あげなかった愚か者を
どうかお許しください。
許してヒヤシンス(ペロ
「数週間後に、お互いの道に進んだ。
お互い不自由なく生活してきたし、
コミケを頼まれたのも、その頃からかな。
これが、秋雲さんの過去だよ。」
秋雲が艦娘ではなくなってから、
憲兵隊に入るまでの話。
「あいつってやっぱり
前線基地の秋雲の事だったんだ。」
「そうだよ。流石に分かるか。」
前線基地の秋雲と憲兵の秋雲。
2人のつながりはよく知っている。
最初に会った時も
あの本のモデルって言われたし。
「朝潮の言葉は昔の私のようだった。
だから私は自分を抑えられなかった。
まるで、古い鏡を見せられた感じだよ。」
「それじゃあ、怒ったのって…。」
「ああ、あれは私たちの誓いが
貶されたって感じたから、つい…。
まあ、八つ当たりも少しはあるけど。」
「やっぱ八つ当たりしてるじゃん。」
「だって、あいつのせいで私の仕事が
馬鹿みたいに増えただから少しは…。」
「それで正当化されるなら、貴方に
私が着せられたメイド服を着せるけど。」
「それだけはかんべんしてください。
あいつのネタにされてしまいます。」
私の言葉に対して秋雲は速攻で土下座した。
確かに、あの秋雲なら
間違いなくネタにするだろう。
大笑いしながら絵を描く、悪い顔が浮かぶ。
だが、それぐらいするのが妥当だろう。
秋雲がしたことは許されることではない。
ましてや八つ当たり。
立場上、許されない行為だ。
だが、朝潮を抑えるきっかけになったし、
秋雲の事を知るきっかけにもなった。
判断は猫さんと、みんながするだろう。
グゥゥゥゥゥゥ~
私とヌ―スは秋雲に目線を向ける。
秋雲はお腹を押さえて顔を赤らめた。
「…………見ないで。」
「離していて気付きませんでしたが、
夕食の時間ですね。向かいましょうか。」
「そうだね。
それじゃあ行こうか『腹ペコ先生』。」
「変なあだ名付けるな!」
「だって、さっきの話の中でも
果物に噛り付いてたじゃん。」
「それは…半年も眠ってたから…。」
「歌音様、それは仕方ないですよ。
寝ている間も体力を使うと言いますから。」
「そうだ、そうだ~!」
何故かヌ―スが秋雲に助け舟を出した。
秋雲はそれに乗った。
某ガキ大将の取り巻きお坊ちゃまのようで
秋雲に対してとてもイラっとした。
しかし、ヌ―スの顔を見て少し落ち着いた。
何故なら、ヌ―スの顔は私に向けた
悪い顔になっているからだ。
何か企んでいる悪い顔。
その理由は次の発言ですぐに分かった。
「それじゃあ、食堂へ急ぎましょう。
『百合雲』様。」
「その名前で呼ぶなーッ!」
やっぱり悪いことを考えていた。
話の中に出てきた『百合雲』というあだ名。
その名を呼ぶことで、秋雲の顔は真っ赤に。
ヌ―スは私をお姫様抱っこで担ぐと
まるで子供の様に笑い、部屋を飛び出る。
「待てや、オラァ―!」
「逃げますよ、歌音様!」
…なんで私まで?
「許さんぞ、歌音!」
ああ、どうやら私が標的らしい。
ヌ―スに抱えられながら、
何故だろう、と考えてたら思い出した。
さっき、朝潮を説得する時に
ヌ―スが言ってたもんな。
朝潮の意思は前提督の意思であり、
ヌ―スと同じだと。
ヌ―スの意思は私の意思だと…。
あれ、これ巻き添えじゃね?
そう言おうとしたが諦めた。
今の秋雲には声が届かないだろうから。
私はヌ―スに言って
鎮守府内を逃げてもらう。
途中から駆逐達に追われたり、
一緒に逃げたりした。
大きくなっていくこの騒動は、
間宮に飯抜き宣言されるまで続いた。
時が経ち、食堂の中では
間宮を前に数人で正座していた。
私とヌ―ス、秋雲の3人で。
間宮は手にお玉を持って、
笑顔で私たちを見ている。
笑顔なのに、怖い。
私の体全身が震えていた。
「どうしてこうなったのか、
きちんと説明してくれるかしら?」
私達はこの一連の騒動の説明をした。
口が勝手に動いているように
錯覚するほど素直に話した。
話を聞いた間宮はため息をつく。
「子供たちと遊ぶのはいいですが、
次やったら食事を出しませんので。
肝に免じてくださいね!」
「「「イエス、マム!」」」
息ぴったりに言葉が出た私たちは、
ゆっくりと食事をする。
過去の話と同じように食事をする
秋雲を眺めた後、入浴して部屋に戻った。
特にやることもないため、
のんびり歌っていると、潮奈が来た。
今後の事について話したいらしい。
主に私達の滞在期間についてだ。
訓練の結果、運営可能にまで回復したため、
私達が此処に居る必要はなくなった。
私の目的は既に済み、
体もほとんど治っている。
問題点は朝潮だけになった。
今は猫さんが
色々と動いてくれているらしい。
今も用事でどこかに行っており、
明日には帰ってくるそうだ。
朝潮の問題も数日もすれば解決するだろう。
そのため此処に滞在するのは
長くても4日らしい。
そこで潮奈から提案が出た。
大本営へと戻る前日の夜に
パーティーをしようというのだ。
駆逐達が泣いてしまうだろうが、
一つの区切りとして行いたいそうだ。
ズルズルと引きずるよりも
しっかりとした別れがいるだろう。
そう思っての提案らしい。
私はその提案を承諾した。
潮奈の言いたいことは分かるし、
これは自分の為でもある。
赤城さんやみんなと過ごした
短いようで長かった数十日の時。
色々あったここでの生活は
私を此処に縛り付けてしまう。
いつまでも此処に居たいけど、
私の帰りを待っている子たちがいる。
それに、私にはまだ目的がある。
そのために、ここを離れるために、
私はその提案を承諾した。
ヌ―スは当然のように承諾し、
秋雲も少し悩んで承諾した。
秋雲は立場上、すぐに戻るべきだが、
朝潮の事もあるので
解決するまでは残るらしい。
その後も色々と話し合い、
後は猫さんの判断待ちになった。
時間的にもう寝る時間になったため、
私達は解散し、眠りにつく。
私は何を歌うか考えながら
静かに眠りについた。
車がぽつぽつといるぐらいで
渋滞と縁のない道。
ゆったりと走る車が多く、
左側にしかいない。
そんな道路の追い越し車線を
時速120で走る一台の護送車。
完全なスピード違反だが、
この車だからこそ許されている。
「もう少しゆっくり走れないのかしら。
さっきからお尻が痛いのだけれど。」
「まだマシな方だ、我慢してくれ。
明日の早朝には着きたいからな。」
車を運転する猫と助手席に乗る龍田。
だが、夕方から出てこの速さなら
早朝どころか深夜に着きそうだ。
「こんなに早く行く理由は
本当にそれだけかしら?」
「……早朝までにこの車返さないと、
ただでさえ少ない俺の小遣いが
嫁たちに減らされる。」
「ええ…………。」
何とも意外な理由だった。
元帥すら翻弄する自由な人が、
こんなにも怯えるほどのお嫁さん。
どんな人なのか気になったが、
後で聞けばいいと思い、別のことを聞いた。
「気になったのだけれど、
1つ聞いてもいいかしら?」
「何か気になったのか?」
「どうして鎮守府の子たちや憲兵でなく
もう戦えない私を連れてきたのか。」
龍田としては不思議だった。
連れていくなら朝潮をどうにかできる
憲兵隊の誰かを連れていくべきだ。
「証言をしてほしいから連れてきたんだ。
ちゃんと現地の艦娘の声が聞きたいと
元帥からの申し出だ。」
「元帥がね~。本当にそれだけかしら?
それに私より赤城さんの方が良いのでは?」
連れていくなら龍田よりも
症状がはっきりとわかる赤城だろう。
龍田は別の理由があると思った。
「確かにそうだが、今の赤城を連れていくと
朝潮が暴れた時に守るのが難しいからな。」
「自衛できるからって理由?」
「それもあるが、お前なら前任に対して
容赦のない毒舌を自然に吐いてくれるだろ?
言いたい放題できるのはお前ぐらいさ」
龍田は納得した。
営倉に入れられた時もそれよりも前の時も、
ずっと毒舌を吐いたのを覚えている。
他の龍田もそう言う子が多いから
そう言う理由で選ばれたのが分かった。
「まあ、毒舌を吐いていいと、
元帥が許可を出したのは驚いたがな。
余程溜まっているのだろう。」
元帥、大変そうだな。
そう思いながら龍田は車に揺られる。
面倒くさいなと思いつつ、
楽しみだな~、と。
ストックが切れた…。
思いつくまで
しばらくお待ちください。
第2章で同行するメンバー(残りのメンバーは基地でお留守番)最終投票
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キューちゃんズ(イ級×4)
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ネ音(ネ級)