私の想いを歌にのせて平和を願う   作:猫神瀬笈

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久々の連続投稿
やる気のある時にするべきだね。


第16話 別れと真実、そして…

 

赤城さんが目覚めてから数日が経った。

 

大本営・呉の支援により、佐世保は

通常運営できるまで回復した。

 

今は霧島が提督代理、

長門と飛龍が艦隊をまとめている。

 

大本営の特殊部隊は

別任務があるため既にお別れ。

 

呉鎮守府の面々も提督が着いたら、

猫さんと呉に戻ることになっている。

 

あれから変わったことと言えば

新たな職員が増えたこと。

 

大本営から数十人、

伊勢、木曾を中心とした憲兵と

鳥海、白雪を中心とした職員だ。

 

彼女たちは

艤装を使うことはできない。

 

装備しようとすると

体が拒絶してしまう。

 

響たちと同じ状況だ。

 

そんな彼女たちだが、

自分にできることを探していた。

 

艤装が使えない自分たちにできること。

 

そんな彼女たちに訪れた

今回の佐世保の一件。

 

彼女たちは喜んで承諾した。

 

今は職員として響たちと

事務作業、間宮の手伝い、家事などを。

 

憲兵として鎮守府の警備、

鎮守府周辺の捜査などを。

 

各々の役割を(まっと)うしている。

 

新しい提督もあと数日すれば

着任する予定になっている。

 

それまでもうしばらく、

ここで過ごすことになる。

 

話しは変わるが、赤城さんは

あれから変わらなかった。

 

上の空になることや

ヌ―スを見ることが多い。

 

何かを感じ取ったのだろうか。

 

薄々、ヌ―スの正体に

気づいたのだろう。

 

私はそう考えている。

 

そう思いながら私は赤城さんを

食堂まで連れて行った。

 

 

 

 

 

食堂に行くと久しい顔を見た。

 

それは目に大きな隈を作った秋雲。

 

怠そうに机に伏していた。

 

こうなるのも仕方がないだろう。

 

彼女はずっと

朝潮の監視をしていたのだから。

 

私はそんな秋雲の頭を撫でる。

 

前線基地の秋雲を思い出す。

 

お世話をしていた時を。

 

少し懐かしく思っていると——

 

「すぅー、すぅー」

 

秋雲が寝息を立て始めた。

 

余程疲れがたまっていたのだろう。

 

だが、もう少しすれば

食堂に人が集まってしまう。

 

秋雲をこのままにすべきではないと

そう思った私は、秋雲を抱きあげる。

 

赤城さんの事をヌ―スに任せ、

私は秋雲を部屋に連れて行った。

 

部屋は私達と同じなので

布団を引いてそこで寝かせる。

 

食堂に戻る前に雷たちを見つけたため、

秋雲の事を伝えておいた。

 

偶に顔を出して、

様子を見てもらうように。

 

そうして食堂に戻った。

 

かなり人が増えた食堂。

 

そこでは…。

 

「どうしても、

教えてはくれないのですか?」

 

「どうしてもですよ、赤城様。

私があなたにお話しできるのは、

歌音様に許されたことのみ。

それに、あなたが知りたいことは

私が簡単に話していい事ではない。

それほどの事ですので。」

 

ヌ―スと赤城さんが話していた。

 

周りの事は気にしていないようだ。

 

それほど聞き出したいのだろうか。

 

内容を聞いた感じだと、

恐らくヌ―スの事だ。

 

やはり、正体がバレているのだろう。

 

私は聞かなかったことにして戻る。

 

すると、赤城さんは私に聞いてきた。

 

「歌音さん、教えてください!

彼の正体を!」

 

机をバンッ!と叩き、

真剣で鋭い目をする赤城さん。

 

周りが驚いていることにも、

自分の体の痛みにも気づいていない。

 

私はなるべく冷静に返答する。

 

「教えたはずですよ、実験で生まれた

元はヲ級の艤装でありヌ級であると。」

 

「嘘を…言わないで…。」

 

「嘘では…。」

 

「ならどうして!

私の艤装妖精との会話の中に昔の、

加賀さんと私が競い合った時の

撃墜数の話が出てくるんですか!」

 

その言葉に私は驚いた。

 

ヌ―スと妖精の会話を聞いた中に

そんな言葉が出ていたとは。

 

恐らく、加賀の装備にいた時の話を

赤城さんが聞いてしまったのだろう。

 

だが、私はこれ以上に

さらに驚かされることになる。

 

それは続けていった赤城さんの言葉。

 

「それに、何故あなたが、あの部屋の、

タンスの中の配置を知っているの!

あのタンスの中の配置を知っているのは

私と加賀さんだけしかいないのに!

どうして服の場所が分かったの!」

 

私はハッとして思い出す。

 

無意識だった。

 

私はこの数日、あの部屋のタンスから

迷うことなく赤城さんの服を出した。

 

まるでそこにあるのが

当然だと言うように。

 

服は全てバラバラな配置で初見では

どこにあるか分からないはずなのに。

 

加賀の体であるが故に

動きが身に染みていたのだ。

 

自分の中で

当たり前のようになっていたのだ。

 

この発言によって

私の体から冷や汗が出てくる。

 

言い逃れができない失態を

私がしてしまった。

 

「ずっと気になっていたの。

彼の話の内容と貴方の行動。

見えているのに見えない事、

まるで加賀さんがそこにいる、

そう思えてしまうことに。」

 

赤城さんの言いたいことは分かる。

私の行動が加賀のようなのは、

私の体が加賀のものだから。

 

そこから沈黙が続いた。

 

短いようで長い沈黙。

 

その間に私は考えた。

 

最近の赤城さんの様子が変なのは

ヌ―スの事だけでなく、

私も含まれていた。

 

無意識とはいえ、

想定より早く気づかれた。

 

だから悩んだ。

 

このまま真実を伝えるかどうか。

 

これは残酷な真実だ。

 

加賀とエラー娘の言っていた

加賀さんの消失トリガーが、

真実を告げることなら。

 

すぐにお別れになるだろう。

 

だから私は、赤城さんに問う。

 

「赤城さん、このことを伝えるには

貴方の覚悟も必要です。

真実を知る覚悟がありますか。」

 

私の問いに赤城さんは答えた。

 

「…教えてください。

覚悟は、出来ています。」

 

その言葉を聞いて、私は

大きく深呼吸をした。

 

そして、真実を語る。

 

それは、私がここに生まれてからの事。

 

私の死

 

転生

 

加賀の言葉

 

目的

 

これまでの事

 

ヌ―スの事

 

そして、私のこれからの事…。

 

全ての真実を赤城さんに、

ここに居る者に告げた。

 

「これが、真実です。

本来深海棲艦として蘇るはずの

加賀の体に入ったイレギュラーが私。

そして、私は赤城さんに真実を伝えた。

恐らくこれがトリガーになる。」

 

そう言うと私の体は光始めた。

 

予想通り、真実の公開が発動条件。

 

加賀の成仏が始まった。

 

体は次第に半透明になっていく。

 

「歌音様!」

 

「この体の、加賀の依頼は…

ここへの帰還と、ここを救う事。

すでに達成されていたのよ。」

 

体に力が入らなくなり、

眼も次第に見えなくなる。

 

まるで役目を終えたかのように。

 

倒れる体はヌ―スが支えた。

 

「私は…どうなるか、分からない。

この方法なら、私の魂は助かるかも、と

一度、私は拒否したけど、あの人は…

加賀は、覚悟して…この選択をしたの。

私を、攻撃して、敵になってまで…。」

 

私はあの戦いの事を話す。

 

お互いが覚悟を決めた、

あの時のことを。

 

「私も、覚悟はできているの…

仮に、ここで消えてしまっても…

目的は…達成したのだから…。」

 

さらに光は濃くなっていく。

 

反対に私の体は薄くなっていく。

 

でも、不思議と恐怖はない。

 

加賀と別れると決めた時、

あれほど嫌がっていたのに。

 

「ヌ―ス…私が消えたら…

赤城さんを…ネ音を…

キューちゃんたちを

よろしく…ね……。」

 

次第に意識が薄れていく。

 

目の前の景色も白く染まり、

何も、聞こえない…。

 

 

 

 

 

真っ白な空間

 

何も無い

 

静寂だk「何を言っているの?」

 

声が聞こえた

 

私の知っているあの声。

 

「生きているのだから、当たり前よ。」

 

私は…生きている?

 

「貴方はまだ、消えていないわ。」

 

光が集まっていた。

 

そこから形が出来上がる。

 

見たことのあるサイドテールに

青色の袴を履いた女性。

 

いつもの加賀の姿がそこにあった。

 

何故かいつもより

私の視線が上に向くが。

 

「ここは、まだ貴方の体の中。

いつもあなたと会っていた場所。

その体のあなたは初めてだけど。」

 

そう言われたため、

私は自分の体を見る。

 

私は何故か制服を着ていた。

 

肩まで伸びた黒髪、ローファー、

白のワイシャツに黒のスカート。

 

間違いなく前世の姿だ。

 

今まではヲ級の姿だったのに。

 

「それは貴方の魂が

混じり気のない、純粋な

貴方だけの魂になったから。」

 

「そして、これから元に戻る。」

 

声がした。

 

そこにいたのはエラー娘。

 

「加賀、もう時間になる。

そろそろ準備をしてくれ。」

 

エラー娘はそれだけ言って消えた。

 

そして、加賀の体は光だした。

 

私は無意識に走って、

加賀に飛び込んだ。

 

別れを意識すると、悲しくなる。

 

辛い、嫌だ、そんな思いで飛び込んだ。

 

だが、その思いと行動は無駄に終わる。

 

私の体は加賀の体をすり抜けたのだ。

 

私はそのまま倒れる。

 

「もうお別れなのよ。

貴方が私に触れることはできないの。

でも、その逆はできる。」

 

加賀は私を抱きあげ、抱きしめた。

 

触れなかったのに、触れている。

 

暖かい、温もりを感じる。

 

涙が、止まらない…。

 

そんな私の頭を撫でながら、

加賀は話し出した。

 

「これで貴方とはお別れ。

だから、貴方に感謝したいの。

歌音、赤城さんと鎮守府を

救ってくれてありがとう。」

 

加賀は腕を離すと、

自分の髪留めを外す。

 

そしてそれで、私の髪を結んだ。

 

加賀と同じ、サイドテールに。

 

そして、加賀の光が濃くなる。

 

さっきの私のように。

 

少しずつ上に浮いていく。

 

そんな状態の加賀から

あることを伝えられる。

 

「そうそう、私は貴方に

一つだけ嘘をついていたの。

貴方の魂が残るのは確定よ。

あの妖精と話して真実を隠したの。

そうしないと、貴方は私と

消える道を選ぶはずだから。

だから、赤城さんと鎮守府を

よろしく頼むわよ、歌音。

鎧袖一触よ、心配いらないわ。」

 

その言葉と同時に、この空間を

真っ白い光が埋め尽くした。

 

体の感覚は無い。

 

さっきまでの体も見えない

 

何も無い空間

 

真っ白い世界

 

そこに声が聞こえた

 

『歌音、ありがとう。さようなら。』

 

その言葉を最後に、全てが…。

 

 

 

 

 

 




急展開にしたのは
私の発想がこれ以上でないから。

でも、これでいいと思う。
やりたいことはできているから。


みんなは、どんな別れの言葉を残したい?
私は

『笑え。その笑顔が、
俺の天国への切符だ。』

俺が死ぬときはそう言おう。

第2章で同行するメンバー(残りのメンバーは基地でお留守番)最終投票

  • キューちゃんズ(イ級×4)
  • ネ音(ネ級)
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