「死ねぇ死ねぇ死ねぇ!!!」
地上で行われる絨毯爆撃、それを行っているのはたった一人の少年なのだから末恐ろしい。爆破が連鎖するように威力を高め合うかのようにどんどん加速度的に爆破のペースと威力が上がっていく。
「おいおいおい爆炎と爆煙で俺を燻ろうってのか―――その程度の火力じゃ無理だがなぁ!!」
「ッ!!」
爆煙の中から聞こえてきた声に咄嗟に爆破を下に放ち身体を浮かせた。直後、自分の居た地点を薙ぐように衝撃が駆け巡っていった。それは爆豪側の入場口に深々と抉ったような跡を作り出した。
『おいおいおいなんつう威力だぁ石動!?前回の緑谷みてぇな破壊力だぞ!!?』
『いや緑谷とは規模が桁違いだ、あいつは蹴ったと同時に風圧が爆弾みたいに飛んで行って炸裂する。それが激突した結果があの威力だ』
「っそがぁ!!」
爆煙の中から姿を現すエボルダイナソーの星辰。あれだけの絨毯爆撃の中でもダメージを感じている様子は全くない、先程の蹴りも煙が煩わしかったからやったと言わんばかりの余裕な姿を見せ付けて来るので誰もがそれに驚愕する。
「(中途半端に距離を開けた爆破じゃ意味がねえ、かと言ってフェイントを混ぜた状態での爆破じゃダメージにもならねぇ……って事は……!!)」
再度、爆破で急接近していく爆豪。そして周囲を爆破で飛び回りつつ隙を伺う。
「(こいつの切り札は腰のレバーを回す必要がある、それを見逃がす訳にはいかねぇ……)」
「随分と慎重だな、だったらこっちから行くかぁ……!!」
「(来やがった!!)」
遂に自分から動き始めた星辰、咄嗟に後方へと飛び退くがそれすら一瞬で距離を詰めて来るという馬鹿げている程の身体能力と言わざるを得ない。そして襲ってくるのは一撃一撃が正しく一撃必殺の途轍もない攻撃の嵐。唯のストレートパンチは当然の事、フェイントのジャブですら壁が軽く凹むほどの威力なのだから当たる訳にはいかない。
「う、うおおおおおおっ!?」
『石動の怒涛の攻撃に副審のセメントス大忙しぃ!!!』
「ドォラ!!」
「っ此処だぁ!!」
一撃が軽く頬を掠めて血が流れる中、爆豪は勝機を見出したかのように一歩を踏み出して懐へと入り込むと零距離で一切の加減をする事もない爆破を当てる事に成功した。
「ぐぉっ……!!」
「見つけたぞ、仮面野郎ォォォ!!!」
一瞬の怯み、その隙を突いて星辰の顔を両手で掴むとそのまま連続で出せる限りの連続爆破を引き起こし続ける。
『爆豪が遂に石動を捉えたぁ!!』
『勝つにはあれしかないと思ったんだろう。爆破の衝撃に音、熱、光による攻撃、それを相手の急所にブツケル、合理的な判断だ』
『というか、おいおいおいおいそれ大丈夫なのか石動生きてるのかぁ!!?』
「このまま、死ねぇ!!!」
連続で行いほぼ最大限の爆破、好い加減に汗腺が痛みだしてきているのか鈍い痛みが酷くなってきている。だが今これをやめる訳にはいかない、まだまだこんな物でこれに勝てるなんて爆豪は1ミリも思っていない。だからこそ超える価値があるんだと認めてもいる。
「死ねぇ!!死ねぇ!!死ねぇぇぇぇ!!!」
「いい加減に―――しとけ!!」
爆炎の中を突き破るかのように伸びて来た腕が爆豪の頭部を掴んだ。それでも爆豪は攻撃をやめない、掴んできた手を外そうとするのではなく星辰への頭部攻撃に集中し続けている。
『クレイジー!!!顔面アイアンクローにも全く動じてねえぞ爆豪どういう神経してんだぁ!?』
『手を外すよりも相手の急所を攻撃すれば外れるとも思ってるんだろうな』
『いやそうかもしれねぇけど普通外そうとしねぇ!?俺だってそうするぞ多分!』
恐らく大多数の意見としてはマイクの言葉に同意するだろう、だが爆豪はそれを選ばらない。自分が決めた道を絶対的に貫く通すと言わんばかりの硬い意志で闘い続けていく。
「絶対に自分を曲げねぇってか、その意気込みは褒めてやる……だが強者、弁えた方が身の為だぜ」
「ガァッ……!!」
更に強められた力、万力のような力が頭を潰さんとする事の痛みが流石に限界を突破したのか言葉を失いながらも腕に向けて爆破を開始する。だが全く揺らぎない。
「意地だけで前に進める程、世界って奴は甘くねぇ」
「黙、れくそカス……!!テメェなんざの事なんざ、誰が聞くかぁ……!!」
「先達の意見って奴はちゃんと聞くもんだぜ、まあんな物に耳を貸すような奴じゃない事は分かってたけどな」
そう言いながらも片手でレバーを回して行く星辰、それを見た爆豪は自分の顔の事なんて完全に無視して最大爆破を星辰へと差し向ける。爆音と爆炎が舞い上がっていく中で喜びの歌は流れ続けていく、必死の抵抗もむなしくそれは聞こえて来た。
覚悟は良いか?そんな言葉が問いかけられる、直後に爆豪は解放されるが今度は赤いオーラに拘束されてしまい指一本動かせなくなってしまった。
「―――ソがぁ……!!」
「ドラァァァァ!!!」
碧色の恐竜の頭部が出現しそれと同時に拘束された爆豪へと拳が突き立てられる、大口を開けた恐竜の咆哮と共に放たれた一撃は爆豪を一撃のもとに場外へと吹き飛ばしていった。壁に叩きつけられた爆豪はクレーターの中心で苦悶を声を上げるが、それでもなお、立ち向かおうと一歩歩みを進めようとした所で力尽きて倒れこんでしまった。
「爆豪君戦闘不能&場外!!よってこの勝負、石動君の勝ち!!!」
直後にスタジアムからは大歓声が上がった。遂に決まった1年の頂点、その頂に立ったのは石動 星辰。圧倒的な強さを見せた彼に様々な物が目を向けていた、ヒーローも、そしてヴィランも……この勝利は大きな意味を持つ、それは……単純な物ではない事を星辰が知るのはまだ先の事だった。
『ククククッ俺の目論見通り、フェーズ3を完了。後一つだな……だがまさかこの世界にも此処までのハザードレベルを持つ奴がいるとはなぁ……楽しく過ごせそうだなぁこの世界は』