We are The Super STAR!** 作:A×K(アツシくん)
かのん「……んー…」
練習前、部室でノートやら本を広げて黙々とペンを走らせるかのん。
千砂都「かのんちゃん、勉強?」
他のメンバーが顔を覗かせて様子を伺っていた。
かのん「あっ、うん、ちょっとね」
すみれ「珍しいじゃない、部室で勉強なんて」
可可「もしや…次のテストがピンチ…とかデスかぁっ…!?」
恋「かのんさんに限ってそんなことは無いと思いますが…」
かのん「あはは、学校の勉強じゃないんだけどね」
きな子「じゃあ…音楽の勉強っすか?」
メイ「見たところそんな感じはしねーけど…」
四季「…アスリートのメディカルチェック…適切な対処法…」
夏美「何だか難しそうな事を勉強してるんですの」
かのん「わ、わぁっ!見ないで見ないで~っ!!」
千砂都「アスリート…って、事は…」
かのん「…命くんにしか、話して無いからみんなが知らないのも無理はない、よね…」
ノートを閉じて、少しずつ…言葉を呟くかのん。
かのん「…私、ね…高校卒業したら…スポーツ医学を大学で学ぼうと思ってるの」
恋「…えっ…?」
可可「…スポーツ医学……デス、か…?」
千砂都「それって、やっぱり…命の事?」
かのん「うん、正直な事を言うとね…命くんが居なかったら…ここまで来れなかったと思うの
自分の夢を諦めて…私たちに真面目に向き合ってくれる命くんに…私は恩返しがしたい
…だからね、まだ…私は諦めてないよって…少しでも可能性があるなら…私は、命くんにもう一度あの場所に立って欲しい」
すみれ「かのん…アンタ…」
かのん「昨日ね、野球の試合がテレビでやっててね?
私と命くんで見てたんだけど……命くんったら、私が声掛けても全然反応しないくらい見入ってて……やっぱり、野球が好きなんだなぁって改めて思っちゃって」
きな子「かのん先輩…」
かのん「あ、あははっ!
と言っても、進学するには
もうちょーーーーーっと勉強頑張らないといけないんだけどねっ!」
メイ「…大丈夫なのかよ、Liellaの事もあるのに詰め込んだりして…」
かのん「…命くんも、同じだから…自分の学校の勉強…私たちのLiella!のこと…帰ってきたら、リハビリ…やることが沢山あるのに、苦しい顔1つ私たちに見せないで…それを見てたら、私も頑張らなくちゃって」
夏美「…でも、大学に進んだとして……歌は…」
千砂都「そ、そうだよっ…歌を響かせるって言ってたのに…!」
かのん「…大学に行きながらでも、歌を続ける方法なんていくらでもあるよ
それに、私は……命くんの支えになりたい…そう思ってる」
すみれ「…はいはい、ご馳走様っと……こうなったらかのんは強情よ
意地でも動かないわ」
千砂都「まぁ、かのんちゃんなら言い出しそうな事……だもんねっ」
恋「ですが…並大抵の事では無い気がしますが…」
かのん「そこなんだよね…どうにかしてあげたいって思ってるんだけど…」
四季「献身的な支えがあれば…必ず報われる…」
きな子「どうにかしたいと思ってるのは、先輩も同じだと思うっす」
メイ「それに、転んだままじゃ終わらない奴だしな、アイツは」
夏美「復活した瞬間は、是非夏美に撮らせて欲しいんですのっ!♪」
可可「コレまで、メーさんには頼りっぱなしデスから…可可達も応援しマス!」
かのん「みんな…うんっ、頑張るね!」
────────────────────────
【週末】
かのん「よ、よーーしっ、来~いっ!」
「……急に外に出ようって言い出したと思ったら…どうしたんだよ、かのん」
連れて来られたのは…結ヶ丘女子高等学校。
グラウンドに連れて来られた命…そして、グローブを填めて、身構えるかのん。
一方、距離を取ってボールを握り呆れ顔をする命。
かのん「命くんが投げられるようになるためのリハビリだよっ!」
「……だから、俺は…」
かのん「……命くん」
「見てただろ、あんな不細工な投げ方…もう昔の俺じゃない
リハビリ…確かに頑張ってるけど、報われるかなんて────」
かのん「私は─────っ!!!」
かのんからの声に、顔つきを変える命。
かのん「……信じてる……
そして、命くんが諦めたって言っても…私は諦めないよ…!!!」
真っ直ぐに命の方を見ながら、そう言い切るかのん。
「………万が一…ちゃんと投げれたら、しっかり捕れよ」
かのん「キャッチの仕方は命くんに教えてもらったから、大丈夫!」
「…………ふぅ……」
大きく息を吐いて、いつものモーションに移る命。
かのん(この感じ…前の命くんに────────)
「………っ!!!」
しかし、余計な力みが入ったのか、苦い顔をしながら自分の目の前でボールを勢いよく叩きつける命。
真っ直ぐにボールはかのんの方に行くことなく……バウンドして高く上がってしまった。
「……くっ……はぁっ…」
そして、いつもと違い1球で息切れを起こす命。
かのん(やっぱり、力が入りすぎてる…リラックスして…なんて、簡単には言えないし…)
すみれ「はいはいっ、おしまい!」
「……っ…すみ、れ…?」
かのん「すみれちゃん!……それに、みんなも……!」
すみれ「ダメでしょ、命
女の子相手に投げようとするなんて」
「いや、でも……かのんが……」
すみれ「ほら、これ持ってきたらからこっちに向かって投げなさい」
可可「重いデス~っ!」
夏美「な、なんで夏美達が荷物持ちなんですの~っ!!」
千砂都「はいはい、こっちだよ~」
2人がかりで大きめのネットを持ってきていた。
すみれ「あんた達が遅刻するのがいけないんでしょっ」
ワーワーと騒ぐメンバーを他所に、恋ときな子が話を続けた。
恋「自主練も兼ねて…命さんの様子を見に来たんですよ」
きな子「曜さん達に聞いたら、ココに来ているって言ったんで、きな子達急いで来たっす!」
メイ「ほら、とりあえず飲み物でも飲めよ」
四季「アミノ酸、大事」
「…みんな…」
かのん「…応援してるのは、私だけじゃないんだよ、命くん」
「………でも、応援されても…裏切っちゃうだけで……」
すみれ「そんな事、無いわよ」
可可「そうデス!不可能な事も、私たちなら乗り越えて来れまシタ!」
恋「話しにくいのは、重々理解してます……ですが、時には頼ってくれても良いんですからね…?」
きな子「先輩の夢は、きな子の夢っすから!」
千砂都「俯いてるなんて、命らしくないぞ~っ?」
「………………」
ボールを握る手に力が入る命。
そんな様子を見ていたかのんが、肩を触れた。
かのん「…やっぱり、力入ってる」
「…かのん……」
かのん「落ち着いて……リラックスして…大丈夫っ、目を閉じれば…
私たちが、ついてるから!」
「…………………分かった」
良い仲間に恵まれたな……と、心から思った命は大きく深呼吸した。
(……腕、振るのまだ怖い…)
(ボールを捕るのも……怖い……)
(……けど…………っ!!)
「ここで終わって……たまる、かぁあぁ…っ!!!!!!」
かのん「…!!!」
かのんには、しっかり見えた……あの時の、輝いてる時の命との姿と……全く同じだ、と……。
大きくしならせた腕から振り抜かれたボールは
轟音と共に、ネットへと突き刺さった。
メイ「…は、はえぇっ……!!」
四季「唸ってた」
夏美「あぁーっ!撮り損ねたんですの~!」
きな子「先輩……今のって…!」
千砂都「命…」
かのん「命くん……っ!」
「はぁっ……はぁっ……俺……今…」
自分では、しっかり投げれたという感覚がまだ無かったが……。
投げたボールはネットに、ちゃん届いていた。
「投げ……れた…?」
かのん「凄いっ、凄いよ命くん!!」
興奮のあまり抱きつくかのん。
すみれ「こら、そこっ!抱きつかないの!」
かのん「あぁ~っ!」
名残惜しそうに離れるかのん。
すみれ「全く……何度見ても恐ろしいわね
あの球を捕らせようとするなんて、言語道断よ」
「い、いや……まさか本当に投げられるようになるなんて……思ってなくて…」
夏美「撮影の準備出来ましたの!さあさあ、もう一度投げるんですの!」
メイ「あっ、お前なぁ……!」
四季「止めても無駄そう」
きな子「き、きな子も…もう一度見たいっす!」
「もう1回……もう1回……」
さっきのイメージで…体を脱力させて投げる。
「……っ……ここだ……っ!!!」
しかし、思ってる方向とは全く別の方向に大きく逸れてしまう。
夏美「ど、どこに投げてるんですの~!?」
「……あ、あれ……っ?」
かのん「流石にまだ完璧にってわけじゃないみたいだね……」
千砂都「1球でも投げられただけ大きな進歩だよ。ね、命?」
「……あ、あぁ……」
その後、何球か投げたが……10球に1球はまっすぐ行く満足のいく球が投げられるに留まった。
……………………………………。
【その日の夜】
かのん「久々にあんなに投げたから、肩をしっかり休ませないとねっ」
「いや、かのん……近い……」
マッサージしてくれるのは、ありがたいんだが……。
明らかに体の密着がすごい。
「もう少し、離れ──────」
かのん「嬉しかった」
「……かのん?」
かのん「ちょっとでも…あの頃の命くんの姿に重なってたから」
「……そう、か」
かのん「……これからも、少しずつ…頑張って……いこ?」
「あぁ……かのんが居れば…大丈夫な気がするよ」
決意を新たに……2人はキスをした。
曜「……ドアは閉めときな~……///」
かのん「はうぅ!!???ご、ごめんなさい~っ!!!///」
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よろしくお願いします。
(自分も、怪我をして野球を辞めた経緯があり今回の話を書きました
命くんには、自分の想いも馳せて欲しいところです)