2作品同時進行はさすがに難しいですね。
それでも頑張って書いていきます。
秋雲を止める潮奈とヌ―ス。
二人掛でも止めるのがやっとの状態だ。
今までにない秋雲の怒りに、
私は戸惑いが隠せない。
彼女をここまでさせるのは何なのか。
私がそう思っている間、
2人が止まるように声を掛ける
「秋雲さん、それ以上はダメですよ。
貴方の行動は域を越えています。」
「離せ」
「離しません。私は貴方の過去の事を
何も知りませんが、これだけは分かります。
貴方を止めないといけないという事は。」
「……ヌ―ス、あんたもか。」
「秋雲様、お許しを。
歌音様を悲しませてしまう以上は
今のあなたは止めなければいけません。
「…どうしてもか。」
「どうしてもです。それに、
私の記憶にある限り、駆逐艦朝潮は
真面目だという印象があります。
それ故に命令の絶対遵守をしている。」
「…それがどうした。
それでこいつの行動が許されるのか?」
「許されないでしょう。」
「なら…!」
「しかし、彼女は私と似たような立場です。
仮に私に対して歌音様が彼女と同じ命令を
下されるのなら、その命令に従います。」
「……」
ヌ―スは朝潮の行動に自分を重ねていた。
確かに、私が命令すれば彼は行動する。
善悪に関わらず、必ず実行する。
そう断言できる。
だからこそ、彼はあの時、
朝潮を離したのだろう。
自分でも、同じことをするからと。
似た立場にあるからこそ、
彼の言葉には説得力があった。
秋雲に入った力も、
少しずつだが弱くなっていく。
「私の意思が歌音様の意思であるように、
彼女の意思は前任の意思なのでしょう。
彼女は利用されただけに過ぎない。」
「……」
秋雲の腕がゆっくりと降りる。
考え直してくれたのか、
入った力も緩くなっていく。
「……こいつの意思は前任の意思…」
「秋雲…?」
「それならさ……、
こいつの意思でもあるよなっ!」
秋雲は急に力を入れて、私達を振り払った。
私は何とか掴んだままでいられたが、
2人の腕が離れてしまった。
私の力では秋雲を抑えることはできない。
高く上がった拳が振り下ろされそうになる。
「秋雲、ダメッ!」
「一回、しッ…ぅ……」
秋雲は急に脱力した。
まるで人形のように止まった。
秋雲の体を自分の方に傾けて顔を覗く。
秋雲は白目をむいていた。
何が起きたのか分からず、顔を上げると、
そこには猫さんがいた。
手をピンと真っすぐにしていた。
もしかしてこれって…
「初めて見ました。
これが、首トンというやつですね。」
潮奈がそう言ったことで理解した。
猫さんが秋雲を気絶させたのだ。
でも何故だろう。
猫さんの顔はどこか悲しそうで、
怒っているようだった。
「潮奈」
「は、はい!」
「お前は朝潮を営倉に連れて行け。
明石と憲兵たちを連れてどこかに
抜け穴が無いか確認し、塞いでおけ。」
「はっ!」
「歌音は秋雲を部屋に連れていけ。
目が覚めるまで、ヌ―スと傍に付け。
他の者はいつも通りに行動しろ。
白雪のフォローもしてやれ。」
いつもと違う口調で私たちに指示を出す。
感じ取れる怒りの感情。
私は、その静かな怒りに
少しだけ恐怖を覚えた。
皆の行動は早かった。
猫さんのとこの睦月型の子たちが
すぐに指示を出したからだ。
訓練に行く者、警備に行く者、
事務作業をする者。
それぞれが自分のやるべきことを
するために向かう。
私もヌ―スと一緒に秋雲を抱え、
部屋に連れて行った。
布団を敷き、そこに寝かせる。
いつ起きてもいいように、傍に居る。
秋雲が目覚めるまで、
私はさっきの事を考える。
秋雲の表情、怒り、過去。
色々とあったのだろう。
加賀にも、赤城さんにも、
雪風にもいろいろあったように。
憲兵隊の隊長をしているのも
何かしらの理由があるのだろう。
『あいつ』が誰なのかも気になる。
でも、それを聞くのは、
起きてからでいいだろう。
今はそれまでゆっくりすることにした。
これからの事、歌の事を考えながら、
秋雲が起きるまでの時間を潰す。
考え始めて1時間経ったぐらいで
私はさっきの事をヌ―スに聞いた。
「ねえ、気になったことを聞いてもいい?」
「何なりと。」
「貴方の意思は私の意思であるって
さっき言っていたでしょ?」
「はい、歌音様が望むのでしたら。」
「もし、私があの朝潮のように、
前任のように命令したら……。
貴方は、世界すら敵に回すのかしら?」
これは気になった事だ。
彼はどこまで本気なのか、
どのような返答をするのか、気になった。
ヌ―スは触手を顎に当てて、少し悩んだ後、
触手を私の方に伸ばし……。
「え?ちょっ!まっ!」
……押し倒された。
ヌ―スは悪い笑顔で私を見ていた。
「歌音様の命令であれば、
どんなことでも致しますよ。
歌音様が望むのであれば。」
とても悪い笑いをする。
いつもと何か違った。
「このように誰かを襲うことも
こうやって秋雲殿を殺すことも…。」
そう言って触手を秋雲に伸ばしていた。
それを見た時、何か怖かった。
何かを失ってしまいそうで
私はすぐに触手を掴んだ。
「ダメッ!そんなこと……。
お願い…やめてぇ……。」
よく分からなくて怖かった。
あまりにも不安になって、
涙が流れた。
この姿に戻ってから
何故か涙脆くなっている。
ここに来た時より
泣くことが我慢できないでいる。
ヌ―スは触手を秋雲から私の方に向け、
涙を優しく拭った。
「申し訳ございません。
少しからかいたくなったもので。」
さっきの笑顔と違い、
いつもの笑顔のヌ―ス。
「ですが、歌音様の命令1つで
こうすることをご理解ください。
私は、こういう者なので。」
これは警告だ。
私が道を外れるような命令を下せば
こうすることもするのだという。
私は肝に免じることにした。
それと同時に安心した。
そのせいで、また涙が出た。
その度に何度も
ヌ―スが涙を拭ってくれる。
私に対して優しいのだ。
慕ってくれているからこそ。
私に警告もしてくれた。
頼りになるし安心できる。
「……」
「どうかしましたか?」
何故だろう…いたずらな
彼の笑いを見て、イラっとした。
そう言えばさっき、
からかったと口にした。
私を馬鹿にする気
満々だったのだろうか。
無性に腹が立ったので、
私は触手を掴み、噛みついた。
「痛っ!歌音様⁈」
「ガルルルルル!」
「お許しを!私が悪かったですから!
ああああああああああ!」
いじわるされたから返そうと思った。
私はこの行動に後悔はない。
そう言う意思を持って噛み続けた。
「あの~、歌音様?」
「……プイ」
「お許しください、反応が面白…ンンッ!
素敵出したのでつい。」
「今面白いって言った!言ったよね!」
「気のせいで「気のせいじゃない!」」
私はヌ―スに飛びかかった。
覚えているすべての知識を使い、
ヌ―スを組み伏せにかかる。
ヌ―スも触手で私に抵抗する。
お互いに衣服が乱れ、
もみくちゃになりながらやり合う。
何とか上を取った私は、
ヌ―スの腕を掴んで……
「寝ている奴が隣にいるのに、
なにやってんだ、お前ら。
後、騒がしい。外まで響く。」
声がした方を向くと、
仁王立ちの猫さんと龍田が扉の前にいた。
私はヌ―スと見合うと、
すぐに土下座をした。
「いや、怒ってないから。
様子見と注意しに来ただけだから。」
そう言われて頭を上げる。
確かに昼の時とは違った。
いつもの猫さんだった。
「秋雲の事はすまなかったな。
あいつ、怒ると周りが見えなくなるから。」
「猫さんは秋雲の過去を知っているの。」
「……知っているけど、
俺の口からは言わないよ。」
「どうして?」
「これは秋雲の問題だからな。
彼女から話してもらうといい
俺が勝手に言うのは違うからな。」
「分かった、猫さんはどうするの?」
「俺はまだやることがあるから、
また時間が空いたら様子を見に来る。
それまで秋雲の事を頼んだ。」
そう言って龍田と部屋を出て行った。
まだ夕方にはなっていない。
秋雲はいつ目覚めるのだろうか。
私達はまた静かに待つことにした。
「いいの~?これから仕事じゃなくて、
私用で大本営に行くことを言わないで。」
「言う必要は無いさ。これは彼女たちの
綺麗な物語の裏話に過ぎないからな。」
訳の分からないことを言いながら、
猫は龍田を連れて歩いていく。
そこは暗く、寂しい場所。
頼れるのは手元のライトただ一つ。
ただ歩いていき、ある場所で止まる。
「さて、君とは色々話したいが、
これから私達と同行してもらうぞ。」
「拒否権はないわよ~。
貴方はあれだけの事をしたのだから。」
「……」
ある人物と対面する。
相手は黙秘を続ける。
「君に会ってほしい奴がいるんだ。
これからの事を考える上で、
そいつとの会話は君のためになる。」
「……私に会う者はいませんよ。」
「1人だけ、君が会うべき者がいる。
さっきも言ったが拒否権はない。」
猫が手に持ったライトの光は、
その人物を照らした。
「朝潮、君を大本営に連行する。」
次回、秋雲過去話。
第2章で同行するメンバー(残りのメンバーは基地でお留守番)最終投票
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キューちゃんズ(イ級×4)
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ネ音(ネ級)