私の想いを歌にのせて平和を願う   作:猫神瀬笈

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現れた少女、その正体は……。

この空間の歌音はヲ級の姿です。
ただし帽子はありません。


第15話 最高の相棒

 

「お待たせしました、歌音お姉さま!」

 

突如として目の前に現れた少女。

 

少女は私のことをお姉さまと呼んだ。

 

だが、そんな覚えはない。

 

私のことをお姉さまと

言う子はいないはずだ。

 

考えているとその子は私に抱き着く。

 

いきなりで驚き、傷が開く。

 

しかし、次第に体が良くなっていく。

 

開いた傷も治っていたのだ。

 

体の傷が一つもない。

 

不思議な力だ。

 

「あなたは一体?」

 

自然に出てくる私の疑問。

 

少女は悲しそうな声で返答する。

 

「私のことを忘れたのですか……?」

 

今にも泣きそうな顔でこちらを見る。

 

しかし、そんなことを言われても

私は貴方を見たことがない。

 

そう答えると少女はキョトンとした。

 

………………………………。

 

そして、少女はハッとした。

 

「体が違う事を忘れていました!」

 

少女は改めて自己紹介をする。

 

「お姉さまの相棒、キューです!」

 

少女は胸を張ってそう言った。

 

この子、キューちゃんだった。

 

こんなに変わっているとは

誰も予想できないだろう。

 

少なくとも明石は関わっている。

 

こんなことができるのは

彼女しかいないからだ。

 

しかし、予想以上の変化だ。

 

それにこんな性格だとは思わなかった。

 

もう少し真面目だと思っていたのだが、

ネ音以上に変わっている。

 

今はネ音が相棒のようなイメージだが、

最初の相棒はキューちゃんだ。

 

基地で生活してから傍にいたのが

ネ音だったから仕方がないが……。

 

そう思っているとキューちゃんに

首のやつを掴まれる。

 

そうですよ!なんで私じゃなくて

ネ音を選んだのですか!

 

キューちゃんはそう言って

私を前後に振る。

 

あまりの強さに酔いそうになった。

 

私の方があの子より先なのに―!

 

そう言って涙ぐみながら叫ぶ。

 

バリアの中でしばらく

このやり取りが続いた。

 

 

 

 

 

キューちゃんが落ち着いたため、

表の現状について聞く。

 

表では色々と起きていたようだ。

 

原因は主に私だが…………。

 

キューちゃんは提督と吹雪、夕張、

大福たちとこっちに来たそうだ。

 

その時も暴れていたため、

頑張って止めてくれたようだ。

 

その際、研修生数人が大けがで入渠中。

 

元帥を含め、私を止めに来た

大本営の艦娘が怪我をしたらしい。

 

幸い施設や一般人には

被害が出なかったそうだ。

 

場所が広場だったのが幸いした。

 

今の私の身体は自室で

固定されているらしい。

 

急に目覚めて暴れないように

対策しているそうだ。

 

ネ音は………まだ分からないらしい。

 

正確にはキューちゃんには分からない。

 

今は明石が頑張ってくれているそうだ。

 

それにキューちゃん言ってくれた。

 

「ネ音は必ず生きている」、と……。

 

しかし、その確証はない。

 

向こうの状況が分からない以上は。

 

でも、この言葉は確定である気がした。

 

理由はないけど確かなものだと。

 

この言葉に救われた。

 

私の進むべき道は決まった。

 

だから私はこっちに集中する。

 

明石を、明石とネ音を信じる。

 

私は大福にもう大丈夫と伝える。

 

すると大福たちはバリアを解除した。

 

心なしか疲れているように見える。

 

ずっと私を守ってくれていたのだ。

 

頑張ってくれてありがとう。

 

私は大福たちを撫でてから前に進む。

 

加賀は弓を構えて待っていた。

 

上空には沢山の艦載機。

 

すぐに私を仕留めるつもりだろう。

 

しかし、待ってくれている。

 

その事に感謝して

私は加賀と向かい合う。

 

ほんの数秒の沈黙。

 

先に口を開いたのは加賀だった。

 

「イレギュラーはありましたが、

私のやることに変わりはありません。」

 

そう言って眼を鋭くする。

 

だが、それは私も変わらない。

 

やることはたった1つだ。

 

私は再び構える。

 

いつものような片手ではなく、

両手でしっかりと持つ。

 

()()()()()()()()使()()()()()()

 

構えてから再び沈黙する。

 

お互いが警戒して動かない。

 

だがこの沈黙は破られた。

 

「ハ…フェ……フェクチュン!

 

キューちゃんのくしゃみである。

 

この沈黙を破った一撃。

 

その瞬間私は走った。

 

加賀もそれに合わせて矢を放つ。

 

上空にいる艦載機も降りてくる。

 

このままではさっきと同じように

ハチの巣にされて倒れるだろう。

 

しかし、私はさっきまでとは違う。

 

もう、焦りはない。

 

ネ音は生きているのだから。

 

それに、思い出しているのだ。

 

私の今までを……。

 

那珂ちゃんのあの鍛錬を……。

 

そしていつしかのエラー娘の言葉を。

 

加賀は覚悟ができていることを。

 

もう逃げるだけの私ではない。

 

キューちゃんのおかげで覚悟ができた。

 

私は覚悟を決めた。

 

今度こそ迷わない。

 

クヨクヨしていた私とはオサラバだ。

 

覚悟を決めていた

加賀に対して失礼だしね。

 

だから加賀のところまで行く。

 

私の覚悟を伝えるために。

 

まずは艦載機の攻撃を避ける。

 

躱す、弾く、避ける、集中する。

 

避け続ける、躱し続ける!

 

この鉄の雨が止むまで。

 

必ずできる隙を待って………っ!

 

ほんと、相棒と言うのは頼りになる。

 

私が欲しかった隙が、起死回生の一手が

最高のタイミングで来てくれた。

 

待機中の艦載機との入れ替わり、

そのほんの一瞬だけできる間。

 

そのタイミングで邪魔してくれた。

 

大福たちがバリアで艦載機に突撃し、

キューちゃんが残りを落としてくれた。

 

「明石さんと夕張さん直伝!

ぶっ壊すほど……シュートッ!」

 

………………2人は後で〆る。

 

だが、今だけは感謝しておく。

 

艦載機からの鉄の雨が減った。

 

その隙に加賀に近づく。

 

距離は遠いが、上からの攻撃が減った分

加賀の放つやつに集中できる。

 

だから、そのまま勢いで突撃する。

 

もちろん油断はしない。

 

矢を艦載機に変えずに

直接狙ってきたとしても。

 

棒で弾く、弾く!弾く!!!

 

加賀はすぐそこにいる。

 

届く、あと少しで。

 

今がチャンスなのだ。

 

キューちゃんが止めてくれている。

 

大福たちが守ってくれている。

 

加賀の矢の補給が間に合ってない。

 

矢を撃たれて不利になる前に。

 

そして、ようやく届いた。

 

振り上げた棒が加賀の手に当たった。

 

その衝撃で弓が弾き飛ぶ。

 

間髪入れずに次の攻撃へ。

 

棒を全力で振りかぶる。

 

加賀は飛行甲板で防いだ。

 

しかし、その衝撃で甲板は砕け散った。

 

加賀にはもう自分を守る武器がない。

 

最後の一撃を淹れるために踏み込む。

 

だが、加賀も簡単にやられなかった。

 

隠し持っていた刀を抜き、

私の攻撃に対応する。

 

そこからは完全な打ち合いになった。

 

神通とはまた違う太刀筋。

 

本当に空母なのかと疑いたくなる。

 

そんな太刀に私も負けじと対抗した。

 

 

 

 

 

打ち合いは数十回、何百回にも及んだ。

 

この空間にはぶつかり合う時の

金属の音だけが鳴り響いた。

 

お互いが死力を尽くす。

 

覚悟をぶつけ合うように。

 

2人は既に息があがっている。

 

肩で呼吸をするぐらいには疲れていた。

 

もう、後一振りが限界だろう。

 

だから、これが最後の打ち合いだ。

 

お互いが叫びながら突撃する。

 

残った気力を振り絞って。

 

だが、その一撃が

ぶつかり合うことは無かった。

 

 




少女の正体はキューちゃんでした。

姿はMMDのモデルが存在するので
「イ級ちゃん」で検索をどうぞ。



第2章で同行するメンバー(残りのメンバーは基地でお留守番)最終投票

  • キューちゃんズ(イ級×4)
  • ネ音(ネ級)
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