We are The Super STAR!**   作:A×K(アツシくん)

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のんちゃんが好きなんだ(唐突)


14話

かのん「……命くん」

 

家に居ても気が重くなるだけと感じたかのんは、当てもなくフラフラと歩き回っていた。

 

かのん(こんな決勝前の大事な時に……私ってホントダメだな…)

ベンチに腰かけた先に見えたのは……。

 

かのん「神宮競技場……かぁ…」

彼が、命が隣に座ってたら…なんて言うのかな。

 

かのん「……なんて、ね」

???「澁谷かのん!」

かのん「……えっ!?」

 

不意に名前を呼ばれて、振り返るかのん。

かのん「ま、マルガレーテちゃん……!?」

ウィーン「……冴えない顔ね」

かのん「…………………………」

自分でも分かってる、見るに堪えない位顔色が悪い事くらい。

 

ウィーン「隣、座るわよ」

かのん「……うん」

座った後、かのんの顔を伺うマルガレーテ。

 

ウィーン「……1つ、聞くわ」

かのん「……」

ウィーン「澁谷かのん…貴女にとっての、歌は…何?」

かのん「……歌…」

ウィーン「どっかの誰かは…歌は想いとか言ってたけど

澁谷かのん、貴女の意見を聞かせてちょうだい」

 

かのん「……………………」

ウィーン「……とても、話せる状況じゃなさそうね、邪魔するわ」

かのん「私にとって……」

ウィーン「…………」

話し始めたかのんを見て、再び座るマルガレーテ。

 

かのん「私にとって……歌は…誰かを、笑顔にする…大切な物」

ウィーン「……笑顔?」

 

かのん「……昔から、歌うのが…本当に好きだったの

でも、もっと好きにさせてくれたのが…命くんだったの」

ウィーン「……アイツが?」

 

かのん「…………………うん」

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

幼き日のかのん「ラ~ララ~…っ♪」

曜「かのんちゃん、とっても上手だね~…♪」

 

幼き日の千砂都「かのんちゃんのうた、だいすき!」

幼き日のかのん「えへへ……ありがとっ!♪

……あれ?めいくん?」

 

曜「……寝ちゃったね」

幼き日の命「すぅ……すぅ…」

幼き日のかのん「なんか……うれしそう」

曜「きっと、かのんちゃんの歌で安心したんだよ」

 

幼き日の千砂都「そーなの?」

曜「歌はね、聞いた人の心が温かくなって、笑顔になって安心できる……それが本当の歌なんだよ」

 

幼き日のかのん「じゃあ……めいくんは…」

曜「かのんちゃんの歌が大好きで聞いてて安心して寝ちゃったんだろうね」

幼き日の千砂都「ねがお…しあわせそ~…♪」

幼き日のかのん「じゃ、じゃあ……もっとうたう!」

 

 

 

…………………………

 

 

かのん「最初はね、そんなはず無いな……とか思ってたんだけど…

命くん、本当に私が歌うと…直ぐに寝ちゃって…

誰かの為に歌うって幸せなんだなって……私は、この人の為に歌いたいって」

ウィーン「そんなの……ただの綺麗事よ

歌は、完璧であれば……誰にだって─────」

 

かのん「そんな事ない!」

ウィーン「……っ……」

 

かのん「……歌声に……たくさんの気持ちを乗せて……

それが聞いてる人の胸に届いて…聞いてる人の背中を…ほんの少しでも良い…押してあげたい

それが……私の…私たちLiellaの……想い」

ウィーン「…………想い……」

 

かのん「だから…今の歌声も……命くんに、届く……はず……」

気がつくと、涙で視界がボヤけていた。

ウィーン「な、何よ!らしくもない……っ!!」

かのん「ご、ごめんねっ!……こんなつもりじゃ…無かったのに……っ」

 

ウィーン「……もっと、胸を張りなさいよ!!」

いきなり立ち上がるマルガレーテ。

自分の胸に手を置き、かのんと対峙する。

 

ウィーン「その想いがあったから、私に勝てたんでしょ!?

それなのに、そんな顔して…情けないわよ!

貴女の想いは、そんな物じゃないのでしょ!?」

かのん「……っ……」

 

ウィーン「……正直、アイツの事なんて…何にも知らない

それに、今どうなって…これからどうなるのかも、知らない

けど、澁谷かのん…貴女の目だけはその先も、どうしたいのかも分かっている

最初で最後の情けよ……言いふらしたら承知しないんだから」

かのん「待って……っ!」

 

ウィーン「……言っておくけど、これは情けよ

私は…今回の結果は、絶対に認めない」

かのん「………………」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

【その日の夜】

 

 

かのん「私の目だけが知ってる……未来……か…」

かのん「…………未来…………」

 

 

 

曜「かのんちゃん、居る?」

かのん「……ぁ、は、はいっ…」

 

曜「ごめんね、こんな夜遅くに」

かのん「い、いえっ……その…どうかしましたか?」

曜「……まだ、目を覚まさないって報告と…あと、2人で話がしたくて」

かのん「……2人…で?」

 

曜「私もね、悠くんがずっと…目を覚まさなかった時間があったの」

かのん「……えっと、確か…」

言う前に、曜は静かに頷いた。

 

 

曜「1日が…1ヶ月が…凄く、長く感じるぐらい暗くて苦しい時間だった

けどね、私たちに出来ることって何だろうって皆で考えたの」

かのん「みんなで…Aqoursの皆さんで…って事です、か?」

 

曜「そう、だから……かのんちゃんにもその事を伝えたくて」

かのん「命くんの為に……出来る、事…」

 

曜「1つしかない……よね?」

かのん「…………はい……私、歌いたいです…!

命くんの……大好きな、命くんの為に!!」

 

グッと決意したかのんの目には一筋の涙が零れていた。




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