私の想いを歌にのせて平和を願う   作:猫神瀬笈

53 / 86
第三章に突入するのです。

やること多くて後半は
投稿が送れる見込みです。

ご了承ください。


第三章 佐世保鎮守府編
第1話 救いの手を


 

鳥のさえずりが聞こえる朝。

 

いつもより少し冷える海岸に私はいる。

 

昨日の那珂ちゃんとのライブは

無事に成功させることができた。

 

基地のみんなを楽しませることも。

 

研修生たちも楽しめたそうだ。

 

そんなライブが終わった次の朝、

いつも通りに私は海岸に来た。

 

今日から通常の勤務になるからだ。

 

いつも通り、朝に歌って鍛錬。

 

そのため遅くならないうちに歌う。

 

昨日の楽しさから

一転変わった今日の静けさ。

 

また何か起こるのではないか。

 

そんな不安に駆られる。

 

そんな時に見える日の出。

 

それは全ての闇を

晴らしてくれるように思えた。

 

これから進む道を照らす。

 

そんな光のように思えた。

 

この光は未来の光であると。

 

そんな歌を歌う。

 

いつもよりスッキリした、

そんな気がした。

 

「お~い、歌音~。」

 

私を呼ぶ誰かの声。

 

声の方を向くと秋雲がやってきた。

 

頼みがあると言って。

 

内容は憲兵たちの鍛錬。

 

今日はその相手をしてほしいそうだ。

 

特に用事があるわけではないし、

鍛錬もしたかったため私は了承した。

 

話を終えたところで放送。

 

どうやら全体の起床時間のようだ。

 

そろそろ戻ろう。

 

秋雲は食堂に行くそうなので

一緒に行くことにした。

 

その前に一度部屋に戻ろうとする。

 

すると何かを感じた。

 

何がとははっきりとは分からない。

 

ただ気になって海の方へ振り返った。

 

映るのは海と大本営を照らす太陽。

 

その下に移る黒い何か。

 

私は目を細めてその姿を見る。

 

太陽に照らされる何かを。

 

次第にその姿が見えてくる。

 

服装は朝潮たちと似ている。

 

サスペンダー付きのスカート。

 

白い髪のボブカット。

 

オレンジのスカーフを付けていて、

後ろから黒い煙を…出して……!

 

次の瞬間、私は海に飛び込んだ。

 

海上に立ち、大声で秋雲に言う。

 

「秋雲!明石に連絡、早く!」

 

「わ、分かった!」

 

私はすぐに最大船速で

目に映った何かへ向かった。

 

近づくほど容姿がはっきり見える。

 

体中傷だらけの艦娘だ。

 

だが、私は彼女の事を知らない。

 

少なくとも大本営にはいない。

 

どこの子か分からないが、

保護はするべきだろう。

 

彼女も私の事に気づいたようだ。

 

必死にこっちに向かってくる。

 

私は少し手前で

 

速度を落とし、受け止める用意をする。

 

少女は私に抱き着くように倒れた。

 

「…おねが…いで…す……、

朝…雲さ…んたち…を……助け………」

 

少女はそのまま意識を失った。

 

体重が一気にかかった。

 

急いで入渠させた方が良いだろう。

 

すぐに抱っこして海岸へ戻る。

 

戻ると秋雲と明石、

元帥と朝潮が立っていた。

 

朝潮は運動着であるため

さっきまで鍛錬をしていたのだろう。

 

たまたま同行したのだろう。

 

それよりも早く

この少女を入渠させなければ。

 

担架を用意してくれていたので

少女をそこに乗せる。

 

秋雲と明石がすぐに担架を運んでいく。

 

私達はその様子を見送る。

 

朝潮はとても心配そうに見ていた。

 

見送った後、私は元帥に事情を説明。

 

詳しい事は朝食後に話すことになった。

 

 

 

 

 

朝食後、私は提督室にやってきた。

 

ここに来て最初に入った部屋だ。

 

部屋に入ると提督と朝潮が

ソファーに座っていた。

 

私はその向かい側に座る。

 

大和がお茶を出してくれたので

一口飲んで落ち着く。

 

湯呑を置いたところで

元帥から話をされる。

 

さっきの少女は入渠が済んで

医務室で点滴をしながら熟睡中。

 

多くの傷に栄養失調、

疲労が見られたそうだ。

 

明日には目覚めるため、

その時は色々聞くそうだ。

 

とりあえず一安心というところだろう。

 

だが、そうじゃないのが一人。

 

朝潮の様子がさっきからおかしい。

 

やはり、あの少女と

何かしらの関係があるのだろう。

 

「気になる?あの子が誰なのか。」

 

そう言って元帥は一枚の紙を出す。

 

書かれているのは少女の情報だった。

 

名前は……

「朝潮型7番艦 夏雲」

 

やはり朝潮の妹だった。

 

彼女は最近になって現れ始めたらしい。

 

大本営にいない理由は

単に邂逅できなかったから。

 

他の鎮守府では邂逅報告があったらしい。

 

朝潮の様子がおかしかったのは

そんな妹が心配だったからだろう。

 

それにかなり劣悪な環境にいたようだ。

 

朝潮の目は怒りに満ちており、

涙が滲んでいた。

 

手を強く握り、震えている。

 

元帥はそんな朝潮の頭を撫でる。

 

朝潮を落ち着かせるために。

 

「どうして…あんなひどいことを…」

 

体を震わせる朝潮。

 

元帥はただ頭を撫でる。

 

「言ったでしょう、それが人間なのだと。」

 

少し目線を落して言う元帥。

 

彼女にも何かあったのだろう。

 

だが、私が深く聞くわけにはいかない。

 

しばらくの間この部屋は静かになった。

 

お互いが沈黙したこの空間。

 

ただお茶を啜る音だけが響いた。

 

そんな沈黙が破られたのは約5分後。

 

扉がノックされた。

 

入ってきたのは明石。

 

手には複数の資料とパソコン。

 

それを元帥の前に置く。

 

私も手招きされたので

パソコンの見えるところへ。

 

そこに移っているのは男の人。

 

隣には電と男性に甘える夕立、

黒いフードの少女が映っていた。

 

服装的に相手は提督なのだろう。

 

「やあ、久しぶり。

元気にしてたか、ガキンチョ。」

 

「一言余計よ、この猫野郎。

後、ちゃんと元帥って呼びなさい!」

 

いきなり始まる口喧嘩。

 

仲が悪いのだろうか?

 

すごい勢いで悪口が飛び合う。

 

しかし、どうやら口だと

元帥には分が悪いらしい。

 

次第に勢いがなくなっていった。

 

画面の向こうで男性がクスクスと笑う。

 

元帥は顔を真っ赤にしていた。

 

「~っで!用事は⁈」

 

苦し紛れに話題を変えた。

 

男性は苦笑いしながら答える。

 

「ああ、顔出しと明石の依頼の報告だ。

そこの資料通りだが、どうする?」

 

元帥が資料を見る。

 

内容は夏雲の情報だった。

 

書かれていたのは夏雲の邂逅情報。

 

各鎮守府の情報が書かれていた。

 

いくつかは黒塗りされていて

見ることはできなかった。

 

「そうね…明日次第になるかしら。

早くて明後日には出る予定よ。」

 

元帥はそう言う。

 

これからの何かしらの話をしている。

 

でも、私にはよく分からなかった。

 

もうついていけてないのだが。

 

明石の方を向いても

苦笑いをするだけだった。

 

「了解。あ、うちに来るなら

そこのお嬢さんも連れてきなよ。」

 

そう言って指をさす。

 

その方向は明らかに私の方。

 

「君とは話してみたいし、

この子と仲良くなれそうだしね。」

 

そう言ってフードの少女を撫でる。

 

とても嬉しそうな少女。

 

見ているとこっちが笑顔になる。

 

何度も撫でていると夕立が怒る。

 

それを抑えながら男性は言う。

 

「また時が来たら連絡してくれ。

うちはいつでもウェルカムだからさ。」

 

そう笑顔で言う男性。

 

夕立は電に画面外へ連れていかれる。

 

私達はその様子を見て笑っていた。

 

「それじゃあ、またな。

大和~、子守はしっかりな。」

 

「また私を子ども扱いしたな!

減給してやろうか!」

 

「怖い、怖い。ちゃんと牛乳飲めよ。

それじゃあ、またね~。」

 

そう言うと画面が黒くなった。

 

どうやら通信が終わったらしい。

 

元帥は顔を真っ赤にして怒り始める。

 

悪口が一向に止まらない。

 

既に大和に向かって

愚痴を吐き始めていた。

 

まあ、あそこまで煽られたら

いくら元帥でも怒るだろう。

 

しかし、この状況はマズイ。

 

このままでは巻き込まれるだろう。

 

明石が仲介に入ったが

そのまま巻き込まれた。

 

巻き込まれるのは嫌なので

急いで朝潮の手を掴む。

 

そして発狂している元帥を横目に、

朝潮を連れて部屋を後にした。

 

あの男の人の事。

 

あのフードの少女。

 

そして話の内容。

 

聞くべきことは山ほどある。

 

本当は色々聞きたかったが、

明日にでも聞くとしよう。

 

夏雲が助けを求めた理由が

分かるのだから…。

 

 

 

 




第二章最後に出てきたのは
最近登場した夏雲ちゃんでした。
このお話のキーマンになるでしょう。

男性はどこかの提督さんです。
古参の人からすれば見覚えがあるでしょうね。

まあ、他人の空似ですが…。

第2章で同行するメンバー(残りのメンバーは基地でお留守番)最終投票

  • キューちゃんズ(イ級×4)
  • ネ音(ネ級)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。