私の想いを歌にのせて平和を願う   作:猫神瀬笈

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プロローグ 海上探索編
プロローグ 転生しました。


私は今、海の上に立っている。

 

比喩ではなく現実に。

 

体は白く服は黒い何か。

 

変な帽子をかぶり、

杖を持っている私が海面に映る。

 

近くに島はなく、水平線が続く。

 

私がこうなったのは

数時間前のことである。

 

 

 

 

 

私は普通の学生だった。

 

歌うことが好きなだけの普通の学生。

 

ただ、作詞・作曲ができる。

 

ただ父親の影響で体術を覚え、

兄の影響でアニメやゲームの

動きができるようになった。

 

ただそれだけの普通の学生だった。

 

母は私が生まれたときに

死んだらしい。

 

そんな私に起きた出来事。

 

私は学校のイベントで

歌うことになった。

 

教師総意での推薦だった。

 

私は断ることなく受け入れた。

 

そのイベントの当日、私は歌った。

 

平和を求めた歌を歌った。

 

私の心からの声を歌った。

 

観客から大いに歓声が沸いた。

 

私は満足した。

 

そう、満足していたのだ。

 

セットの不備による

事故がなければ……。

 

 

 

 

 

そう、私は歌っていたステージの

背景セットの下敷きになって死んだ。

 

ほんの一瞬の出来事だった。

 

私は満足していたことで

セットの異変に気付かなかった。

 

痛みを一瞬だけ感じて

目の前が真っ暗になった。

 

おそらく満足して死んだのだろう。

 

そして今に至る。

 

もう一度自分の姿を見る。

 

その姿を私はよく知っている。

 

兄のやっていたゲームのキャラだ。

 

確か「艦隊これくしょん」というゲーム。

 

戦船の力を持った少女たち「艦娘」が

突如現れた敵「深海棲艦」と戦う。

そんなゲームだった。

 

私はその内容を詳しく知らない

 

兄がやっているのを

見ているだけだったから。

 

でも、自分の姿は知っている。

 

初心者の1つ目の難関と兄は言っていた。

 

名前は空母「ヲ級」。

 

他のゲームで言う1面のボス。

 

私は今そのヲ級になっている。

 

「転生」と言うものだろうか。

 

私は少し困惑する。

 

だが、悩んでいても仕方がない。

 

考えるのをやめて

水面に映る自分の顔を見る。

 

じっくり見てみると可愛い顔をしている。

 

私はまんざらでもなかった。

 

 

 

 

 

とりあえず行動するのに太陽を見る。

 

太陽は私の後ろに傾いていた。

 

太陽は東から西に進む。

 

だから私は今の太陽が

右になる方向を向いて進む。

 

北の方なら陸があると思ったから。

 

ただひたすらにまっすぐ進む。

 

進むのは難しくはなかった。

 

スケートをしている感覚だった。

 

体術を学んでいるため、

体幹はしっかりしていた。

 

体は前の私より大きい。

 

目線も高く、出るところも出ていた。

 

それでも体幹は変わらなかった。

 

どうしてこんな姿になったのか。

 

そんなことを考えながら進む。

 

途中で変な魚を見た。

 

あれは確か「イ級」だ。

 

強さは某RPGのスライムだったはず。

 

イ級はこっちに近づいてきて

私を見つめる。

 

私もしゃがんでから見つめ返す。

 

するとイ級は私にすり寄ってきた。

 

どうやら懐かれたらしい。

 

私はイ級を触ってみる。

 

体は機械のように固く冷たかった。

 

手の甲で扉をノックするように叩く。

 

イ級の中で音が反響した。

 

イ級は不思議そうにこちらを見る。

 

私は叩いたところを撫でる。

 

イ級は気持ちよさそうに

「きゅー」と鳴いた。

 

せっかくだから

名前を付けることにした。

 

黒で「きゅー」と鳴く……。

 

私はそのイ級に

「キューちゃん」と名付けた。

 

私は立ち上がって、

目的の方向へ進んだ。

 

後ろにはキューちゃんがついてくる。

 

その姿はまるで犬のようだった。

 

 

 

 

 

しばらく進むと島を見つけた。

 

残念ながら

人がいるような場所ではなかった。

 

今の私の姿ではその方がいいだろうが。

 

私は陸の内側に行こうとしたが諦めた。

 

どうやらキューちゃんは

陸の方までこられないようだ。

 

仕方がないので近くの岩に腰を掛ける。

 

あまり疲れた感じはしなかった。

 

だが、心が疲れているようだった。

 

私はキューちゃんを膝にのせて撫でる。

 

キューちゃんは嬉しそうにしてくれた。

 

私はしばらく撫で続けた。

 

 

 

 

 

気が付くと周りは暗くなっていた。

 

今は月明りが照らしてくれている。

 

とても綺麗な月を見て歌詞が浮かぶ。

 

私は無性に歌いたくなった。

 

試しに声を出してみる。

 

「ヲ~~~」

 

どうやら声は出るようだ。

 

しかし、響くのは濁声だった。

 

嫌なので何度か発声練習をする。

 

「ヲ~~」

 

もう一回……。

 

「を~~」

 

あとちょっと……。

 

「お~~、お、おおー。」

 

ちゃんと声が出た。

 

どういう原理か分からないが

声はいつもの私だった。

 

ちゃんと声が出たため体勢を変える。

 

自分が歌いやすい体勢に変えていく。

 

私はキューちゃんを

撫でながら歌い始める。

 

体が大きいからか前より声量が大きい。

 

響く自分の歌を感じながら歌う。

 

私がここにきて感じたことを

歌詞にした歌。

 

困惑、疑問、恐怖、

悲しさ、嬉しさ……。

 

何故かスラスラと歌詞が思い浮かぶ。

 

次第に私の体が震える。

 

歌ったことで自分自身を感じたのだ。

 

ここにきて戸惑ったこと。

 

家族と会えない悲しさ。

 

自分が死んだという

現実に対する恐怖。

 

キューちゃんといられる嬉しさ。

 

気づけば私は泣いていた。

 

歌いながら涙を流していた。

 

涙はキューちゃんに落ちていく。

 

それに気づいたキューちゃんは

私を慰めてくれた。

 

鳴きながら体を擦りつけてくる。

 

歌い終わった私は

キューちゃんを抱きしめる。

 

体を震わせて声を出して泣いた。

 

寂しさを紛らわせるために。

 

ただひたすらに泣き続けた。

 

 

 

 

 

私は夢を見た。

 

家族といたときの私。

 

兄と楽しそうな私。

 

友達と楽しく遊ぶ私。

 

父に体術を教わる私

 

父と歌の事で喧嘩した私

 

それを認めてもらった私。

 

その時の父親の言葉。

 

「自分が伝えたい想いを歌え」

 

その言葉を最後に

父の背後が光り輝く。

 

その光はすべてを飲み込んだ。

 

私は光に包まれる前に

父に向かって叫んだ。

 

 

 

 

 

私は目を開ける。

 

既に月明りは太陽の光に変わっていた。

 

どうやら泣いた後に

眠ってしまったらしい。

 

座っていた岩の上で横になっていた。

 

キューちゃんも横で寝ていた。

 

私は体を起こし周りを見る。

 

昨日は暗くてよく見えなかったが、

周囲にいくつか島が見えた。

 

ここは孤島ではなかったようだ。

 

さらに周囲を見渡す。

 

するとキューちゃんと同じ姿が見えた。

 

それも複数体。

 

まあ、おかしくはないだろう。

 

そんなことを考えていると、

そのイ級達が近づいてくる。

 

どうしたのだろうと思って待ってみる。

 

するとキューちゃんと

同じように鳴き始める。

 

どういう意味か分からず、私は困惑する。

 

するとその声で起きた

キューちゃんが前に出て鳴く。

 

その声に反応したのか、また鳴いた。

 

何回か鳴き合った後、

キューちゃんがこちらを向く。

 

私は首をかしげる。

 

キューちゃんは体を使って

何かを必死に伝えてくる。

 

その行動を見ながら何となくで答えてみる。

 

「もしかして、ついてきたいの?」

 

その言葉に反応するようにイ級たちは頷く。

 

キューちゃんのジェスチャーを

何となくで感じ取り、

「歌が気に入ったからついてきたい」

と解釈した。

 

私は少し悩んだ。

 

一緒にいてくれるのは嬉しい。

 

だが、増えるということは艦娘に

狙われる可能性が上がるということだ。

 

兄に見せてもらった二次作品で

そんな描写を見たことがあった。

 

深海棲艦の増加は

向こうにとって緊急事態である。

 

そのことを考えると素直にYESと言えない。

 

だが、歌が心を動かせたとも考えられる。

 

そう考えると、艦娘との戦闘も

歌によって回避できる可能性もある。

 

そして私は決意した。

 

歌でこの世界を平和にすると。

 

艦娘も深海棲艦も人間も。

 

私はこの世界でのやることを決めた。

 

そして、イ級達の申し出を承諾した。

 

それには3つの条件を付けた。

 

艦娘に攻撃しないこと。

命を大事にすること。

歌は静かに聞くこと。

 

ちゃんと伝わるか分からないが、

そう約束させた。

 

イ級達はちゃんと反応してくれた。

 

ちゃんと守ってくれるだろう。

 

そう信じて私は海の上に立つ。

 

これから何が起きるか分からないが、

私は自分で決めたやるべきことをやる。

 

私はそう気持ちを引き締めて滑走を始めた。

 

それと同時に父に感謝の言葉を紡ぐ。

 

「ありがとう、お父さん。」

 




今書いてる方が進まなくなったので衝動で書いたこの作品。
不定期で更新します。
セリフは少なめです。

戦闘描写はがっつりは入れないです。
主人公は基本正当防衛なので……。

終わりを考えていないのでまあ、だらだら書きます。
読めないところ、誤字脱字報告、感想などあればください。

それでは次回までバイにゃら~
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