に晒される機会が少ない。ゆえに、ハリー・ポッターは簡単に騙されて()()()()()()

 

 

 

翌日、ハリーはいつもより熱心に授業に取り組んで、昼休みには上級生に混じりに行った。

ロンはついてこなかった。

地のパンくずを拾っていた鳩たちが、一斉に高みへと飛び立っていく中庭にて。ハリーは、フレッドとジョージの前でガラハッドに、「ニュース!仮病クラウチのスネイプ部屋荒らし!」について耳に入れてやった―――…それは、言いにくいけれども正直に言うしかない、「ごめん、折角のリータ・スキーター対策が駄目になってしまった。あの素晴らしい道具は、ムーディーが持つことになったよ」の前座である―――ハリーは、その本題を言うと三人の顔色を伺った。しばらくのあいだ、三人は不思議と黙っていた。

 

ガラハッドはゆっくりと瞬きをした。

ハリーは、ガラハッドは「は?ふざけんなクラウチの野郎!」から始めて、何やらつらつらと毒を吐くだろうと思っていた。しかし予想は外れた。ガラハッドは初め、目をぎらつかせて「は?」という顔つきになったが、口を利かずに伏目がちになった―――まるで懺悔する修道士のように。

ハリーはきょとんとして、双子たちのほうを見やった。

フレッドは眉を上げて小さく首を振った。

 

 

「 やるな、予見者。やっぱ伝説の騎士様は違うね 」

 

「 なるほど、こういうこともあると思ってたわけ 」

 

 

ジョージは揶揄い声で言った。

ガラハッドは言い訳をしないでおき、双子からの「コイツはよぉ…」という目を甘んじて浴びていた。

双子は、それぞれ眉をあげ、唇を曲げて考えた―――嘘を吐かれていたことは面白くないが、ガラハッドが秘かに忍びの地図を残していたことは、結果的にハリーの利になっていた様子なので…―――打合せをしたわけではないが、双子は一斉にスキーターを罵り始めた。

ハリーは、彼らがスキーターを嫌っていて嬉しくなった。

ハリーは、かつてこの三人が忍びの地図をめぐって喧嘩をしたことや、仲直りの時のやりとりを知らない。ハリーは、てんで意味がわかっていないままこの会話に参加して、ふわふわとこの場を居心地よく感じた。三人は馴れ合いを続けた。

 

 

「 ところで、君たちはムーディー以外の闇祓いを見たことがあるかい? 」

 

 

ハリーは世間話のように質問した。

ただちに、フレッドとジョージはシンメトリーの動きで身を乗り出した。

 

 

「 おいおいハリー!俺たちソレのお世話になっちゃいないね 」

 

「 そうだぜハリー!俺たち法に触れることなんてやってない 」

 

「「 WWW(ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ)はクリーンな商売!どうして急にそんなことを? 」」

 

「 あー…と、実は、昨夜ムーディーに言われたんだ。どうやら、僕って闇祓いに向いてるタイプらしいんだけど―――まあね、あんなに傷だらけになるんじゃあ、そんなに良い職業じゃないなと思ってさ 」

 

 

突然、からからと明るい声が響いた。

ガラハッドが声をあげて笑ったのだ。

これは、自身を庇ってくれた双子への、「気を遣うな」というサインだった。

フレッドとジョージはニヤッとして退いた。

ハリーは、サッと赤くなって首を竦めた。闇の魔法使いと戦う職業なんて、本当は魅力的であるに決まっていた。ハリーはただ、調子乗りの自慢屋にはなりたくなかったのだ。ハリーはガラハッドに噛みついて呻いた。

 

 

「 なんだい?僕は、そんなにおかしいことを言ったかい? 」

 

「 いやいや。ハリー、そうかお前は、闇祓いになりたいのか 」

 

「 なりたいとは言ってない 」

 

「 なるべきだと俺は思うけど?心配すんな。最近の闇祓いは、全然傷だらけじゃないからさ 」

 

「「 そうなのか? 」」

 

「 ああ。あんなの()()()()だけだろ 」

 

 

ガラハッドは気楽な声で言った。双子たちは「「ふ~ん」」と頷いた。

ハリーも、小さな声で「ふーん」と言っておいた。口をすぼめて、極力ニヤニヤしないように…。けれどもフレッドとジョージはそれを見抜いて、ハリーの努力を台無しにしようとした。

双子はハリーを褒めちぎり、「凄いな。あのムーディーに認められるとはなあ!」と騒ぎたてた。ハリーは、照れに照れまくって少し舌を噛んだ。

 

予鈴が中庭に届いた。

四方の壁の内で、一斉に足音が動き始めた。

午後の授業の場へと行くべき時間だ。

フレッドとジョージとガラハッドは、サッと二手に分かれて行きそうになった。ハリーは、大急ぎで彼らを呼びとめて、最後にもう一つ質問をした。

 

 

「 あの!どう思ってる?僕は、クラウチにもやはり、何か隠している事情があると思うんだ!昨日は借金かなと思ったんだけど、どうもそうではない気がしてきて… 」

 

 

ハリーは三人のことを見比べた。彼らは、それぞれ知恵を回しつつ、先を譲り合うような様子だった。

ガラハッドが一番の思案顔だった。

先に双子が、軽快な身振りで見解を教えてくれた。

 

 

「 そうだな。あの人には事情がある。だが借金じゃない 」

 

「 凄い政敵がいるらしいぜ。こないだ聞かされちまった 」

 

「「 お喋りパーシー。俺たち、一切興味がないってのにな 」」

 

「 俺たち、愛しのクラウチさんのためにレポートを書くように言いつけられた。信じらんねえ。あいつ何様だよ 」

 

「 しかも、テーマはカビの生えた呪詛についてだ。ぞっとするだろ。最低十冊の文献に基づいて報告しろってよ 」

 

「 ッ―――…お前ら知ってたのか!? 」

 

「 お、まさかそっちも言われた?冬至舞踏会(ユールボール)の時さ。アイツ、来てただろ? 」

 

「 放っとけばいいぜ。一銭にもならないのに、やってやる義理なんかないね 」

 

「 とにかく、クラウチがスネイプの研究室から漁って掠めたのは、魔法薬の材料ではないだろうな 」

 

「 呪詛返しに使う何かだろうよ。ハリー、これはガチで言っとく。関わらないほうが身のためだぜ 」

 

「 政治家なんてな 」

 

「 汚い奴ばっかさ 」

 

「 少なくとも俺たちは、呪詛なんかやる奴とは関わりを避けたい 」

 

「 どっちもどっちなんだよ。やり返してる時点で同じレベルだろ 」

 

「「 人を呪わば、穴二つだっていうのに 」」

 

 

双子は「やれやれ」という態度で言った。

ガラハッドは「そうだな」と平淡に言った。

ハリーは驚いてガラハッドに質問した。

 

 

「 呪詛って?今時、そんなリスクのある呪いなんて使うかい?…っあ! 」

 

 

ハリーは、口にした途端に思い出して、自身の額に刻まれた傷に触れた。

ガラハッドは何も言わなかった。

ガラハッドの視線には力がある。ハリーは、「わかっているならいい」と告げられたように感じた。

気がつくと、双子はふざけるのをやめてこちらを見ていた。

 

 

身命を賭して敵を打ち砕き、を引き受けた女がいる。

マグル生まれだった魔女、リリー・エヴァンスだ。

と呼ばれているものは、血と爪による魔術に詰まっている。

 

 

…―――ハリーは、必然、そのことに思い至ったけれども、フレッドとジョージの発言に怒ってなどいなかった。だがハリーは、彼らに「怒ってない」と示す技術がなかった。ハリーは双子に謝られた。ハリーは、額に手を当てたまま首を左右に振って、「ううん」と言った。

 

ハリーはガラハッドのほうを見た。ハリーは、ガラハッドがついさっき「知っていたのか」という言い回しをしたことに、今になって強烈に引っかかりを覚えていた。

ガラハッドはいつものぼんやりだ。ハリーは時間を忘れていった。

ハリーは、五分後には北塔のてっぺんにいなければならないのに、しつこくガラハッドへと見解を尋ねた―――ハリーからすると、クラウチは「去る夏、勝手に自滅して発狂してたオッサン」である。「ああいう奴ほど恥かいた腹いせに逆恨みをしてくる」と、ハリーはバーノン・ダーズリーからよく学んでいる。ガラハッドは、「呪われたつもり」のクラウチから何か仕掛けられつつあるのではないか?―――ハリーはガラハッドが心配になっていたが、この場でガラハッドに「大丈夫?」と言っていいのかわからなかった。

フレッドとジョージが口を利いた。

 

 

「 いいか?そろそろだと思う 」

 

「 俺たちもう“次”へ行きたい 」

 

 

するとガラハッドはニヤッとして言った。

 

 

「 ひとつ予想があるぞ 」

 

「 おっ出た予見! 」

 

「 言えよ言えよ! 」

 

 

双子は大きく囃し立てた。彼らは、何でもいいから昼休みを楽しく終えたいのだ。ガラハッドはそれがよくわかっていたので、胡散臭いくらいの満面の笑みで言った。

 

 

「 もしも、俺がクラウチの立場で、わざわざ“姿現し”が使えないのをおして、薬種問屋ではなくスネイプの研究室に忍び込むとしたら?俺なら、材料じゃなくて魔法薬をいただくね!登録店でしか販売してない魔法薬であっても、スネイプならば趣味で作っていそうだろ?それを管理番号外で、購入履歴を残さず、秘密裏に入手するわけだ 」

 

「 な~る!ワォワォ、やっべえなあ! 」

 

「 いやはや、政争ってのは怖いねえ! 」

 

「 劇薬ってこと?それは、どんなものがあるんだい? 」

 

「 さあ?こんなの、全部冗談で憶測だ。それじゃあな 」

 

 

ガラハッドはつっけんどんに言った。ふざけた態度をひっこめて、ガラハッドはぷいっと南翼棟へ去っていった。フレッドとジョージは陽気に笑いながら、ハリーに手を振って東棟に去っていった。彼らは、ただ時間を気にして急いでいるだけだったが、ハリーから見ると、三人ともとても颯爽としているのだった。

 

 

( なるほど!たしかに、スネイプは毒薬を持っていそうだ!!! )

 

 

ハリーは猛烈に納得した。

ハリーは、「スネイプは希少で高価な薬種を所有していて、それをクラウチに盗られたのかも?」と考えていたが、その窃盗は換金時に足がつきやすいように思われて、“クラウチ借金まみれ説”を手放しかけていた。

そこにこの収獲はビビッときた!

言うまでもないが、これは偏見と憶測の結婚である。

最悪の展開のはじまりだ。

 

 

( そうかそうか。クラウチは、自分が飲むための薬じゃなくて、他人に飲ませるための薬を盗みに入ったんだな…ああっ、そうか!それでムーディー先生は、いつも携帯水筒からしかお飲みにならないんだ―――!? )

 

 

ハリーは興奮してきた。

ハリーは、将来闇祓いになるにあたって、占い学の成績が大事だとは思えない。結局ちょっと遅刻をしてしまったが、トレローニーの小言は聞き流した。

はいはい心眼が濁ってるとかどうでもいい。

ハリーは、ロンと同じ丸テーブルにつくやいなや、いま見聞きしてきたことをロンに話し始めた。この場にはハーマイオニーがいないので、ハリーはあとでもう一度同じ話をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

野郎同士ヒソヒソ耳打ちをするなんて、ガラハッドからすると考えられない。そもそも、このたび浮上してきたクソッタレな可能性の話題は、決して誰かとシェアして楽しいものではない。

午後一番の“変身術”にて。ガラハッドは、今は機嫌が良くない自覚があり、気を散らされたくなくて、寄れば馬鹿話をすることになる面々…レイブンクローの男子たちや、エイドリアン・ピュシーらとは離れて座った。

席を選ぶと、ガラハッドは昼休みを終えたばかりの身で、もう夕飯のことを考え始めた。自身は、ホグワーツの屋敷しもべ妖精組織を再編して厨房へと手を入れてしまった手前、城内のどこで何に危険な魔法薬を垂らされても、「わたくし学生総代は、この事件とはまったく無関係です」とは主張しづらいように思えて―――彼は、雑な手つきで教科書を開きながら、無闇矢鱈にボールペンをカチカチいわせた。

 

 

( クソが…クソクラウチ…あいつ、どこまで人間の屑なんだよ。心配して損した!!!クソッ…なんであいつなんかのせいで、俺のホグワーツ生活の楽しみが…! )

 

 

ガラハッドは食って寝ることを愛している。

彼は子育ての経験などない。

なので、今後は、いつ何が起こって責任を追及されるかわからず、制御不能な他人たちの安全に配慮し続けねばならず、「うかうか食えない」と「うかうか眠れない」の日々が始まると気負うや否や、想像するだけでダメージを受けて、ダメージのぶんだけ吼えたくなった―――クソクラウチ!流石だな!あいつ、人間を削る方法ってもんを知っていやがるね!!―――よ~しよしよし絶対ぶちのめす。ガラハッドはそう固く誓った。

 

 

( この件はアラベールに報告しよう…―――いや、「俺は気づいているぞ」とアピールするだけで、クラウチにはプレッシャーになるはずだな?なんせあいつは、俺と違って非合法な窃盗に手を染めたんだし……ハハッ、そういうのは、もともと屋敷しもべ妖精にやらせていたんだろうになぁ!―――とにかく、それをハリーに目撃されたことに、クラウチはまだ気づいていないはずだ。気づいてたらハリーはもう何かされている )

 

 

ガラハッドは次のように考えた。ハリーは、自分から「聞いてくれ!」の顔つきで駆け寄ってきたのであるから、彼は幸いにもオブリビエイトされていないだろう。ハリーは、昨夜忍びの地図でクラウチを目撃しただけで、直接クラウチ本人と鉢合わせていないから、より巧妙な操作魔法を受ける機会もなかった―――ガラハッドは、そう考えると少し気が落ち着き、ひとまず授業に取り組めるようになった。

講義は心地よかった。ガラハッドは、やるべきことをやるときの前進感が好きだ。背後から感じられる視線だって、なんだか、良い方向に転がる賽のような気がした。

 

この変身術教室で、マリエッタは、ガラハッドの右斜め後ろにいた。

マリエッタは、彼女もまた真面目な生徒であろうと努力しながら、暇さえあればガラハッドのほうを眺めて、長い間ずっと迷っていた。

授業も終盤という頃になって、結局、マリエッタはちょっとだけガラハッドに話しかけてみることにした。だって彼は、昼休みに何かあったように見えたし…今日のうちに会話をしておかなくては、昨日の言い合いは致命傷になるように思われるし…それに―――…。

マリエッタは椅子から腰をあげた。

前の席の子たちに気づかれないように、マリエッタは、ゆっくりと静かに身を屈めていった。

チョウは、目を皿のようにして手を止めて息を殺して、マリエッタが前へ手を伸ばすのを見つめていた。このようにしたのは、実はチョウだけではない。「昨日、ついに別れた」と噂されている男女の接触に、他の女子たちも秘かに注目していた。

教室の空気は張り詰めていった。

だが、マーカスは顔を上げなかった。

レイブンクロー男子たちは、こういうとき敢えて空気を読まない訓練を積んでいる。彼らは万事に気づかないフリをした。

獲物を捕らえたマリエッタは、床を向いたままで淡々と言った。

 

 

「 落としたわよ 」

 

「 あ、どうも… 」

 

 

ガラハッドはマリエッタから“替え芯”の袋を受け取った。

ガラハッドは緊張して無愛想になった。なんせこれは、ハーマイオニーとお揃いのボールペンにしか使わない物品だ。なんだか、そっと手渡されただけで責められている気がする…。

 

それで、ふたりの会話は、一瞬もう終わりかのようになった。

少なくともマリエッタはそれを覚悟しただろう。

そして、それを期待した女子たちは多かった。

 

実は、それを期待した男子もいたりするが…―――じゅうぶんな沈黙があったあとに突然、ガラハッドがくるりとマリエッタに向き直ったので、ニールは「話が違う!」と呻きたくなった。

しかし、ガラハッドはすぐに話しだせなかった。

 

 

「 えっと…その…… 」

 

 

ガラハッド・オリバンダーは迷った。

何を言うべきか、どのように言うべきか―――困り顔の彼を見て、マリエッタはぶるっと喜びに震えた。

それというのも、実は今日の午後ガラハッドの隣には、もうずっとリリス・ライラーという女子がいるのだ!クソみたいなオッサンのことばかり考えていたガラハッドは、すぐそこにある幸福を見落としていた。

リリスは、悔しさを隠しきれずに顔を歪めた。

マリエッタはリリスなどいないかのように振舞った。

チョウは、この勝負を見ているだけでドキドキ(ヒヤヒヤ?)して、きゅっと両肘の内側を寄せて、両手で目から下を覆い隠した。

マクゴナガル先生の目が光った。

ガラハッドは、意を決してマリエッタに用件を言おうとした途端に、マクゴナガル先生から厳しい声で呼ばれた。

 

 

「 その…昨日はごめん。なあ君、君は、伯父さんの… 」

 

「 オリバンダー! 」

 

「 …っと、ごめん、後で!授業が終わってから、話したい。いいか? 」

 

 

ガラハッドはとても早口で言った。

マリエッタは全身がむずむずした。彼女は、「もちろんよ」と深く甘い声で囁いた。

ガラハッドは、そんなマリエッタのことをついしみじみと見つめた―――はて…マリエッタとその母アイリーンが似ているということは、アイリーンとその姉妹も似ているのだろうか―――それはクラウチの妻であるから、ガラハッドは想像すると複雑だった。

マクゴナガル先生は咳払いをして教壇から降りた。

 

 

「 オリバンダー、すべて解けたならば見せに来なさい 」

 

 

ガラハッドはノートを持って先生のところへと行った。

彼が席を立って教室前方へと行くと、後方は魔法が解けたかのようになった。緊張がゆるみ、落胆の息が重なりあった。互いを揶揄いあう女子生徒たちもいた。

マクゴナガル先生は嘆息した。

 

 

「 あなたたち!いまO.W.L対策をしているという自覚がないのですか? 」

 

 

マクゴナガル先生はガミガミやり始めた。

彼女だって、叱りたくて叱っているわけではない。可愛くてならない生徒たちのために、厳しい仮面をかぶっているのだ。終礼のベルが鳴り響くまで、彼女はくどくどと説教を続けた。

 

 

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