星狩りのヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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37スレ

職場体験先をリューキュウ事務所に決めた星辰はその事を希望票に記入してすぐに職員室の相澤の所に持って行くために行動を起こした。忘れて慌てるよりも先に行動しよう思っての事だ。

 

「おっと」

「むっ」

 

職員室の扉を開けようとした時、同じように向こう側から開けようとした人物と鉢合わせた。それは飯田だった。

 

「ごめん飯田君」

「いいや此方こそ済まない」

 

そう言って直ぐに立ち去って行ってしまってしまった飯田に星辰は違和感を覚える、と言っても今の飯田からすれば余裕という物はあまり持ち合わせる事は難しいかもしれないが……。

 

「お兄さんの事、大丈夫って言ってたけど大分気にしてるな……」

 

飯田の兄、ヒーロー・インゲニウム。彼が尊敬するヒーローは東京の保須市にてヒーロー殺しという異名を取るヴィラン、ステインによって再起不能の重体となってしまったとニュースで流れていた。当人は心配いらないと言っていたが、本当は色んな感情が渦巻いて致し方ないのだろう。

 

「石動、何か用か」

「あっ相澤先生」

 

思わず立ち尽くしてしまっていたが、相澤に声を掛けられて再起動して職員室へと入って相澤へと希望票を提出した。

 

「リューキュウか……もっと上からも来ていたが、どんな理由だ?」

「同じく個性で変身するから、ですかね。それに同じドラゴンっていう共通点もありますし得るものが多いと判断しました」

「成程な、合理的だ。それとリューキュウだが、3年がインターン先として利用させて貰っている。当日はその生徒と一緒に案内を頼んでやる」

「ご迷惑じゃなければお願いしたいです」

「その点は問題ない」

 

そんな風に言われながらも希望票は問題なく受理された―――が、星辰は先程の飯田の事を絡めて聞いてしまった。

 

「あの相澤先生……飯田君の事なんですけど」

「……何だ」

「その、こんな事言うのは駄目かもしれませんけど……飯田君の体験先って……」

「……ああ、だがお前が心配する事じゃない。そっちは俺の方からも出来る限りの処置はしておく」

 

如何やら予感は当たっていたらしい。飯田は兄であるインゲニウム最後の舞台であった保須のヒーロー事務所を望んだ、そしてそれは問題なく受理されるだろう。どんな思惑があるのかは分からない、もしかしたら兄が守ろうとした保須を代わりに守ろうというヒーローらしい理由かもしれない……ならば認めないわけにはいかない。その本心が復讐を求めていたとしても。

 

「飯田君、さっきも上の空っていうか……なんていうか……すいません、上手く言葉に出来ませんけど良くない感じだったんで」

「分かった、気を遣わせた。お前はお前で自分の体験に集中しておけ、良いな」

「分かりました。それじゃあ失礼します」

 

そう言って星辰は職員室を出た、これ以上は何も出来ない。

 

 

そしてあっという間に職場体験当日となった、集合場所の駅に集まった一同は相澤から注意事項を伝えられると直ぐに解散してそれぞれの体験先に向かう事になる。

 

「んじゃ星辰、頑張りなよ。人気高いヒーローだからきついだろうけど」

「うん分かってるつもり、ありがとね耳郎さん」

「……んじゃ」

 

そう言うと耳郎は何処かそっぽを向くように去って行ってしまった、何か悪い事をしたかな……と思っていると声を掛けようと思っていた飯田がさっさと向かってしまったのか後姿が遠くなっていた。それを同じように見つめていた緑谷と麗日に声を掛ける。

 

「緑谷君、飯田君大丈夫かな」

「不安、だけど信じるしかないと思う。何時でも声かけていいとは言ったからきっと必要になれば声を掛けてくれるよ」

「うんそうだよ、だってあの飯田君だもん」

「そう、だよね……きっと」

 

言いつつも隠し切れない不安があった。きっとと言いつつも絶対はないと思えた、だが信じるしかない……そんな不安定な波を抱きつつも待ち合わせ場所に向かう為の電車に星辰は乗り込むのだった。

 

『あの小僧いい顔してやがんな、ありゃ復讐の事で頭一杯だな』

 

星辰の場合は不安を煽るエボルトの事もあって余計に心配になってくるのであった。だが、相澤にも言われたが自分のやる事に集中するしかないと思いながら兎も角思いを引き締めるのであった。

 

「(北口を出てすぐの場所で待ち合わせ……特徴は……直ぐに向こうが見つけるし色んな意味で目立つから分かるって……大丈夫かなぁ……)」

 

例え前以てこう言ったすり合わせをしていたとしても不安になるタイプなので色々と不安が付き纏う。そんなこんなで電車に揺られる事数十分、目的の駅へと到着するのであった。

 

「他の出口じゃなくて北口確認っと……それでどんな人が―――」

「あ~見っけ~!!!!」

 

メモを確認しつつ出てきたのだが、直後に大きな声が聞こえて来た。其方を向くとねじれた水色のロングヘアを持つ容姿端麗の女の人が此方へと向かって来た、それだけでは何事と思うかもしれないがその人は雄英の制服を着ていたのでもしかして……と星辰は近づいてきた彼女へと声を掛ける。

 

「あの、もしかしてリューキュウ事務所でインターンをしてるっていう」

「うんうんうんそうだよ!!私は波動 ねじれっていうの、だからねじれちゃんでいいよ!ヒーロー科の3年生で今はリューキュウの所でインターンをしててね今日は君の出迎えを頼まれたの!!不思議だよね他の人でも良いかもしれないのにね!」

 

矢張りこの人がリューキュウ事務所でインターンをしているという先輩らしい。先輩というには随分と好奇心旺盛で年下な雰囲気がする人だが……。

 

「あっえっと石動 星辰です」

「うんうんうん知ってるよ~体育祭で活躍してたもんね~。石動君の個性って変身する個性だよね、色々種類があったみたいだけど他にもあるの?不思議だよね~それなのにどれも凄い力があるのも凄いよね~でも変身する個性なのに何で銃とか出せちゃうの?教えて教えて~!!」

 

自己紹介直後に始まったのはマシンガンの如く連射されていく質問の数々。一つに応える間もなく次の質問が矢継ぎ早に飛んでくる。

 

「ねえねえどうして空も飛べたりしちゃうの?他にも相手の子を浮かせちゃったりしてたでしょ?どうやってるの教えて教えて~!!」

 

『なんだこの女……マジで高校生なのか?そこいらのガキじゃないのか?』

「(子供がこんな大きかったら堪らないな……遊びに付き合ったらもう全身疲労になりそうで)」

『確かにな……』

 

流石のエボルトも困惑を露わにしていた。ある意味、新しい発明品を作ったばかりの戦兎に似ているような気もするが、それ以上に勢いと無邪気さが強くて抑えるのも一苦労だ。しかし何処か微笑ましく見ていたい気もする、だがこのままでいる訳にも行かないので星辰は美空の真似をしてみる事にした。

 

「そんな風に言い寄られちゃうと困っちゃいますよ先輩」

「先輩?」

 

一瞬、キョトンとするねじれ。姉は相手と会話しながら相手の求めるものを引き出してそれを組み込んだ話術を展開して相手の心を掴む事に長けていた。ネットアイドルとして成功しているのも見ている人たちが求めている物を理解してそれを提供しているから。なのでそれを実践してみる、先輩という言葉に何処か困惑しながらも嬉しさが紛れている事に気付いた星辰は真っ先にそれを取った。

 

「全部お答えしますから歩きましょうよ先輩」

「先輩……うん先輩だもんね私!それじゃあ案内するから、こっちこっち!!」

「宜しくお願いしますね、ねじれセ~ンパイ♪」

「うんうん任せて任せて~♪」

 

機嫌よく自分の手を取りながらこっちこっちと先導していくねじれの様子を見て上手く行ったとホッと胸を撫で下ろした。少しワザとらしくてあざとかったかな……と思っていたが、如何やら彼女が望んでいたモノになれたようで安心する。自分と仲良くしてくれるが先輩として尊敬を向けてくれる、それが欲しいと思ったのでそれを演出してみたのだが大成功だったようだ。

 

『相棒、お前よくこの女に合わせられるな……』

 

とエボルトも何処か尊敬するような声色で星辰の事を見ていた。演技をするのには慣れている、この位なんて事ない。

 

「ねえねえねえお腹空いてない?事務所行く前にご飯に行ってもいいよ、私が大好きなお店がこの先にあるよ」

「へ~そうなんですね、それじゃあお昼はそこで一緒に食べましょうよ。色々とお話ししたいですし」

「うんうんお話しよ~♪」

 

そんな風に仲良くなりつつも星辰は内心でねじれに対して本気の尊敬を向け始めていた。何故ならばあのエボルトが相手にしたくなさそうな様子を見せるからである。それは図らずもねじれが求めている尊敬の要素となって更に彼女の好感度を上げる結果となっていた。




ちょっとFateの桜というかBBを意識した先輩呼びにしてみました。

結果、セラピストニキは鼻血を噴いて丁度来ていた箒に看病された。
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