私の想いを歌にのせて平和を願う   作:猫神瀬笈

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社会人になったけど、
研修だから開いてる時間に執筆

今回のE4ボスBGMのお陰で
キーボードを打つ手が速い。


第8話 夢物語の被害者

 

 

決して見間違いではない。

 

すれ違った子は間違いなく、

私と同じ顔をしていた。

 

でも、ありえない話じゃない。

 

艦これの世界にいるのだから、

同じ顔の人がいても不思議じゃない。

 

佐世保鎮守府の構造が

アニメと同じ構造なのと一緒。

 

ありえないがあり得るから、

それはもう気にしない。

 

今はあの子の後を追いたいけど、

その前に何が来るのかは知りたい。

 

あの子が逃げている理由に

私が関わっているとしたら……

 

「足が速いな、どこに行ったんだ?」

 

「この奥に来たのは間違いない

必ず此処に居るはずだ」

 

「ん?あいつらは…」

 

カメラを持った男が2人…

天龍、あの2人に見覚えある?

 

「あいつら、鎮守府前に来た奴らだ。

なんでこんなところに?」

 

やっぱり、さっきの子は

私と間違われて追われてる。

 

天龍、少し時間を稼いで。

 

「は?それってどういう…」

 

「ママ?」

 

「どうしたの?」

 

ミーちゃんとクーちゃんの手を引いて

和館の後ろへと走る。

 

庭に出れる道だけど、

その前に茂みに隠れる道がある。

 

隠れるとしたら…うん、見つけた。

 

やっぱり私と同じ顔をしている。

 

「誰⁈……女の子?」

 

「ママに、そっくり」

 

「え?」

 

「ママと、おなじかお。

ママ、どうして?」

 

2人は気になるだろうけど、

細かい話は後。

 

周囲には誰もいないから

体を元の私に戻す。

 

「嘘…、私⁈」

 

驚くのは分かるけど

今はそんな時間はない。

 

少しダボダボだけど、

これしか方法が無いから。

 

 

 

 

 

「おい、あの子だ!早く追うぞ!」

 

「おい待てよ!

さっきよりも早くないか?」

 

どうやら予想通りだったらしい。

 

さっきの男2人は

私と同じ顔のこの子を追ってた。

 

だから私は、

あの子の囮になることを決めた。

 

天龍に保護されながら

鎮守府に戻る方法もあった。

 

でも、5人で移動するには

あまりにもリスクが高い。

 

バレないように鎮守府に戻るのは

ほぼ不可能に近い。

 

ミーちゃんとクーちゃんに

無理をさせたくないという理由もある。

 

だから私は囮になった。

 

最近は嫌な眼差しに

不快感を覚えてたのに。

 

でも、この子を守れるなら…

 

そう考えると不快感もなくなって、

こうやって行動に移せた。

 

ミーちゃんとクーちゃんに

あの子の事は任せている。

 

だから、あの子のことを

今は心配しなくていい。

 

問題は私の方。

 

囮になったのはいいけど、

呉の町は知らない道が多い。

 

どこが繋がっているのか、

どこまで道があるのか分からない。

 

本当なら目印を決めたいけど、

そんな余裕もなさそう。

 

「いたぞ、あそこだ!」

 

「シャッターチャンス、

逃すなよ!」

 

後ろからバイクの音、

意地でも顔を撮りたいみたい。

 

なら、もっと逃げる。

 

「おい、なんで追いつけない!

こっちはバイクだぞ!」

 

今の足だと世界記録は狙える。

 

元々私は体を鍛えていたし、

ヲ級になって身体能力も向上した。

 

元の体でも出力はあるから、

バイクよりも早く走れる。

 

ただ、これをやると

あの子に影響するんだよね。

 

変な噂が立っちゃうから。

 

でも、逃げる以外に方法はない。

 

細い路地裏、階段、段差

壁や崖を利用して逃げる。

 

でも、男たちはついてくる。

 

バイクで無理やり追ってきた。

 

これ以上は疲れるだけ。

 

だから私は

近くの公園内の草木を目指した。

 

何度か通っていると

森のような場所を見つけたから。

 

身を隠すのにうってつけだった。

 

一度、建物の陰で視界を切って

森の中へと飛び込んだ。

 

「おい、あの子はどこに行った?!」

 

「分からない、とにかく探すぞ!」

予定通り、男たちを乗せたバイクは

そのままどこかへを進んでいった。

 

遠くなっていくのを確認し、

木陰に腰を下ろした。

 

とりあえず、一安心…。

 

少ししたら森を……

誰かが近づいてくる。

 

流石にこんなところから出る姿を

誰かに見られるわけにはいかない。

 

こっそりとここを……

 

「あいつまだ捕まって無いの?

せっかく情報あげたのにさ」

 

奏歌(そうか)のやつ、

そんなに足早かったっけ?」

 

「学年一の運動音痴が?

それはないでしょう」

 

3人の女性の声。

 

木陰からこっそり除くと、

制服を着た女子が3人。

 

体の成長具合と話し方、

何よりあの子と同じ制服。

 

間違いなく高校生。

 

笑いながら話しているが、

嫌な感じがする。

 

奏歌って子に対する悪口…

お兄ちゃんを虐めてたやつみたいに。

 

「ほら、これ。

艦娘にびびって逃げてるやつら」

 

「うわ、ださ!」

 

「こいつらに情報出したんだけど、

未だに連絡ないんだよね」

 

艦娘にびびって…

もしかして…っ!

 

「せっかくヤラしてあげるって

報酬を出したのにさ」

 

「体売ったの?」

 

「奏歌の体に決まってんじゃん。

捕まえたら好きにしてって言っといた」

 

「ああ、じゃあ今頃犯されてるね。

それより、この男の人どう見つける?」

 

「奏歌に聞いても知らないって

何度も否定するからね。」

 

「じゃあ、脅すか。

言わないとSNSで住所を流すって」

 

「うわっ、やばっ!

でも、いい子ちゃんのあいつなら…」

 

「直ぐに答えてくれる…っ!」

 

「そして、私達が男を頂いて…」

 

「ついでに一緒に居る

海軍のお偉いさんと仲良くなれば…」

 

「将来、玉の輿(こし)間違いなし!」

 

……久しぶりにキレそうだけど、

迷惑になるから我慢しないと。

 

「はははっ、それいいじゃん!

じゃあ、明日学校で脅そうよ」

 

「了解、手紙でも入れとく?

告白したいから体育館裏って」

 

「それでいこう。

今日は祝杯でも挙げちゃう?」

 

「いいね、パーッとやろう!」

 

離れて行ったか……。

 

何とか平常心を保てて良かった。

 

あと少しで木を壊して

投げつけるところだった。

 

とにかく、今はあの子に会って

色々と話さないと。

 

でも、今出ると気づかれる。

 

あの2人も、

まだその辺にいるはずだ。

 

どうすれば…ん?

あれは…艦載機?

 

1機だけ…しかも、かなりの高度。

 

この目じゃなかったら見えてない。

 

明らかに私の上空にいる。

 

確か空母は赤城さんだけ…

 

「発見したのです」

 

…ッ!

危ない、声を上げるところだったッ!

 

いつの間に!こんなところへ?!

 

「赤城に探させたのです。

詳しい事情は鎮守府で聞くのです」

 

やっぱり赤城さんが…

 

迎えが来たってことは

天龍達が戻れたのかな?

 

…あの、その、

お姫様抱っこは、ちょっと…

 

「大人しくするのです。

じゃないと舌を噛むのです」

 

え、それはどう、ゅ!

 

 

 

「到着したのです。

自分の足で歩くのです」

 

ひはい、ひははんは… *1

 

「だから大人しくしろと…

ほら、こっちに来るのです」

 

引っ張る力が強い、

いつ見ても駆逐とは思えない。

 

いつの間にか鎮守府の裏に来てるし、

艦娘じゃない何かだと思う。

 

そのまま引っ張られて執務室の中へ。

 

部屋の中には

天龍達とさっきの子がいた。

 

「ママ!おかえり!」

「ママ!ぶじ!」

 

勢いよく抱きついてきた。

 

寂しかったみたい、

2人とも掴む力が強いから。

 

2人を撫でながら

私は女の子に名前を聞いた。

 

琴井(ことい) 奏歌と言います。

助けてくれてありがとうございます」

 

やっぱりこの子が奏歌…。

 

……その感謝は受け取れない。

 

私のせいで巻き込む形になったから、

むしろ私が謝罪をするべきだ。

 

それに、

もっと最悪なことが起きている。

 

3人の女子高生、2人の男、報酬、

脅し、練られる計画。

 

その全てを話す。

 

こんな話をすれば、

奏歌の顔から血の気が抜ける。

 

「そんな…私っ!

どうしよう、お母さんが…」

 

体の震えを抑えるように

自分の体を抱く。

 

体を恐怖に支配されている。

 

呼吸が荒くなり、

喉奥が詰まるような音がする。

 

苦しそうに膝から崩れ落ちる奏歌。

 

正面から受け止めて背中を叩く。

 

赤子に曖気(あいき)*2をさせるように、

優しくゆっくり、トントンと…

 

何度か咳き込みながら

少しずつ呼吸が整っていく。

 

ミーちゃんとクーちゃんも

一緒になって頭を撫でる。

 

「だいじょうぶ、こわくないよ」

 

「ここは、あんぜん。

みんなが、まもる」

 

…子供の存在というのは

こういう時に必要だと常々思う。

 

どこか力強く感じる、

この子たちの言葉。

 

謎の安心感があるから、

奏歌も落ち着いてきた。

 

それと同じぐらいに扉が開いた。

 

「すまない、時間が掛かった」

 

「掛け過ぎなのです」

 

「探すのに手間取ったんだ。

でも、なんとか連れて来られた」

 

そこに居るのは猫さんと

30代ぐらいの女性。

 

女性は私と奏歌を見て、

口を押えて驚いていた。

 

「どういう事?

奏歌が、2人…⁈」

 

「え…っ!お母さん…、

お母さんっ!」

 

奏歌が立ち上がって女性に抱き着く。

 

お母さんという事は母親だろう。

 

さっきまで落ち着いていたが、

大声で泣き始めた。

 

母親がいる事で安心して

一気にあふれ出た感じだ。

 

やっぱり、

こういう光景は羨ましいな。

 

また鳳翔さんにしてもらおう。

 

今は彼女が泣き止むまで、

その光景を見守っておく。

 

*1
痛い、舌噛んだ

*2
ゲップのこと。




勢いで次の頭までは書けた。
でも、すぐには投稿しない予定。
後半をどういう展開にするか
まだ未定状態だから

さて、
歌音と瓜二つの高校生『奏歌』
彼女はどうなるのか…。
歌音はいつになったら
のんびり観光ができるのか…

次回をお楽しみに
(そろそろ感想が欲しいな…)

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