後悔はしていない(^u^)
へくちっ!
もう少し厚着すればよかった。
そう思いながら、私は海を見る。
大きなタンカーやフェリーが
まだ眠っている暗い朝の海。
その海に通る12の船後波、
それが半分ずつ、左右に分かれている。
その姿を見送りながら、
私は歌を口ずさむ。
航海の無事を願い、帰還を願い、
今日の平和を願った。
それに反応したのだろうか。
水平線の向こうから、
陽の光が射し込んだ。
温かい光に、心地よさを感じた私は、
満足して部屋へと戻った。
部屋に戻…ろうとした私だったが、
明石に捕まって工廠に連れていかれた。
佐世保で検査されたはずなのだが、
怖い顔をされるので何も言えない。
大人しく色々な検査を受けた。
私に拒否権は無いらしい。
最初はカプセルのような装置に
無理やり入れられた。
次に実験机に縛られ、
MRIのような装置に。
その後は血を抜かれ、
体液を取られた。
勢いで様々な検査をされた私は、
ベッドで横になっていた。
体には何もつけていない。
布団1枚を被せられ、
右手は点滴をつけられて。
しばらくすると、明石が戻ってきた。
傍にある椅子に座って、
その結果を告げてくる。
「少し興味のある結果が出ました。
後で、外に出て確認しますよ。」
詳しく聞くと、
基本的な数値は正常らしい。
普通の人間と変わりない、
体のつくりになっているようだ。
骨、血管、筋肉、生殖器、etc.
人間の標本のように、
人間そのものと言っていいと。
ただ、少しおかしなところがあった。
それは、前線基地で調べた時と
同じ反応を示したこと。
あの時の検査では、私の中に
加賀の魂があることを知られた。
今回は、最初のカプセル装置で、
私の中の別の物を見つけたようだ。
その別の物が何であるかは不明。
明石は準備があると言い、
部屋を後にした。
ちょっとした不安を残しつつ、
私はゆっくりすることにした。
『うたが、ききたい…。』
誰かの囁く声がする。
ここはどこだろうか?
身体がふわふわする。
でも、ゾワッっとする。
温かい白い光が全身を照らすのに、
微かに吹く風が温もりを消し去る。
『きになる、それを、おしえて……。』
聞いたことのない声。
人の声のはずなのに、
冷たさと寂しさを感じる。
でも、何故かその声に
懐かしさと親しさを感じる。
貴方は、誰なの?
『わたしは――』
その声は聞こえることは無く、
急に光に包まれた。
「ほら、起きなさい。もう時間よ。」
明石の声が聞こえる。
私は眠っていたのだろう。
なんだか体が重たい。
そんな体を無理やり起こして、
明石について行く。
ついて行くと、
そこは大きなプールだった。
学校のプールよりは大きい。
明石からそのプールのサイドに
立ってほしいと言われて立つ。
なぜか数人の艦娘に見られている。
何故かと思っていると、
ドンッ!っと押された。
私の体がその勢いに抗えるはずがなく、
綺麗に顔からプールに落ちる。
明石という存在はそう言うやつなのだ。
後で一発殴ろうと決意した。
だが、不思議なことも起きた。
何故か、体は沈まなかった。
陸でこけたような感じで、
水の上で起き上がることができた。
確認すると、私の肌が白くなっていた。
身長も元に、ヲ級に戻っている。
水面にもヲ級の姿が映る。
私の体は、完全にヲ級に戻っていた。
「ありえないですね、こんなこと。
不思議なものです。」
「何か分かったのです?」
「ヲ級の魂が残っていました。
薄っすらではなく、丸ごと。」
「はい?」
素で声が出た。
あ、声もこっちに戻ってる。
ってそうじゃなくって、
え、私の体にヲ級がいる?なんで?
「…私では解読できそうにないですね。
理由はどうあれ、ヲ級の魂がいます。」
え、なんか一人で納得された。
私、何一つとして理解してない。
「後でまとめるので、
とりあえず出てきてください。」
…人を押しておいて
よくその言葉が言えるものだ。
とりあえず、プールから出る。
すると、体が歌音の姿に戻った。
「やはり研究する必要がありそうですね。
警備を強めるのも視野に入れましょうか。」
そう言って歩いてどこかに行った。
私はただ茫然とするしかなかった。
猫さん達も置いてけぼりにされた。
明石には一体、
何が見えているのだろうか。
執務室で待機していると、
明石がやってきた。
結果をまとめ終わったらしい。
「間違いなくヲ級の魂が宿っています。
佐世保の加賀と同じ状態です。」
「それはありえることなのか?」
「はっきり言って分かりません。
これはそんな次元の話ではないので。」
「…どんな次元だ?」
「神の次元、が適切かと。」
いつから此処は
ファンタジーな世界に…。
ああ。そう言えば、艦これも
私からすればファンタジーか。
今更な事だった。
加賀さんに会ったし、
エラー娘にも会ったから尚更。
…あれ?
加賀さん以外に誰かと会ったっけ?
思い出せないや。
まあ、いっか。
明石の報告を聞いて、
明日も検査する予定になった。
休暇までもう少しかかりそう。
とりあえず我慢することにした。
ヌ―ス?
ヌ―スなら食堂。
私もなんでいないのか気になったけど。
猫さんに聞いたら、
足柄から料理を学んでいるらしい。
人らしいことを
してみたいとかなんとか。
珍しいこともあるんだね。
この後、食堂に行ったら、
ヌ―スが料理を出してくれた。
普通に美味しかった。
今日は、満足して眠れそうな気がした。
「訳が分からない。
これだと説明がつかない。うー。」
夜遅く、月明かりが照らす工廠の中。
明石は唸りながら、
書類とにらめっこをする。
歌音の中にあるヲ級の魂。
それがどうやっても証明できない。
本来なら加賀の体を使って
この世に生まれるはずだった。
しかし、そこに歌音が入り、
本来の魂は行き場を失った。
魂の行方、あり方、
艦娘の深海棲艦化するプロセス。
分からないことが多すぎる。
ヌ―スに聞いても、
聞きたい情報までは知らない。
これ以上は悩んでも仕方ないと考え、
一度睡眠を取ることにした。
頭を休めるのが、最適だと。
この日、明石は夢を見た。
何でも解決する、
理想的な自分の将来像。
分からないことは無いだろうと言う
完全なる理想像。
それならこの問題も解けるだろう。
そう考えている明石の夢は止まる。
まるで時間が止まったかのように
全てが動かなくなる。
すると、目の前の空間に亀裂が走り、
そこから、二頭身の何かが出てきた。
「心地いい夢の途中で済まないが、
ちょっと入らせてもらうぜ。」
『あなたは、何者?』
「名乗る必要は無い、どうせ
名前と姿は忘れるからな。」
『それってどういう…』
「用件だけ言う。あの魂は私がいれた。
悪いことは起きないと保証しよう。」
『貴方がいれた?
そんなことできるわけ…。』
「お前の夢に割り込んでいる時点で、
出来ないことをしているんだがな。」
『はッ!そう言われれば確かに。』
「とにかくだ、あの嬢ちゃんに伝えとけ。
その魂と向き合ってやれって。」
『嬢ちゃん?』
「歌音の嬢ちゃんだ。
それじゃあ、伝えとけよ明石。」
『ああ!ちょっと待ってッ!』
「待ってッ!……あれは、夢?」
明石が目を覚ますと、歌声が聞こえた。
時間を確認すると、06:10
いつもより遅く目を覚ました。
伝えないといけないことは覚えている。
誰からなのかは忘れたけど、
歌音に伝えることは覚えている。
忘れないように急いで伝えるため、
明石は工廠を後にした。
段々と寒くなってきましたね。
私はやることが増えたので、
投稿頻度も下がると思います。
思いついたら書くので、
ハッキリとは言えないけど。
皆さん、体に気を付けて。
しっかり風邪予防するのです。
第2章で同行するメンバー(残りのメンバーは基地でお留守番)最終投票
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キューちゃんズ(イ級×4)
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ネ音(ネ級)