星狩りのヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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42スレ

東京・保須市。事務所には必要最低限の人員のみを残して保須入りを行ったリューキュウ、そのサイドキックとして同伴するねじれと星辰。早速パトロールに入るのだが……その違和感にはすぐに気付けた。

 

「あっ見てみて其処にも、これで9人目かなサイドキック」

「やっぱり相当数の人数が来てるみたいね」

 

街を行き交う人の中に見えるプロヒーロー達、ねじれの言葉通りにサイドキックだけで9人、それらをまとめ上げる存在のヒーローも見えた。それだけ多くのヒーローに声が掛けられているという事、それだけ保須の人々は不安に駆られているという事になる。

 

「必要とされる……必要とされるのは悪がいるから、誰にも求められないのがヒーローの目指すべき物……」

 

何処か聞いた言葉を思わず呟いた星辰も勿論の事、既にエボルの姿を取っていた。何時ヒーロー殺しと遭遇したとしても対応出来るようにしておく方がいい、そんな中で誰かが言ったような言葉を呟いてしまった。

 

「何々如何したの~緊張してるの後輩君~?」

「いえ……少しだけ、悲しいなって……」

 

この現状を知って、改めて自分が目指そうと決めた物がいかに難しい物なのかを知った。戦兎は自分よりもずっとこの現実と向き合ってきた、そして戦ってきたんだと思った、それでも謡うと決めた。本当に……尊敬すべき人だ。

 

「っねじれにエボル、近くの銀行で襲撃事件発生よ!」

「こんなにプロヒーローがいるのに襲撃があるの~?不思議だね~!!」

「全くですね!!」

 

例え、プロヒーローが普段よりもいたとしても起こす奴は事件を起こす、それを実感させられた。そもそもが現代がヒーロー飽和社会とも言われている時代だ、一都市にプロヒーローが集中している位では考えなしのバカの抑止にもならないのかもしれない。

 

 

結局、保須市では事件は絶えなかった。寧ろヒーロー殺しという大きな影をカモフラージュに使って悪事を働く者もいる、それらの対処もしていたのだが……遅めの昼食になってしまった。保須市の市役所の一室を借りて、この後に備えて確りと食べている。

 

「おいひぃ~!!!」

「まだまだありますからどんどん食べてください」

 

広げられたお弁当、重箱が広げられて其処には彩り豊かなおかずが並べられて見ているだけでも楽しい。確かにお弁当もお願いしたが此処までの物だとは思っていなかったのか、リューキュウは少しびっくり気味だった。

 

「んっこの唐揚げ美味しいわね」

「そっちがカレー風味でそっちがさっぱり塩、こっちはこってりニンニクです」

「ねえねえねえねえっこの平べったいおにぎり何?」

「ああ、それはおにぎらずって奴です」

 

少々濃いめの味付けは食欲をそそりつつも疲れた身体に英気を吹き込んでいく、水筒にはお吸い物が入れられており此方は薄味に調整されていて濃い味付けになれた口の中をスッキリとさせてくれる。思わずホッとする味わい、そして口の中はさっぱりとした所にまた濃い物を入れるとより一層味が際立つ。

 

「参ったわ、これは女として負けた気分ね」

「ホントだね~下手に私達が作るよりもずっと美味しいもんね~」

「そんな事ないですよ、俺は誰かが喜ぶ料理を心得てるだけです。其処に男も女もありません」

「完璧な回答ね。あっお吸い物のお代わりあるかしら?」

「私も~!」

「勿論ありますよ」

 

遅めの昼食、早めの夕食のようになってしまったがこれで夜も確りと頑張れそうと二人は思った。そしてこれから夜になる、ヴィランが活性化する時間帯にもなる……此処からこそ気を引き締めなければ……そんな時だ、夕焼けの空が暗くなり星空が見え始めてきたころ―――それはやってきた。

 

 

『相棒後ろだ!!』

「何ッ―――がぁぁ!!?」

 

突然やって来た、空から強襲してきたそれはその怪力にものを言わせたまま星辰へと攻撃を開始した。エボルトの警告によって咄嗟に振り替える事が出来たがそれでも奇襲は抑えきれずに大地へと叩きつけられる。

 

「エボル!?」

「えっ何々あれ!?」

 

思わずねじれですらそんな言葉を口にしてしまった。そこにいたのはオールマイトを超える程の体躯、漆黒の肌―――だがそれ以上に顔の半分以上に侵食し、膨張しているかのように見える脳みそだった。そんなヴィランは電柱を武器代わりにするようにしながら星辰へと襲い掛かったのだ。

 

「エボル、今ッ!!」

「待ってねじれ!!」

 

助けに入ろうとするねじれを止めようにしつつ庇うリューキュウ、空中から何かが飛んできてそれを辛うじて回避する事が出来た。それは星辰へと襲い掛かったのと同じと思われる脳みそが剥き出しになっているヴィラン。そうUSJにて星辰も交戦した脳無。

 

「リューキュウ兎に角後輩君を!!」

「ええ直ぐに―――」

 

「ぬぅぅぅぅぅぅっっ!!!!」

 

地獄の底から響いてくるような低い声、それと共に叩きつけられた電柱が徐々に持ち上がっていく。脳無は奇妙に思いつつも更に押し込もうとするが、押し上げる力の方が強いのか抑えつけられずにどんどん電柱は持ち上がっていく。

 

「こんの野郎ォォ……!!」

「あっよかった潰されてなかった!!」

「調子に、乗んなぁぁぁ!!!」

 

立ち上がりながらも両腕に力を込めて電柱ごとを一気に持ち上げる、その凄まじい力に脳無は対応しきれずにそのまま電柱ごと持ち上げられる。そして電柱を振り回して脳無を近くの地面へと叩きつけた。だが即座にそこから跳びあがってくる脳無、それに対して星辰は

 

「元あった場所に、返して来やがれぇ!!」

 

電柱を槍投げのように投擲した。エボルの力で投げられた電柱は凄まじい勢いで脳無の腹部を捉えた、電柱は余りの速度と衝撃で砕け散ってしまったが脳無は瞬時に体勢を直すと着地、が今度は見当違いの方向へと走り出すとバスを持ち上げてひっくり返した。

 

「後輩君大丈夫?痛くない?」

「大丈夫、ですけどなんだあいつ……」

「エボルに攻撃したと思ったら今度は、バスに……?」

 

突然すぎる行動の転換、そして空を飛ぶ翼を持つ脳無を周囲を手当たり次第に攻撃している。それを見たプロヒーローが止めに入った場合には其方を攻撃するが、その行動は酷くランダムで予想がつかない。目につく物を片っ端から壊そうとしている、としか言いようがない。

 

「兎に角、此処には民間人が多すぎるわ!!避難誘導を行って、私はあの飛行する奴を何とかします!!ねじれ行くわよ!!」

「分かった~!!」

「了解!!」

 

リューキュウは直ぐに個性を発動させて空を飛ぶ脳無へと向かって行く、星辰は指示通りに避難誘導を行っていく。その最中でも空中ではリューキュウとねじれによる翼脳無との空中戦が繰り広げられている。

 

「不思議~如何して脳剥き出しなの~?不思議だね、行くよ~!!」

 

リューキュウの背中から飛び出したねじれは脳無の上を取るとそのまま翼に向けて波動を放射、一瞬だが翼が動かなくなった。その瞬間を見逃さずにリューキュウが巨腕で脳無を殴り付けながらもそのまま一気に降下して地面へと叩きつける。普通ならこれで戦闘不能になる―――だが

 

「何こいつ、まだ動けるっていうの!?」

 

脳無は未だ動き続けている、拘束から抜け出そうともがき続けている。得体の知れない物に恐怖を感じた瞬間、リューキュウはとんでもない力で殴り付けられた。もう一体の脳無だ、それによって翼脳無は自由になって飛び去って行く。

 

「逃がさない―――くっ!!」

 

追いかけようとするが、黒い脳無は異常な力で攻撃してくる。ドラゴンとなった自分と互角、いやそれ以上の力で攻撃してくる脳無に防戦一方。このままでは不味いと思った時―――

 

「こんのぉぉぉぉぉっ!!!」

 

脳無は突然後ろへと下がっていく、星辰がトランスチームライフルから蜘蛛糸を発射して引っ張っていたのだ。

 

「エボル、感謝するわぁ!!」

 

一瞬の隙を見逃がさず、渾身の力で脳無を殴り付ける。脳無は吹き飛ばされながらもビルの外壁へと突っ込んでいく、ついでに星辰はそこへと拘束を狙って蜘蛛糸を切り離すように発射しておいた。

 

「後輩君流石~!!」

「本当に助かったわ、なんなのあの怪物」

 

まだまだ状況は混沌を極めている、あの怪物を何とかしないといけない……そう思った時だ、星辰のスマホがなった。何かの緊急コールかと思って開いてみると……そこには緑谷からのメッセージだった、だがそこにあるのは位置情報のみがあった。しかもそれは保須市、此処から近い。状況故に星辰は思った。

 

「江向通り4-2-10の細道に行く許可をください!!友達が助けを求めてます!!」

「ええっそれって此処から近いよ?」

「……分かったわ。行ってきなさい仮面ライダーエボル、此処は私とねじれが何とかするわ。但し直ぐに応援も送るから無理はしちゃ駄目よ!!」

「分かりました!!」

 

リューキュウは直ぐに判断を下した。同じく職場体験をしている友達からの連絡が位置情報のみ、きっとそれだけの緊急事態という事、エボルならば恐らく自分達が到着するまでの時間稼ぎも容易な筈、自分達はこの場を抑えておくのが最善、故に彼に任せる事にした。

 

「4-2-10……此処だ!!」

 

星辰は空を飛びながら場所を探した、そして見つけた時にはまるで流星のような勢いで降下しながら緑谷の前に降り立った。

 

「定刻通りに只今参上!!まあ時刻表なんざぁ作ってないけどな、待ったか緑谷!!」

「石動君!?リューキュウが見えたような気がしてたけど、本当にいたんだ!?」

「まあな、ンでなんだこの状況は」

 

如何やら緑谷としても自分が来たのは予想外というか、心のどこかで期待はしていたらしい。ならばその期待に応えたいが……目の前の恐らくヴィランから発せられる殺意、敵意に思わず喉がなった。

 

「ハァ……また増えたか、なんだお前は」

「通りすがりのヒーロー志望の仮面ライダーって奴だ、覚えときな!!」

 

そんな軽口を叩きながらも、星辰は身体の震えに気付けなかった。

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