私の想いを歌にのせて平和を願う   作:猫神瀬笈

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今回は久しぶりにあの場所へ。


第7話 語られる真実

目を開けると久々に見た景色があった。

 

身体も久々に前世の姿だ。

 

つまりここは私の心の中。

 

加賀さんと話せる場所だ。

 

「久しぶりね、歌音。」

 

私は声がした方を向く。

 

そこには加賀さんが立っていた。

 

ヲ級ではなく艦娘としての加賀さんが。

 

だが、1つだけ変わったところがあった。

 

それは肩に猫を持った妖精がいたことだ。

 

私はその妖精のことについて聞いた。

 

すると、加賀さんは少し深刻な顔をした。

 

そして、決意をしたように話してくれた。

 

この妖精の名は「エラー娘」。

 

妖精の中でも異質な存在。

 

本来なら会うことは無いらしい。

 

加賀さんは初めて会ったと言う。

 

私には見覚えがあった。

 

お兄ちゃんの艦これの画面。

 

そこにこの子は映っていた。

 

通信エラーの画面にいた妖精さんだ。

 

「ソウダヨ、イレギュラーサン。」

 

いきなりエラー娘が喋った。

 

私の心を読むように話してくる。

 

「ダッテ、ココハ、

キミノココロナカダカラネ。」

 

…そう言えばそうだった。

 

色々筒抜けらしい。

 

加賀さんが私のことを知っていたのも

これが理由だろう。

 

そんなことが分かった所で本題へ。

 

エラー娘がなぜここにいるのか。

 

何が目的なのかを聞く。

 

理由は私について話すためらしい。

 

私の状態、加賀さんとどうなっているかを。

 

私が知っているのは

この体は加賀さんなのだと言う事だけだ。

 

エラー娘は詳しく教えてくれた。

 

まず、体は加賀さんである事。

 

これは先ほど言った通りだ。

 

既に知っている。

 

私はここの人間ではないのだから。

 

次に加賀さんと私の状態。

 

これがややこしいのだ。

 

加賀さんは魂としては存在しているが、

本来とは別物になっている。

 

そこに私の魂が入り込んだことで

イレギュラーが発生した。

 

これにより2つの魂が入った

ヲ級が生まれたという。

 

そして、今後のことについて。

 

私の目的は歌で平和を。

 

その過程で加賀さんのいた

佐世保鎮守府に行く予定だ。

 

加賀さんの目的は鎮守府へ戻ること。

 

そして大切な人を救いに行くこと。

 

エラー娘はそのことについて

話すことが1番の目的らしい。

 

話すのは佐世保に行った後の事。

 

佐世保に行った後に加賀さんが

どうなってしまうのか。

 

その事について伝えに来たそうだ。

 

内容は辛いものだった。

 

加賀さんにとっても私にとっても。

 

加賀さんとした最初の約束*1

 

その約束が果たされると

加賀さんは消滅、成仏するらしい。

 

この体もどうなるか分からないという。

 

そのまま残る可能性もあれば

加賀さんの魂と共に消える可能性も。

 

私はそれを防ぐ方法はないのかと聞く。

 

エラー娘は防ぐ方法はないと言った。

 

確率次第だという。

 

一つだけ加賀さんが

生き残る方法があるといった。

 

ただし、命の補償ができないという。

 

その方法とはドロップによる転生。

 

つまり、一度轟沈するということだ。

 

過去に前例はあるらしい。

 

しかも、確率は低くない。

 

これなら加賀さんは復活できる。

 

ただし、その場合は私が死ぬことになる。

 

佐世保に行けば加賀さんは消え

私も死ぬ可能性がある。

 

沈むと加賀さんが高確率で復活する。

 

エラー娘曰く、

この二択しかないという。

 

その言葉に私はショックを受ける。

 

どちらかしか生き残れないのだから…。

 

しかも、考える暇もなかった。

 

いつものように体が光ったのだ。

 

最悪なタイミングでの目覚めだ。

 

周りの景色が白く染まっていく。

 

私は戻る前に加賀さんの方を見る。

 

その時、微かに見えた加賀さんの顔は

何故か優しい顔をしていた。

 

 

 

私は目を開ける。

 

体はいつも以上に重かった。

 

既に部屋には私以外いない。

 

それもそうだ、今は昼過ぎ。

 

時計の針は1時を過ぎている。

 

日の光もほとんど入っていない。

 

珍しくそんな時間に起きた。

 

とりあえず顔を洗いに行く。

 

鏡に映る私を見る。

 

その顔はひどく、涙を流していた。

 

私はそれを洗い流す。

 

隠すように何回も……。

 

洗い終わって着替えてから部屋を出る。

 

とりあえず執務室へ。

 

今日の仕事をしていないのだから

提督に謝罪しに行く。

 

部屋に入ると謝罪する前に心配された。

 

今日の秘書官の子には大泣きされた。

 

歌が聞こえず、姿も見えなかったことで

何かあったのだと思われたらしい。

 

私はただの寝坊だと言って謝罪する。

 

提督には気にするなと言われた。

 

疲れているだろうと言われ、

何かの券を渡される。

 

券には「間宮」と書かれていた。

 

食堂で使えば分かると言われた。

 

仕事については提督から

皆へ伝えてくれるそうだ。

 

私は提督に感謝して食堂へ向かった。

 

 

 

食堂に行くと鳳翔さんたちに

とても心配された。

 

食堂にいた子たちも集まってくる。

 

皆、私を心配していたようだ。

 

中には私のお世話をすると言う子も…。

 

というか、すでに櫛を手にしていた。

 

とりあえず、世話になる。

 

その間に私は券を間宮さんに渡す。

 

間宮さんはすぐにキッチンに向かった。

 

その間、櫛で髪を梳いてもらう。

 

私の長い髪を丁寧に梳いてくれる。

 

とても上手で落ち着く。

 

私はとてもリラックスできた。

 

タイミングよく間宮さんが

券の商品を持ってきてくれた。

 

置かれたのは…羊羹?

 

駆逐の子たちは羊羹を

羨ましそうに見ていた。

 

とりあえず食べてみる。

 

……おいしい。

 

程よい甘みと味の濃さ。

 

丁度良いとはこのことだろう。

 

羊羹を少し切り、髪を梳いてくれた子、

雷に「あーん」をする。

 

雷はそれを美味しそうに食べる。

 

皆、羨ましそうにしている。

 

しかし、これ以上はあげられない。

 

そんな顔を見ながら羊羹を食べた私は

皆の頭を撫でて食堂を後にした。

 

 

 

食堂から出た私は

基地をフラフラしていた。

 

休みをもらったが、やることがない。

 

目的もなく歩いていると

聞き覚えのある音が聞こえた。

 

ストン、という音が聞こえる。

 

音のする方に向かうと弓道場があった。

 

何故聞き覚えがあるのか?

 

自分の家にも弓道場があったからだ。

 

だからなのか、ここが懐かしく感じる。

 

懐かしんでいると声を掛けられる。

 

「どうかしましたか?」

 

私は声のする方を向く。

 

そこには綺麗な白い髪の女性。

 

翔鶴さんがいた。

 

私は翔鶴さんに連れられて

弓道場の中に入る。

 

中では他の空母の人たちが

練習をしていた。

 

私は後ろでその姿を見ていた。

 

次第に体がウズウズしてくる。

 

翔鶴さんにやってみるかと聞かれた。

 

私は直ぐに弓矢を借りる。

 

場所を開けてもらい定位置に立つ。

 

そして……集中する………。

 

弓を構え、少しずつ引いていく。

 

既に周りの声は聞こえない。

 

風の音も、鳥のさえずりさえも。

 

世界が静かになった。

 

私は一度目を瞑り、ゆっくりと開く。

 

そして、的に向かって矢を放つ。

 

矢は真っすぐ的の中心に突き刺さる。

 

私には聞こえない大きな音を鳴らす。

 

私は構えを解き、ゆっくり呼吸をする。

 

徐々に周りの音が聞こえてくる。

 

久しぶりの感覚に気分が高揚する。

 

その気持ちを抑えて振り向く。

 

すると思いっきり詰め寄られた。

 

コツとか色々聞かれた。

 

めんどくさくなった私は

「周りが聞こえなくなるまで

集中している。」

とだけ答えた。

 

それでもまだ詰められたが、

翔鶴がそれを止めてくれた。

 

話があるからと私の手を引いて

弓道場の控え室へと向かう。

 

部屋に入ると翔鶴は私に頭を下げる。

 

何故か頭を下げるのかと聞く。

 

理由は妹、瑞鶴の事だった。

 

あの人は基地内で仲良くなれない。

 

声をかけても話をしてくれないのだ。

 

いつも私に対して敵意丸出しである。

 

しかし、彼女の敵意は私だけではない。

 

どうやら他の子にも及んでいるらしい。

 

本当はいい子なのだと翔鶴は言う。

 

変わってしまったのだとも……。

 

その理由を翔鶴は知っている。

 

だからこそ翔鶴は私に語った。

 

これから翔鶴が語るのはあの日の事。

 

とてもつらいであろうあの事件。

 

鎮守府襲撃当日の事を語ってくれた。

 

*1
プロローグ3より最初のノイズのかかった会話




今回は体について語られました。
歌音たちはどうしていくのでしょうね?

今回の歌音の身体について
絵にしてみたのでご覧ください。
これでも分かりにくいかも。

【挿絵表示】


【挿絵表示】



次回は翔鶴による瑞鶴語り。
瑞鶴のことが色々分かります。

第2章で同行するメンバー(残りのメンバーは基地でお留守番)最終投票

  • キューちゃんズ(イ級×4)
  • ネ音(ネ級)
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