101スレ
「それで、お前が新しい姿になれると聞いた」
「はい。まあなんというか新しいフェーズというか、発展と言ったらいいのか分かりませんが……ぶっちゃけ、この力は軽々しくは使えないレベルに」
「言うなれば緑谷の全力クラスか」
「ンな所です」
再び、訪れた日常を謳歌している星辰に相澤がそんな事を訪ねて来た。エボルビルドには戦兎からリミッターを施して貰い、任意での解除が出来るようにして貰ったとはいえおいそれとは使わない方がいいと言われている。概要については相澤は資料を貰っているがそれには驚きを隠せなかった。そしてそれだけの力を持っているならば頼む事が出来るかもしれないとある話題を切り出した。
「……お前に頼みがある」
「俺に、ですか?」
「ああ」
「やっこんにちわ壊理ちゃん」
「え、えとえと……こんにちわ」
「はいこんにちわ」
相澤からの頼み、それは死穢八斎會から救助した少女、壊理ちゃんの相手という物だった。彼女の個性は巻き戻し、現状では使う事は出来ないらしいが同時に暴走のリスクも否定できない。故に訓練も軽々しく行う事が出来ない―――そこで白羽の矢が立ったのが星辰であった。
「この人は俺の後輩の星辰君っていうんだよ、これから壊理ちゃんに良い物を見せてくれるっていうんだ!!」
「良い物?」
「そう、良い物」
壊理ちゃんとのそれなりに仲が良いらしいミリオが中継役となって雄英の一角を借りて顔合わせを行う事になった。そして良い物を見せると言いながらもエボルドライバーにエボルトリガーを接続すると直ぐにジェネシスユニバースボトルを装填する。
「変身!!!」
「うわぁっ……」
目の前で行われた変身、それは天井の星々が人の形を成して行くかのような奇跡を体現したような物。新しい宇宙その物となったかのような輝きを纏ったそれは、エボルビルドの姿となってノリノリでポーズを取りながら壊理ちゃんにアピールを行う。
「これは本当に凄いね!!」
「フフン、さてとこれより私がお見せ致しますのは君の吃驚と喜びに御座います」
そう言いながらもビルドの決めポーズを取って楽しげな雰囲気を作り出しながらもレバーを回すのであった。
創造の力を起動させながらも全身からエネルギーを脈動させていく、そしてそれらを両手に集めて行く。煌びやかな光がエボルビルドの両手に纏われていく、そしてそのままエボルビルドは壊理ちゃんの前に腰掛けながらも頭部の装甲を解除し、笑顔を見せながら指で輪を作る。
「壊理ちゃん、此処にフ~って息を吹き込んでみてくれないかな?」
「ふ~?」
「そう、フ~フ~って」
「やってみようよ壊理ちゃん」
「……フ~」
思わずどうしたらいいのか分からず、ミリオに視線を向けると優し気な笑みを浮かべたまま頷いた。それに促されるように指の輪っかへと向けて息を吹きかけてみた。すると指から光が膨らんでそのまま空へと浮かび始めた。まるでシャボン玉のようにフワフワと浮遊するそれは太陽の光を受けると更に煌びやかな光を放ち始めた。
「おおっこりゃまた……」
「先輩もどうぞ、時間が経つ程に性質が変化していきますから同じ物できませんよ」
「そりゃ不味い!!壊理ちゃんとお揃いの物を―――ブッフウゥゥゥウ!!!!」
「あああちょっと強すぎぃ!?」
全力で息を吹きかけた結果、勢い良く膨らんでいった光は超巨大なモノになって空へと登っていく。中央には光の渦の流れが生まれ、まるで銀河のような光景を空へと生み出した。壊理ちゃんのが小さな流れ星の輝きのようなもの、お世辞にも同じ物とは言えない。
「あ~あ……」
「アハハハッいやぁごめんね、でもこれはこれで良くない!?プラネタリウムみたいだ!!」
「まあ否定しませんけど……如何かな壊理ちゃん」
これ如何かなと思ったのだが、そこには瞳を輝かせて青空の下に生まれた星空という幻想的な光景に言葉を失いながらも魅入っている壊理ちゃんの姿があった。
「すっごい綺麗……ピカピカのキラキラでグルグルしてる……」
「もっとやる?」
「うん、やりたい……!!」
初めて年相応の少女らしさを見せてくれた、此処までの反応はミリオでも初めてだった。子供らしい好奇心、それをエボルビルドの創造の力が猛烈に刺激して一歩前へと連れ出した。これまで見せなかった一面へと踏み出す扉をビルドしてくれた。
「どんどん、昇っていく……」
「いやぁもう凄いねこの光景!!プラネタリウムも商売あがったりだね!!」
「さてさて、これから―――だよ!!」
そんな風に言いながらもワザとらしく後退りながらもエネルギーを星空へと投げた。エネルギーは閃光となって星空へと向かい、惑星のように漂っていたシャボン玉を通り抜けて銀河へと溶けて行った。
「みててご覧、これからお空にお花を咲かせるからね」
「お花?」
その言葉の直後、浮き上がっていたシャボン玉が一気に収束し始めた。それ自体はエボルビルドが生み出したエネルギー体、それは新しい刺激を受けて急速変化し始めて行く。そして限界まで収束すると―――それは光の帯を無数に生み出しながらも星空に花を咲かせる。視線を釘付けにする程の光の奔流。次々と生み出されて光の花、そして最後には……ミリオの作った巨大な銀河が大きな花束へと変貌しながらも青空を美しく彩っていく。
「凄い、凄いよ石動君!!サーにも見せてあげたいぐらいだよ!!」
「お褒めに預かり恐悦至極、さて、壊理ちゃんは如何だった?」
「―――キラキラのピカピカで、凄くキレイでビックリ……」
目を丸くしながらも思わず座り込んでしまった壊理ちゃん、如何やら彼女には別の意味で刺激が強くあり過ぎたらしい。残念ながら笑顔を作り出す事は出来なかったが……大きな感動を与えてあげる事は出来た。
『おい相棒、これ如何考えてもジェネシスユニバースボトルの無駄使いだろ。戦兎だって呆れるぞこの使い方』
「(それはねぇよ、だってこういう事をするのが戦兎さんの目指す仮面ライダーでもあるんだからな)」
文化祭編への向けて、その1