残り何話で
終わるだろう
真実を伝え、消えるのか残るのか
分からなかった私。
それは加賀がついた嘘で、
私が残るのは確定だった。
浴場で復活し、前世の姿で
色白の肌になった私は、
呉の明石にすぐに検査された。
体は空母ヲ級から艦娘へと変化し、
人より頑丈な体になった。
体に力が入らなかったのは
この体に
早ければ数日で
元通りの動きができるらしい。
しばらくは、お世話されるらしい。
その言葉に喜んだのは秋雲とヌ―ス。
とても嫌な予感がしたが、
その予想は正しかった。
ヌ―スは完ぺきに世話をした。
どこで身に付けたのかは知らないが、
お姫様のようにお世話された。
髪を
食事を用意し、食べさせてくる。
抵抗できない私は
されるがまま、世話をされた。
秋雲はその様子を見て、
何やらメモを取っていた。
そのメモ帳の表紙には、
こう書かれていた。
『ネタ帳 報告用』と。
恐らく、というより間違いなく、
基地の秋雲に送られるネタだろう。
だが、私になす術はない。
特に大変だったのは
駆逐の子たちだ。
姿の変わった私に興味を持ったのか、
周りに集まるようになった。
集まるだけならいいのだが、
みんなでお世話をするために、
立場を取り合うのだ。
お互いに譲らない駆逐達。
それを見た軽巡以上の艦娘たちが
上手いことまとめてくれる。
私と赤城さんの2人に担当を分け、
日付ごとに変わるようにしてくれた。
お陰で駆逐達は満足し、
負担は少なく済んでいる。
リハビリの時は明石たちが
無理のないようにしてくれた。
私に合わせたリハビリ用の設備、
移動用の車椅子。
簡易的なバリアフリーの設備も
私の行動する範囲に用意してくれた。
食事の面ではもちろん
間宮が担当してくれた。
明石や猫さんと話し合い、
食事のメニューを考えてくれた。
味は申し分なし。
文句なんてあるわけがなかった。
たまに駆逐達が作ってくれた。
間宮が忙しい時に
代わりに作ってくれたのだ。
間宮の料理に慣れてしまうと
感想が言いづらいが、
美味しいことに変わりはない。
丹精込めて作ってくれたのだ。
赤城さんも一緒に食べ、
いつも通りにお代わりをする。
赤城さんは私と食べた時以上に
お代わりをしていた。
目覚めてから数日間。
いろんな楽しい時間を過ごしてきた。
一緒に歌を歌ったり、食事をしたり、
リハビリの応援をしてもらったり。
動けるようになってからは
無理のない範囲で遊んだ。
赤城さんとは、よく散歩をしたり、
空母たちと一緒に会話をしたりした。
体を動かすために弓道場で
矢を打つこともあった。
赤城さんは車椅子に乗ったまま、
綺麗な形で打っていた。
みんなで競い合うこともあったし、
飛龍に挑まれたこともあった。
何度も挑戦してきたため、
飛龍の隠し事を話すことを
条件にしてみた。
そうしたら、すぐに引き下がった。
あわよくば聞き出そうと思っていたが、
残念ながら知ることはできなかった。
楽しかった。
気を緩ませて、ゆっくりできる時間が。
懐かしく感じるこの時間が、
私を楽しませてくれた。
だが、そんな時間は
早く経ってしまうものだ。
私が目覚めて一週間もなかったが、
この鎮守府に新たな提督が着任する。
数日前に聞いていたことだ。
その日がもう来たのだ。
私達はその提督の到着を
待つことになった。
私達は食堂でゆったりとしている。
新たな提督が来るまで
時間に余裕があるからだ。
リハビリのお陰である程度動ける私は、
自分で食事を運ぶ。
赤城さんの分も運び、
駆逐達と一緒にゆっくりと食べる。
すると、大きな音が鳴った。
爆発したような、壊れるような。
何かデジャブを感じた私は、
急いで食堂を出る。
目線の先には走ってくる白雪と
艤装を持った朝潮。
どうやって出てきたのか、
どこから艤装を持ち出したのか。
詳しいことは分からないが、
白雪を逃がさなければいけない。
それは私の後ろにいる
ヌ―スも分かっていた。
だからヌ―スは
白雪と朝潮の間に入った。
私は白雪を誘導し、食堂に避難させる。
私も避難しようとすると、
「歌音様!危ない!」
ヌ―スがそう叫んだ。
私が振り向くと、
そこには黒い煙と黒く汚れたヌ―ス、
こちらに向かってくる朝潮。
距離にして約20m、それよりも少ない。
朝潮は跳躍しながら、
こちらに砲を向けていた。
私は自分の死を悟った。
黒煙とヌ―スの様子から
撃たれたことが分かる。
そして、私に向ける鋭い目と
こちらを向く煙を出したままの砲。
私に対する敵意と殺気。
とてつもなく強く、恐ろしいものだ。
そのため私は怯んでしまった。
そのため、反撃はできない。
自分の身を守ることだけしか
この時の私には浮かばなかった。
「死」と言うものが
私の頭にちらつく。
周りがゆっくりに見えた。
本当に死ぬのだろうか。
そう思い腕で顔を守り、目を閉じた。
怖かった、死ぬのではないかと
恐怖したことで体が震えた。
しかし、痛みは
いつになってもやってこない。
私は震えながら目をゆっくりと開ける。
するとそこには、ヌ―スではない、
黒髪のロングヘアで白い軍服を着た
人物が立っていた。
「まったく、着任早々に仕事なんて、
先が思いやられますね。」
そう言う人物。
声からして女性だろう。
女性の見る方向を見ると、
倒れている朝潮が。
その手には艤装が無く、
女性の手に握られていた。
目を瞑っていたため、
何が起こったのか分からない。
この女性が守ってくれたことと、
朝潮の艤装を奪ったこと。
私に理解できたのはそれだけだった。
女性はそのまま朝潮に近づく。
朝潮は倒れた状態で、
後ずさりをしながら砂や石を投げる。
それが当たっても女性は。
気にせずに朝潮に近づいていく。
そして、朝潮の目の前まで行くと
そのまま艤装、砲を向けた。
だが、艤装を扱えるのは艦娘だけ。
人間が艤装を扱うことはできない。
それを知っている朝潮は
女性に向かって余裕の表情を見せる。
「それで私を殺るつもりですか?」
撃たれることは無い。
私も、朝潮も、ヌ―スも、
そう思っていた。
だが、その考えは
『ドンッ』という音でかき消された。
朝潮の顔の横、その後ろの地面に
穴が開き、黒い煙が上がっている。
それは間違いなく、女性が撃ったもの。
「その必要は無いわ。」
女性は砲を下ろし、こちらを向くと、
私に向かって敬礼した。
「自己紹介がまだでしたね。
本日より佐世保鎮守府に着任します、
『
以後、お見知りおきを。」
あいさつをしてくれた女性、潮奈は、
新しく配属される提督だった。
紹介が終わると、
後ろから足音が聞こえた。
足音の方に振り向くと、
みんながやってきた。
砲撃音を聞いてきたのだろう。
何人かは艤装を付けている。
朝潮のいる方からも
足音が聞こえ、大きくなった。
やってきたのは憲兵たち。
そのうち一人は
肩を借りて歩いている。
服がボロボロになっていて、
黒く汚れ、血も流している。
恐らく朝潮に襲われたのだろう。
その朝潮はヌ―スがしっかりと
拘束してくれている。
ボロボロの憲兵を見て、
潮奈は憲兵たちに話を聞いた。
今の朝潮は憲兵たちが
交代で監視している。
無理のないように、
秋雲と話し合って決めたらしい。
今回は昼食を出したところ、
檻を破ってきたらしい。
どこからか艤装を取り出し、
憲兵を砲撃したそうだ。
白雪は昼食を届けに来ていて、
その時に襲われたそうだ。
後で営倉を確かめる必要がありそうだ。
憲兵は元が艦娘であることが
幸いしたのだろう。
大事には至らず、入渠で治るそうだ。
潮奈は話を聞いた後、朝潮に近づく。
朝潮はヌ―スに捕まっている。
無理やりにでも解こうとするが、
その拘束は解かれることは無い。
そんな朝潮に対して潮奈は——
「駆逐艦朝潮は、所詮その程度なのね。
流石、何も守れなかったお人形さん。」
——と、発言した。
新キャラ潮奈の登場です。
詳細は次回に
第2章で同行するメンバー(残りのメンバーは基地でお留守番)最終投票
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キューちゃんズ(イ級×4)
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ネ音(ネ級)