星狩りのヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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104スレ

「ヤオモモ、ケーキの準備終わったよ」

「此方もお紅茶のご用意がもう少しで終わりますわ」

 

文化祭に向けての練習が始まって1週間ほどが経過し始めた頃、最初は素人芸と言わざるを得なかったレベルだった物は確実にレベルアップを積み重ね続けている。だが休息は必要だと、星辰はケーキを準備してそれに合わせる紅茶を八百万が準備している。

 

「それにしても耳郎さん、僅か1週間で上鳴さんがあそこまで叩けるようになるなんて本職さながらのご指導ですわ」

「いや、ウチは大した事ないってなんか今日の紅茶いい香り」

「確かに」

 

その香りに思わず瞳を閉じてしまった。nascitaでは惣一が要れる珈琲が有名且つ人気メニューではあったが、紅茶の方が好みという人の為に様々な茶葉を仕入れていた。そして紅茶担当は星辰だったので思わず利き紅茶をやってしまう。

 

「この芳醇な香り……気品高くも心を癒すような優しさ、ゴールドティップスインペリアルだね」

「分かりますの石動さん!!流石ですわ、お母様から仕送りで頂いた幻の紅茶なんですの!!皆様も是非味わってくださいませ!!」

「なんかよく分かんないけどいつもありがと~!!」

「分かんないけどありがと~!!」

 

と、八百万なりに皆に向けた心遣いは皆が有難く貰っている。お嬢様な彼女らしいかなりお高めの品ばかりだが、それらが気にならない位に皆の為に張り切る彼女の姿が可愛いと話題。そんな中、こっそりと響香が星辰に紅茶について尋ねる。

 

「えっと、そんなに凄いの?」

「幻の紅茶という名に恥じない位にね。ティップスは茶葉になる前の芽の部分で収穫時期は短い上に困難、そしてゴールドは茶葉の色、んでインペリアルは皇帝って意味。つまり皇帝が飲むような貴重な紅茶って事、ゴールドティップスでも100グラムで2000円以上で普通の紅茶の2倍はするね」

「え"っめっちゃ高い紅茶じゃん」

nascita(ウチのカフェ)でも簡単に仕入れられなかった紅茶だね……それが仕送りでポンと出てくる辺り、マジでブルジョワだわ」

 

そんな紅茶と自分のケーキを合わせていいのだろうか……という気持ちも沸かなくはないが、もう引っ込める事は出来ない訳だしこのまま出すしかない。そんな中、自分のスマホに接続されたスピーカーから曲が流れている。

 

「うっは~この曲もマジでよくね!?踊れ!!って所の力強さ!!」

「確かにいいけど、ちょっと雰囲気には合わなくね?」

「じゃあさじゃあさこれは!?ノリノリだし曲調も明るいまんまじゃん!!」

「いやでもこれ、ラスト近くの此処のギターエグくね……?」

「……すまん、流石にこれは我には無理だ」

 

自分のスマホに入っているライダーコレクションの数々、それらは全てが最高と言っても過言ではない。まさかこんな所で布教する機会が来てしまうとは……思いもしなかった。

 

「にしてもこんなにいい音楽持ってるなんて期末の試験勉強中には気付かなかったよ!!」

 

自室で披露した時は一部且つ勉強に集中していたのもあった、こうして真面目に鑑賞してそれをやるのかどうかを試行錯誤すると感じる物も大きく変わってくるという物。

 

「っつうかさ、星辰お前これオリジナルなのか?俺全然知らねぇ奴ばっかだぜ」

「その辺りは禁則事項だ、俺にも―――秘密のコネクションという物は存在しているのでね」

「もしかして、お忍びで来るアーティストとか!!?」

「フフフッだから―――禁則事項です♪」

 

片足で回転しつつもポーズを取りながらのウィンクに茶目っ気のある可愛らしさ溢れるお姉さん系に態々声を変えての言葉、思わず一部男子は撃ち抜かれそうになった。そもそも星辰自体が中性的且つ髪も伸ばしているので見ようと思えば女にも見える。

 

「―――何でお前は女じゃねえだよぉぉぉ!!!」

「(´・ω・`)知らんがな」

 

そして、峰田から怨念に塗れた声が溢れた。

 

「(やばい、マジ撃ち抜かれた……)」

 

こっそり、今の星辰から大ダメージを受ける響香であった。

 

「でも二人の負担って結構尋常じゃねぇよな、大丈夫なのか?」

 

上鳴の言葉に周囲からは同意が漏れる。響香は今回の中心的な人物且つバンド隊の指導も担当している上に演奏しながらのボーカルもするので、演奏のみに集中する他メンバーとは違う。星辰は同じくボーカルではあるが、演出隊の一人として個性を発動させて体育館内を宇宙にするという事も行う。二人のかかる負担は明らかに他と比べても大きい。

 

「結構大変ではあるけど、楽しいよ。なんていうかさ、此処まで全力傾けて音楽に取り組むのも久しぶりだけどその分凄い楽しいが勝ってる」

「俺自身は大した事じゃないしね。個性についてはそっちは万全」

『ったく……なんで俺がこんな事をやらされてんだろうなぁ……』

「(グダグダいうな相棒、税金だと思ってちゃんと働け)」

『こんな時だけ相棒扱いすんな相棒』

 

演出に至ってはいざという時の為にエボルトも力を貸す事になっているので問題はない、借りないのが一番だがもしもという時は遠慮なく借りるつもりでいる。

 

「デュエットの曲の練習は良いのか?」

「っつうか全部だよね?」

「ああ、全部だな」

『全部!?』

 

予定では響香のみのボーカル曲も入れた構成だったでその時は星辰も演出に集中したり休憩を挟む算段だったのだが……予定を勝手に変更したと言わんばかりに全てに星辰が絡む事にした。

 

「それと常闇、そこの部分はウチがやるから大丈夫。もうマスターしたから」

「なんと……此処をか?」

「そ」

 

そう言いながらもスマホの再生時間を弄ってその部分に合わせてから、響香はギターを手にして弾き始める。世話しなく、絶えず動き続ける手とそれに合わせてステップを刻み続ける響香。しかもその間に笑顔を欠かす事も無く見事にやり切った。

 

「この曲、ウチも好きなんだよ。期末試験の勉強の時に星辰にコピらせてもらって家でも聞いたから」

「成程……」

「んじゃ景気良く石動なんか歌って~!!」

「それじゃあそうだな、折角だから話題に出たそれで行こう―――いいか、よく覚えときな。こいつに前振りはねぇ、最初から最後までクライマックスだぜ!!」

「おおっその声超カッコよくない!?」

 

そのままノリノリで歌い始めると隣に響香も入って踊りながらの披露となる、既に夜も更けて来始めたというのにA組達は楽し気なダンスタイムが始まったのであった。

 

「緑谷~ダンス隊なんだから混ざってみたらぁ~!?」

「えっああうん、今行く!!」

 

スマホで何やら動画を見ていた緑谷は、促されるようにスマホを置くとそこへと混ざり始めた。先程まで間違えてみていた動画、それが終わると続けて動画が再生されていく―――が、それは何かの監視カメラの映像のようだった。そこにあったのは―――黒い影が何かを倒した後に、そのまま歩き去っていく物だった。それを星辰が見たならば間違いなく、こう言っただろう……。

 

―――ダウン、フォール……!!

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