「如何でした、貴方が望んだ先にいる息子さんの姿は―――エンデヴァー」
「……」
試合の後、星辰は身体を休める為に控室へと向かおうとしていた所……エンデヴァーへと出くわした。自分の求める焦凍の姿を見せると言ってあの試合を行った。その結果……エンデヴァーの顔は炎があるのにも拘らず血色が良くない、顔色がかなり悪い状態となっている。心なしか炎も弱弱しくなっているようにも見える。
「……」
「ダンマリですか、まあそれだけ思うことがあると思えたなら俺も
「っ……俺にだと……!?」
「ええ。焦凍にとっての貴方はヒーローなんかじゃないって事です、貴方はヴィランだ」
その一言が何処までも深くと突き刺さっていくのが分かった、強く、強く否定したい。自分はヒーローなんだ、フレイムヒーロー エンデヴァーなんだと強く強く言い返したい……言い返したいのになぜかその言葉の続きが出なかった。
「炎は貴方の象徴、より強い炎であればあるほどに焦凍は貴方を意識する。それは最早夢なんかじゃない、呪いの類です」
「呪いだと、俺が呪いだと!!?」
思わず、炎を強めながら怒りに駆られて星辰の胸倉を掴み上げてしまった。何も知らない小僧が、表面上の事でしか判断ができない愚かさが、何もかも自分を荒げる材料になっていくのだ。
「貴様に、貴様に何が解る!!?何も知らんが小僧が抜かすな!!あいつには、焦凍にはオールマイトを越えなければならない義務がある!!!出なければいけないんだ……!!」
どこか縋るような、贖罪の為と言うようなエンデヴァーのそれに星辰は何かを感じた。何かがあるのかもしれない、きっと何かがあるのかもしれない。掲示板のみんなに聞けばな簡単に分かるかもしれないが、それはしない。それに……この人は自分は思ったよりかは嫌いじゃないことが分かった。
「(はっきり言って、お前より好感度高い気がする。方向性間違ってる感じだけど)」
『HAHAHA言ってくれるね~……まあ俺は嫌われてなんぼな事してきたけどな!!』
「何かあったことは察しますよ、その程度ですけど―――そんな風に考えられるなら如何して焦凍に呪いを与えようとしたんですか」
「黙れっ……呪いなどと口にするな!!」
「取り合えず―――いい加減に離せよ、熱いんだよぉ!!」
「ぐっ……!!」
常に燃えているような男に掴み掛れて炎に至近距離にいる星辰はぶっちゃけすごい熱くてきつかった。それはエボルトも同じなのか、それとも単純にいい加減にしつこいから苛立ったのかは分からないが……珍しく意見が一致して膝蹴りを繰り出した。掴み上げられていたからかエンデヴァーの胸を直撃し軽く咽てしまったので手が離れたので、漸く放れる事が出来た。
「親子揃って不器用なだなお前ら……何故答えは既に手の中にあるのにそれを見ようとしない、誰かに指摘されるのを待ってるってのか」
「答えは、既にあるだと……!?」
「まあ今のアンタに教えてやるほど俺もお人よしじゃないんでね、偶には頭の中空っぽにして考えてみな。それじゃあなエンデヴァー。Chao!」
そう言って自分の目の前から去っていく星辰を止める事は出来なかった、自分の中に答えがあるという言葉がどうしようもなく気になっていた。ただ一人残されたエンデヴァーの心中はひどく荒れ狂っていた。
「(おいエボルト、お前勝手に出てくんじゃねえ)」
『いいじゃねえか別にまずい事を言ったわけじゃねぇんだからよ』
「(お前が出てくること自体が問題なんだよ)」
控室に戻った星辰は椅子に腰かけながら眠るように瞳を閉じながらエボルトと会話をしていた。先程のエンデヴァーの膝蹴りからずっとエボルトが自分の体の支配権を握っていた。といっても自分がその気になれば取り返すことができる程度のものではあったが……。
「(やっぱり、フェーズを進めたのは問題だったかな……上がってんだろ、ハザードレベル)」
『当たり前だろう。あれだけの事をやったんだ』
焦凍の為に
『寧ろ今回は感謝してほしいところだがねぇ……俺は相棒の頼み通りに力を貸してやったんだからな、責められる筋合いはないと思うが?』
「(それについては文句はない、だが問題はなのはお前の目的だ)」
ハッキリした事を言えばハザードレベルが上がる事は問題もあるが、星辰自身の戦闘力の上昇にも繋がるのでプラスもある。だがそれ以上にエボルトの力も増す事も意味するので問題もかなり大きい。
「(好い加減に答えろよ、ハザードレベルを上げるその目的はなんだ)」
『何故答えは既に手の中にあるのにそれを見ようとしない、誰かに指摘されるのを待ってるってのか』
思わず、歯軋りと共に強い苛立ちが湧き上がってくる。まさかここでその言葉を返されるとは思わなかった。そして、自分の考えが正しいのならば……矢張りそういう事なのだろう。
「(フェーズを進める……)」
『フフフッ……正解だ。さあ、相棒これからも戦い続けようじゃないか。そして目指してみるか、俺を抑え込むラブ&ピースを謳うヒーローって奴を』
そう言い残しながらエボルトは自分の奥深くへと引っ込んでいった、本当に勝手すぎる奴だと思いながらも益々エボルトが分からなくなってきた。フェーズを進めて何をするつもりなのか、真の力を取り戻したいのは真実だろうが……。
「絶対に、俺はヒーローになる……!!」
その言葉は、この世界のヒーローを目指すという言葉よりかずっと重い言葉になっていた。