私の想いを歌にのせて平和を願う   作:猫神瀬笈

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あらすじ
ヲ級の魂と会話できた。


第4話 終わりは新たな始まり

 

『~♪』

 

ヲ級の魂と話せるようになった次の日、

私はいつものように外で歌っていた。

 

ヲ級は楽しそうに私の歌を聞いていた。

 

子供の様に『えへへ』と笑いながら。

 

さっきまで、歌が聞きたいと

駄々を捏ねていたとは思えない。

 

歌が終わると同時に

日差しが昇り始めた。

 

昨日と違い心地の良い風と

暖かい日が照らしていく。

 

今日はいい日になるだろう、

そう思いながら私は部屋へと戻った。

 

 

 

あれから色々と試してみたところ、

おかしなことになった。

 

「わ~い!たのし~!」

 

「あまり無理をなさらないでください!

歌音様の体なのですから!」

 

「今は私の体だも~ん。あははッ!」

 

 

……どうしてこうなった?

 

理由は分からないけど、

ヲ級と魂が入れ替わった。

 

この前使った大きいプールで

ヲ級の姿になったら変わった。

 

今は楽しそうに水上を滑っている。

 

泣かれるよりはいいけど、

怪我だけはやめてほしい。

 

しばらく滑って満足したヲ級は、

私と入れ替わり中に入った。

 

姿はヲ級のままだ。

 

プールから上がってもヲ級の姿だが、

ペンダントに触れると私の姿に戻る。

 

猫さんには「もう1人の私」とか

「AIBO」とか言われた。

 

まるで意味が分からなかった。

 

明石に聞いたらネタだから

無視して良いと言われた。

 

その代わりに、

今の状況を話してくれた。

 

私とヲ級の魂は、

ペンダントを通して入れ替われる。

 

ただし、ヲ級はヲ級の姿の時だけで

私はどちらの時でも入れ替われる。

 

ヲ級の姿になれるのは

今のところ水面の近くだけ。

 

私の体や心への害は無いそうだ。

 

ただ、魂の入れ替わりについては、

未知の世界のため注意された。

 

どんな影響が出るか分からないため、

1日に2回ほどにしてほしいと。

 

変わる時間も30分~1時間ぐらい

で様子を見て伸ばすように。

 

ヲ級はそれを軽く承諾した。

 

『私はそれでいいよ。

歌を聞くのが楽しいから。』

 

そう言ったのだ。

 

心の底からの答えのように

満足そうな笑みで答えた。

 

精神は子供だとよく分かる。

 

穢れのない純粋な心で

楽しんでいることが。

 

そんな彼女とは仲良くできそうだと、

そう考えながら、時間を過ごした。

 

 

 

そして早くも数日が経った。

 

本来なら色々な場所を

早く巡りたかった。

 

でも、ヲ級と生活していくと

そんな事も忘れていた。

 

明石の方は大本営と前線基地の

明石と話し合い、研究が進んだ。

 

その結果、この数日で

私の体への影響も分かってきた。

 

どうやら何回入れ替わっても

体への影響は出てこないらしい。

 

理由を聞くとアニメを2つ見せられた。

 

1つは3千年の時を超えて出会った

1人の少年と王の話。

 

そこで出てくる

主人公と名もなき王の魂。

 

1つは黄金の精神を持つ男が

ギャングスタ―を目指す話。

 

その話に出てくる、主人公と対峙する

二重人格のギャングボス。

 

自分とヲ級のような存在を知り、

ネタとペンダントの意味を知った。

 

 

 

私の体の検査は時間経過だけになり、

ある程度は自由の身になった。

 

そこで私たちは猫さんに連れられて

呉の街を歩いていた。

 

小学生に見える私服のユリちゃんと

電と猫さんと私達で歩いている。

 

ちなみにヌースも私服。

 

ファッション誌に載っている様な

大人な服を着せている。

 

猫さんは動きやすそうな服装。

 

その辺に居そうな一般人

と思える服装だった。

 

ファッションには

あまり興味が無いと言う。

 

私は白い肩出しのトップスに

ジーンズと茶色のブーツ。

 

その上から温かな

モコモコジャンパーを羽織る。

 

寒くなってくるこの季節には

丁度いい温さだ。

 

猫さん達は3人で手を繋ぎ、

私達はその後ろを歩く。

 

楽しそうなユリちゃんを見ながら、

5人と1魂で街をブラブラする。

 

商店街、川沿い、波止場、etc。

 

目的もなく、ただ歩く。

 

初めて歩く呉の街並みに

目を惹かれながら。

 

歩いていると視線が気になりだした。

 

街の人の目線と通行人の目。

 

物珍しい物を見ている様な目線だ。

 

猫さん達といるからだろう。

 

そう思うようにしていると、

ヲ級から話しかけられる。

 

『周りの人たちは板のような何かを

私達の方を向けているの?』

 

ヲ級が指を差す方を見ると、

スマホを向ける若者の姿があった。

 

猫さんじゃなくて

明らかに私の方に向けていた。

 

一人二人じゃない。

 

なめまわされるような視線を感じた。

 

大本営の時とは違う、

気持ちが悪いと感じる目線。

 

珍しいからではなく、

とても言葉にできない嫌な理由。

 

体全身から鳥肌が立ち、

寒気を感じて体が震える。

 

そんな私の事に気づいたヌースは、

視線を感じる方に移動してくれた。

 

壁のように立ってくれて、

私の体を寄せてくれた。

 

「大丈夫ですよ、歌音様。

我々がついていますから。」

 

その手と言葉はとても暖かい。

 

体の震えは残ってはいるが、

次第に弱くなっていった。

 

しかし、人だかりは私たちの動きに

合わせるようについてくる。

 

どうにかできないのかな。

 

「2人とも、ここで少し休もうか。」

 

猫さんがこちらに声をかけてくれた。

 

指を差す方には喫茶店がある。

 

私達はすぐに了承し、お店へと入った。

 

 

 

お店に入ったおかげで、

人だかりが無くなった。

 

猫さん達も目線に気づいたらしく、

電が提案してくれたそうだ。

 

お陰で今はリラックスできている。

 

喫茶店であることが尚更良かった。

 

落ち着いた静かな雰囲気が

私の心を落ち着かせてくれる。

 

それに、目の前で

微笑ましい光景が見られた。

 

ユリちゃんが美味しそうに

パンケーキを頬張っている。

 

目を輝かせて口を汚しながら、

リスのように頬張る女の子。

 

その光景には

店員も笑顔になっていた。

 

私達も笑顔になりながら、

飲み物を飲む。

 

私とユリちゃんがオレンジジュース、

3人がコーヒーを飲んでいた。

 

ヌースは足柄の勧めで

コーヒーにハマったらしい。

 

ブラックに砂糖を一杯入れて飲むのが

今のお気に入りの飲み方らしい。

 

猫さんはカフェオレ、電はブラック。

 

カフェオレなのは意外だった。

 

電と逆じゃないのかと

心の中だけで思った。

 

口に出したらいけないと

何かを察したから。

 

ヲ級は皆の飲み物が気になっていた。

 

私がコーヒーを飲まないから

初めて見て興味を持ったからだろう。

 

鎮守府に戻ったら、入れ替わって

試し飲みするのもいいかもしれない。

 

そう言えば、味覚は共有されるのかな?

 

気になったけど、

考えるのは帰ってからにした。

 

今はこの時間を堪能することにした。

 

 

 

 

 

その日の夜、SNSに

少女と男の写真が流れた。

 

カメラに背を向け、震える少女を

心配する細身の男性の写真。

 

他の写真も瞬く間にネットへ拡散され、

多くの人の目に留まった。

 

多くの憶測、情報が拡散され、

大本営にも写真が拡がった。

 

しかし、機械に疎い歌音は、

この事を知る由もなかった。

 

そして、笑顔の写真を見ながら

微笑む誰かがいることも。

 

 

「この姿も可愛いな~。

早く会いたいな、お姉ちゃん♡」

 

 




次回から本格的な休暇

まずは呉の周辺から

第2章で同行するメンバー(残りのメンバーは基地でお留守番)最終投票

  • キューちゃんズ(イ級×4)
  • ネ音(ネ級)
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