互いの一撃がぶつかることは無かった。
止めたのはエラー娘。
私達の間に突如として現れた。
そして猫を上に投げて、
私達の攻撃を手で受け止めた。
その力は凄まじく、武器を砕くほどだ。
私達は少し下がる。
そしてタイミングよく猫が落ちてきた。
エラー娘はしっかりとキャッチする。
そしてこちらを向いた。
「チャント、ミテタゼ。
カクゴヲ、キメタヨウダナ。」
私はその言葉に頷く。
エラー娘も「ソウカソウカ」と頷き、
海面にキスする勢いで殴られた。
そして、叱られた。
理由はもちろん今回の事。
赤黒いこの世界のことだ。
また私の感情が溢れたから。
しかし、今はだいぶ変化している。
打ち合いの時は気づかなかったのだ。
水平線の向こうから青色の世界が
此方に向かってやってきていることに。
エラー娘の説教も少しで済んだ。
加賀については色々と説明された。
今回はエラー娘の協力。
私の覚悟が決まらなかったから、
死ぬ覚悟で挑んでくれた。
まあ、エラー娘の支援があったため
馬鹿ほど艦載機が飛んできたのだが。
でも、そのおかげで
覚悟を決めることができた。
加賀と打ち合って気持ちが伝わった。
だから私は感謝する。
加賀…いや、加賀さん、ありがとう。
口には出さず、心の中で感謝した。
すると、途端に加賀が顔を赤らめた。
声を出してないはずなのだが……。
疑問に思っているとこう言われた。
「ここ、貴方の心の中なのだけれど…」
…………忘れていた。
恥ずかしい、とても恥ずかしい。
心の声が筒抜けであることを
完全に忘れていた。
私は顔を手で隠してしゃがみ込む。
しばらく間、この状況を理解していない
キューちゃんに頭を撫でられ続けた。
私は顔を片手で隠しながら立ち上がる。
そろそろ向こうに戻らなければ…。
エラー娘の方は準備ができている。
だが、戻る前にエラー娘が
キューちゃんに対して聞いた。
「オマエ、ドウヤッテ、
ココニハイッテキタ?」
その疑問にキューちゃんは
笑顔で答えた。
「夕張さんに何か付けられて、
その後に目を瞑ったら此処いたよ」
夕張はなんてものを付けたのだろう。
エラー娘も頭を抱えていた。
向こうに戻ったら「使わないでくれ。」
と伝えてほしいと言われた。
私は殴ってでも止めると約束した。
そうして私は向こうに戻る。
心の中で加賀さんに感謝して。
光に包まれた後、
目の前が真っ暗になった。
音の無い静かな空間。
しばらくすると音が鳴る。
一定のタイミングでなる機械音。
ピ、ピ、ピ…………
そんな音が聞こえた。
体の感覚も戻ってくる。
凄く体が重たい。
動かそうと思ったが、だるくて止めた。
とりあえず、瞼を開く。
そこは見覚えのある天井だった。
私とネ音の部屋だ。
頭を動かし、周囲を確認する。
体の方は聞いた通り、縛られていた。
いまのところ、使えるのは左腕だけ。
他に何かないか確認する。
人は…隣で寝ているキューちゃんだけ。
その横には大福たちもいた。
キューちゃん達には装置が付いていた。
言っていたのはこれの事だろう。
部屋は明るい。
おそらくさっきまで誰かいた。
何か合図が送れないか確認してみる。
左腕で探して見るが周囲に物はない。
暴れて武器にされたら困るからだろう。
キューちゃんはまだ目覚めそうにない。
どうやって伝えたらいいだろう。
そう思っていると外から音がした。
慌てている様なドタドタとした音。
その音はどんどん近づいてくる。
そして扉が勢いよく開いた。
扉を開けたのは夕張。
夕張は私を見ると勢いよく
部屋に入って飛びついた。
私は抵抗できないので
素直に抱きつかれる。
「歌音さん、良かった!」
泣きながら私に抱き着く夕張。
私は動かせる左手で頭を撫でる。
この夕張は基地の夕張だ。
私に対しての感情が違う。
私は撫でながら「ただいま」と言った。
しばらくして泣き止んだ夕張に
今の状況を聞いた。
今の私はこの部屋に監禁中。
私は外に出ることはできない。
部屋に入る人物も限られている。
それ以外のことはキューちゃんから
聞いている内容と同じだった。
違ったのはネ音の事。
ネ音は………無事に峠を越えた。
回復に向かっているそうだ。
もう少ししたら目を覚ますらしい。
私はそのことに安堵した。
一番の心配が無くなった。
この後のことも聞いた。
今から此処には元帥が来るらしい。
理由は私が目覚めたためだ。
私としても元帥と話しておきたい。
処遇について聞くべきから。
私は元帥が来るまで待機。
夕張は元帥が来るまでに
私の身の回りのことをしてくれた。
上半身の拘束だけ外してもらい、
体を拭いて着替える。
流石にこれだけはさせてもらった。
可能なら風呂に入りたいが
そこは我慢する。
着替えが終わると扉がノックされる。
夕張がどうぞと言い、入ってきたのは
左腕をギブスで固定した元帥だ。
一緒に大和と神通も入ってくる。
2人とも腕や足に包帯を巻いていた。
私がやってしまったのだろう。
「私のせいで、ごめんなさい。」
私はすぐに謝る。
しかし、3人は気にしていなかった。
口を揃えて「自分の力不足」と言う。
それもどうかと思うが、
この人たちだからと納得した。
そして今回の詳細を聞いた。
まず、衝撃的なことを聞かされた。
今日は今回の騒動から
既に5日も経っていた。
キューちゃんが入ってから
2日目になるらしい。
次に神通から。
神通が着いた時には研修生5人が
血まみれで倒れていたらしい。
倒れていたのはあの5人。
その中心には私。
その時に高い音で歌っていたらしい。
そんな私の近くにはネ音を抱えた雪風。
他の研修生は遠くに離れていた。
私は血まみれの研修生に
まだ攻撃しようとしたらしい。
流石にまずいと神通が止めに入った。
すると神通のほうに振り向いて突撃。
刀を砕き、神通を殴った。
神通は腕をクロスしてガードしたが、
飛ばされたらしい。
その際に腕を負傷したようだ。
その後は元帥と大和も到着。
元帥も神通と同じように
刀を砕かれて左腕を折られた。
大和も必死に対抗したが、
中々抑えられなかったそうだ。
そんな時に助太刀が来た。
キューちゃんたちだ。
来たのはキューちゃんと吹雪、夕張。
後で提督とキューちゃんズ、大福、
護衛で瑞鶴たちもやってきたそうだ。
一足先に着いたキューちゃんたちが
私に飛びかかった。
すると私は動きを止めたらしい。
同時に歌も止んだそうだ。
その隙に大和が私を拘束して、
今の状況になったのだという。
研修生は一命をとりとめたが、
今回の件で営倉に入っている。
今でも事情聴取されているらしい。
他の研修生も聴取中なのだとか。
キューちゃんズは今でもお手伝い中。
しばらくはこっちにいるらしい。
夕張と吹雪もしばらく残るそうだ。
夕張が私、吹雪がネ音についている。
瑞鶴達は提督と一緒に基地に戻った。
本当は残りたかったそうだが、
基地を開けるわけにもいかないから。
後は聞いたことと同じ。
装置については明石じゃないと
分からないためここでは割愛。
それで、私の処遇だが、
しばらくは監視付きで様子見。
行動も制限される。
一応音楽室と憲兵隊のところへは
行くことができるそうだ。
音楽室が使えるのは使う人が
ある程度決まっているから。
私から音楽を奪わないように
と言う理由もあるそうだ。
憲兵隊は向こう側からの要望。
満場一致で「来ても大丈夫」
ということだった。
あの人たちらしい。
とても嬉しかった。
後、もう一つ行ける場所がある。
それはネ音のところ。
入室可能な同行者がいれば
入れるように手配してくれた。
制限されている割には動ける。
思ったよりも緩い。
これも元帥のおかげなのだろう。
本当に感謝している。
今回の事についてはよく分かった。
元帥は今から
ネ音のところに行くらしい。
可能なら同行させてほしい。
私は元帥にそうお願いした。
元帥はすぐに了承してくれた。
待ってくれるそうなので
向かうために準備をする。
元帥達が部屋を出たあと
拘束を解いてもらう。
そしてキューちゃんと大福たちを
夕張に任せて私は着替えて部屋を出た。
歌音、復活
第2章で同行するメンバー(残りのメンバーは基地でお留守番)最終投票
-
キューちゃんズ(イ級×4)
-
ネ音(ネ級)