第二章は終わらせたい。
瞳に怒りを灯した神通の攻撃。
その一撃は重たい。
今まで以上の緊張が私を襲う。
体全身が訴えているのだ。
手を抜いたら命がないと。
全身に嫌な汗をかく。
今は白刃取りの状態で止まっている。
だが、いつ状況が変わるか分からない。
この手をどけたら間違いなく私は死ぬ。
私の心臓まで数センチ。
そろそろ限界を迎えそうだ。
このままではまずい。
そんな状況で神通が言葉を発する。
「私がいない間に、好き勝手
やってくれましたね?」
……好き勝手とはどういうことだ?
あの紙の送り主は神通のはず。
研修生の独断か、それとも……。
考えている暇もないので返答する。
「ここに来るように言ったのは
教官ご自身では……?」
神通に灯った怒りは収まり始め、
刀にかかる力も弱まった。
私はそのまま刀を離す。
神通は刀を収め、話し出す。
「紙にはここに来るように
としか書いていませんが?」
「彼女たちにいきなり襲われたので。」
そう言って私はそこに倒れている
彼女たちの方を指さす。
印の場所に行った時に襲われた。
私としてはそうとしか言えない。
いきなりの投擲。
それから始まった戦闘。
いきなり襲われたと思うだろう。
私はこの鍛錬の挨拶だと思ったけど。
「嘘は言ってないようですね。」
後ろにいる5人の姿を見た後、
神通は少し考えて、そう判断した。
まだ始まっていないのに疲れた。
そう言えば6人目の視線が消えている。
バレないように撤退したのだろうか?
まあ、今考えても仕方がない。
面倒なことにならないと良いのだが…。
一先ず、神通の指示を仰いだ。
『……488…489…500。』
「3分後にランニングです。
遅れたら500回追加ですからね。」
神通はこの場から去っていく。
私は神通の指示で襲ってきた5人を
邪魔にならないところに運んだ。
その後研修生に混じって鍛錬に参加。
全員で素振りをしていた。
私は木刀を借りて素振りをした。
木刀はしばらく使っていなかったため、
だいぶ型が崩れていた。
神通に指導され、感覚も戻ってきた。
しかし、しっくりしない。
体の違いがしっくりこないのだろう。
早いうちに直したいが、鍛錬は続く。
我慢して次の鍛錬に移った。
次の鍛錬は外周。
丁でやったものとは全然違う。
鎮守府内のランニング。
4ヶ所のポイントを通って
最初の広場に戻る。
灯台、正門、石碑、桟橋の順に
決められたルートを通る。
これを2周して桟橋から
広場に戻れば終了。
これを決められた時間内に行う。
初回の私は神通と最後尾を走る。
ルートを覚えるためだ。
次からは研修生に混じる。
ルートは鎮守府の敷地ギリギリ。
鎮守府を淵取るように走る。
そのため一周の距離も長い。
特に石碑の距離が一番遠い。
中央にある大きな石碑を周り
外周に戻るからだ。
それを2周するのだから
脱落する者も少なくない。
遅れて脱落していく研修生たちは
神通にタッチされて言われるのだ。
「追加ですね。」
とても嫌な予感がしているのだ。
この鍛錬をしている彼女たちが
早々に脱落するはずがない。
すでに何回も走っているはずだ。
つまり彼女たちは2回目以降。
広場に誰もいなかったのは
これが理由なのではないかと。
だが、現実とは非常である。
私の嫌な予感は的中した……。
夕方になり、鍛錬が終わった。
あの後はひたすら素振りと
ランニングを繰り返した。
私は無事に鍛錬を完走。
久しぶりの過度な鍛錬で疲労を感じた。
無事完走した者は先にあがる。
タッチされた者は今から素振りだ。
私は一度部屋に戻る。
ネ音に自主練のことを告げるためだ。
不満な顔だが、許可は出してくれた。
「早く帰ってきて」と言われた。
そのため急いで自主練に向かった。
広場では何人かが素振りをしていた。
私は邪魔にならないように少し離れる。
そこで昔を思い出しながら鍛錬をする。
まずは瞑想。
その場で座禅を組む。
目を瞑り心の中で60秒数える。
60秒のカウントは周りの声が
聞こえなくなってから始める。
弓を撃つ時のように集中する。
次第に声が聞こえなくなる。
風の音も消えていく。
そして完全に聞こえなくなった。
私はそこからカウントを始める。
…5…10…15…20…25…
邪念が混じらないように
一定の間隔でカウントする。
…45…50…55…60……。
60秒経過した。
私はゆっくりと目を開ける。
集中したままゆっくり立ち上がる。
木刀を持ち、素振りをする。
1つ1つの動きを丁寧に行う。
過去と現在言われたことを思い出して。
少しずつ自分のしっくりとくる
振り方を探していく。
ただ集中して振り続ける。
100回を超えた時点で数えるのを止めた。
もう何回目かも覚えていない。
感覚はだいぶ戻ってきた。
そう思った時、気配を感じた。
後ろから私を左上から切ろうとする
誰かの気配を感じた。
私はすぐに右回りに振り向く。
木刀で払い飛ばすように。
木刀は「カ-ンッ」と言う音を鳴らす。
夜だからか高い音が鳴り響く。
そこには……誰もいなかった。
確かに気配を感じたのに。
後ろには人がいない。
気配も消えていた。
変わりにあったのは小さな丸太。
木刀が鳴らしたのは
その丸太と接触した音だった。
私はその丸太を手に取る。
サッカーボールぐらいの大きさ。
さっきの接触で表面が欠けていた。
丸太の形は見たことがある。
枝が一か所にだけある丸太。
丸太の断面は綺麗にされている。
アニメや漫画で良く描写されている
忍者が身代わりに使う丸太だった。
なぜこんなものがここにあるのか。
私には理解できなかった。
しかし、疲れている今の状態では
その結論を見つけることはできない。
集中が切れたためここで終わる。
あまり遅くなっても
ネ音を心配させるだけだから。
周りの研修生も少なくなっていた。
切り上げるならちょうどいいだろう。
それに明日から鍛錬に朝から参加だ。
早く寝ておかないと体がもたない。
急いで道具を片付けて自室に戻った。
「ガサガサ」
歌音が広場を後にした後
広場の草木が不自然に揺れ動いた。
そこから出てくる黒い影が1つ。
「私の気配に気づくなんてね…。」
落ち着いた様子のその人物。
しかし、内心は驚きを隠せない。
自分の切り札を使わなければ
確実にやられていたのだから。
それに、別のことでも驚いていた。
「朝のあれも、多分バレてたよね。」
そう、この人物こそ朝にいた6人目。
研修生に襲撃させた張本人である。
この人物はいったい誰なのか。
その答えは闇の中へと姿を消した。
神通教官による鍛錬が始まる。
歌音は生き残れるのか…。
第2章で同行するメンバー(残りのメンバーは基地でお留守番)最終投票
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キューちゃんズ(イ級×4)
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ネ音(ネ級)