職場体験初日、リューキュウの事務所へとやってきた星辰は早速事務所の一員として仕事を始める事になった。不足しているのはサイドキックだけ、というのは事実らしく事務員は充実しているので書類や仕事のオファーやらの対応要員は足りている。なので本格的に必要とされるのはサイドキックとして。
「ねじれ、エボル任せるわ!!」
「了解!!」
「あいよっ!!」
現場にサイドキックとして出動中に遭遇したヴィランとの戦闘中、ヴィランは巨大化しながら工事現場へと手を伸ばすとそこにあった鉄骨を手に取ると投げつけて来る。リューキュウは個性を発動させてドラゴンへと変身しながらも回避して本体を仕留めにかかる、そして回避された鉄骨の処理はサイドキックへと回された。
「たぁぁぁ!!」
ねじれは両腕から波動を放出した。彼女の個性は波動、自身の活力をエネルギーにして衝撃波を放つ。ただし衝撃波はなぜかねじれるのでスピードはあまりないという何とも癖のある個性、だがそれでも鉄骨の速度を完全に殺して被害を食い止めるには十分な活躍が出来る。そしてエボルは―――
ライフルモードのトランスチームガンで確りと狙いを定めつつもガトリングフルボトルで弾丸を連射して鉄骨を打ち落として行く、それらによって鉄骨による被害は皆無、そしてリューキュウは無事にヴィランを確保する事が出来た。
「不思議だね~その銃も何処から出したの?ライフルみたいなのに何でそんなに連射できたの?何で何で何で~?」
「フフフッ話は後にした方がいいみたいですね」
「だね」
トランスチームライフルに疑問こそ抱くが、如何やら別の事件が起きたようなので其方へと意識を向ける。ねじれも即座に意識を切り替えている辺り流石と言わざるを得ない。今度は巨大系の個性のヴィランがビルへと襲い掛かっている、このままでは大きな被害が出るので即座にボトルを切り替える。
「ンだこりゃ!?蜘蛛の糸ぉ!?」
両手を組んだ手をハンマーのようにして振り下ろそうとしていたのでそれを丸ごと蜘蛛糸で固めてしまいながらも、その周囲を飛び回りながらも全身へとその糸を巻き付けて行く。
「なぁ知ってるかぁ!!かの有名シリーズのエピソード5で、氷の惑星でこんな事をしたんだよなぁ!!」
「成程ね、行くわよねじれ!!」
「は~い!!」
周囲を飛び回りながらも全身に蜘蛛糸を巻き付けられた辺りでリューキュウとねじれが動く、ねじれは波動を溜めてから的確にヴィランの顎へと打ち抜く。大きく弾かれた頭、そんな所にリューキュウの体当たりが更に顎へと命中してヴィランは典型的な脳震盪を発生させた。だがそれによってぐらついた身体がそのまま避難している市民へと倒れそうになったのを見てエボルはレバーを回して全身に力を込めた。
「チェェェエエエエストォォォォッ!!!」
全身を締めあげている蜘蛛糸を一気に引っ張ってヴィランを浮かせるとそのままその身体に必殺のエボルテックフィニッシュのライダーキックをぶち当てたのである。それによってヴィランは先程の工事現場へと吹き飛ばされていくが、その途中で個性が解除されたのが元の姿へと戻りながら工事によって出来た土の山へと突っ込んでいった。
「フゥッ」
「良い判断よエボル、あれなら被害も最小限に抑えられるわ」
「凄い凄い凄いよ~!!ねえねえねえ最後のチャオ!!って声って誰なの?何でドライバーから声が聞こえるの?不思議だね~エボルテックってどういう意味なの~?」
リューキュウからは咄嗟の判断の良さを褒める声とねじれからはエボルドライバーに関する質問が飛んでくる。それに笑顔で答えながらもヴィランの確保と警察へと引き渡しが行われると予定していたパトロールを終わらせて事務所へと戻るのであった。
「はふぅっ~……疲れたぁ~……」
「流石にちょっとハードだったわね」
疲れたような声を上げるねじれに素直にリューキュウも少しばかり草臥れたような声を上げるのであった。パトロールに出たと思ったら連続的に事件が発生するのでその対処に追われ続けてしまった。だが、同時に星辰の実力を見れたので結果的に良かったとさえ思っている。
「良くあそこまで動けたわね。自分の力を理解している証拠よ」
「いえ俺なんてまだまだですよ、先輩に結構助けられてましたし」
「エッヘン!!」
サイドキックとして動く関係上、星辰はリューキュウから個性使用許可を貰っており自由に個性の行使が可能となっている。それでも矢張りプロの現場は違う物がある、何度かねじれに助けられる場面もあったりした。
「リューキュウ……お腹空かない~……?不思議だね~……」
「あらいけないもうこんな時間だったのね、お昼の注文取らないといけないわね」
事務所には宿泊施設が完備されておりキッチンも設けられている、しかしキッチンというよりかは給湯室的な使い方しかされていない。一応食材のストックもしているが、大体は外に食べに行ったり出前を取ったりが大体。
「あっそれならキッチン借りていいなら俺作りますよ?」
「えっ後輩君料理出来るの?」
「家がカフェなんですよ、それで何時も手伝いとしてキッチンに入ってますから。何かリクエストあるなら作りますよ」
そう言いながらも早速変身を解除しながらも慣れた手つきで常備してあったエプロンを付けながらも長い髪を束ねる為に咥えゴムをする姿にはなんというか、人妻的な何かを感じてしまったリューキュウなのであった。
「私食べ応えあるのが良い~天ぷらが良い~」
「もう我儘言わないの、でもいいの?貴方も疲れてるだろうし出前でもいいのよ?」
「大丈夫ですよ。それに出前だと栄養が偏ります、体調管理もプロの仕事の内ですよ」
「フフフッ確かにね。それじゃあ私は結構ガッツリ系が良いわ、お願い出来る?」
「オーダー頂きました、しばしお待ちください」
そのままキッチンへと向かいながら冷蔵庫の中を見ながら食材を次々と出していきながら直ぐに調理に入る姿が酷く板についているのでこれは期待出来るわね、とリューキュウは思わず期待と共に鳴ったお腹の音に苦笑するのであった。
「わぁっ~!!ねえねえねえねえこれ本当に食べていいの!?」
「勿論ですよ、その為に作ったんですから」
「でも、15分足らずでこれはちょっと驚いたわね」
ねじれにはご希望通りに揚げたての天ぷら定食、味を変える為の天つゆも複数完備。リューキュウには鳥南蛮をメインに据えた定食、どれもランチメニューとして出した事がある物なのでさっさと作る事が出来た。
「それじゃあ頂きま~す!!」
「頂くわね」
「はい召し上がれ」
そんな風に作った昼食は二人に絶賛され、同じように昼食を食べに行こうとしていた所員たちも喉を鳴らしていたので希望者には食事を作る事にしたのであった。そして星辰は折角だから仲良くやってます、という所をクラスメイトに報告しようと思ってねじれとリューキュウと一緒に体験先でお昼ご飯を一緒に!!というメッセージを添えてチャットアプリに写真付きで投稿した。
尚、一部男子からは美女とのスリーショットに激しく嫉妬された。
「……へぇ……そうなんだ、ふぅん……ウチが忙しい時にねぇ……はぁん……」
「ど、どうしたイヤホン=ジャック……?」
内、一人は黒くなっていた。