35スレ
折角の休日は結局全てが店の手伝いで潰れてしまった星辰。それでもいい気分転換になりつつも惣一はバイト代と称して多めにお小遣いをくれたので満足している。そんな思いをしながらも登校するのだが……
「(にしても……お前、どっからこんなの調達してきたんだよ)」
『感謝しろよ相棒、俺からの体育祭優勝のプレゼントって奴だ』
そう言われると何処か微妙な感じもしなくもないだが、心から感謝はしている。星辰は今、バイクに乗っている。体育祭の優勝記念と称して突然エボルトからバイクが送られたのである。いきなり過ぎて驚いたのだが……如何やら戦兎が使っていたマシンビルダーを基にバイクフルボトルとライダーエボルボトルのクリエイションで創造したとの事。その名のもマシンエボルダー。
「(ハードボイルダーのパクリかよ)」
『良いだろ別にシンプルで』
前世でもバイク乗りだった事もあって、16歳になると直ぐに免許を取りに行ったので免許は問題ない。教習所をすっ飛ばして合格を勝ち取って来た時の父の顔は爽快だった。なのでカフェの仕事という収入源もあったので何時かバイクを買おうと思っていたらこれ、なのでちょうどいいと言えば丁度良かった。
『如何だ中々に良いパワーしてんだろ』
「(……まあ、実際良いバイクなのは認めてやるよ)」
実際に前世で乗っていたカワサキのニンジャよりずっと性能が良いのは認める、故かバイク乗りの血が疼いて致し方ない。途中で思いっきり飛ばしてみたいという思いを抑えつつも事前に許可を取り付けたので問題なく雄英へと入って駐輪場に止めようとするのだが―――
『おっとその必要はねぇぜ相棒、そこのボタン押してみ』
「これ?」
そんな音声と共にマシンエボルダーと共に空中で変形しながらもバイクフルボトルを吐き出しながら見慣れた自分のスマホへと戻りながら自分の手の中へと戻った。
『俺は実物を見たし設計図もこっそり失敬してたからな、バイクフルボトルも使って作ったって訳だ』
「(……前言撤回、マシンビルダーのパクリじゃねえか……というか俺のスマホ勝手に改造してんじゃねえよ!!)」
『良いだろうその位。その代わりに容量とか通信速度はマジで速くしてやったから』
尚、本当にスマホの性能は比べ物にならない物になっていた。手持ちのスパコン並である。そんなこんなで学校へとやって来た星辰だが、クラスでは体育祭での事で盛り上がっており登校中に色んな人に注目されたり声を掛けられたという物ばかりだった。
「星辰はどうだったの?」
「ウチは父さんがカフェやってるからどっからかマスコミが嗅ぎ付けて来てもう大変だよ……お陰で振り替え休日なのに全然休めなかったし」
「そりゃ、キツいね……まあ元気だしなって、今日はうちが昼ご飯奢ったげるから」
そんなやり取りが耳郎とあったりした。そんな事をしていると何時の間にか相澤がやってくる時間がやってくるのであった。皆は相澤が来る前に席に着く、ある種恒例行事である。もう慣れたもんである。
「ヒーロー情報学はちょっと特別だ」
『特別?』
ヒーロー情報学、ヒーローに関連する法律や事務を学ぶ授業で個性使用許可の特例やペナルティ、サイドキックとしての活動に関する詳細事項などなど様々とを学んで行く。他のヒーロー学とは異なり苦手とする生徒も多いが、今回は何か異なる模様。
「コードネーム、いわゆるヒーローネームの考案だ」
『胸膨らむヤツきたあああああ!!!』
ヒーローネーム、即ちヒーローとしての自分を示す名前の決めるという事。自分の事に関する故にヒーロー足る者として絶対的に必要な物にクラス中からテンションが爆発して行った。オールマイトを始めとしたそれらはヒーローの象徴ともいえる物、テンションがMAXゲージになって行くが相澤が睨みを利かすと一瞬で静かになる辺り本当に慣れてきているというか、相澤の怖さが良く分かる。
「ヒーローネームの考案、先日話したプロからのドラフト指名に密接に関係してくる。指名が本格化するのは経験を積んで即戦力と判断される2年や3年から……つまり今回来た指名は将来性を評価した興味に近い物だと思っておけ。卒業までにその興味が削がれたら、一方的にキャンセルなんてことはよくある。勝手だと思うがこれをハードルと思え、その興味を保たせて見せろ」
幾ら体育祭で素晴らしい力を見せたと言ってもまだまだ経験も足りない物を採用などはしない、これから力を付けていかなければ今の評価など簡単に引っくり返る。そして相澤は手に持ったリモコンを押してある結果を黒板に表示した。
「その指名結果がこれだ」
黒板に示されている指名数は矢張りと言うべきか体育祭のトーナメントの結果を反映したものだという事が良く分かる。星辰、爆豪、轟の三名が飛び抜けてプロヒーローからの目を引いたからか、2000を突破する指名をそれぞれが獲得している。この指名を出したヒーローの元へ出向きヒーローの活動を体験するという。プロの活動を自らの身体を持って体験し、より実りある訓練をするため。そしてその為にヒーローネームの考案をするという、仮にもプロヒーローの元に行く事になる、それはつまり将来的な自分の立場のテストケースにもなる。
「つまりはこれらを使って職場体験をさせてもらうって事だ。そこでヒーローネームを決めるって流れだ、適当なもんは―――」
「付けたら地獄を見ちゃうよ!!この時の名が世に認知されてそのままプロ名になってる人は多いからね!!!」
『ミッドナイトォ!!!』
教室に参上したのは18禁ヒーロー事ミッドナイト、相澤曰くそっちのセンスはかなりいいらしいのでその査定の為に来て貰ったとの事。相澤はそう言うのは全く分からないとの事。そしてまさかの発表形式、皆が戸惑う中で真っ先に手を上げたのは―――
「はい!!」
「おっ早速手を上げてくれたわね石動君!!体育祭優勝者がトップバッターなんて分かってるわね!!」
星辰だった。星辰の場合はなりたい物なんて決まっている、それを名前に現すだけ……そしてそこに思いを込めるのみ。
「俺のヒーローネームは……ラブ&ピース、仮面ライダーエボル」
そう、これに決まっている。自分が憧れたヒーロー、それは仮面ライダーなんだ。そして自分は紛いなりにもそれを背負った、例えそれがダークライダーであろうとも仮面ライダーである事には変わりない。だったらそれを正すだけだ。
「仮面ライダー……そう言えば石動君はバイクの免許は持ってたのよね?」
「ええ、今日からそれで登校してます」
「それでエボルっていうのは何なのかしら?」
ミッドナイトが尋ねたのはクラス全員が気になっていた物だろう、なので名前を書くボードにそれを書いてみた。EVOLと。
「エボル、LOVEを逆転させたんです。エボルはこの現実そのもの、俺はそれと戦います」
エボルトという災厄を抱えながらも抱いた夢、それは13号の言葉を聞いて正しく硬く固まったと言ってもいい。だから決めた、自分の名前は仮面ライダーエボルだと。
「今この世界でどれだけラブ&ピースがこの現実でどれだけ弱く脆い言葉かなんてわかってるつもりです、だからこそ謳わなきゃいけない何故ならばそれは俺が齎すんじゃなくて、そんな思いを皆が抱いて生きて行けるような世の中にしたい。俺の力で、それを成したい」
それは決意表明、そして宣戦布告でもあった。エボルト、絶対にお前に負けない。戦兎のように誰もが笑顔で居られるような世界をビルドして見せるという。
『フフフッ……そう出なきゃ面白くない。やってみろよ相棒、お前の夢をな』