私の想いを歌にのせて平和を願う   作:猫神瀬笈

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新章スタートです。


第一章 本土前線基地編
第1話 夢は心の現れ


私は海の上に浮いている。

 

比喩ではなく本当に浮いている。

 

え?前と入りが同じだって?

 

だって同じ場所にいるんだもん。

 

赤と黒に染まった世界に。

 

体も前世の体だ。

 

だが前と違うのは体が重い。

 

お腹の辺りと右腕全体、それと両足。

 

私は私に起こったことを思い出す。

 

夕張と吹雪の護衛。

 

ネ級の仲間入りと

キューちゃんの和解。

 

見えた目的地と艦娘。

 

襲い来る砲撃。

 

夕張達を狙う白い線。

 

最期に聞こえた声。

 

私は起きたことを思い出した。

 

「私、死んじゃった……?」

 

最後がどうなったかハッキリしないが、

死んでしまったのだと思った。

 

だが、そんな考えは

ある言葉に拒否される。

 

「あなたは死んではいないわ、

私がまだ生きているのだから。」

 

聞き覚えのある声に安堵して振り向く。

 

加賀さんの声が聞けたと。

 

そして驚愕した。

 

そこにいたのは加賀ではなく、

今世(いま)の私、ヲ級だったからだ。

 

私は後ろに下がって

距離を離そうとするが、

待てと言われる。

 

そしてヲ級はこう言った。

 

「私。加賀よ。」

 

自分が加賀であると……。

 

私は加賀さんに詳しく話を聞く。

 

加賀さんの姿の変化とこの景色に。

 

加賀さん曰く、

姿と景色は私によって変わるらしい。

 

私の体の状態と心を映しているのがここらしい。

 

つまり体の状態は加賀さんに、

心はここの景色に反映される。

 

加賀さんがヲ級になっているのは

私が沈む一歩手前まで来ていたから。

 

だから私はなるべく自分も守ると

ここで決心した。

 

 

 

私はいつものように戻されるまで

加賀さんと雑談していた。

 

私のことについては

記憶が共有されていたらしく、

大体わかるらしい。

 

私には共有されなかったのに。

 

私は加賀さんに

色々と知られているため、

隠したい黒歴史も

全て知られている。

 

小学生時代の恥ずかしい

思い出すら知られてしまった。

 

もう、死にたい……。

 

会話をしながら

そんなことを思っていると

私の体が光りだした。

 

どうやら時間が来たそうだ。

 

私は加賀さんに

「また会いましょう」

と言って別れる。

 

加賀さんも

「ええ、またいつか。」

と笑顔で見送ってくれた。

 

私の視界が白に染まる前、

加賀さんの姿が元に戻った気がした。

 

 

 

私は目を覚ます。

 

目に映るのは知らない天井だ。

 

おそらく基地に

着くことができたのだろう。

 

私はまだ痛む体を起こそうとするが

あまりの重さに動かなかった。

 

何故だ、と思って首を動かし、

目だけで周囲を確認する。

 

すると、その原因がはっきりとした。

 

私の右肩で若が、右腕を吹雪が掴み、

私のお腹にネ級が頭をのせて寝ていた。

 

揃いも揃って私の体を枕にしている。

 

私は何とか動く左手だけで

全員の頭を順番に撫でていく。

 

しばらくはそれを繰り返した。

 

しばらく撫で続けたが、

そろそろ疲れた。

 

右腕は痺れて痛い。

 

はやくどうにかしたい。

 

そんなことを思っていると

扉がノックされて誰かが入ってくる。

 

ハッキリとした声で入ってきたのは

黒髪ロングの少女。

 

第一印象は真面目な子。

 

どこかのお嬢様学校に通っていそうな

黒い制服を着た少女だ。

 

私は少女に左腕を振った。

 

少女は直ぐに気づいて

近くに来てくれた。

 

とりあえず若をどけて、

ネ級の頭を少しずつ

下の方へずらしながら

体を起こしてもらった。

 

右腕は吹雪がぎっちりと

掴んで離されない。

 

無理に引きはがすのも

かわいそうなのでやめた。

 

一先ず楽な体勢になれたので

お互いに自己紹介。

 

少女の名前は朝潮と言うらしい。

 

艦種は見た目通り駆逐だった。

 

ここには私の様子を見に来たそうだ。

 

なんと丸一日寝ていたらしい。

 

時計を見ると13時を過ぎていたため、

本当に丸一日寝ていたようだ。

 

なんで分かるかって?

 

昨日の島が見えた時点で

太陽がほとんど真上だったからだよ。

 

そんなことはさておき、

私は朝潮に目覚めたことを

提督に伝えるよう頼んだ。

 

朝潮は元気に返事をして

部屋を出て行った。

 

 

 

しばらくすると

部屋の外が騒がしくなった。

 

朝潮が提督を連れてきたのだろう。

 

しかし予想とは

違う人物が入ってきた。

 

「なんでヲ級とネ級が

ここにいるのよ!」

 

そこには少し緑がかった

黒髪のツインテールの女性が

弓矢を向けて立っていた。

 

だが、その矢が放たれる前に

その声で吹雪が起きる。

 

眠たそうに起きた吹雪が

その様子を見て、

慌てて止めに入る。

 

吹雪が説明をしてくれたおかげで

私は撃ちぬかれなくて済んだ。

 

女性の名前は瑞鶴。

 

艦種は弓矢を持っているので

空母だと分かる。

 

でもなぜだろう。

 

彼女を見ていると

無性にイラっとする。

 

体の内側から苛立ちが募る。

 

私はそんな苛立ちを抑えていると

朝潮と提督、その他数名が来た。

 

メガネをかけた女性と

私が見た少女とは違うピンク髪の女性。

 

他の人間も来ると思ったが、

人間は提督だけのようだ。

 

ネ級は寝たままだが話を聞く。

 

私の今後についてだが

ここで観察という形になった。

 

観察の結果次第では

動きの制限を解いてくれるらしい。

 

それまではこの島での

生活になるそうだ。

 

提督が上と話して決めたそうだ。

 

私はそのことを受け入れる。

 

一応殺される覚悟はしていたのだ。

 

観察と動きの制限だけで

済ませてくれたことに

私は感謝しないといけない。

 

ところで、

1つ気になったことがある。

 

私の帽子とキューちゃんたちだ。

 

帽子は邪魔だからよけたのだろうが、

この部屋には見当たらない。

 

キューちゃんたちも

どこで待っているか

見当がつかない。

 

そこで提督に聞くと、

何かまずいという顔をする。

 

その目線が隣のピンク髪の人に

向けられたので私はその女性を見る。

 

その女性は観念したように話し始める。

 

「えっと、驚かないでくださいね…。」

 

そう言って一度部屋を出て

すぐに戻ってくる。

 

後ろに小さくなったツヤツヤの

キューちゃんたちを連れて。

 

私は目を見開いた。

 

あんなにカチカチだった

体がツヤツヤになっている。

 

何があったのか聞くと

キューちゃんからの提案らしい。

 

私は「?」となった。

 

詳しく聞くと、キューちゃんが

自分たちの口の砲塔を

外してくれと訴えたらしい。

 

明石は最初、嫌で断ったのだが、

キューちゃんの必死のジェスチャーと

駄々こねに負けて外したらしい。

 

すると体が光って

この姿になったそうだ。

 

他の子も同様だとか。

 

また、私の帽子は工廠に置いたが

何もしなかったらしい。

 

とりあえず大福たちは

まだそのままなので安心した。

 

キューちゃんたちは

サイズはハスキーからポメに

なったような感じがするが

可愛さと艶が増したからよし。

 

今日は休むように言われたため、

私はキューちゃんたちと一緒に

ベッドで休むことにした。

 

明日からはいろいろあるだろうが、

信頼されるように頑張ろうと思う。

 

私は寝るまで長い間を

 

キューちゃんたちとの遊び、

 

今後の歌の歌詞、ネ級の名前、

 

歌のジャンルなどを

考えながら過ごした。

 




ネ級ちゃんは
どんな名前になるのやら。

流石にねーちゃんにはしない
……予定。
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