私の想いを歌にのせて平和を願う   作:猫神瀬笈

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今年中に終わる気がしない…
何とか頑張るのです(´;ω;`)


第20話 夢幻の種

 

しばらくの間、沈黙が続いた。

 

「なん…で……。」

 

雪風は声を漏らす。

 

驚愕した顔で目を見開いている。

 

何故私がいるのか?

 

それには理由があるんだよ。

 

「今ここにいるのは

()()()()()()()()()()()()。」

 

雪風はさらに目を見開く。

 

それはそうだろう。

 

だってここには私たち2人しかいない。

 

廊下にも誰一人としていない。

 

それなのに私だけじゃないと言ったら

誰でも驚くだろう。

 

だから、まずは種明かしをしようか。

 

「幻の世界は楽しかった?」

 

そう言って私は指を鳴らす。

 

雪風は変わった世界に驚く。

 

先ほどまで自室にいた。

 

それなのに今いるのは大きな部屋。

 

長い机と多くの椅子。

 

いくつかの机が

見覚えのある形で置かれている。

 

その机の上にある丸い何かと

そこに刺さっているナイフ。

 

散らかったり壊れたりしている

いくつもの段ボール。

 

さっきまでドアだったものも

段ボールと板材に変わっている。

 

そして雪風を囲うように立つ

大本営艦娘と元帥。

 

そこには雪風が逃走中に

見てきた艦娘が全員いた。

 

そして、キューちゃんたちと…ネ音。

 

雪風は状況を整理できないようだ。

 

私達からすれば見ているのは

何一つ変わらない同じ光景。

 

雪風たち研修生は知らない。

 

ここは私が大本営艦娘と交流した部屋だ。

 

だとしても理解できないだろう。

 

ネ音を刺し、怪我を負いながら

部屋に逃げ帰ったのに。

 

自分の知らない部屋で大本営の面々に

囲まれているというこの状況に。

 

だからこそ逆上する。

 

自分が何をされたか

よく分からないから。

 

「私に、なにをした!

一体いつから……」

 

そして口はよく動くのだ。

 

「いつから…私の事に気づいた!」

 

しっかり白状してくれる。

 

私はまだ()()()()()()()

()()()()()()()()()()()()()()

 

まあ、誰だってそうなる。

 

私も、神通であっても

同じことになるだろう。

 

1つずつ話していこう。

 

まず、事の発端は私の部屋に

明石が来たところから始まる。

 

 

 

 

 

吹雪を部屋に送った後、

私は自室でゆっくりしていた

 

後は寝るだけだったのだが、明石が

ドタドタと部屋に入ってきたのだ。

 

「歌音さん!

新しいのができ…フガッ!」

 

一体何時だと思っているのだろうか。

 

とても嬉しそうに入ってきた明石。

 

流石に迷惑になるため口を押える。

 

後からキューちゃんたちが入ってきて

丁寧に扉を閉めて入ってくる。

 

なにしに来たのかと思ったが、

マイクの改良の件だった。

 

なんとこの人、原作と同じ

性能のものを作ってしまった。

 

しかも、かなり効果の強いやつ。

 

そしてこれが今回の現象のタネである。

 

なんとその効果で、

幻覚を見せることができるのだ。

 

しかも、実験もしていた。

 

キューちゃんたちが持っていた

書類を見せてもらう。

 

そこにはその実験結果が書かれていた。

 

被験者はキューちゃんズ。

 

内容は幻覚支配下における行動。

 

後はその記憶が残っているかどうか。

 

結果から言うと大成功。

 

キューちゃんズは

各々の幻覚を見ていた。

 

その内容から分かったことを

まとめると以下のようになる。

 


・地形と素材は依存する

(階段が坂に見えることは無い)

(現:砂→幻:コンクリ

ただし、砂のように崩れる)

 

・幻肢痛あり

 痛みは幻覚で見た物質に

(現:段ボール→幻:ハンマー)

 

・周りの人物は声が聞こえる

(そこにいると判断し、

幻覚にもその人物が現れる)

 

・幻覚はその人の心が大きく現れる

(その人にとって良い様に見える)

 

・幻覚は作成し、見せることができる。

(作り話でも実在の話も見せられる)


 

今回関係しそうなのはこんなところだ。

 

つまり、雪風はこの効果で

自分の見たい幻覚を見ていたのだ。

 

やられたのは幻肢痛として感じただけで

実際は一つのケガもしていない。

 

注射も幻覚の一つだったのだ。

 

次になぜ雪風の事に気づいたかだ。

 

さっきも言ったが、

私は認めたくなかった。

 

友達だからね。それに、

私は今日まで知らなかったのだ。

 

教えられたのは明石が来てから

少し後の事だった。

 

私の部屋に客が来た。

 

来たのは元帥と大和と神通。

 

いきなり来たから驚いた。

 

そのときは明石の頬を掴んで

引っ張っていたから。

 

そんな状況でも神通が

真剣な顔で話してくれた。

 

頑なに言うのを拒んでいた彼女たち

5人が口を割ったそうなのだ。

 

最初に口を割ったのは叢雲。

 

他の4人は私に対しての恨みを

口にしていたが叢雲は無言。

 

無理やり吐かせようとしても

プライドが強く、無言を突き通した。

 

そんな叢雲が、ついさっき口を割った。

 

今までのことを語ったのだ。

 

今回の事件の目的は

私と矢矧への逆恨みらしい。

 

この話は私の鍛錬レベル甲の

参加当日まで遡る。

 

 

 

 

 

犯行動機は私に負かされたこと。

 

あの時の襲撃は川内の指示で

5人と私の実力を測るためだった。

 

5人は研修生の中でも矢矧に次いで

上位の実力を持っていた。

 

しかし大本営の艦娘からすれば

まだまだヒヨッコ。

 

川内は現実を見せたかったようだ。

 

彼女たちはあの戦闘が終わった後で

「自惚れるな」と言われたそうだ。

 

でも彼女たちは納得しなかった。

 

それもそうだろう。

 

入ったばかりのやつに実力のある

自分たちが負けたのだから。

 

それ以降、他の研修生から

舐められていたようだ。

 

負けたことで対した強さではないと。

 

そして「矢矧には及ばない」と。

 

それ故に恨んだのだ。

 

私に対してはボロボロにされ、

プライドを傷つけられた恨み。

 

矢矧に対してはその強さへの嫉妬。

 

そんな感情を持ってから数日が経ち、

彼女たちの前に雪風が現れた。

 

雪風は彼女たちにこう提案した。

 

「あの女に復讐したい?」と。

 

その言葉に彼女たちはすぐ承諾した。

 

計画としてはネ音を痛めつけ、

私を誘い出す事。

 

怒れば対処しやすくなると

思っていたのだ。

 

叢雲がそうであったように。

 

あわよくばネ音も()れて万々歳。

 

雪風の計画も彼女たちの目的も

どちらも遂行される。

 

そして、最初に敵対した矢矧も

巻き込むことができる。

 

証拠が挙がれば直ぐにバレる

「雪風に有利」なこの計画。

 

だが、正常な判断のできない今の

彼女たちにとってはいい計画なのだ。

 

そして彼女たちは雪風の手のひらで

踊らされることとなった。

 

もちろん叢雲も同じだ。

 

でも、他の研修生とは少し違った。

 

彼女はずっと恨んでいたのだ。

 

私ではなく自分自身を。

 

戦闘の後に寝かされたベッドの上でも。

 

復帰して鍛錬を続けているときも。

 

ずっと自分自身を恨んでいた。

 

そうして叢雲は答えを出した。

 

再び私と戦うと言う答えを出した。

 

また戦えばいいのだと。

 

また戦って自分の強さを

見せつければいいのだと。

 

そんな答えを出した。

 

だが、この時の叢雲は

冷静ではなかった。

 

どんな手を使ってでも、

と思っていたからだ。

 

それ故に叢雲は雪風の提案に乗った。

 

他の計画は関係ない。

 

どんなことをしても

私と戦えればそれでいい。

 

他のメンバーも邪魔にならないなら

と叢雲の好きにさせた。

 

そして計画を実行。

 

雪風と口論をしてネ音に守らせ、

瀕死にすることで私を誘い出す。

 

そこまでは予定通り進んだ。

 

でも、それ以降は予定が狂った。

 

私の怒りが叢雲の比ではなかった。

 

一瞬にして無力化された。

 

彼女たちにとって最大の誤算だった。

 

 

 

 

 

後は知っての通りだ。

 

叢雲たちと矢矧は営倉、

私は部屋で隔離となった。

 

ネ音も生死を彷徨った。

 

これ以上の証拠もなく、大本営も

だれも真相を掴めない。

 

どうしようもなかった。

 

でも叢雲が語ったおかげで

雪風が犯人だと分かった。

 

なぜこんなにもタイミングがいいのか。

 

それはよく分からないが、

犯人に一歩近づいた。

 

しかし証拠がない。

 

雪風が犯人である証拠がないのだ。

 

それに私自身が認めたくなかった。

 

でも本当にそうなら危険だ。

 

だが調べる術がない。

 

そんな時、明石が口を開いた。

 

「歌音さん、これを使いましょう。」

 

そう言って明石はマイクを出した。

 

さっき見せに来た新しいマイク。

 

これなら何とかなるかもしれない。

 

私達は明石の説明を聞き、

作戦を練ることにした。

 




見ていたものは幻だった。

叢雲がこのタイミングで語った訳、
一体いつこうなったのか。

それを知るのは……

第2章で同行するメンバー(残りのメンバーは基地でお留守番)最終投票

  • キューちゃんズ(イ級×4)
  • ネ音(ネ級)
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