We are The Super STAR!** 作:A×K(アツシくん)
今日の今日で、命くんは自主練をしている。
……けど、今日は少し……声に力が入ってる気がした。
「……っし!!!!!」
汗を流し、投げ終わったボールを回収し……また投げ始める。
かのん(……命くん、もうこれで150球も投げてる……)
ずっと見ていたけど…一向に止める様子は無い。
それどころか……。
かのん「ねぇ……命くん、少し休憩にしない…?」
「……まだだ、まだ終わる訳には……」
試合の時に見せるあの鋭い目付きを私に向けてきた。
こんな事……今まで無かったのに……。
かのん(どうしちゃったの……命くん……ライブ終わってから……なんか変だよ……)
聞いてみたくても……本人は何も無いとシラを切る……。
かのん「……命くん……」
曜「かのんちゃん、少しいい?」
かのん「……えっ……あ、はいっ……!」
命くんの様子が気になるけど……曜さんに呼ばれたのでリビングに行くこととなった。
────────────────────────
曜「……命と喧嘩でもした?」
飲み物を置いた曜さんは開口一番、私に問いかけた。
かのん「……その……喧嘩っていうか……」
曜「……聞くよ、話」
かのん「……分かんないんです…命くんの考えてることが…」
曜「……分かんない、とは?」
かのん「命くん、ライブ終わってから……何だか、こう……急いでるって言うか……焦ってるような感じがして……私、見てられなくて……何かあったのか聞いても、答えてくれなくて……
……私……命くんの為なら出来ることはしてあげたいのに……何にも力になってあげれなくて……不甲斐なくて……」
気がつけば私は涙をポロポロと流していた。
こんなにも命くんの事を想っているんだと同時に命くんの力になりたいと思ったから。
曜「……そっか、かのんちゃんは悪くないよ……それより、優しいね」
そっと曜さんは私を抱きしめた。
かのん「……私……どうすれば……?」
曜「かのんちゃんは、命の事を大事に思ってるんだよね?」
かのん「……はいっ」
曜「多分、命も同じことを考えてるんだと思う
……でも、あの子は不器用だし口下手だし…反応薄い時もあるけど……かのんちゃんの事を大事に思ってるからこそ、そんな風になっちゃってるのかもしれない」
かのん「……曜さん…」
曜「この件、1回こっちで預からせてもらっていいかな?」
かのん「は、はいっ……!」
曜「大丈夫っ、かのんちゃんの想いは絶対に無駄にしないからっ♪」
──────────────────────
【一方その頃】
「…………っ…………あっ!!」
力を込めて投げた一球がネットを揺らした後……命は肩で大きく息を切らした。
「……はあっ……はぁ……っ……!!」
悠「命、一回やめてこっちに来い」
「……まだ、だ……っ……!」
悠「命」
悠は命の腕を掴んだ……その力は強く抵抗出来なかった。
「……っ……!」
振り払い、命は腰かけた。
悠「ほら、飲み物飲んで一回落ち着け」
「………………あぁ…………」
力尽き、ガクッと崩れ落ちる命。
その様子を見ていた悠が口を開いた。
悠「……なんかあったんだろ、話してみろ」
「……別に……」
悠「いーから、話してみろ」
「……………………あのさ」
悠「おう」
「……父さんは母さんがスクールアイドルをやる……ていうか……やってた時って……どう思ってた」
悠「……やってた時……かぁ
もちろん、凄いなとか……輝いてるなって思ったよ、実際ステージ上でのダンスとか歌とか凄かったし」
「……じゃあ──────」
曜「……2人とも、ちょっといい?……特に、命」
「………………」
悠「……話の続きをしようか、命」
「………………………………わかった」
リビングに戻ると……かのんの姿はなかった。
曜「そこに座って」
母さんがこう指示を出す時は……いつも怒られる時だ。
きっと、今回も怒られるのだろう。
曜「……まず、命の思ってる事を聞かせて……ここ最近の事で」
「…………」
「………………アイツが……」
「アイツが……スクールアイドルをしてるのを……応援したい自分と……嫌だって思う自分がいる」
悠「嫌だって……なんでだ?」
「……もちろん、有名になったりするのは……凄いことだし……やったなって思う……けど、その反面……チヤホヤされたり……ファンが出来るのが……俺は……嫌だってなった」
悠「……それは……」
「わがままなのは分かってる……そんな気持ちのために、アイツにスクールアイドルをやめろとは言えない……だから、他に何かを熱中しようってアイツにはアイツの道を進ませようって」
曜「……つまり?」
「……俺がそばにいなくても、あいつはもう──────」
パンっ!
悠は突然の出来事に言葉を失った。
目の前で曜が命の事を叩いたからだ。
「………………………………」
悠「……曜……ちゃん…」
曜「本当に……本当にそれでお互いのためだと思ってるの!?
かのんちゃんの想いだって汲んであげなよ!!何年一緒に居ると思ってるの!!」
「……………………………………」
そのまま何も言わずに命は自分の部屋へと入っていってしまった。
曜「……やり過ぎた、よね……」
悠「そんなことは無いさ……アイツにも伝わったはずだよ」
曜「……うん」
「……くそ……」
──────痛いのは、叩かれた頬じゃなく……心の方だった。
────────────────────────
【次の日】
「……おはよう」
曜「……あっ……おはよう……!
……その、昨日の────────」
「母さんは、何も悪くない……俺も、少し冷静に考えてみる
……いってきます」
曜「……命……」
悠「あとは本人次第だ……見守ってやろう」
曜「…………」
────────────────────────
【結ヶ丘女子高等学校】
かのん(命くん……朝は顔合わせ無かったな……大丈夫なのかな……肩とか……痛めて無ければいいけど……)
すみれ「……ひとつ提案なんだけど……次の曲のセンターって……誰、かしら?」
かのん「……えっ?あっ、せ、センター???」
すみれ「そうよっ、これからは3人でグループなのだからセンターが居るわけ……でしょ?」
かのん「……あ……そっか、この前まで2人だったからあんまり考えてなかったけど……」
可可「確かに……3人になったら決める必要がありマスね」
すみれ「……まぁ、色々考え方はあると思うのだけど~……」
可可「かのんが良いと思いマス!」
すみれ「やっぱり、1番ダンスや歌が上手い人が担当するのが~…………………………へぇっ!?」
かのん「可可ちゃん、今かのんって……」
すみれ「そこじゃないったらそこじゃない!なんでセンターが私じゃないのよ!?」
可可「かのんが良いです!千砂都さんもそう言うと思いマス!」
かのん「えっ、ええぇっ~!!??」
可可「メーさんも喜ぶと思いますシ!♪」
かのん「……あ、ははっ……そう、だね」
可可「……???」
すみれ「ちょっと待ったーーーっ!!」
かのん「うぇっ!?」
可可「なんデスと!?」
すみれ「……そ、そういうので決めて……いいの、かしら???」
可可「……と言いますト?」
すみれ「さ、先とか後とか関係ないでしょ???勝つためには実力がある人が先頭に立つ……ち、違う~かしら~???」
かのん「……そ、そうだよね~……っ!」
可可「デスが!センターというのはそれだけではありまセン!
カリスマ性のような見えない力も必要デス!」
すみれ「……ぐぬぬぬっ……確かにそうかもしれませんが~…!
そんな物、どうやって計るのです??!」
可可「ふっふっふ……可可にいい案がありマス…」
────────────────────────
千砂都「と、言うわけで~……!
ただいま、スクールアイドル同好会ではセンターを誰にするか選挙を行っていまーす!
この学校のスクールアイドルのセンターに相応しいと思う人に是非投票を!」
かのん「な、なんでこうなるの~……っ!……恥ずかしいよ~……!」
可可「スクールアイドルがそれでは、この先やってはいけまセンよ~……?」
すみれ(……ふっ、大丈夫~……♪
オーディションやスカウトとは違うこの2人よりも得票が多ければいい……そのくらいなら……っ♪)
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すみれ「……う、そ……でしょ……っ……そな、バナナ……っ!!」
千砂都「いやー、予想通りって感じだね~」
可可「やっぱりかのんには、カリスマ性がありますカラね~♪」
千砂都「あ、どうせなら部長も一緒にやっちゃったら?♪」
かのん「え、ええっ!?!?ちょ、気が早いよ~!」
すみれ「~~~っ!……な、納得できないわ!」
かのん「……え?」
可可「……???」
すみれ「納得出来ないったら出来ないの!……どうしてっ、ダンスや歌だって私全然負けてないのに!」
千砂都「うーん、それもアピールタイムで見てもらっての結果だから……ねぇ?」
可可「恐らく、オーラとか華とか……かのんの方が可可やアナタよりセンターっぽいのデスよ~」
すみれ「はぅ!!……あ、あああぁ……!!
…………や、辞める……!!
ふ、ふんだ!センターになれないならこんなとこいる意味ないもの!」
かのん「えっ!?……ちょ、すみれちゃ……いっっ…たぁ…!!
……ま、待ってよ、すみれちゃーん!!……行っちゃった…」
千砂都「あ……雨……この様子じゃ……練習は……」
可可「……帰るしか……ない、デスか?」
かのん「……あのね、可可ちゃん」
可可「……えぇーーっ!?センターをあの人に~ぃ!?」
かのん「……だって、センターを任せたら…すみれちゃん辞めないんだよ…?だったら任せようよ……」
可可「……それはどうでしょうか?…センターはスクールアイドルの憧れデス
誇りを持つべきデスよ」
かのん「……そうだけど……でも、すみれちゃん……どうしてそこまで…こだわるのかな……」
────────────────────────
かのん(結局、分かんないし……答えが出ないまま……街に来ちゃった……命くんからのメッセージも無いし……はぁ、どうしよ……)
かのん「……あれ?……あの姿……すみれちゃんっ?」
かのん(どうしよう……声をかけるべき……かな……?
……追いかけようっ!)
すみれ「…………………………」
かのん(何してるだろう……さっきからグルグルと同じとこを…)
通行人「あのー……」
すみれ「はいっ!♪」
通行人「駅ってどっちですかね……?」
すみれ「……ぐぬぬ……っ……ふんっ!スカウトじゃないなら声かけないでっ」
通行人「……え、ええぇっ~……???」
かのん「……スカ……ウト?……って、お、追いかけなきゃ!」
急いですみれの後を追うかのん……そして、その様子を見てる人物がもう1人居た。
「……かのん?アイツ……何をキョロキョロして……」
携帯を家に忘れたので、何も連絡が取れなかったが……その姿は確かにかのんだった。
「……心配だな、声かけてみるか…」
信号を渡ろうとした時だった。
トンッ。
誰かにぶつかった。
「……すまない、大丈夫か?」
???「……気ぃつけて歩けよな」
(うお、赤髪の女の子だ……中学生くらいか?)
???「……んだよ?」
「いや、なんでもないすまなかった気をつける」
???「……変な奴」
(見失った……そう遠くへは行ってないはずだが……)
────────────────────────
【神社】
すみれ「…………………………はぁ」
溜め息を漏らし、その場で立ち止まるすみれ。
携帯を開くと、自分の写真フォルダーを開いた。
子役時代の写真……と、共に動画が再生された。
【グソクムシ~グソクムシ~グッソクソクソク、グソクムシ~♪】
すみれ「……ふ、ふへ、へへへへ……っ……」
かのん「それ、何見てるの………………?……って……ぷっ…!」
すみれ「なぁっ!?」
かのん「可愛い~っ!これがすみれちゃんが言ってたショ~ビジネス?」
すみれ「……あ、あああぁ…………!……ぐ、ぬぬぬ……っ!!」
かのん「……すみれ……ちゃんっ???」
すみれ「……み~た~な~……っ!!!!!」
かのん「……す、すみ……れ……ちゃ……い、いゃあああぁああ!!」
「かのんっ!?……こっちから聞こえた……!!」
傘を放り投げ全速力で声のする方を追った。
「……ここは、神社……?」
確かに声はここからしたが……かのんの姿がない。
「……連れ去られた……とか?……おいおい、勘弁してくれよ……!」
─────────────────────
【神社内】
かのん「……っ……ここ、は……っ?
……って、縛られてる……っ!?……ちょ、ちょっと!!なんなの!?」
かのんが声を上げると、照明が付いた。
かのん「まぶっ…………って、な、なに、これっ!?!?」
すみれ「おはよう……そしてさようなら……」
かのん「はっ!?……す、すみれ……ちゃん?」
すみれ「貴女は見てはいけない物を見てしまった……だから……今からケジメをつけてもらうわ」
そう言うと、すみれはお祓い棒をかのんに向けた。
かのん「その、格好……まさか、ここすみれちゃんの─────」
すみれ「大丈夫~……じっとしていればすぐ終わるわ…
えーっと……ここまで準備したら対象の記憶を無くすために念じながら頭を100回叩く……と」
かのん「今学んでる……っ!?」
すみれ「その後、水2リットルをかけ~……えぇい、めんどくさい!強行突破じゃー!!!!」
かのん「た、助けて……命くんっ……!!」
かのんが叫ぶと、お祓い棒の動きが止まった。
すみれ「……アンタ、またアイツの名前を呼んで……」
かのん「……だ、だって!命くんはいつでもピンチの時や困ってる時に来てくれたもん……!!」
すみれ「本当に好きなのね……ジャリボーイの事が」
かのん「……大好き……だよ……っ!!
もうおかしくなるくらい大好きなの!……でも、気持ちが……届かなくて……私……」
また泣きそうになるかのんを見て……すみれは焦った。
すみれ「ちょ……泣かないでよ!まるで私が悪者みたいじゃない!
……え、えーーっと……グ、グソクムシ~グソクムシ~っ……」
「…………何やってんだ、お前」
すみれ「で、出たぁあああぁあああっ!!!?!?!?」
「……はぁ、追いかけてやっと見つけたわ」
かのん「…命……くん……!」
「まず、携帯家に忘れてたわ……ごめんな、かのん」
すみれをそっと退かし……かのんに近づく命。
「……あと、昨日の件……すまなかった……俺馬鹿だからさ……なんか一人で熱くなってたわ」
縄を解きながら、命はかのんに言葉を続けた。
かのん「……命くん」
「……こんな手のかかる幼馴染だけど……これからも一緒に居てくれるか?」
かのん「……もちろんだよ、命くん!///」
すみれ(告白っぽくなってるけど……好きとかそういうの言ってないから有耶無耶な関係なのは変わらないわよ、アンタ達……)
「……あと、お前の話を聞かせてくれ、すみれ」
すみれ「……ぁ…………わ、分かったわよぉ……」
かのん「……やっぱりここ……すみれちゃんのお家だったんだ…」
「だな……」
かのん「命くん、すごく濡れてる……」
「一心不乱に走ってたからな」
かのん「……ごめんなさい」
「無事だったんだし謝らないでくれ」
すみれ「……ん」
2人の前に立ったすみれは飲み物を渡してきた。
すみれ「……そうね、どこから話しましょうか」
「どこからでもいいよ、全部聞くから」
すみれ「……私ね、小さい頃から……色んなオーディションを受けてたの……主役に憧れて」
「……オーディション?」
かのん「その話は、また後で……」
すみれ「子役の頃から一生懸命頑張って……でも、どんなに頑張ってもいつも最後はどうでもいい脇役」
かのん「……それで、スクールアイドルのセンターに…」
すみれ「……まぁね
……アマチュアだし、なんとかなるかなって思ったけど……やっぱり無理みたい」
「……そっか、そういう事だったんだ」
すみれ「……今回のことで、よく分かったわ……私はね、そういう星の元に生まれてきたんだ……って」
かのん「………………」
すみれ「どんなに頑張っても、真ん中で輝くことは出来ない
……悪かったわね、2人にも……そう伝えておいてくれるかしら」
かのん「ま、待っ────────」
「そんなことは無い」
命は咄嗟にすみれの腕を掴んだ。
すみれ「……何よ」
「真ん中で輝けないって……誰が決めた?
お前は主役じゃないって……誰が決めた?」
すみれ「……だから、何度も言ってるけど……っ!」
「お前の人生はお前が主役だろ!
輝くか輝けないかは自分の気持ちが決めることだろ!……逃げるなよ、その気持ちから」
すみれ「……余計なお節介よ、生意気」
「……だったら、俺がお前をスカウトしてやる!……だから俺にお前をプロデュースさせろ!」
すみれ「……えっ……?///」
かのん「命くん……」
「……さぁ、俺はお前の始まる道を作ろうとしてるぞ……お前は……どうする?」
グッと拳をすみれの方に突き出す。
すみれ「……めんどくさいわよ、私」
「構わない」
すみれ「また辞めるとか言い出すわよ」
「絶対にやめさせない」
すみれ「……強情ね」
「よく言われる」
すみれ「……分かったわ、私の根負けよ……その変わり、主役にさせなかったら……タダじゃおかないんだから」
そう言うと、命の拳にグータッチをしたすみれ。
「……あぁ、始まったなら……貫くのみ、だ」
すみれ「……期待してるわよ、アンタのその言葉」
かのん「……えっ、えっ???……ど、同好会残ってくれるの???」
すみれ「ここまで言われて逃げたら癪だから、よ」
「……任せとけよ、すみれ」
すみれ「生意気なくせにいいこと言うじゃない、ジャリボーイ♪」
────────────────────────
【その帰り】
かのん「……ああいう時の命くんって、頼もしくて……かっこよかったな」
「よせよ、振り返るな」
かのん「……でも、少し妬いちゃうかも」
「誰もすみれだけとは言ってないさ……お前も輝かせたい……そう思ってるよ、かのん」
かのん「……命くん……あ、あはは……っ!空になったペットボトル、片付けてくるね!///」
恥ずかしそうに、その場から去ろうとするかのん。
その目の前に車が……。
「危ないっ!」
かのん「きゃっ……!!」
急いでこちらに手を引いて事なきを得たが……俺とかのんの体は密着した。
手に持っていたペットボトルが地面に落ちる音がした……。
かのん「……ぁ……///」
それと同時に……。
2人は
唇を交わした。
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