ハリー・ポッターとオリーブの杖   作:Tohka.A

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やさしい神の殺し方

 

バレンタインデーを前にして、ガラハッドはすべてをマリエッタに打ち明けることにした。マリエッタの側にしてみれば、最悪のタイミングであることはわかっていた。

 

どうぞ、マリエッタ、怒って。可愛く在ろうとして、我慢しなくていいです。君は、やるときは結構やるタイプで、真顔でぶちかますこともあるって、悪い意味ではなく俺は知ってます―――…なんせ五年の付き合いですから。

それで俺は、呪いやら何やら、寮を挙げての社会的制裁だか何だかで、酷い有様になってハーマイオニーに会いに行き、「見て。これが君への愛の証です」と伝えようと思います。ええ、そのようにさせていただきますので、どうかいずれはエロいこともさせてください、神様仏様ハーマイオニー様…―――さもないと俺、また死んでも成仏できない!!

 

どうか、救ってくれこの非モテ魂!!

 

と、純情なつもりで、なかなか身勝手なことを考えている怨霊ガラハッド・オリバンダーは、これでマリエッタのことも本気で愛していた。同寮生活五年目として、ガラハッドはありありと想像がついていた。

おそらくマリエッタは、こちらがすべてを白状したときに、しばらくのあいだ呆然として、すぐには何も言わないだろう。そのとき自分は、決して急かすことなく、いつまでもいつまでも、彼女が声を出せるようになる瞬間を待ってやり、彼女の気が済むまでなじられてやりたい。それが償いになるとは思わない。だが、それさえもしないなんて考えられない。

ここ三ヶ月のあいだのことについて、自分のペースでまくしたてて打ち明けて、「はい、これで禊は終わり」ということにするなんて、最低だ。「誰か来たから、もう時間がないから」と打ち切るようにして解散して、「この話はここまで」にするなんて、不誠実だ。

 

そこでガラハッドが考えなくてはならなかったのは、「いかにして、少なくとも一時間以上のあいだ、マリエッタと本当の二人きりになるか」についてだった。空き教室はいつ誰が入ってくるやらわからず、放課後の談話室にはいつも誰かがいる。だからといって、初めてハーマイオニーとキスをした場所にマリエッタを連れて行くなんて、寒いのを抜きにしても有り得ないことだ。

 

ガラハッドは、先日知った“必要の部屋”を使うことにした。

 

 

 

翌日、ガラハッドはチョウに「ついて来るなよ」という目線を送りながら、マリエッタを誘い出して“必要の部屋”に連れて行った。金の扉を押し開けると、今回の内側はオリバンダー家の居間のようになっていた。特別な場所へと単身で招かれて、マリエッタは浮かれきっていた。

ガラハッドは、いたずらに人を弄んだり、残酷な目に遭わせたりする趣味はない。席を勧めながら見やると、室内を見回すマリエッタはあまりに明るい表情であり、とても幸せそうであった。ガラハッドはそれに胸を痛めて、そっとマリエッタの前の卓上に自分の杖を置いた。

 

お互いがソファに落ち着くと、ガラハッドはすぐに本題を切り出した。マリエッタは、初めキョトンとして杖を見下ろしていたのだが、数分のうちに彼が杖を置いた意味を理解した―――世が世なら命を委ねて、ガラハッドはマリエッタにすべてを白状した。

マリエッタは声を失った。

 

…そんな!あの夢のようだった冬至舞踏会以前から、ガラハッドはもう他の子と懇ろだったなんて!!―――マリエッタはひどく驚いて、背筋首筋から指先に至るまで震撼して、これまでよく知っているつもりでいた彼のことを、まったくの別人のように感じた。

ショックだった。だけど、“お相手”については意外ではない。先日揉めたときにもあがった名前であるし、厭になるほど納得感がある。

驚く部分はそこじゃない。

マリエッタはまじまじとガラハッドを見据えた。

 

嗚呼このひと、初心で、恋愛については不器用なところが可愛いと思っていたのに!黙ってても(黙ってるほうが)人気で好かれるひとだけど、決して女子たちを転がして得意がるタイプじゃないって、ずっと思ってきたのに!!まさかまさか、大した役者でいらっしゃるじゃない!?あああ!でも!ええ、知っていました!そうだったわ…あなたにはその才能もあるのよね!!!―――マリエッタは、今になって親友の言葉が身に染みた。

 

ええそうねチョウ、わたし、とてもよくわかったわ。

あなたの言う通り、賭け事をする男は、強くてもダメね。

ほら、ここに実例が一人。

ガラハッド卿はポーカーがお上手…。

 

マリエッタは、今日まで「そんなところもいい」と思っていたのだが、今では腹が立って仕方がなかった。マリエッタは、ガラハッドは鮮やかで見事な“騙し”のテクニック虚しく、近々ゲームオーバーだと見込んだから、こうして手の内を明かしてきたのだと思った。

 

何なの?わたし、マスタングたちとは違うんだけど!?

あなた、「残念、たったのワンペアでした。おたく、俺の仕掛けで踊ったね」みたいなことを挑戦的に言って、「こいつめ。ははは楽しめたぞ」って、笑って返してもらえることに慣れ過ぎてない?

普通は、そんな反応しないと思わない?

感覚が麻痺してるわ!

最悪!「ふふふ、男の子ねえ」って、ああいうの二度と笑って見られなくなりそう!確かにわたしは、あなたから最高の思い出を戴きました!けど、「そっか~これは一杯食わされたわね~。でも楽しめたからOKです☆はい、このゲームおしまいね」なんて、気が狂っても言うわけないじゃない???

どうして、あなた、あの子じゃなくてわたしにこの話をしたの?

どうして、あの子じゃなくて、わたしのほうに?

どうして、あの子じゃなくて、わたしのほうに?

どうして、あの子じゃなくて、わたしの…

 

…マリエッタはハンカチを取り出した。

くすん。

マリエッタは、潤みきった瞳をそっと伏せた。

はらはらと涙が流れ落ちていった。

 

崩れて、零れて筋になるときに光って、マリエッタの涙は流星のようだった。ガラハッドは小さく息を呑んだ―――こんな拷問を受けるのは初めてだ!殴られたり、百の言葉で責め立てられるより、心から悲しまれるほうがこたえるだなんて…―――ああ俺は、好きな子を泣かせてばっかりだ…かつてクシャクシャになってわんわん言ったハーマイオニー然り、今綺麗に泣いているマリエッタ然り…。

 

さめざめと泣き続けるマリエッタを前にして、ガラハッドはまったく気づいていなかった。

繊細?儚い?とんでもない。

そう思うのはお目出たい奴だけだ。

このマリエッタ・エッジコムという少女は昔から、強い感情に駆られると、とめどなく涙が溢れてくる。少なくとも彼女の辞書においては、「泣いちゃった」は「弱ってます」や「参りました。もうやめて」ではない。「あんた、墓に入る前にお祈りを済ませておきなさい。わたしはそのための時間を与えているのよ」という意味である。ガラハッドは“死刑宣告”をされていた。

マリエッタは“準備運動”を終えた。

彼女は、溢れだした涙をハンカチに吸わせ終えると、ともすれば素っ気ないほどの声で話し始めた。彼女は彼を睨みつけて言った。

 

 

「 ガラハッド。あなた、“反省のポーズ”がお上手ね 」

 

「 …う゛っ 」

 

「 そうやって、あなたは、あなたに物申したい気分であるに決まっている人のことを『じゅうぶん、目一杯言ってやった』という気分へとさせるわけね。叱られ慣れている奴って、大抵そうよね 」

 

「 う゛っっ 」

 

「 本当に、あなたってブンクロよねえ…―――それで?『わたしにも悪いところがあったから…』とでも言わせて、どっちもどっちという結論をつくりたいのかしら?…―――そうでもなさそうね。でも結局、やったことの責任をとる気がないってことよね?どうなの?そこのところハッキリ言いなさいよ 」

 

「 そんなことはない。俺は、君の気が済むまで何でもする! 」

 

「 それじゃ、さっき言ったことはおかしいと思わないの? 」

 

 

マリエッタはぴしゃりと威嚇的に言った。

ガラハッドは蒼くなって首を竦めて、「俺って、怖い女の子にしか縁がない」と直感した。違うかな?だとしたら、すべての女の子は怖いものなのかな!?…少なくとも魔女が怖くないわけないか…。

マリエッタは腑抜けているボケに言った。

 

 

「 あなたは、『諦めて。悪いのは全部自分。だから、“あちら”には矛先を向けないで』と、あれこれ長く話したけれど、結論だけ述べるなら、結局はそう言ったわよね?それって、わたしに、『グレンジャーさんに吼えメールを送るな』ということでしょう?それから、『舌が伸びる呪いをかけるな』とか。それらが、わたしのイッチ番やりたいことなのに?あなたは、わたしに気を済まさせるつもりがないってことよね! 」

 

「 いや…決して…そんなことは…。でも本当に…彼女は何も悪くないから…。俺に呪いをかけるのはともかく、彼女には勘弁してやって… 」

 

「 そうかしら?彼女、パーティーではビクトール・クラムと楽しくやっていらしたじゃない。わたしにはあなたしかいないけれど、彼女にとってのあなたは、二人いる男のうちの一人よ。あなた、年下の子から天秤にかけられて、惨めったらしくないの?わたしは、とても悲しいわよ。あなたに同じことされて、とても悲しいわ…それで…あなたはこう思っているんじゃない?わたしは、苦しくても悔しくても我慢ができますけれど、グレンジャーさんは我慢ができない。わたしは、何を思っても吼えメールを送らないでいようとするけれど、彼女は、全校に吼えメールを飛び回らせた前科持ち。あなたは、どうにもならない人をそのままにしておいて、まともな人間のほうに、そのぶん我慢をさせようとしているんだわ。それっておかしいと思わない?それ以外に、彼女じゃなくてわたしのほうに、この話をした理由は存在するの? 」

 

 

マリエッタはまた涙を流した。

ガラハッドは返事ができなかった。

マリエッタは癇癪を起こして、手でソファをべしべしと叩き始めた。

 

 

「 やったもの勝ちなの?おかしいでしょう!そんなことだったらわたしだって、みっともないことに手を染めてやるわ! 」

 

「 そんな…そんな、君らしくもない。なあマリエッタ、君は、真っ当で立派な人だから、俺みたいな奴のために泣くことはないよ 」

 

「 泣かせてる立場で言う!? 」

 

「 それはそうなんだけど 」

 

「 ああ!もう!嫌!嫌!全部が嫌!どうして…何が『絶対に良い“次”があると思うから』よ。そんなこと言うなら、あなたがわたしのこと幸せにしてよ!駆け引きがお上手でしょう?あの子のことなんか、あしらっちゃって!わたし、自分の結婚式の日に、あなたに参列者として来られたくないわ。あなたは覚えていないかもしれないけれど、わたし、一年生の頃からあなたのこと好きだった!『夏にそれっぽい話してた』のが何?そんなのを先約として数えるんだったら…必ず…わたしのほうが…! 」

 

 

ガタッ

マリエッタは、低いテーブルに足をぶつけながら立ち上がった。杖が床に落ちて転がったので、ガラハッドはそれを拾ってポケットに仕舞いこんだ。

マリエッタは、踏ん切りがつかずにその場で棒立ちになった。ガラハッドは座ったままマリエッタを見上げて、彼女をそうさせておくのは忍びないと感じた。

 

道徳的な要請に従えば、女性に恥をかかせてはならない。

とはいえ、ここで膝に乗せてやったら、折角の決意も言葉も台無しだ。

ガラハッドは折衷案を思いついた。

 

 

「 俺、ハーマイオニーとは別れないよ? 」

 

 

と、言いながらガラハッドは手を広げて、マリエッタへと「来ていいよ」のポーズをした。マリエッタは顔を赤らめた。

ゴツン!

マリエッタは全力でぶん殴ってやった。

 

しかし彼女がやったことは、傍目には猫パンチの親戚であった。マリエッタは、ガラハッドの頭に下手くそな拳骨をぶつけると、自分が痛みに顔を歪めて、身を屈めて左手で右手首を抑えた。ガラハッドは石頭をさすりながら、「慣れないことするから…」と小さな声で言った。

マリエッタは弱り声で呻いた。

 

 

「 だってぇ…ううう、あなた、なんでそんなにグレンジャーさんがいいのよ!? 」

 

「 簡潔には説明できない。まあアレだ、本当に、下手な嫉妬をすることはないんだよ。君がハーマイオニーより劣っているところなんてない。手が出ても可愛らしいという点では、確実に君のほうに軍配が上がるね。しかし君は、君の言う通りまともな人だから…―――俺は、屋敷しもべ妖精贔屓ではないが、彼女の“あの調子”の根幹にあるものには、大いに惹かれている部分がある。変人同士、何かやってるなあって、適当に流しておいてくれたら… 」

 

「 嫌よ。嫌、嫌。そんなの嫌! 」

 

 

マリエッタは結局膝の上に乗っかってきた。

ガラハッドは目を白黒させた。

 

 

「 手、いいのか。杖腕だろ? 」

 

 

ガラハッドは首を巡らせて、肩に乗せられたマリエッタの腕の先を確認した。続けて顔を見ると、彼女は複雑な表情でこちらを見つめていた。どう見ても機嫌は良くなくて、「痛い!」「許せない!」などのオーラが滲み出ているのに、潤んだ瞳と半開きの唇は暗黙裡に、「グレンジャーさんにした以上のことをしてよ」とも訴えているように見えた。

 

ガラハッドは彼女がずり落ちないように支えた―――いいのか?こんなところ触っちゃっても?

足が絡み、太腿が触れ合っていた。

当然、そこからズクンッと熱っぽさが広がっていく。

うわあ!女神様!君はどこまで尊いんだよ!?―――ガラハッドは脳みそが蕩け気味になった。

マリエッタはガラハッドの頭を抱えて髪を梳き、自身が殴りつけたところに指で触れた。

 

 

「 痛い? 」

 

「 んー…まあ、それなりに? 」

 

「 前頭葉への打撃、良くなかったわよね 」

 

 

マリエッタは暗い声で言った。

緩やかに瞼をおろしていきながら、ガラハッドは漫然と考えた。

「一人に仕える男でありたい」というのは、「できれば善人でありたい」と同じで、動機において独善だと言ってしまえばそれまでだ。それに、「地味でさえいれば善人だと思い込んでいる」と、それは何が違うんだろう?「道徳の要請」などというものは、大衆を動かすためのフィクションである。

 

一方で…おっぱい。

この感触…これが、ノンフィクションおっぱい!

 

ごちそうさまです!ありがとうございます!―――ガラハッドはクールに理解した。男なら、自己満足の習慣など培っていないで、外野からあれこれ言われても気にせず、惚れてくれた者全員を幸せにするべきである、と。

「果たしてそんなことは可能か?」という議論は、当事者でない者たちに任せておけばいい。なんであれ、主体者はできるかできないかを論じるのではなくて、「そうしよう!」として努力するべきだ。それなのに事が恋愛となると、理想実現への努力をしないままに、うだうだ言っているばかりとは情けないことだ。

 

地母神(ガイア)が、彼に何か囁いたのかもしれない。

二月十一日(皇紀正月元日)、彼はそれまでとは変わった。

ガラハッドはマリエッタにキスをした。めくりあげ、撫でさすり、このまま、この密室でぐちゃぐちゃにしてやってもよかったけれど、ガラハッドはマリエッタを医務室に連れて行った。だって、愛しているから、そのようにするべきだと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二月十四日がやってきた。

 

その日までに、ガラハッドの当初の予想に反して、マリエッタは彼の悪行を言いふらさなかった。彼女は、ずっと想い続けて、やっと手に入った筈のひとに最初から二股をかけられていたことも、カッとなって殴ったら逆に手首を捻っちゃったことも、押しに弱いはずの彼に冒険心を揶揄われて、紳士的に受診を勧められたことも、全部屈辱的なことであると感じて、一切誰にも言わなかった。

ハーマイオニーは再び怒りださなかった。ガラハッドは、どこかでハーマイオニーにも話をしなくてはと思いながら、まずは学生総代としての仕事を優先した。

それは、いったいどういうことかというと……蛮勇ガラハッド・オリバンダーは、二月十四日をトライウィザード・ソサエティーの会合日へと定めた。

毒を食らわば、皿まで!

どうせバレンタインデーと会合日がドッキドキなら、そのふたつを同日にしてしまえ!なんであれ企画会議と指示伝達は、早いほうがいいだろう!―――完全に異常者の発想である。

 

 

チョウは、最近周囲のことがよくわかっていなかった。

二月十四日の朝、チョウは、初めて現状の一部を推察して、それが思ったよりも良くて、とても嬉しくなった。

ワァオ、朝起きたら、マリエッタはとても嬉しそうに、カード付きのブーケを部屋に飾っていましたよ~!ヒューヒュー!ガラハッド、あいつ、やるじゃない!―――ところがそのあとの朝食の席で、チョウはマリエッタの振舞いに衝撃を受けた。

二月十四日の朝、チョウは、初めてマリエッタが謎の気まぐれを起こして、拗ね顔で我儘を言っているのを聞いた。それは、とても無責任で子供っぽくて、良識がない発言であるように思われた。まったく、マリエッタらしくないということだった。

チョウは、ポカーンとして親友たちの会話を聞いた。彼らは、完全にふたりの世界だった。

 

 

「 ガラハッド、わたし、今日の会合には行かないからね。あの子の顔を見たくないの 」

 

 

チョウはマリエッタに釘付けになった。

チョウは、ガラハッドの対応にもひどく驚いた。

彼は、「はあ?何故」とも「ふざけんな。何言ってんだ選対委員長」とも言わずに、パンにバターを塗っていた手を止めて、少し独特な表情をした。優雅な、高い地位にある男性のしぐさだった。彼は、へらへらと微笑んだりしない代わりに、ゆっくりと瞬きをして「了解」と言った。

チョウは、無関係なのに何故か恥ずかしくなった―――ひえぇぇぇぇ幻の、理解のある彼くん がここにいるよ!?ルーナ!わたしも しわしわ角スノーカック はいるような気がしてきたわ!―――チョウは、手で顔の下半分を覆ってポニーテールを振った。

 

なんでなんで?こいつ、いつの間にそんなに、オトナ~って感じの雰囲気を出すようになってるの?マリエッタはいったいどうしたの…―――ハッ、ああ~!わかった!わかっちゃった!これは、ドロドロ三角関係の匂いだわ!きゃー刺激的♡…って、ガラハッド、あんたいったい何してんのよ!?おのれ~わたしのマリエッタになんてことを~~!!―――と、ひとりで悶絶するチョウは立派な変人である。

彼女は、『様子のおかしい美少女』というやつである。

しかし、上には上がいる。

レイブンクローには変人しかいない。

 

その日、ロジャーは大広間でフラーに百本の薔薇を贈った。実体を持つ薔薇百本の重量たるや、抱いたままおろせない大型のニフラー並、体積たるやその二倍は有害である。フラーはロジャーが憎くはないのだが、これには顔を引き攣らせた。

 

同じ頃、マーカスもそれなりの奇行をしていた。

だが、彼は地味なので人に噂されなかった。

 

一方でガラハッドはよく人に噂される性質だ。

彼は、殊更ブルーマフィアの個性には慣れており、レイブンクロー的喧噪にも慣れている。彼は、日夜難なく結界を張り、近くで誰が何をしていても瞑想を貫く。だが、黙っていてもいるだけで目立つ存在感を持ち、『変人』を通り越して『狂人』であった。

 

当たり前のことを一応述べておくと、普通の男は、「みんな俺が幸せにしてやるよ」系の発想には至らないし、「世界平和」なんて期待したこともない。

そういうのって全部「絵空事」だ。

とにかく、まともな人間が考えることじゃない。

その点、彼はとことんどうかしている。

 

ノウマク サラバタタギャテイビャク サラバボッケイビャク サラバタタラタ センダマカロシャダ ケンギャキギャキ サラバビギナン ウンタラタ カンマン

 

二月十四日、“伝説の騎士ガラハッド卿”は、そうやって内心火界咒を念じることで、おのずから迷いを打ち砕き、身から智慧の火焔を発した。彼は、魔女と魔女の間で二股をかけた男であり、普通は平然としていられない立場なのに、とても堂々として落ち着いて過ごし、“来る者拒まぬ学生総代”をやりつつ、火を以て火を制して、足元の大火事をスルーしてのけた。

これぞ、形而上火生三昧耶法!

火宅の如き三界で、彼は、まさに不動であった。

ハリーは、昼休みにそんな彼のことを見かけた。

ハリーは、「あいつ、相変わらず()()()()()()()()ぞ」と思った。というのも、ガラハッドは真面目も真面目な調子で、昼食の席から動かないまま、もう選挙はないだろうに握手会を開いていて、真摯な「有難う」でガチ恋を量産していたのである。ハリーは妬む気も湧かなかった。

早足で午後の授業へと向かいながら、ロンは皮肉っぽく鼻を鳴らして言った。

 

 

「 へっ、間違いない。あいつは、集めたカードでババ抜きをするつもりだぞ! 」

 

「 ポーカーだと思うな 」

 

「 ツー小鬼・スリートロール。ちょうどフルハウスだ 」

 

 

ロンは大広間を振り返って言った。

ハリーは、うっかりこれには笑ってしまったが、「ヤバい!」とも同時に思っていた。まずいぞロン、ハーマイオニーは「はぁ?」の顔つきだ!

ハリーは、急いでロンに肘鉄をくらわせてやった。

ロンは、ハーマイオニーからの視線に気がつくと少しどもった。

 

 

「 き、君は、トロールじゃない 」

 

「 あっそう。そういう問題じゃありません 」

 

 

ハーマイオニーは虫の居所が悪かった。

ハリーが「あ~ぁ」と思う隣で、ロンはぺしゃんこにされていった。

 

 

 

さてここで、読者諸賢に問おう。

あなたがたは、聖書の世界に生きているか?

紐解くに、「数える」は「争う」ということだ。

民数記にサムエル記、ヨハネによる福音書…。

 

ガラハッドは、自身が昼休みに合計何枚のバレンタインカードを受け取ったか、意識的に気にせず数えないでおいた。ロックハートを始めとして、他の誰を超えていても超えていなくても、「俺はXX枚の男」などという自認は、各種の堕落しか呼び寄せず、要らぬ厄介の種になると思ったのだ。

ガラハッドは、自身の傍を片時も離れないマリエッタにも、是非そうするべきであると話した。

しかし、時すでに遅しだった。

午後の魔法薬学の授業で、マリエッタは猛然と大鍋をかき混ぜた。彼女は、「きっとフクロウ便で、わたしの知らないうちに…」も含めて、レイブンクローテーブルの向かい側で唖然としていたときから、「わたしがいるっていうのに、Sirと握手したり写真を撮りに来た連中」の数を数えており、今では瞳をうるませて、「みーんなみーんな、死ねばいいのに」という気分になっていた。

マリエッタは紫の湯気のなかで念じた。

 

泥棒猫ども、“生ける屍の水薬”をがぶ飲みさせてやるわ!

幸せな夢の代償に死になさいよ!!!

 

…気迫の製薬を行うマリエッタを、スネイプ先生は珍しく褒め讃えた。

 

放課後になった。

ガラハッドは、マリエッタがぶちぶちと拗ねるので、「別に、あの子たちとは何もないんだからな」という証明に、たまたま談話室にいたベアトリーチェから買い物をした。

 

 

「 箱。箱だけ一つくれ。緩衝材はいらない。空のほうがいい 」

 

 

ベアトリーチェは怪訝顔をした。

ガラハッドは、ベアトリーチェが寄越してきた空の紙箱を見て、こいつはいかにも彼女らが好きそうな、度を超えた洒落込みようだなと感じた。ガラハッドは鞄からバレンタインカードを掴み出すと、マリエッタに鞄の内側を見せて、「他にはもうない」と示してやった。ガラハッドは、マリエッタとベアトリーチェの目の前で、すべてのバレンタインカードを紙箱のなかに入れた。そこからは、鮮やかな手つきだった―――このサイズのプレゼント用梱包に慣れているガラハッドは、あっという間にそこにあったリボンを扱って、厳重且つ華やかに紙箱を縛った。「はいどうぞ!こちら、杖磨きセットおひとつ!」である。

 

 

「 どうぞ、これは君が持っておくといいよ 」

 

 

ガラハッドはマリエッタに紙箱を渡した。

 

 

「 ただし忠告したとおりだ。開けてひとつひとつ見て、いたずらに悋気を起こすなよ 」

 

 

マリエッタは紙箱を受け取ってポカンとした。

ガラハッドはマリエッタの良識を信じている―――たぶん、彼女ならばこれを暖炉にぶちこまないだろう。読み返すことのない手紙だって、すぐゴミにしてしまうのは忍びないものだ。

ガラハッドはマリエッタの顔色を見ながら言った。

 

 

「 もちろん、朝に君がくれたカードは、部屋に大事に置いてあって、その中に混じっていないよ 」

 

「 それって… 」

 

「 本当だ。何なら、今からとってきて見せようか 」

 

 

マリエッタは口を半開きにして悩んだ。

マリエッタは、今日ガラハッドがハーマイオニー・グレンジャーからカードを受け取るのを見ていない―――ねえ、それは、既にフクロウ便で届いて部屋に置いてあるの?それともこのあと、トライウィザード・ソサエティーで受け取るつもりなの?まさか、みんなの前でそれをするの!?嘘、嘘、あなたはそんなことをしません!嗚呼でもあの子は、とんでもないアバズレだから…!そんな…わたし、今さら「やっぱり行く」なんて言えないわ。それに、たとえついていったところで……。

そのとき、ベアトリーチェが眉を寄せて言った。

 

 

「 ううぅ、ドン引き。ドン引きですわ~!それって、『信じるか信じないかはキミ次第~』っていうことじゃありません?いやだ、パンドラの箱ですわね~!イィィィってなりますわ。イィィ。ねえ?それにあなた、『箱一つ』と言っておいてリボンまで使いましたわね?ですから4シックル上乗せです! 」

 

 

マリエッタは俯いて黙り込んだ。

ガラハッドは穏やかに待った。ガラハッドは、マリエッタから散々「そのカードたち、部屋で並べて眺めるんでしょ」などと言われていたし、一度自室に戻ってからこれをやったところで、「本当にこれで全部?」と言われるんだとわかっていた。そのうえで、ガラハッドはマリエッタの要望を全部聞くつもりで、彼女が何か言いだすのを待っていたが、マリエッタは小さく首を横に振るばかりだった。

ガラハッドはマリエッタから視線を外した。

ガラハッドは「おい、お前のせいで、彼女は黙っちゃっただろ」という目線でベアトリーチェのことを見やった。こいつめ、相変わらず元気だなクソ女…―――ガラハッドが思うに、ベアトリーチェは自分の言いたいことを言いまくるだけで、人からの返事を期待していないところがある。

ベアトリーチェは、ぐいっと手のひらを宙に突き出して、ガラハッドに「カネ払え」のポーズをとった。ガラハッドは嘆息して頷いて歩き出した。

ガラハッドが男子寮アーチをくぐると、ベアトリーチェは談話室から大声で呼びかけてきた。

 

 

「 ちょっと!?合計11シックルでしてよ! 」

 

「 いま財布持ってないから、そこで待っといてくれ 」

 

「 んまぁ~ほんっと、クズでいらっしゃること~!1秒に1クヌート利息つけてやりたいですわ!―――(uno)(due)… 」

 

「 はいはいはいはい、数えるのが速い!クソ、どうなってんだよお前の1秒は! 」

 

 

ガラハッドは自室まで小走りした。

彼は見えなくなった―――チョウは、ずっと黙って一歩引いていただけで、実のところ朝からマリエッタの傍を離れていない。チョウは、真っ黒で子犬のような瞳で、今の出来事の一部始終もみつめていた。

ガラハッドが去ると、チョウはマリエッタの腕にそっと触れて押した。チョウは、マリエッタを促して一緒に女子寮に入りながら、マリエッタの俯いた横顔を見て、「彼女は箱を開けないでおこうとしている」と感じた。これを持たせてもらえたのは、彼に愛されている証だから、と…―――彼女は、自己を叱咤してそれを裏切るまいとしているのだ。

 

チョウはなんだか寂しくなった。

わたしは、いつの間にか透明になっちゃったな、と。

 

自室に戻ると、マリエッタは箱を仕舞いこむべきかブーケ共々飾っておくべきか、それにばかり頭を占められたようであった。マリエッタは教科書などの入った鞄を椅子の上に置くと、机に仮置きした箱をさっと両手で持ちあげ、そのまま自分のスペースをうろうろした。

チョウは苦しくなった。

チョウは、「“生ける屍”は、あなたよ」と、マリエッタにほんの少し毒づきたくなった。だってマリエッタは、わたしが荷物を置いてまた独りで部屋を出て行こうとしても、「ごめんね、いってらっしゃい」と声をかけてくれないのだ。

最悪。わたしの一番の友達は、全然知らない人みたいになっちゃった!いろいろ愚痴を聞いて、「もう別れちゃいなよ~」と言っていた頃のほうが、なんだか報われているらしい今よりも、わたしは、少なくともわたしは、良かった…。

 

とても憂鬱な気分で、チョウはトライウィザード・ソサエティーの会合に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

会議開始前の活動室で、チョウはぽつんとひとりぼっちで着席していた。ルーナは、とびきりのバレンタインファッションでマルフォイに「うわぁ」と言わせて、彼にまで神学的議論をふっかけて困惑させていたし、レイブンクローの馬鹿男子たちは、みんなレジュメをとってからもガラハッドの近くを離れず、円になってヒソヒソ話をしていた。

 

 

「 うーわ。君、やってるなあ… 」

 

「 ガチでやりやがる。“伝説”じゃねえか 」

 

「 俺は、いったい何を聞かされているんだ? 」

 

「 何だよ。そっちが訊いてきたんだろ? 」

 

「 フツーにはらいたとかだと思ってたんだっつの 」

 

「 とにかく、彼女のことはそっとしておいてやってくれ 」

 

「 OKOK。わざわざ地雷とか踏まねえから―――お前と違って! 」

 

 

ロジャーは、半笑いでそう言うと、レジュメをぴらぴらとやりながら輪を抜け出した。マーカスとマスタングも解散した。

チョウは、ロジャーに隣に座ってこられながら、なんだか無性に腹が立った。そこの馬鹿ガラハッドは、どうもグレンジャーさんともキスしたみたいなんだから、本来もっとボコボコにされるべきであると思うのに、男の子たちってどうして身内に甘いのかしら?彼らは、ガラハッドに対して「すげえ」とか「流石」みたいなことしか言わない。

チョウの憂鬱は続いた。

グリフィンドール組が到着すると、ウィーズリーズは二人で並んで座れる場所に行ったが、噂のグレンジャーさんは隣に座ってきた。彼女は、「こんにちは!」と妙な上擦り声で言ってきて、一度座ってから申し訳なさそうに立った。チョウは、「わざとらしい子ね」と感じてむっつりとした。

 

 

「 あっ、ごめんなさい。もしかして、この席はとってある?今日は、エッジコムさんは…? 」

 

「 …彼女は今日は来ないのよ 」

 

 

チョウは、自分でもびっくりするような声を出した。

 

 

「 どうぞ。ここは空いているわよ 」

 

「 ありがとう! 」

 

 

ハーマイオニーは微笑んで座り直した。

チョウは、「助けて」とルーナに視線で訴えた。

ルーナは、ドラコの話に相槌を打っていたのだが、ぴょんっと跳ねてきてロジャー・チョウ・ハーマイオニーの前の長机に手をつき、そこでは小刻みに身体を揺らした。ルーナは、ドラコとハーマイオニーを交互に見て、銀色の目をぎょろぎょろさせて言った。

 

 

「 こぉんにちは~。ねえグレンジャーさんは、針の上で天使は何人踊れると思う?今のマルフォイさんの意見、聞いてた?どう思う?あたし、きっとふたりが交流したら面白いと思うンだぁ 」

 

「 それって、する価値のない議論の代表格だと思うわ 」

 

 

ハーマイオニーはピシャッと言った。

 

 

「 スコラ学でしょ?中世の。意味のない屁理屈よね 」

 

「 フンッ!聞いたかいラブグッド?嘆かわしいだろう?そいつは… 」

 

「 会議を始める。ドラコ、ここに来て書記を頼めるか? 」

 

 

ガラハッドは低い声で言った。

ガラハッドは、威圧的な発声と身振りをして、ドラコ・マルフォイに「穢れた血」という言葉を使わせなかった。ガラハッドは黒板の前の中央に立ち、教師だとすれば補助卓として使う机を指さした。

ドラコは、ガラハッドの言ったことの意味がわからず、何秒かルーナそっくりの顔つきをした。

 

 

「 書記?いま、書記とおっしゃいましたか? 」

 

「 ああそうだ。さあ、自動速記羽根ペンよりも良い仕事をしてくれ。ドラコ、お前は、とても字が綺麗だ 」

 

 

ガラハッドは鞭打つように言った。

ドラコは顔を強張らせたが、無闇に歪めず、黙って頭を使った。ドラコは、大変不服ではあるがガラハッドに従った。

 

おいおい、ブロンドの坊ちゃん、チョロいなあ!?…―――男子組は忍び笑いを洩らした。

 

ドラコは、そんな下郎どもを見下すためにガラハッドの隣まで行った。ドラコは、「当然です。僕は、庶民とは違う字を書きますよ」と思っていたが、召使いのような扱いは侮辱だと感じており、ガラハッドのことを厄介だと思った。

まったく!この御方は、人の忠誠心を試すところがおありになる!―――ドラコは、顎をあげて小部屋全体を見回すと、双子たちが思っても敢えて言わなかったことを言った。今に始まったことではないが、彼は、悪気なく空気が読めないのだ。

 

 

「 ひとり足りません。我が君、お始めになってよろしいのですか? 」

 

 

ガラハッドは顔を引き攣らせた。

ルーナが、新種の鸚鵡かやまびこのように言った。

 

 

「 我が君!我が君? 」

 

 

男子組はさらに笑った。

チョウとハーマイオニーは黙って目を細めた―――無様ねマルフォイ!露骨にへつらって、醜いわ!―――彼女たちはそう思っていた。

ガラハッドは、手に持った資料に皺を入れていきながら言った。

 

 

「 …マルフォイ家の。お前、実はグリフィンドール向きなんじゃないのか? 」

 

 

ドラコは血相を変えて言い返した。

 

 

「 そんな!遺憾です!我が家は代々…! 」

 

「 はいはーい。お前も、俺に対しては『うげぇー』って思うとこがあるだろ?わかってるって。でも、あんまり恥をかかせるなよ…―――Missエッジコムは、俺が、冬至舞踏会以来ひどいことをしたためにお休みだ。しかし!その点、お前は偉いと思う 」

 

 

ガラハッドは投げやりにドラコを指さして言った。

透明な豆鉄砲が放たれた。

ドラコは、途端に二度三度咳払いをした。「ちょっとちょっと、やめてくださいよ」のような「なんで知ってるんですか!」のような、「いえ別に、そこまで大嫌いってことはないですよ…」というような、許すような笑うようなムニャムニャである。

ドラコはおとなしくなった。

 

ハーマイオニーは血の巡りを感じた。

彼女は、たった今最高のものを見て聞いたと感じた。

モヤモヤは全部晴れていった。

フラれた!あの子、ガラハッドにがつーんとフラれたんだわ!―――そのことが無性に嬉しくって、ハーマイオニーは、今、初めて自覚するに至った―――嗚呼わたし、エッジコムさんとは仲良くなりたかったんだけど、近頃は、とうに彼女のこと「無理」になっていたんだわ!!!

そして、ハーマイオニーは早朝を思い返した。

嗚呼ごめんなさい!ガラハッド、わたし、いくらあなたが厨房で待っていてくれても、素敵な花束をくれても、屋敷しもべ妖精たちが祝福してくれても、「でも、わたしだけに優しいんじゃないでしょう?」と思って、内心はずっと僻んでいたわ!あなたのこと、信じられていなかった。わたし、いけないガールフレンドだった…オーブンで耳をバッチンしなくちゃね!

ハーマイオニーは俯いて微笑んだ。

チョウは、ハーマイオニーの表情を横目で見ていて、身の内にどす黒いものが湧くのを感じた。それが何であるか考えたくなくて、チョウは、ハーマイオニーからもガラハッドからも目を逸らした。

その先にもまた地獄があった。

チョウは、もうほとほとうんざりした気分になって言った。

 

 

「 ねえ、もう、やめてよ… 」

 

「 何を? 」

 

 

ロジャーはニヤニヤと笑いながら言った。

チョウは諦めて溜め息を吐いた。

ロジャーは―――それはマーカスもだったが―――本人たちに言わせると、さっきから()()()()()()()()()()()()()をしていて、責められるどころか褒められるべきだった。彼らは、“我らが首席ロイ・マスタング”のやんちゃぶりに腹筋を試されていた。

だってマスタングのやつときたら、そもそも真っ直ぐに椅子に腰かけておらず、さっきからグレンジャーのほうをガン見なのだ。そして、今そこで「チンポついてません」みたいな顔でしゃあしゃあと生徒誘導の話をしている、そこの外ヅラ優等生君は、さては“女教師系”でヌいているであろう―――だってこの系列…マリエッタ・エッジコムとハーマイオニー・グレンジャーって、ホグワーツトップの“それ系”じゃないか!?同室として、これが笑わずにいられるだろうか。

騎士殿、上は何歳までイケるくちですか?

ミネルバ・マクゴナガルとかワンチャンどうっすか!?

と、念じてぷるぷる震えるロジャーを見て、フレッドとジョージがオバサンみたいにして言った。

 

 

「 何なにぃ?ブンクロだけの話ぃ? 」

 

「 このひとたちいやらしいわねぇ~ 」

 

「 あ~くっそ言いてえ!ちょ、マーカス、そいつらに教えてやって 」

 

「 そこ!うるさいぞ。人の話を聞け! 」

 

「 アイアイサー♪ 」

 

「 ふざけんなお前舐めすぎだボケ 」

 

 

ルーナは唇を尖らせた。

 

 

「 ぬーん… 」

 

 

あ~ぁあ~これっていつもの空気だけど、イベント前ミーティングにしてはぐだぐだじゃないかなぁ?こんなユルい感じで、第二の課題当日に、何か起こったらどうするのかなぁ?なんだか不安だけれども、まあこの計画自体は、Sirが出したものなんだから大丈夫な気がする~~~。

 

そんなこんなで会議は賑わしかったが、意見らしきものは何も出なかった。ガラハッドは、「なんだよ、ただの伝達なら集まる必要はなかったのに」と思いつつ、さっさと場をお開きにした。

チョウは、会議が終わると居てもたってもいられず、机を叩くようにして立って、この部屋から出て行くことにした。

 

 

 

 




■ポタ二次あるある。“必要の部屋”の用途がラブホ
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