We are The Super STAR!**   作:A×K(アツシくん)

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ちょっとシリアスでぇす


11-2話

すみれと可可の秘密の会話の翌日……何事もなく練習は行われていた。

 

千砂都「うぃ~~っす!」

元気よくドアを開ける千砂都に俺と1年生たちは視線を送る。

 

可可「今日から練習メニューが新しくなりマス!」

メイ「いよいよ東京大会に向けて……か……!」

きな子「気合い入るっす!」

夏美「今から筋肉痛が心配ですのっ」

 

やる気十分の1年生たちの前に…すみれが歩み寄った。

可可「……すみれ?」

「……?」

 

何か神妙な面持ちなのが気にかかった。

すみれ「……練習の前に、私から…話があるの」

千砂都「?なに?」

すみれ「……次の、ステージは…''2年生5人だけで立った方が良いと思うの''」

 

「……!」

千砂都「すみれ……ちゃん…?」

予想だにしないすみれからの発言に2年生を始め、1年生たちも困惑していた。

恋「本気、なのですか……っ!?」

すみれ「えぇ、昨日一晩考えたのあの子に勝つには…決勝に進むにはそれしかないって」

可可「すみれ……」

 

「ちょ、ちょっと待てよ、すみ──────」

自分の言葉よりも先に…かのんの声が響いた。

 

かのん「……どうして…?

そんなにあの子が怖いの……!?」

すみれ「サニーパッションを倒したのよ?当たり前でしょ」

 

きな子「……ですよね」

「ま、待て待て!きな子達も1回落ち着いて話を整理しようよ!」

仲介に入ろうとしたが、きな子たちの顔は暗い。

 

かのん「だからって…必ず負けると決まったわけじゃないでしょ…!」

恋「でも……っ…5人だけで歌うなんて許されるのですか…っ?」

すみれ「えぇ、予選に出ていないメンバーが加わるのは禁止だけど

やむを得ず欠員が出るのは構わないって」

 

メイ「……アタシらが休めば」

四季「2年生だけでより素晴らしいステージが作れる」

きな子「っていう事……っすか…」

「メイ!四季!…きな子まで…!!」

 

これ以上はまずい、と。

命はすみれの眼前に立つ。

 

「お前……なんでいきなりそんなこと言うんだよ…!

ちょっとくらい相談しろよ!1年生たちもみんなも困ってるだろ!」

すみれ「……っ……!」

命の言葉に、一瞬泣きそうな顔をしたすみれ。

その表情を、命は見逃さなかった。

 

「……すみれ、お前……っ」

かのん「5人だけで出場して勝っても、何も嬉しくないっ!!」

恋「学校のみんなで勝って喜ぶのが目的です!」

 

メイ「でも、さ…負けちゃったら…どうするんだよ…?」

四季「たくさんの人が…悲しむ…」

夏美「それだったら、少しでも勝てる可能性がある方を…」

 

すみれ「……っ……!

聞いたでしょっ!1年生もこう言ってるのよ!」

「すみれ……っ!!」

 

怒ろうとした命を制したのは、かのんだった。

 

かのん「すみれちゃん…」

その声は、低く…怒気を帯びていた。

 

すみれ「勝たなきゃいけないの…!」

かのん「私だってそう思ってる!

でも、Liella全員で挑まないと意味が無い!……だって、ここにいる全員がLiellaなんだもん!」

すみれ「………………」

 

チラッと後ろを見るすみれ。

その目は''何か''を決意し、''何か''を背負おうとする目だった。

 

すみれ「私はね…ショービジネスの世界に返り咲きたいの!

ここで結果を出して、目立って…目立ちまくってあの世界に舞い戻らないといけないの!!

……だから、こんな所で負けてなんか…居られない」

 

独りよがりの発言…それが、かのんにはとても大きなショックだった。

信じられない…そんな顔をしながら…かのんが言葉を続ける。

 

かのん「……本気で、言ってるの……」

すみれ「……っ……」

その顔は今まで見た事ないような、真剣な顔で…怒りで満ちていた。

 

かのん「ねぇ、答えて!!!!!」

すみれ「か、かの…ん…」

圧倒されたすみれが、一筋の涙を零しながら…弱々しく呟いた。

 

すみれ「……本気……よ…」

かのん「……っ!!!」

憤りのままに、手を振り上げるかのん。

何をするのか察したすみれは、目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────パシンっ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

乾いた音は、すみれの前で鳴った。

すみれ「……っ……ぁ……」

かのん「…………め……い……くん……」

 

 

すみれを庇うように、かのんの目の前に立っていた命がかのんの張り手を受けていた。

 

 

「……ダメだ、かのん……それだけは……絶対にダメだ…」

当たった場所が悪かったのか…口角の辺りから血が流れる命。

 

かのん「……ぁ……あ、あぁ……」

いけないことをしてしまった…と、かのんは…震えていた。

 

 

可可「もう……辞めてくだサイ!!」

そんな状況を、可可が打ち砕いた。

 

「……可可…」

可可「辞めて……くだサイ…」

地面にへたり込み……わんわんと泣く可可。

すみれ「……っ……!」

その姿を見て…悲しそうに、すみれは走り去ってしまった。

 

かのん「すみれちゃ!!…………ぁ…………」

追いかけようとしたかのん……だか、怪我をした命が目に入ってしまった。

 

かのん「……ごめん…私も、頭冷やしてくる……」

すみれの後を追うように…力なく歩いてその場を後にするかのん。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

千砂都「……こんな時に、ごめんね」

「明日は予定通りに朝から練習するから」

きな子「……本当に……大丈夫なんっすか…?」

 

千砂都「……まぁ、そう…なるよね……命っ」

「……俺か?」

 

千砂都「1年生のみんなを送ってあげて」

「……千砂都と恋と……可可は?」

 

千砂都「私たちは私たちのやるべき事をやるよ」

「……?」

 

恋「行ってあげてください」

可可「…………」

「……わかった、じゃあ行こう……みんな」

 

 

 

…………………………。

 

 

 

 

きな子「……先輩、怪我…大丈夫っすか…?」

「あはは、やっぱり痛いな……どちらかっつーと…心が、さ…」

 

メイ「すみれ先輩が、あんなこと言うなんて…」

四季「信じられない…」

「……本当に、本心で言ったのかな…」

 

夏美「どういう事ですの?」

「すみれは、1年生のみんなが成長できるようにって付きっきりでサポートしたり練習見てくれたりアドバイスしてくれたよな?」

きな子「はいっす、きな子もたくさんお世話になったっす」

「いくら強い敵が出たとしても…いきなり9人は辞めて5人で……なんて言うと思うか?

すみれだったら、負けない為にも…もっともっと頑張るからビシバシ行くわよ!って言いそうじゃない?」

 

メイ「……それは…」

四季「……でも、じゃあどうして」

「それが分からないんだよな…相談もされなかったし……

……ただ、何かあったんだ…きっと……」

 

夏美「……バディ!」

「……夏美……?」

夏美「夏美のわがままを聞いて欲しいんですの!」

メイ「なんだよ、急に」

夏美「決まってますの!やることは!

すみれ先輩の所に行くんですの!」

「……すみれの所に?」

 

夏美「言いたくない事なのかもしれませんの

……でも!やっぱりLiellaでの隠し事は良くないと思いますの!

支え合って、助け合って、お互いがお互いを分かり合う……それが

Liellaですの!!」

きな子「……夏美ちゃん…」

四季「……夏美ちゃんに、賛成」

「……だな、このままなんて絶対に嫌だもんな」

メイ「……そーと決まれば…行くしかねぇよな?」

「うしっ、行ってみるか!」

 

 

 

…………………………。

 

 

【一方その頃】

 

 

可可「……ア、ノ…」

千砂都「無理に言わなくていいよ」

 

可可「…………」

千砂都「でも、すみれちゃんが関係してるって言うのは何となく分かったから」

可可「……すいまセン」

恋「ですが…このままも、いけません…5人ですら足並みが揃わないなんて事も…」

千砂都「だから、こうしたんだよ」

恋「……え?」

 

千砂都「私と恋ちゃんと可可ちゃんで……かのんちゃんの家に行くの

そして、かのんちゃんともう一度話す

命は命で…1年生達を落ち着かせて話をしてあげて、きいてあげて…

ちょっとずつでいいから、頭の中を整理させないと、ね?」

恋「千砂都さん……そこまで…」

 

可可「………………」

千砂都「後は、すみれちゃんから本当の事を聞く!それが目的かな」

恋「さすが、幼馴染ですね…よく分かってらっしゃいます…」

千砂都「まぁ、こんな喧嘩に近いことは初めてだけどね~…

かのんちゃんがショック受けてなきゃいいけど……」

 

可可(すみれ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【かのんの部屋】

 

千砂都「かのんちゃん、入るよ」

かのん「……ちーちゃん…」

 

千砂都「様子、見に来たよ」

かのん「……私、最低だよね…雰囲気も悪くさせちゃったし

あんなに大きな声出して…命くんにまで……」

 

千砂都「……命だって、分かってるはずだよ」

かのん「……えっ…?」

千砂都「かのんちゃんが本気でそんなことしたわけじゃないことくらい

かのんちゃんが、真剣に考えた上での行動をしたことくらい」

 

かのん「……でも…」

千砂都「ほらっ、行くよ!」

かのん「えっ、ど、どこに……っ!?」

千砂都「このままにしてても、みんなモヤモヤするだけでしょ?

だから、話し合いに!恋ちゃんと可可ちゃんも待ってるよ!」

かのん「……話し合い……」

 

千砂都「……命も、待ってるから」

かのん「……っ……!」

千砂都「私は、かのんちゃんと命には…ずっとずっと笑っていて欲しいの

それが出来ないって言うなら……今度は、私が怒るよ」

かのん「……ちーちゃん…」

千砂都「行くよ!」

かのん「……う、うんっ…」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【すみれの家 神社前】

 

 

すみれ「しっかりしなさい、すみれ~…っ!

悪者になる覚悟は出来てたはずでしょ~……っ!」

箒を掃きながら、ぼやくすみれ。

 

その先に、人影が見えた。

 

すみれ「……あんた達……」

そこには、命と1年生4人が居た。

 

メイ「……冴木、ここからはアタシらに任せてくれねーか?」

「……メイ達に?」

メイ「アタシらの問題でもあるからよ」

「……OK、分かったよ」

 

4人の顔を見て、頷いた命は1人距離を置き木にもたれかかった。

 

すみれ「……何の用……っ?」

怪訝そうな顔で1年生を見るすみれにメイが近づいた。

メイ「すみれ先輩…やっぱりなんかあったんだろ?

前だって、アタシがすみれ先輩と同じくらい本気で勝ちたいって思ってるって言ったら笑って聞いてくれてたじゃないか!」

すみれ「……………………」

 

夏美「確かにまだまだなのは十分分かってるんですの!

……でも、支え合って一緒に高めあっていくのがLiellaだと思いますの!」

すみれ「…………」

 

きな子「きな子達の想い……聞いて欲しいっす!」

4人はお互いの顔を見合わせて、手を握り合った。

ひとしきり、歌い終わって……4人はすみれの方をみた。

 

メイ「……教えてくれ、すみれ先輩!」

夏美「すみれ先輩……!!」

 

すみれ「……な、何よ……急に来たと思ったら…そんな…事、言われたって……!」

四季「分かってる」

きな子「けど、やっぱりきな子達は…!!」

 

すみれ「……私だって!!!5人でステージなんか立ちたくないわよ!!!」

1年生「「「「……えっ?」」」」

 

すみれ「どれだけ練習頑張ってきたと思ってるのよ!

朝から晩まで、毎日毎日ラブライブのために……っ!」

メイ「……で、でも……さっき…」

 

すみれ「みんなで一緒に喜ぶために頑張ってきたんでしょ……!?」

きな子「さ、さっきからすみれ先輩言ってることが…」

四季「2年生、5人で出たいと言ったのはすみれ先輩」

 

すみれ「……それ、は……っ」

(助け舟……出した方がいいか?

……っと、あれ……は……)

 

1年生の後ろから、可可が歩いてきた。

(……って事、は)

後ろを振り向くと、木の影にかのんと千砂都と恋が覗き見していた。

 

千砂都(しーっ!)

(OK、OK)

かのんと目が合ったが…気まずそうに目を背けられてしまった。

 

(……やれやれ)

1年生と可可とすみれの方は任せておいて……命はかのんの横に場所を移した。

 

かのん「……っ!」

「……ほら、見守ってようよ」

かのん「……うん……」

 

 

 

可可「9人で良いんデスよ!」

きな子「可可先輩!」

可可「大切なのは、全員で歌う事デス!

みんなで最高のステージにする事なんデス!」

すみれ「でもっ……でもっ!!!!」

何かを言いたげなすみれ……それを見て可可がクスッと笑った。

 

可可「可可は構わないって言ってるノニ

どうして余計な事ばっかりするんデスか……勝手に苦しんでるデスか」

すみれ「……っ……嫌、なの……っ…」

可可「……ぇ……?」

 

すみれ「アンタと……一緒に、居たいのよ……っ

3年間……一緒に、スクールアイドルやり切りたいの…!!!」

可可「……っ!!」

 

(3年……?)

すみれ「可可の馬鹿ぁっ!!」

箒を投げつけるすみれ。

それを見て、命が飛び出そうとする。

しかし、千砂都が抑える。

 

千砂都「……大丈夫」

すみれは、ポッケに収めていたキーホルダーを手にした。

 

すみれ「何度……アタシはアナタに……可可に救われたと思ってるの……

私は、可可にお礼がしたいの……私の力で可可を最後までスクールアイドルを続けさせたいの……上海に絶対帰らせたくないの……!」

 

メイ「上海……?」

夏美「どういう意味ですの……?」

 

すみれ「帰っちゃうのよ……っ……!

勝てないと……っ……結果残さないと…この子がぁっ……!!

可可が連れ戻されちゃうのっ!!!居なくなっちゃうのっ!!!」

可可「ホント……バカですね…っ…」

涙を流し、すみれを抱きしめる可可。

 

すみれ「……可可……っ……」

可可「本当に、すみれは余計なコトばっかりするのデスね…

可可の嫌がることばかり…可可が決めたコトに反対ばっかりシテ…

可可が言うコトにいつもいつも口を挟んできて……」

すみれ「……うるさいっ!

うるさいうるさいっ、うるさ───」

 

可可「本当……大嫌い…デス……っ……」

すみれ「……可、可……っ……」

可可「大嫌いで……大好きデス……っ……」

 

 

 

 

 

 

「……そっか……そういうこと、だったんだ…」

千砂都「一件落着、みたいだね」

恋「胸の想いを打ち明けたんです、きっと今よりも更に絆が深まったはずです」

 

かのん「……命くん、ごめんなさい……私……酷いこと、したよね…」

「ううん、かのんがLiellaの事を真剣に考えて……みんなの事を考えてくれたからした行為だもん

俺は嬉しかったよ、かのんがここまでLiellaの事を想ってくれてたって」

 

かのん「……命くん…」

「ありがとうな、かのん…Liellaを助けてくれて」

かのん「……うっ…っ…あぁああああっ……!!」

「よしよし…泣くなよ、バカ……俺まで泣きそうになるだろ……」

かのん「命くんっ……命、くんっ……!!!」

 

 

恋「……そっとしておきましょうか」

千砂都「そうだねっ」




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