ハリー・ポッターとオリーブの杖   作:Tohka.A

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ファイナルゲーム

 

ルーピン先生についていって彼の部屋を目指しながら、ガラハッドはおおいに頭を使った。ガチすぎる眼光の彼から、こうして呼び出しをくらう理由を考えていた。

ガラハッドはちょっと身の危険も感じ取って、ローブのポケットに手をつっこんで中身を確かめた。「まさかな…」という気持ちでいっぱいだが、ホグワーツって何が起こるかわからない。

 

 

ポケットのなかには、ちゃんといつものオリーブの杖が入っていた。

 

 

殺風景な部屋に入ってルーピン先生と向き合ったとき、ガラハッドは改めて危険を確信した。「おうコラちょっと面貸さんかい」と、この顔つきのバンカラに人目のない場所に呼び出されたらボコられるに決まっている。明治の雰囲気はどこへやら、擦りきれたローブのルーピンは、すっかり昭和のバンカラに見えた。「負けるかッ」という謎の意識が働いて、ガラハッドは逆にネクタイの緩みを直した。

 

 

「 コホン… 」

 

 

ガラハッドは、キリッとした優等生の表情をつくってルーピン先生を見つめた。

物凄い勢いでガンつけられているが、「おうおう何やワレ!?」とは決して返すまい。こちとら“七ツ釦の科学の子、概して紳士な広高生”で―――つまり、エリートってことだよ!

この世界では誰も理解してくれないので、自分で主張するしかなさそうなのが世知辛い…。

 

ガラハッドは格好つけたものの、却ってひとりでしょっぱい気分になったのだった。

 

 

「 君を此処に呼んだ理由についてだが 」

 

 

ルーピン先生はゆっくりと話し始めた。

彼には、相変わらずこの生徒は何を考えているのやら、丁寧に観察してもわからなかった。

 

 

叱りたいわけではない。

ただひとえに、真相を知りたい。

 

 

ルーピン先生はそう強く念じるあまり、口調は穏やかであるながら、今にも喉笛に食いつきそうな眼光だった。もしもネビルあたりがこの姿を見たら、彼の前でボガートは今後ルーピン先生に化けるだろう。

ルーピン先生は淡々と言った。

 

 

「 ガラハッド、“これ”に見覚えはないかな?―――あるはずだよ。君が、“これ”をハリーに渡さなかったことは素晴らしい判断だった。ところで君は、どのようにして“これ”の存在を知った?君は、どういった形で“これ”に関わっているんだ? 」

 

「 え? 」

 

 

ガラハッドは、一切取り繕うことができずに目を点にした。

 

 

「 えっ…えええッ!? 」

 

 

ガラハッドは凍りついた。

ルーピン先生は、据わった目つきのまま唇だけでやんわりと微笑んだ――――そぅれみろ、わたしの直感は正しかった。初代悪戯仕掛け人を舐めるなよ!

ルーピン先生はポケットから“元祖忍びの地図”を取り出して、ガラハッドの目の前に突きつけるようにして掲げた。ルーピン先生はこれを活用する方法を知っているが、このとき“ただの紙切れ”に見える状態で扱った。

 

ガラハッドは動けなかった。

ルーピン先生は、とてもとてもとても優しく聞こえる声で言った。

 

 

「 わたしは闇の魔術に対する防衛術が専門でね 」

 

「 ~~~ッ 」

 

「 身近にあるいろんなものが、本当に見た目通りのものであるのか、よく確かめなさいと生徒に言うのが仕事なんだ。わたしは、これがなかなか天職のような気がしている。教師として、今後も精進していきたいと思っているのさ。ゆえに、答えを聞きたいね――――ガラハッド、君は“これ”の存在をどうやって知った? 」

 

 

ガラハッドは冷や汗が出てきた。

ガラハッドには、どうして斯くもガチギレしているルーピン先生が「セドリックが校長に提出した地図」ではなく、「双子が持っている筈のほうの地図」を手にしているのかわからず――――…あの双子が下手をうって教師に捕まるとは思えず、捕まったところでこちらを売るとも思えず、全然わからなかった。それに、なぜハリーの名前が挙がったのかもわからなかった。

 

 

…何秒経ったであろうか。

 

 

ガラハッドは呆然として“ただの紙切れに見えるもの”を見上げているうちに、あるとき「ハァァァア?」と言いたくなった。

忍びの地図の使い道なんて、人目を避けた外出に決まっている!

そのうえで、この先生の怒りようだ。不法な外出中に下手をうって捕まったのは、双子ではなくハリーであるに違いない。馬鹿双子がハリーに“忍びの地図”を渡して、無鉄砲のハリーが加減を知らない無茶をやったのだ。マジで、マジで何やってんだあいつら!?こないだブラックに襲われたところなのに!?――――怒りよりも驚愕のほうが先に立つではないか。

 

ガラハッドは真剣に考えた。

グリフィンドール生って、どいつも頭のネジが外れてんのかな、と。

ガラハッドは動揺を隠す余裕がまったくなかったので、ルーピン先生の前で頭を抱えてしまった。

千年だって待てる余裕で、ルーピン先生はにこにこと百面相するガラハッドを見下ろしていた。

 

 

ガラハッド・オリバンダーは思い悩んだ。

ブラックによるグリフィンドール寮侵入事件は、本当にロンの狂言だったわけ?狂言だったら、マクゴナガル先生が見抜くものじゃないのかな?

セドリックが校長室に行った件は、これとは完全に無関係なのか?

どうしようわけがわからない。

 

正確な状況がわからないのだ。下手に嘘を重ねたら墓穴を掘ってしまう。

ややあってガラハッドは、ついに諦めたような面持ちでしんみりと先生に言った。

 

 

「 はぁ…それって、哲学的な問いですよね?いかにして、僕はその紙切れのことを知覚しているか? 」

 

「 は? 」

 

「 先生は僕に観念しろと言っている 」

 

「 そうとも 」

 

「 観念!それって、心静かに一切を観察せよということですよね?凄いや、あはは流石ルーピン先生! 」

 

 

仏教?カント?ええい滅茶苦茶だ!

心臓をバクバクさせながら、ガラハッドは思いつくままに並べ立てた。

今度驚いてしまったのはルーピン先生のほうだ。

 

 

「 え? 」

 

「 突然すぎて驚きましたが大体わかりました!例えばこんな、ただの紙切れくらいと、目を開けているだけで物を知った気になって、それでいいのか、と。ただいまルーピン先生は、そういうことをおっしゃったわけですよね?関わり、関わり…ええっと、そうですね、僕が思うに…ええっと! 」

 

 

ガラハッドは慌てふためいていた。彼は、パントマイムのように手を動かして、真剣に何か考えている素振りを貫いた。

実際物凄く考えていた。

やっっっべえ、この状況、どうやって切り抜けよう?と…。

 

 

「 関わり…そう僕はその紙に“関わって”います。ただ知覚していることそれだけで、僕はじゅうぶんそれに関わっていますよね。“それ”という存在について語る前に、まずどのようにして存在を認識するのかを論じます。だってデカルトは… 」

 

「 いやいやいや、あの、そういう意味じゃなくてね!?単純に経験の有無を聞いているんだよ。君は、この紙をたしかに見たことがあるだろうッ 」

 

「 時の話ですか?たしかに、僕はもう三分ぐらいその紙を目に映していますから、この瞬間において僕は、その紙切れを見たことがあります。『見る』と『見たことがある』の境界ってどこなんでしょう?『単純な経験』って何なんでしょう?『単純な動作』の定義とは勝手が違います。能動的な運… 」

 

「 いいよ!要らないよその話はもう!!わたしは、君に、『君はこの紙の機能を知っていて、そして正しい目的のために使ったよね?』と確認しているんだ。この話の起点はそこだ!認識論でも時間論でもないッ 」

 

「 紙の機能…万物を目的論の立場で考えろということですね?人間を含む諸存在は、究極的には何を目指して存在し活動するのか?はい、それは錬金術によると…! 」

 

「 要らない。その話は要らない 」

 

 

ルーピン先生は酷く低い声を出した。

彼は顔中の傷をひきつらせて、ぶんぶんと紙切れを振った。腕の勢いは「ぶんぶん」であっても、羊皮紙の動きは「ぴらぴら」であったが。

 

ガラハッドはおとなしく口を閉ざした。彼は、それからたっぷり怪訝な顔つきをして、何度も左右に首を振って、そのくせ唇を動かしては黙り込むのを繰り返した――――ルーピン先生はずっとそれを見ていた。やがて、いい加減に調子を乱されているルーピン先生は、ガラハッドの返事を待ちきれずに痺れを切らした。

 

 

「 どうなんだい?わたしは話を先に進めたい!君は、一体どこまで知って… 」

 

「 あの、先生、言いにくいことなんですけど 」

 

 

ルーピン先生はハッと身構えた。

ガラハッドは苦しい顔つきをした。相手の言葉を遮って、「やっと白状するか」と聞き手に期待を持たせておいて、しっかりと間を溜めて――――こうだ。

 

 

「 先生は、今までに食べたパンの枚数を覚えておられるんですか?僕はそういうゴミ、これまでに何回見たかという記憶すら定かじゃないですよ。ましてや個別の見分けなんて… 」

 

「 ああああああああ 」

 

 

リーマス・ルーピンは撃沈した。

彼は机に両手をついて呻き、せむしのように屈んで苦しんだ。

 

 

「 うぅ…そうかい。そう…ならば致し方ないな 」

 

 

しばらくして、ルーピン先生は気を取り直した。

ムクリと起き上がったルーピン先生は、乾ききった冷徹な声で言った。

 

 

「 ポケットの中身を見せなさい 」

 

 

きた。

これこれ、これは定番のやつだよな!

 

そのように感じたとき、ガラハッドは少々楽しくなってきていた。元より騙し合いは好きなのだ。ガラハッドは、怪訝そうな顔つきをすることをやめずに、とことんすっとぼけた調子で言ってのけた。

 

 

「 はあ。お話って何だったんですか? 」

 

 

ガラハッドは平然とした素振りで、ローブの右ポケットから杖を取り出した。

ルーピン先生は「左もだ」と、ギラギラとした目つきで素早く顎をしゃくった。

 

 

「 右も!裏地ごとひっくり返して、ちゃんと底まで見せなさい――――いいかい『底』の定義は、『縫い目が見えるところ』だ。さあ、左も…! 」

 

「 先生お詳しいですねえ 」

 

 

ガラハッドはニヤニヤと笑った。ガラハッドは左のポケットから取り出したトランプセットを机のうえに置いて、裏地の縫い目を引っ張って穴あきでないことを示した。

よろしくない手口に詳しいことを冷やかされて、ルーピン先生は顔を赤らめた。

 

 

「 これもご専門のうちですか?―――僕はイカサマはしませんよ 」

 

「 そうだね。君は、ハッタリがとても上手そうだ。ローブを脱いで置いて、制服のポケットの中も見せなさい 」

 

 

ルーピン先生はぴしゃりと言った。

ガラハッドは軽く肩を竦めて、すべて言われた通りにした。

 

ルーピン先生が何を探しているのか、ガラハッドは正確に理解していた。そのうえで、ガラハッドは勝利を確信していた――――だって今日は休日だから、胸ポケットにいつもの手帳をいれていない。ガラハッドは日頃自分のぶんの“忍びの地図”を折り畳んで手帳に挟んでいるが、今日は午前中にパズルを解くのに手帳とペンを使って、そのままベッドのうえにそれらを放り出してきたのだ。

ぐぅぅっと腹の虫が鳴ったので、万障投げ出して大広間に向かった次第である。

 

 

「 フッ… 」

 

 

ガラハッドがまずズボンのポケットを裏返して見せたとき、ルーピン先生は不敵な笑みを浮かべた。ルーピン先生は、ローブを脱いだガラハッドのシャツの胸ポケットのへりの形を見て、それが普段使われているものだと確信し、「そこにあるべきものがない」と判断した。

 

この子が、日頃手帳を使うことも知っていた。

 

ばしんっとルーピン先生はガラハッドの背後の壁に手をついた。

ガラハッドは、流石にこれには息を飲んだ。

ルーピン先生は肉食獣のような目つきで、明らかに狙いをみつけて動き出していた。彼はガラハッドの間近で聳えあがり、普段三色ボールペンのクリップで挟まれるせいでよれていて、指をさしこまなくてもぽっかりと口を開けている胸ポケットの中を見下ろした。空っぽに見えるけれども、“何かを透明にする方法”だっていろいろあるのが魔法界―――――ルーピン先生は闇の魔術に対する防衛術教授として、その手口についてならいくつも思い浮かぶ。

 

 

「 おかしいな。膨らんでいるよね? 」

 

 

ルーピン先生は厳しい声色で責めた。

ルーピン先生は胸ポケットの隙間を指で指し示したとき、「チェックメイト!」とでも叫びたい気分だった。

 

 

「 えっマジかよキッショ 」

 

「 ッ!!? 」

 

 

ズギャァァァン!と、ルーピン先生に強烈なダメージ!

冷ややかな声でこれを言ったガラハッドは、ぐしゃっとシャツを鷲掴みにしてポケットのなかは空だと示し、最高にイヤそうな顔つきをした。

ルーピン先生はのけぞった。

彼は、ショックで引きつけを起こしながら急いで距離をとろうとし、後ろに飛び下がろうとして、たたらを踏んで転びそうになった。

ガラハッドは、引き続きイヤイヤという素振りでありながら、自分からネクタイに手をかけ、カッターシャツのボタンを外していった。わざとらしく恥ずかしそうにして、唇を尖らせて―――こうだ。

 

 

「 先生、ナカも調べるんですか?こういうのは今時セクハラだと思います… 」

 

「 違うよ!調べないよ!違うんだ今のはそういう意味じゃない!大体、我々は男同士じゃないか! 」

 

「 おおっと?そこは“肉体的には”をつけないと。いいんですか先生、もし、僕が―――― 」

 

「 密室に呼び出してすまなかった!頼むから都合よく女の子になって、出すもん出して訴え出てくれるなよ!? 」

 

「 うーん僕そういうのよくわかんないんで、寮で先輩に相談してから決めますね? 」 

 

「 わたしの負けだガラハッド卿…! 」

 

 

どんっとルーピン先生は机を叩いて突っ伏した。

駄目押しとばかりにガラハッドは、へそ丸出しの格好のままでルーピン先生に言った。

 

 

「 机に乱暴なことしないでもらえますか。こいつ言ってますよ、今のは痛かったって 」

 

「 申し訳ございません… 」

 

「 わかればいいと思います。わかれば 」

 

 

ガラハッドは急いで制服の前を閉じた。自分が優勢であるあいだに、ここは脱兎でおさらばだ!

「それじゃ!」ときっぱり言い残して、ガラハッドは快活にルーピン先生の部屋を去った。

 

 

 

 

 

「 ふぃ~~~やっば、危なかった! 」

 

 

三段とばしで寮塔階段を駆け上がる。

あの「参りました」というポーズを見たか!?大きく腕を振って駆け上がり、ガラハッドは嬉しさを全身で表現した。

 

 

やーったやった、ルーピン先生に勝った!

ルーピン先生はやり手だから、これは他の先生に勝つよりも嬉しいぞ!

 

 

ずっと心配して談話室で待っていたマリエッタは、ガラハッドが「シャツの裾を出してネクタイはゆるゆる、ローブは小脇に抱える」といった風体でいきいきとして帰ってきたのを見て、二重三重の不審さを感じて顔を曇らせた。マリエッタは編み物を中断して、まっすぐに男子寮へと戻ろうとしたガラハッドに声をかけた。

 

 

「 何の話だったの? 」

 

「 ん?あはは、内緒! 」

 

「 そんな気軽に言える話がある雰囲気ではなかったわ。ルーピン先生のお話、あなた真剣に聞いてきたの?あんな怖いお顔、わたし見たことがなかった。ねえ、あなた――――あなた、最近変よ 」

 

「 よく言われる 」

 

「 誤魔化さないで 」

 

 

マリエッタは不機嫌に言った。

ガラハッドは、「なんだコイツ?わっかんないな」と思った。わからないのだが、友達の厳しい顔つきって、なんだか悪いことをした気分にさせられちゃうんだ…――――自他境界の揺らぎを、ガラハッドは自覚できなかった。

 

 

「 あなたのこと、心配しているのよ。グリフィンドール戦の前、忙しすぎて相当無理をしていたんじゃない?箒改造の次は勉強会の主催だもの。あなた休めていないわ。もしかして、“元気爆発薬”を常飲してる?あれは身体に悪いんだって、あなた以前に言ってたじゃない… 」

 

 

マリエッタは暗い声で言った。

ガラハッドは、心が幼くなっても馬鹿ではない。

つられてなんとなく暗い気分へとなると、さっき起きたことや今後起こりうること、ルーピン先生が自分を呼び出す前に起きたであろうことについて、ちゃんと考えてしまい、どっしりとした憂鬱を育てた。

ガラハッドは、さっきのことについて根掘り葉掘り聞き出そうとしてくるマリエッタを、鬱陶しくて、面倒なやつだと思った。彼女は、自分よりもはるかに年下のくせに、お姉ちゃんみたいな言葉を優しくかけてくるのだ…。

 

 

「 あなたおかしくなってるわ。前はそんなに刹那的じゃなかったし、もっと淡々としてた。どうして?近頃どうしちゃったの? 」

 

「 さぁ…近頃は…21世紀も中盤に差し掛かろうって頃だし、今時バンカラとか古いし、昔よりもセクハラに厳しくなったことだし、自称トランスなんて言ったもん勝ちだし、わけわかんない事件とかが増えたし… 」

 

 

ガラハッドは冗句を並べ立てた。ふざけて、意味なんてない言葉を並べて、いかにも期待される奇人像らしく振る舞っても、こちらのことを見慣れたマリエッタは面白がらなくて、ガラハッドは面白くなかった。やがてガラハッドは、皮肉げに顔を歪めてぶっきらぼうに言った。

 

 

「 …死ぬんじゃない? 」

 

 

凍りついたマリエッタを置いて、ガラハッドは自分の部屋へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

るいてっ狂が覚感の時

 

 

 

 

ロジャーもマーカスもいない部屋は、殺風景で冷たいような感じがした。

ガラハッドはぞわぞわする心地で、窓辺からいまだ沈まぬ太陽を睨んだ。

 

 

 

―――そうだよ、本来ならばもう死ぬ頃だ。

 

昭和元年生まれにしてみれば、天寿を全うした大往生だろう?

同じ年に生まれた男に、こんな奴は他にいないに違いない。

いくら“こちら”の居心地が良いからって、いつまでも遊んでいていいのかな?

どうしてまだ自分は生きているんだか、ガラハッドは不意にわからなくなるときがある…。

 

 

「少年の日に還ろう」とを、重ねて願ったのは彼自身だ。

けれど、ひとりだけ退行したって意味がないのだ。

「誰にも記憶されていない者たちと、もう一度草野球などをして遊びたい」という意味だったんだから。

 

 

ガラハッドは、高みからホグワーツを見下ろし続けるうちに、奇妙な渇望感へととり憑かれていった。

 

 

太陽め、もっと赤くなればいい。

黄色く輝いてなんかいないで、熟して蕩け落ちて早く夜よ来い。

落日に向かって鴉が飛んだら、「かえろう」という気持ちになるじゃないか。

目一杯遊んだあとの「おうちにかえるんだ」という感慨以上に、“心が満ち足りる瞬間”なんてないのだから。

 

 

ぐちゃぐちゃとした気分を発散させたくて、彼は鷲となって窓辺から飛び立った。

 

 

 

 

 

 




「おまえは今まで食ったパンの枚数を覚えているのか?」
今回の元ネタはジョジョ一部のディオ・ブランドー。VSルーピン先生戦は(も)手段を選ばず、勝てばよかろうなのだ。
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