星狩りのヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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ゆっくりと現れたそれは電子音を鳴らしながらもまるで此方を観察するかのように見つめていた。しかし、それを見て星辰は思わず舌打ちを打ちつつも自分の想定が当たっていたという事実に溜息をつきたくなって来た。自分にとっての最高の予想は外れる癖に嫌な予想だけは当たるのは本当に何なのだろうか。

 

「星辰君気を付けて、あいつ相当に強い……!!」

「分かってる、だから容赦せずに―――行く」

 

重力を無視するかのようにゆっくりと浮遊を開始するエボル、同じ目線にまで浮き上がったエボルに対してファントムクラッシャーは標的を変更したかのように見つめながら―――全身から無数のミサイルを打ち出した。それに対して身体の力を抜くかのように一瞬、重力に身を委ねながら降下しつつも一気に加速。

 

「下手な騒ぎにしたら、文化祭が中止になるかもしれねぇからな。一気に決めさせてもらうぞ!」

 

〈OVER THE EVOLUTION!!〉

ARE YOU READY?

「変身……!」

『BLACK HOLE!BLACK HOLE!!BLACK HOLE!!!REVOLUTION!!』

フハハハハハハハハッハッハッハ……!!

 

ファントムクラッシャーの性能の事をも考えて即座にブラックホールフォームへと変身する、そしてその際にブラックホールにミサイルを吸い込ませて無へと返しておく。その光景にファントムクラッシャーは驚いたように動きを硬直させた、その瞬間を逃すことなくワープで背後を取りながらもハンマーを打ち下ろすかのような一撃をファントムクラッシャーへと炸裂させる。

 

「なんという……」

 

そこからは完全なる一方的な光景だった、緑谷が新しく編み出した攻撃技であるエアフォースで貫けない所か、傷一つ付けられない程に強固な装甲をガンガン殴り付けていくと装甲は大きく凹み始めて行く。それに反抗するように反撃を試みるが、ロックオンを行う寸前にワープで全く別の方向に出現されて振り切られて弄ばれている。そして全身の装甲がボコボコになった状態で先程までいた建設現場へと叩き付けられるのだが―――その時には全身から激しく火花を散らしており、動きも錆び付いた歯車のように遅くなっていた。

 

「後10分―――間に合うな」

「こ、これなら確保出来そうだね!」

「いや、あいつからは気配がない。多分……遠隔操作系のロボットだな」

「ロボット!?」

 

そう言われて緑谷は酷く驚いてしまった、あそこまで人間の動きをしながらも自分を追い詰めて来た相手がロボットだというのか。だからこそある程度本気で攻撃しても問題はなかった……無かったのだが

 

「(どう思う)」

『ブラックホールフォームの攻撃にある程度耐えるとはねぇ……こいつは戦兎に引き渡すべきだな)』

「んじゃさっさと―――」

 

レバーに手を伸ばした時、ファントムクラッシャーは最後の抵抗だと言わんばかりに翼を広げながら最大出力で跳び立とうとしていたその時だった―――突如として電源が落ちた玩具のようにその場に崩れ落ちてしまった。

 

「あ、あれ?」

「ロボットだって言うなら話は早いわ、何故ならば私はハッキングのプロなのだから!!」

 

気付けば持っていたノートパソコンを広げていたラブラバが胸を張りながら言った。彼女はジェントルの相棒、その役目はサポート、それもハッキングを駆使した。

 

「えっハッキングって……あいつに!?」

「遠隔操作型なら間違いなく、それに送られている命令がある。その通路に侵入してシャットダウンしてあげたわ!!ジェントルを苦しめたんだからざまあみなさい!!」

 

そう言いながらもファントムクラッシャーの頭をゲシゲシと蹴る。蹴りを受け続けている様子から、本当に停止した事が確認出来た。だが即座に緑谷は声を上げた。

 

「あっでも、それなら操っていた人物がいるんじゃ!?」

「そうみたいだけど、侵入した段階でネットワークを遮断しちゃったみたい。侵入した私を排除する、じゃなくて遮断して撤退を選んだのよ」

「つまり―――」

「この機械は操り主にとってはそれほど重要ではないという事……寧ろ、試作品とすら呼べる存在なのかもしれない」

 

ジェントルの言葉は恐らく的を射ていると星辰は思った。ファントムクラッシャーはダウンフォールにとっては確かに戦力ではあるが、あくまで戦力でしかない。確立された理論や技術さえあれば量産は可能だろう。そして……これは恐らく性能評価試作品。となるとラブラバの力でシャッドダウンされたのは助かったかもしれない、ブラックホールフォームの片鱗を見せる事になったが全てを見られる事にはならなかったのだから。

 

「兎も角、これ……如何しよう、それとジェントル……さん達も」

 

戸惑うように敬称を付ける緑谷に鉄骨に寄り掛かっているジェントルは僅かに驚いたような顔をしたが、直ぐに落ち着いた表情へと変えた。

 

「私と相棒のラブラバを助けて貰った、それなのに私事を優先する程に私は恩知らずではないさ。君達の言葉に従うとしよう、だが警察は勘弁してくれると嬉しいけどね」

「ジェントル……」

 

そこはカッコよく受け入れるというんじゃないのか……と星辰は内心で思うのだが、これが彼らしさという物なのかもしれないと思うと笑えて来るから困る。

 

「なら、これから俺が二人をある人達の所に連れて行こう。その人達に傷の手当とこいつについての話をしてくれ」

「警察、でもなければヒーローでもなさそうだが……何方なのかな?」

「俺にとってのヒーロー」

 

その言葉にジェントルは素直に従う事にした。一先ず傷の手当ても確りとしなければならないのだから……要求は受け入れるしかない。

 

「あっ緑谷やばい後7分切ってる!!」

「えっ嘘!!?ああっやばい!!急がないと!?」

「俺も急ぐから!!っつうかワープで送る!!」

「うん分かった!!」

 

先程の勇ましさが消し飛ぶほどにワタワタし始める二人にラブラバと顔を見合わせてしまった。そして―――

 

「ジェントルさん、助けて有難う御座いました!!」

 

そう言いながら姿を消した緑谷を見送ったジェントルは目を大きくしながらもその言葉を、何度も何度も咀嚼していた。余韻が残っていたゴールドティップスインペリアルよりもずっと深く、芳醇な味わいのそれを飲み干した時……ジェントルは何処か晴れ晴れとした表情を作りながらも空を見上げた。

 

「ラブラバ、身勝手かと思うが……これからも私と共に歩んでくれるかな」

「何を言ってるのジェントル、私は絶対に離れないわよ!!」

「ハハハッ無粋な言葉だったね」

 

傷を心配する相棒の抱擁を受けつつもジェントルはそのまま、星辰の手によってファントムクラッシャーと共に戦兎の工房へと連れていかれるのであった。そして其処で手当てを受けつつも……これからの事を考えるのであった。

 

 

 

「性能評価の試作実験機、それでも戦闘力はプロヒーローを凌駕していた筈だが……まさかあそこまで圧倒されるとは……やはり遠隔操作では限界があるな、此方のボトルに切り替えるべきか……だが、良いデータが取れた。デモンストレーション前の良いテストが出来た事に感謝しなければ……そしてこのデータは……貴重だ、これさえあれば……フフフッ態々奪う必要もないか」

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