外星人零号 前日譚   作:風見 桃李

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バディメフィラス 二人のメフィラス星人
外星人零号 前日譚 外星人編


バディメフィラス

 

 

地球に行ったきりで帰ってこない同じ星の者がいるという。

母星への報告はたった数回で五回にも満たない、上司はお怒りだ。

『地球は光の星に目をつけられた。私は地球より離脱、新たな使者はゼットンの使用。生成を確認。ですが窮鼠猫を噛む。これにて私からの地球に関しての報告は、これを最後とする』

「キュウソネコヲカム?地球の言葉か?」

 

それを最後に連絡は途絶えたとのこと。

何か母星に対して怪しいことをしているんじゃないか、反逆でもするのではないかと母星の上の者は疑った。

とある上司の指示のもと、とある先輩と後輩が地球へと向かう事となった。

「セーンパイ!!地球ってどんな所なんですかね?」

「さぁ?私も他の惑星になら取り引きや視察で行ったが、地球はわからないね」

 

一人は先輩と言われたメフィラス星人。

落ち着いており冷静で一般的なメフィラス星人、と言われれば一般的な方だ。

一方共にいるもうひとりのメフィラス星人は、メフィラス星人らしくない振る舞いをする。

まるで地球の若者のような陽気な星人だ。

 

二人は母星の多くのメフィラス星人から見ればまだまだ未熟なメフィラス星人、特にもうひとりのメフィラス星人を見ればよくわかる。

「地球かあ、楽しみだなあ!」

「遊びに行くのではないよ、わかっているね?」

「そういえば地球に行ったことのあるもうおじーさんな同族と話したことありますよ!人と一緒に食事をするのが良いって!それと地球のニホンって土地のラッキョー?というのも食すのをおすすめするって!」

「二度は言わない。それと、キミもメフィラス星人なのだから言葉遣いには気をつけなさい。まったく、何故こんな風に成長したのか···私はどこかで教育を間違えたのかな?」

「先輩!オレ、地球でラッキョーをまずは食べたい!」

 

先輩と言われたメフィラス星人は少し落ち込んだ。

先輩もあと数百年すればこの後輩のメフィラスを置いて去らなければならない、そしてこの後輩が先輩になり、また新たな後輩のメフィラス星人を育てる。

そうなれば後輩もまた、独り立ちをする。だがそれはいつになる話だろうか。

「キミは、独り立ち出来るだろうか···いや、そもそも後輩を育てられるのだろうか」

 

その時にはまだ無い筈の内部器官の胃が痛くなりそうだった。

こうして二人は母星よりの命令で先立って地球に向かった二人よりも手慣れで、かなりの大先輩のメフィラス星人を捜索、発見次第連れ帰るという仕事をしに地球へ向かった。

 

そんな彼らは静かな夜明けに地球の日本に辿り着いた。

日本にした理由は禍威獣が多く現れるから、そこで大先輩のメフィラス星人は仕事をしている可能性が高いと先輩は見込んだ。

そんな同星の者を探すべく、まずは日本に馴染むために日本人の姿になる必要があった。

後輩の仕入れた情報曰く、地球人の姿では無いと他の惑星と違ってかなり目立つとの事。

「あー、こうやって地球人を見てるとたしかにオレたち、メフィラス星人は目立ちますね。えー、オレこの姿気に入ってるのになあ。どの外星人よりもイケてる進化じゃん?ねえセンパイ」

「私達は仕事をしに来ている。気に入っている、気に入ってないを考えるんじゃない。それはそれとして、何を基準にこの姿を変えるか。容姿の美醜もだが、言語も何パターンあるか、ここの言語はどのようなものかを確認をしないと···」

「先輩、あの家は暗いから住処にしている住民、居ないですよね?現生人類特有の、えっと、紙に記したなにかに人の顔とかあるんじゃ」

「その通り、偉いね」

「もっと褒めてー!センパーイ!」

「擬態も上手くできたらしてあげよう」

 

暗い、物音のしない住居へ二人は移動した。

移動を選択した部屋を失敗したなと、すぐに先輩は思った。

辺りにあるのはある程度の統一性のある玩具、前持って後輩メフィラスがおじーさん(発音出来てないだけでおじいさん)なメフィラスに少し日本語を教えてもらっていたので後輩は読めていた。さらに情報収集として独自に調べてもいた。

故にこの後輩、地球の日本の文化に少し俗っぽい所があったのだ。

「わあ!凄いですね!これ全部ライダーの変身ベルトですよ!あ、雑誌もある。演者のインタビューとかありますよ!こういうのには演者の全身写真やプロフィールも···あった!載ってる!」

「キミ、もう少し大人しければ今褒めたのにな」

「オレこの人になる!俺にピッタリー!変身も格好いい!先輩こっちの人どうですか?!役者もして薬剤師もして頭も良いって!」

 

正直早く次のフェーズへ移行したかった先輩は後輩の意見に乗った。

地球基準のスケールは前持って上司から聞いていた、先輩はプロフィールにある身長になるように調節してガワを人間に擬態した。

服はとりあえず演者の写真と同様のものにした。

「さて、これで良いかな。キミは擬態でき···」

 

振り返ったら後輩は黄色い仮面ライダーに擬態していた。

「お前を止められるのは、ただ一人!オッ!?」

 

すぐに無言で頭と思われる位置を素早くはたき落とした。

人間に擬態した先輩からの表情の落ちた無言の圧とはたきが怖った後輩は、直ぐ様に人間に擬態し、涙目になりながら謝った。

「ごごご、ごめんなさい、先輩。許してください」

「次に変なことしたら、足の指を裂きます」

「は、はひぃ!それだけはやめてください!!四本しかない俺の指ぃ〜!!」

 

こうして先輩は役としては何度も蘇る元社長でライダーでデンジャラスなゾンビの自称神、現実ではリアル神と言われる役者に擬態。

後輩は役としては元お笑い芸人で今は社長でライダー、現実では安定して売れている料理上手な俳優に擬態した。

 

二人は人間に擬態したまま、その部屋にあるパソコンや雑誌で情報を収集続けた。

さらに高度な擬態をするためだ、今のままでは内部まで理解をしていない。何かあった時のために、念には念を入れることを怠らない。

先輩はパソコンを使いデジタルの方向で先輩が不慣れな言語や発音などを、後輩は文字が少し読めているのでその部屋にある雑誌などのアナログの方向で情報を収集した。

 

ここまで来て一つわかったことがある、人間は食事をすることだった。

若いメフィラス星人には難易度高いことである。

「私達は食事をそこまで必要としない」

「人間みたいなあからさまな口ないですからね、食べれるっちゃ食べれるんだけど」

「···仕方ない、まずは食事をしてみようか」

「ラッキョー!」

「だが食事には貨幣がいる、そのためには地球の環境に遵守し、働かなくてはならないが、またそのためには名前がいる」

「···役者の名前のままって、どうですか?オレたち基準で決める名前と、地球の基準で考える名前や発音って、即決で決めるのは難しいです。いくらオレたちメフィラス星人の地頭が良くてもそこまでは···」

「···今回はキミの意見に乗ろう」

 

思えばここから二人の歯車が狂い始めたのであった。

二人は外星人だ。この星のことはまだよく知らない。

役者というのがどれほどの知名度があり、名が知れて、顔も割れているかまでは考えていなかった。

 

まず二人は日当で貰える仕事をしてみた、それは手当り次第。

その結果、二人は仲がいいので兄弟に見られたので生き別れた兄弟(名字違うので)という設定で通した。

そこで目立ったのは後輩ではなく、先輩だった。

二人揃うと先輩と後輩の身長差のおかげで顔面の威力がべらぼうに跳ね上がる。(土木のおじさん談)

「いやあ、フミヤくんはよく働くねえ。それに若いし、ああいう子が今少ないからね」

「そうなのですか?」

「そうだよ。それにあの子は良い子だ、良過ぎて少し心配になるがね」

「おじさーん!次はこれをトラックに積んでおけばいいんですよね!!?」

「大声出さなくても聞こえるよー!そうだよ!よろしくなぁ!!君ら兄弟だろう?二人とも細いし顔整ってて仕草似てて、あぁこれから昼だな。そうだ!おじさんが大盛り奢ってあげるから、また午後も頑張り」

「はは、ありがとうございます、現場監督さん(兄弟···ではないがね。それにしても細いのか。もう少し肉付きを考えなければ)」

「おじさん終わったー!」

「よし、んじゃ昼飯だ!牛丼食いに行くぞ!大盛りにしてあげような」

「ギュウドン!?兄ちゃん!昼ごはん食べに行こう!」

「そうだね、食べに行こうかフミヤ」

「ホントにあの兄弟、顔がいいなあ」

 

二人は汗臭い現場の制汗剤となっていた。そして問題はとあるおじさんの誘いだった。

その誘いとはモデルの仕事。

「娘がなぁ。身長高くて、顔が良い奴が二人ぐらいほしいって言っててな。モデルっちゅう仕事なんだが、良かったらやってみねぇか?」

「もでる、とは?」

「兄ちゃん、この前見た雑誌のやつだよ。着飾ってぇ、ポーズ取ってッ!ハァイ!チーズッ!」

「まあだいたいそんな感じだな。あんちゃんの方が頭良いのにそういうことは知らないんだなあ」

「兄ちゃんは俗っぽいのはあんまり知らないの、オレと兄ちゃんでそういうバランス取ってるの!俗っぽいのは俺の担当!」

「もしかして不思議ちゃんってのは、あんちゃんみたいなこと言うのかねえ。おじさん、よくわからんが。まあ、来週までにほしいって言ってたから、とりあえず二日後までにな。二人でよく考えな」

「ええ、少し考えてみてみます」

「兄ちゃん!オレ!!やりたい!!!」

「二人でよく考えなって言ってるだろう!?お前はあんちゃんを振り回すんじゃないよ!あんちゃん困ってるだろうが!顔見てみぃよ!」

 

フミヤとなった後輩は兄ちゃんとなった先輩に抱き着き、幼い弟が兄に強請るようにそれは強く、ギリギリと強く抱き着く。

弟という立場をわかっていてなのか、後輩は物理的にも振り回し始めていた。そして後輩は先輩の顔を見ても態度を変えなかった。

腕まで巻き込まれながら直立不動で先輩はやんわりと笑顔を作りながら、心做しか諦めている声で返答をした。

「兄ちゃ〜ん!!」

「···慣れてます」

 

地球のことが気になる何でもやってみたい後輩、先輩は後輩がしてみたいというのでその誘いに乗った。

そのためにその名前で戸籍を作り、仮初めだが住居も構えた。だがそれがマズかった。

 

モデルの仕事の日、その場は緊張感が漂っていた。

仕事は順調に進むのだが如何せん二人がなっているのは有名人、現場監督の娘はドッキリなのかと気が気ではない。

そんな現場でもカメラマンはここぞとばかりにたくさん写真を撮りまくっていた。

何故ならどんな人物で素性の者であれ、その外見はほぼ本人だからだ。本人でなくてもイケメンに分類する、だから撮る、指示をする 。

カメラマンとその一部はやりたい放題たくさんの指示を出した。

 

その後日、二人の住居に荒々しく人がやって来る。

「あなたたち!外星人ね!」

「禍特対の神永だ。その顔と名前でバレないと思ったのか?」

「禍特対、ですか。聞いたことありますね」

「最後の報告の一つ前にあったやつですね、先輩」

「それにしてもこの顔と名前は有名なようですね」

「その通り、その二人は有名です。何故なら」

 

ドアを蹴破り入ってきたのは禍威獣特設対策室専従班 通称【禍特対】の人間の二人だった。

片方は神永と名乗った、もう片方は銃を構えていた。

その二人の後ろから黒いスーツに黒いワイシャツと真っ黒な男がゆったりと現れた。

その男こそ、彼らが探していた者だった。

「ライダーの、方や主役、方や信者ができる人の名前と姿。呆れて物が言えない、とはまさにこの事ですか」

「私達はあなたを探していた。なぜそちらに」

「そうですよ!なんで人間といるんですか!大先輩!」

 

禍特対の浅見がまさかと呟いた。

神永は今や同僚となった男に視線を動かした。

「彼らは私と同じ、メフィラス星人です。ですが私より未熟、故に彼らはバディを組むメフィラス、通称バディメフィラスと呼ばれてます」





バディメフィラス 先輩と後輩の関係。

先輩 比較的一般的なメフィラス星人。後輩の師であり、教育者。人間からしたら天然に見られる。

後輩 メフィラス星人っぽくない、比較的日本の陽キャの若者寄りのメフィラス星人。先輩を慕っている。人間からしたらいい子、らしいが?
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