今、私は工廠に来ている。
私の体を確かめるためだ。
この基地に来た時に攻撃されたため、
その確認のために来ている。
キューちゃんは若や妖精たちと
仲良くお話ししている。
自然に話していて気付かなかったが、
ここの子たちも若と呼んでいる。
その様子を見ている夕張も
初めて会った時に若と呼んでいた。
明石が私の検査の準備をしつつ、
その問いに答えてくれる。
ここでは「若大将*1」
と言う意味で呼ばれていたそうだ。
え、若って新人の方なの?
驚いていると明石が
「5年ぐらい前ですけどね」
と付け加えた。
どうやら名前が定着して
ずっと「若」らしい。
まあ、ぴったりだからいいだろう。
そんなことを考えていると
検査の準備が終わっていた。
私は明石の指示に従って検査を受ける。
結果は足の異常が残っているだけで
それ以外は異常なしだという。
ひとまず安心したが、問題はこの後だ。
私の結果を書き終わった明石が
こちらを見てニヤッと笑う。
いやらしい手つきをしながら
私の方へ近づいてくる。
本当なら拒みたいのだが、
それもできない。
今から行うのは私の検査。
正確には「空母ヲ級」の検査だ。
深海棲艦の謎がある程度わかるだろう
というのが理由だ。
少し不安が残るが、
明石に任せるとしよう。
最初は持っていた杖の検査。
私自身、これのことをよく知らない。
詳しく聞くと
艦載機への指示を出すためのもの
であると同時に主砲でもあるという。
空母に主砲は積めないはずだが、
これは例外なのだとか。
とりあえずそれで納得し、
今度は帽子を見ていく。
一応口の中に頭を入れるなと
最初に行っておく。
私も止められたからだ。
それを聞いて明石は
残念そうに他のところを検査する。
この反応は明らかに
頭を入れるつもりだったのだろう。
私は明石が頭を入れないように
ずっとその様子を監視し続けた。
検査が終わり、お昼が過ぎた。
帽子にも特に異常はなかったらしい。
後で、中身も確認するそうだ。
私はお昼を食べたかったが、
検査の途中なのでお昼は抜きだ。
お腹がすいた~
仕方がないけど我慢するとしよう。
明石は次に
私の体を確かめると言った。
いやらしい手つきでこちらを見る。
そして私に近づき、
ズボンの紐みたいなやつを掴んで
一気に下に下げる。
………………っ!
次の瞬間、私の手は
満面の笑みの明石の頬を叩いていた。
平手打ちである。
明石は勢いよく
資材の山に突っ込んだ。
私はプルプルと震えながら
ぺたんと座って股を左手で隠した。
すると、騒ぎを聞いた夕張達が
私たちのいるところまで駆けつけた。
私は右手を震わせる。
だが、キューちゃんたちと若が私に
落ち着くようにとなだめてくれた。
私はゆっくりと拳を下ろす。
明石の方は夕張が起こす。
くるくると目を回しているが、
それ以外は大丈夫そうだ。
夕張は自業自得だと言ってくれた。
明石はそのままベッドに寝かされ、
私の検査を夕張がすることになった。
夕張は明石と違って
色々と気遣ってくれた。
キューちゃんたちに明石の監視を頼み、
私をカーテンのある部屋に。
股を隠せるように
大きめのタオルも用意してくれた。
とりあえずズボンの様なやつは
脱げることが分かった。
私はタオルで隠しながら
股を確認する。
どうやらこの体は
全身タイツの様な体らしい。
おしりの方にも「あれ」がなかった。
他にも確認しよう。
手袋はこの検査が
始まる前に外しているので、
今はつけていない。
後はマントだけである。
とりあえず外してみる。
……意外とあっさり脱げた。
首のやつはネックウォーマー
みたいになっていた。
マントは取り外し可能なようだ。
意外と便利な服だったが
普通の服が着たいと思った。
とりあえず
これですべてを脱ぎ終わった。
今の私はすっぽんぽんだ。
これからどうするのかと思ったら
液体漬けされる某回復装置の様なものが
あるところに案内されて入れられた。
入れられる前にちゃんと説明は受けた。
本来は改二改造用の装置らしいが、
明石が改造して
体の検査もできるようにしたらしい。
一体どうなるのか気になっていたが、
特に何もなさそうだ。
私は安心して眠った。
目を開けると見えたのは知らない天井、
ではなく最初にいた部屋の天井だ。
今回は加賀さんと会わなかった。
疑問に思いながら体を起こす。
何かしら条件があるのだろう。
私は考えるのをやめて、
自分の体を確認する。
服は患者が着る検査服だった。
ちゃんと服は着させてくれたらしい。
横には相変わらずネ級が寝ていた。
私は彼女の頭を撫でる。
気持ちよさそうな笑顔だ。
そういえばこの子の艤装もない。
明石が回収しているのだろうか?
そんなことを考えていると
部屋の扉が開いた。
私はその光景に驚いた。
何故ならキューちゃんたちが
タワーになっていたからである。
4匹?で順番に背中に乗って
高さを稼いで扉を開けたのだ。
いつの間にこんな芸当を
覚えたのだろうか。
一番上に乗っていたキューちゃんは
カットされたリンゴの乗っている皿を
頭に乗せて持ってきた。
大道芸でもやらそうと思った。
私は貰ったリンゴを頬張り始める。
少しすると提督と大淀と夕張、
頬に紅葉を付けた明石が入ってきた。
夕張は何かの紙を持っている。
おそらく私の検査結果だろう。
提督は近くの椅子に座り
私に結果を伝える。
最初に確認したように
足の損傷以外に問題はなし。
帽子の中の物も木の実や棒など、
言ってしまえばゴミしかなかった。
写真のことを聞くと
大切なものだったそうで
「ありがとう」と感謝された。
また、あの謎の物体は
砲撃で処分したらしい。
明石曰く、すぐに処分すべきもの
だったらしい。
帽子の中も異常なし。
とにかく、大きな問題はなかった。
最後の検査を除いてだが。
詳しく聞くと最後の検査で
とある異常が発見された。
それは私の体に
2つの魂が存在したことだ。
1つは私の、
もう1つは加賀さんだろう。
この検査で私は
二重人格だと思われている。
そのもう1つの魂が
深海棲艦だとも。
このままでは私は
一層警戒されるだろう。
私は動きの制限をされないように
加賀さんのことを隠して言う。
「そのもう1人と話したことがある」と
正体は知らないが話したことがあり、
信頼できるまで隠すと言われた。
と、そんな感じでごまかしたのだ。
提督が信じられるまで
話せないと言っておく。
こうすれば即決はされないだろう。
ここに来て言われたように
経過観察でどうにかなる。
提督はとりあえず納得したようで、
何か進展があったら伝えるようにと、
それだけ言って帰っていった。
続いて大淀たちも部屋を出ていく。
明石は夕張に謝罪させられて
部屋を出ていく。
何とか乗り切ることができた。
静かになった部屋にはネ級と
キューちゃんたちの寝息だけが響く。
私はその寝息をBGM代わりにして
先ほどのことを振り返る。
魂が2つあることで警戒はされたが、
最悪の事態は免れるだろう。
提督のことを知るまでは
進展もしないはずだ。
だが、それだけ私も
警戒しなければならない。
素直に話すという手もあるだろう。
だが、仮に提督が佐世保と
繋がっていたら危険だ。
私が佐世保で沈んだ加賀だと言って、
処分される可能性もあるからだ。
だからその時まで
私は隠すことにした。
この体は加賀さんの物で
異常なのは私だということも。
詳しいことはいずれ
ここを離れるときにでも
伝えようと思う。
そう思いながら私は、
まだ1文字も決めていない
ネ級の名前を考えながら、
カットされたリンゴを頬張った。
歌音の身体は加賀さんの物。
詳しくはここで語ろうと
思っていたのですが、
後の話に入れることにしました。
今は
「加賀さんの身体借りてます」
ぐらいで思っててください。
詳しく話すとややこしいので。
一応この第一章で
お話しする予定です。
マント等については
ヴァイスシュヴァルツの
「いらっしゃいませ!空母ヲ級」
の画像を参考。
↓こちらのURLから見れます
ヴァイスシュヴァルツさん
公式のカードリスト
https://ws-tcg.com/cardlist/?cardno=KC/S25-P05