私の想いを歌にのせて平和を願う   作:猫神瀬笈

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プロローグ6 信頼を得て

 

私は浮いていた。

 

海から少し浮いていた。

 

体はまた前世の私に戻っている。

 

景色はあの人と別れた後のままだ。

 

ここは少し不思議な暖かさを感じる。

 

私は夢かと思いながら呆けていると

後ろから声が掛けられる。

 

「また、会えたわね。」

 

私は振り返る。

 

前にここへ来たときと違い、

はっきりと聞こえたその声に反応する。

 

そこにはボロボロではないあの人、

青い袴の人が立っていた。

 

「あなたに

伝え忘れていたことがあります。」

 

女性が

「伝え忘れていた」と言ってくる。

 

何を伝え忘れたのか

聞いてみると2つあるという。

 

1つは名前。

 

確かにお互いに自己紹介していない。

 

それに、私…こっちに来てから

誰にも名前を言っていない。

 

そんなことを考えていると、

先に女性の方が自己紹介した。

 

この女性の名前は

「加賀」と言うらしい。

 

ああ、あの演歌の人か。

 

お兄ちゃんに聞かせてもらって

私が演歌を歌うきっかけになった人だ。

 

声だけ聴いていたから

どんな人か知らなかったんだよね。

 

パソコンなんて使えないから尚更。

 

まさかきっかけの人に

会えるとは思わなかった。

 

それじゃあ、今度は

こっちから自己紹介をしよう。

 

私の名前は 布仏 歌音(のほとけ うたね)

 

あの可愛い

「のほほんさん」とは関係ないよ。

 

たまたま苗字が一緒なだけ。

 

私、あそこまで のほほん とできない。

 

お互いの自己紹介を終えて

加賀さんが2つ目のことを伝えてきた。

 

それは鎮守府の事である。

 

正しくは鎮守府の場所。

 

確かに聞いていない。

 

どうやらここではないようだ。

 

詳しく聞くと「佐世保」

と言うところらしい。

 

ここの写真を見たとき

ここの加賀さんだと思っていたから

先に聞けてよかった。

 

そこからは前に約束したことと一緒だ。

 

今回はその詳細を聞いた。

 

しかし、

話が終わる少し前に体が光り始めた。

 

前と同じぐらいの時間。

 

おそらく目覚める前の数分だけ

話せるのだろうと思った。

 

後半は早口になったが、

加賀さんの想いはしっかり受け取れた。

 

この後のことも

ある程度決めることができた。

 

前と同じように私たちは手を振りあい、

白い光に包まれた。

 

 

 

 

 

私は目を覚ます。

 

さっきと違う暖かさだ。

 

私はその温もりの正体を見る。

 

私の腕の中で眠っている吹雪が、

満足な寝顔をしている。

 

警戒の「け」の字もない。

 

私は吹雪を起こさないように

毛布を身代わりにして起きる。

 

机の方では夕張が机に伏せて、

若が大の字で机の上で寝ていた。

 

見た感じだと

完成しているようだった。

 

私は夕張達も

起こさないように外に出る。

 

キューちゃんたちのところに行くと

大福たちとコミュニケーションを

取っていた。

 

私はその集まりに混ざりに行く。

 

この子たちは言葉が分かるから

自分から質問すれば意思疎通ができる。

 

何かあればこの子たちからの

ジェスチャーで何とかわかる。

 

そんな感じで私はこの子たちから

毎晩の報告を受けるようにした。

 

今日は特に何もなかったため、

キューちゃんたちにはしばらく待機。

 

大福たちは帽子に帰るために

プレハブへ一緒に行く。

 

戻ると夕張が起きていた。

 

私は大福たちを帽子に誘導し、

全員が入った後に話を聞く。

 

どうやら私たちが眠りについた後、

通信装置が完成したらしい。

 

既に完成時に連絡を取っており、

向こうの状況を聞いているそうだ。

 

ここの鎮守府の人たちは提督含め

1人の犠牲も出なかったそうだ。

 

提督は全治2か月ほどのケガだが、

今も無理して提督業をしているらしい。

 

今は本土前の島に新しく設立されている

簡易の基地で運用しているらしい。

 

向こうとこちらの状況が分かり、

最期の問題について話す。

 

もちろん、私のことだ。

 

特殊とは言え空母ヲ級。

 

人類と艦娘の敵である。

 

そのことに変わりはないのだ。

 

向こうからしたら夕張が無理に

連絡させられている、もしくは

洗脳されている思われているらしい。

 

そこで夕張からの案として、

私と会話をすることが決まった。

 

私は悩むことなく承諾した。

 

加賀さんとの約束もある。

 

疑われても、捕虜にされても

近づくことが大事だと考えたから。

 

私の意思を伝え、夕張は連絡をする。

 

早速連絡がつながった。

 

通信装置は従来の携帯と同じように

連絡ができるみたいだ。

 

改めてみると放送機器のようにでかい。

 

その装置で、まずは夕張が話す。

 

私と会話ができるように

話しを誘導してくれた。

 

そして夕張は席を立ち、私を座らせる。

 

夕張は横から色々教えてくれるそうだ。

 

「話してもいいだろうか?」

 

突然装置から男性の声が聞こえる。

 

夕張が言うには

この声が提督だそうだ。

 

その提督からの最初の言葉は

お礼だった。

 

吹雪のことと夕張のことだ。

 

ふたりとも大切な仲間だから

心配していたと言う。

 

私は「たまたま」と伝えた。

 

次に私について聞いてきた。

 

私の正体、

ただのヲ級と思えない私の事を。

 

私は少し悩んだ後に

私が転生者であることと

前世の名前を伝えた。

 

「のほほんさん、じゃないよ」と

言ったら提督に笑われた。

 

どうやらこちらにも

そういうものはあるらしい。

 

そこからはひたすら質問に答えた。

 

私の目的、考え方、感情、知識。

 

様々な質問をされた。

 

質問が一通り終わった後、

提督は「ん~」と唸っていた。

 

それもそのはずだ。

 

私のような存在を受け入れるには

まだ判断材料が足りない。

 

通信装置越しであるため

声しか届いてないのも原因だ。

 

彼が私を受け入れるには

私の考える一番理想的な展開に

持っていくことが必要だ。

 

私はそうなってくれと願う。

 

通信の向こうで誰かが提督を呼ぶと

提督は決心したように「よし」と言った。

 

そして私にある提案を持ちかける。

 

「彼女たちの護衛を頼めるだろうか。」

 

私はいい提案だと思った。

 

提案とは夕張達を

鎮守府まで護衛すること。

 

ヲ級である私に護衛を任せたのだ。

 

理想とは少し違ったが、

信頼を掴み取るチャンスだと思った。

 

しかし、私はこれでいいのかと聞いた。

 

この提案は私を信頼しての提案であり、

夕張達の安全は保障できない。

 

私が護衛と称して

襲う可能性だってあるのだ。

 

だが提督は、それはないと言い切った。

 

私の声色と夕張の楽しそうに話す声で

信頼を勝ち取れたようだ。

 

悩んでいたのは提督としての立場では

独断できないかららしい。

 

それなら仕方ないと思った。

 

とりあえず私が

護衛任務をすることが決まった。

 

イ級が数隻いることも伝えてある。

 

その辺においても許可してくれた。

 

後のことは夕張に任せることにした。

 

私が場所を聞いて誘導するより、

夕張の指示で動いた方がいい

と私から提案したからだ。

 

提督はこの提案を承諾した。

 

 

 

 

 

ようやく最初の目的を

達成できそうだ。

 

私はこの連絡が終わるまで

吹雪と一緒にキューちゃんたちと

歌いながら戯れることにした。

 




プロローグが終わるまでに
あと一人ぐらいは
仲間を増やしたい。
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