一連の事件が収束し、
大本営に平和な時間が流れる。
心地よい小鳥のさえずりで目を覚まし、
太陽の光で目覚める予定だった。
平和な朝を迎えるはずだった。
そう、迎えるはずだった……。
「いいですか!昨日色々ありましたが、
遅くまで寝ていい訳ではないですよ!」
布団の上で正座する私達。
心地よく寝ていたら
いきなり起こされたのだ。
目の前にいるのは神通教官。
正座しているのは私と雪風。
正座をさせられ、説教を受ける。
ネ音?
ネ音は昨日ぐっすり寝ていたから
朝から起きて鍛錬に行っている。
あの作戦の間は
しっかり寝ていたからね。
遅くまで起きていた私たちは
長いお説教をもらうのよ。
ただひたすらに放たれる言葉の弾丸。
よく言葉のマシンガンとは言うけど、
この人の説教はガトリング砲だよ。
勢いが止まらないし、
どんどん言葉が出てくる。
そんなわけで私と雪風は起きてから
一時間近く説教されているのだ。
ああ、平和な時間が……。
そう思っていると扉がノックされる。
入ってきたのは吹雪と夕張。
基地に戻るメンバーだ。
もう少ししたら迎えの船で帰るらしい。
キューちゃんたちはもう波止場で
荷物の準備を終えているそうだ。
神通はその2人の登場で説教を止める。
少し間を開けてため息をつき……
「時間ですから説教は終わりです。
次は無いですからね!
それと雪風はこの後尋問です。
色々聞きますので覚悟するように。」
そう言って部屋を出て行った。
部屋はとても静かになる。
小鳥のさえずりがよく響いて聞こえる。
とりあえずまた怒られるのは嫌なので、
急いで動くことにした。
痺れた足で立ち上がる。
寝起きだからなのか足のしびれが強い。
雪風は正座の状態から動けない程。
私も痺れているが、
何とか雪風を抱き上げて部屋を出る。
迎えに来た那珂ちゃんに雪風を預け、
吹雪たちと一緒に波止場へ向かった。
「嫌だ~!帰らないで~!
うちに永久就職してよ~!」
波止場にそんな声が響く。
もちろん人だかりができる。
キューちゃんに抱き着く明石。
それを引き剥がす非番の大本営艦娘。
まあ、予想はしていた、
と言うか前に言った。
キューちゃんズは明石にとって
いいじっkn…、お手伝いさんだ。
良い子たちだし何でもできるから
離れたくないのは分かる。
でも、今は基地の管轄下にある。
元帥の許可の下、
あの基地で過ごしているのだ。
元帥が許可を出せば
永久就職は可能だろう。
まあ、元帥なら断るかな。
キューちゃんズがいると
明石が甘えてしまう。
それに妖精さんの仕事が取られる。
下手すればストライキが
起きる可能性もあるだろう。
だから明石には諦めてもらうしかない。
それにもう少しで時間だ。
もう船は出るだけ。
吹雪と夕張の荷物も
キューちゃんたちが載せた。
明石を引き剥がして
船に乗れば、もう出るだけ。
非番の子たちに無理やり離して、
羽交い絞めにしてもらった。
そのまま交渉に連れて行ってもらった。
「嫌だ!私は個人研究を進めながら、
あの子たちに養ってもらうんだ~!」
そんな声が木霊した。
完全に私欲の為だった。
どこの明石も似たようなものだ。
そう思っていたら悲鳴も聞こえた。
「ちょ、m『なのです!』いやー!」
……聞かなかったことにしよう。
これで吹雪と夕張、
キューちゃんズとお別れだ。
キューちゃんと吹雪は
私に抱き着いてくる。
たった数週間の再会だけれど
とても濃い日々だった。
この子たちのおかげで
今の私はここにいられる。
可能なら私も一緒にいたい。
でも、甘えすぎるのも良くない。
此処で私が我が儘を言えば
さっきの明石と同じになる。
それはちょっと嫌だ。
だからこの子たちに言う。
「また会える」と。
ネ音が言っていたように
私達はいつか戻るだろう。
それまでお別れになる。
しかし、永遠の別れではない。
この子たちは会おうと思えば
大本営にすぐ来られるのだから。
しばらく頭を撫でていると
船長から出発するように言われる。
私は2人を離し、船に乗るように促す。
この時間を惜しみながら
2人は船に乗った。
夕張とキューちゃんズも船に乗る。
少しして船は進み始めた。
少しずつ波止場から離れていく。
私は手を振って見送る。
吹雪たちも大きく両手を振って、
船に揺られながら基地へ帰っていった。
私はその船が
見えなくなるまで見送った。
その日の夜。
私とネ音は部屋でゆっくりしていた。
ネ音は体力が落ちていたようで
布団の上でウトウトしている。
あと少しすれば眠るだろう。
私はネ音を抱き寄せる。
私の膝の上に頭をのせて
優しく頭を撫でる。
いつもならしばらく猫のような反応を
見せるのだが、今日は違った。
疲れていたのかすぐに寝息を立てた。
でも顔は緩んだまま。
解れた笑顔のまま眠っている。
この笑顔を見ながらぐっすり眠ろう。
そう思った時、扉がノックされた。
かなり遅い時間の来客。
私はどうぞ、という。
入ってきたのは那珂ちゃんだった。
やってきた理由は2つ。
1つは雪風たちの処遇。
雪風は大本営が保護する形になった。
特に大きな罰はない。
ネ音を刺そうとしたときの高笑いは
精神的なものだと判断された。
追い詰められていたから
あのような反応をしたのだろう。
そう判断された。
雪風は自分に課せられた罰に
納得していないそうだ。
そこで雪風に新しい任務を与えた。
それは佐世保鎮守府への偽報告と
大本営特殊部隊への配属だ。
あの男に偽の報告をする。
その際、あの時の笑い声で
しっかりと報告させるのだ。
そして大本営の特殊部隊入りについても
同じタイミングで報告させる。
大本営の特殊部隊は機密が多い。
大本営の艦娘の一部しか知らない。
流石に私が知るわけにはいかないため、
此処の情報については分からない。
だがかなり大きい情報だ。
その情報も入り次第伝えると
報告させる予定だそうだ。
そうすることで雪風が
自分に従う駒だと思わせる。
大本営の情報が自分に入ると
思わせる形にした。
雪風にとって罰が無いように思えるが、
この舞台の鍛錬が罰のようなもの。
あの神通教官の鍛錬を倍以上。
そんな鍛錬に参加させるのだ。
十分な罰になるだろう。
叢雲たち五人は鍛錬を
丁からすることになった。
1から基礎を叩きこむらしい。
その担当は川内。
理由は私を襲わせた元凶だから。
元々の原因は明らかに川内のため、
連帯責任として神通に指名された。
研修生はいつも以上に厳しく指導され、
川内は彼女たちの卒業まで夜戦禁止。
良い感じの罰を与えられていた。
これが1つ目の理由。
もう1つはあるイベントの事。
皆は覚えているだろうか?
私が暴走する前に話していたこと。
川内型の三人と話し合って
強制的に決まったライブ参加の件だ。
どうやら元帥に話を通したらしい。
その結果あっさりと承諾。
大本営主催のライブが
行われることとなった。
今回の件があるため
一般人の参加はできない。
その代わりに、基地のメンバーが
こちらに来られるようにするそうだ。
大本営の艦娘が警備につくらしい。
そのため基地の艦娘のほとんどが
大本営に来る予定になった。
私の知らないうちに
いつの間にか話が進んでいた。
ライブ予定は2週間後らしい。
そのためこれからは
何回か打ち合わせをするらしい。
早速明日から打ち合わせをすると
那珂ちゃんはそう言って去っていった。
私はこの事件で忘れていたのだが、
よく覚えていたものだ。
とにかく私はイベントで
できる限りの事をするつもりだ。
楽しいことは別に嫌いじゃあない。
これを機に関係が良くなればと
そんな淡い願いもある。
明日からまた忙しくなる。
おそらく今日以上に忙しいだろう。
だから私はもう眠りにつく。
いつもより少し早いが、
早起きするには必要だろう。
久しぶりの早朝練習もしたい。
もちろん鍛錬も忘れない。
やることを考えつつ、
私は布団に入り目を瞑る。
暖かいネ音の体温を感じながら。
明石…ドンマイ。
第2章で同行するメンバー(残りのメンバーは基地でお留守番)最終投票
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キューちゃんズ(イ級×4)
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ネ音(ネ級)