星狩りのヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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48スレ

エボルト、エボル、EVOL。

 

自分の中にある力、転生によって得た力。余りにも大きすぎる力は常に自分のある種の最悪の未来を見せ続けている。星の終末と終焉を導く、それがあるべき姿。つまり……最悪のヴィラン、星その物を消し去る宇宙の災厄。それがフェーズ4、エボルとしての完成形だ。

 

しかし同時に思うのだ、どうやってエボルトリガーを作り出すのか……こうしてボトルを作り出しながらも思いは止まらない、この世界にはパンドラボックスは存在しない。ならどうやってそれを作り出す、そう思った時に考えれる可能性は一つしかなかった。

 

「(パンドラボックスは……俺、なんじゃないのか……?)」

 

 

「ねえ星辰、如何したのなんかボンヤリしてるけど」

「えっしてた?ごめん全然気づかなかったよ」

 

日曜日、他の皆とは予定が合わなかったので唯一予定があった……実際は無理矢理合わせた耳郎が星辰の家にやって来て勉強会を行っていた。その最中に星辰はどことなくボンヤリとしてしまっていた、そのつもりはなかった。というよりも完全な無意識だったのか自分が何を考えていたのかすら分かっていなかった。

 

「やっぱり情報学の歴史って一番苦手ぇ……なんていうかさ、若干説教臭くない?」

「まあ何となく分かるかなぁ……俺達としてはもう当たり前の事を繰り返し言われてるみたいな感じだもんね」

 

今やっているのはヒーロー情報学、所謂個性社会の歴史の勉強である。今の社会に至るまで、ヒーローの成り立ちや個性の扱いなどについての事。当たり前の事ではあるが時代が変われば常識なんて変化していく、昔から見れば今の超常社会なんてあり得ない社会であり、今から見れば昔の社会なんてあり得ない。

 

「……ステインが目指したのはきっと、この時代のヒーローなんだろうな」

「えっ?」

「まだヒーローが資格制の職業として確立される前、本当の意味での人々の為だけに戦った真の英雄たち。それに憧れたんだ」

 

ヒーローとは見返りを求めてはならない。自己犠牲の果てに得うる称号でなければならない。というのがステインの主張、それは正しくこの時代に活躍したヒーローを指す。超常も物語の中にしか存在しなかった前世を生きた身としては理解出来る。

 

「星辰はさ、ステインの主張を肯定する?」

「……いや理解と共感はするけど肯定はしない、そんな事が出来る程俺は偉くないし俺にあるのはせいぜい偽善だからね」

 

自分の中にあるのはエボルトのような巨悪になりたくない、だからこそヒーローを目指す事で(エボルト)を封じ込める事。正直言って誰かを助けたいと思ってヒーローを目指す人からすれば余りにも自己的過ぎて正しく贋物の正義、偽善だ。だがそれでも良いと思っている。絶対的な正義なんてないんだから。

 

「でもさ、偽善でも誰かの為になれるって良くない?ウチだってヒーローになりたいって思ってるけどそれが純粋なのかって言われたら微妙だと思うし、誰だってオールマイトになれる訳じゃない。だったら出来る範囲でヒーローやるのもいいんじゃない、全ての人を救うなんて傲慢だし合理的じゃないって相澤先生だっていうと思う」

「―――確かに。絶対に無理だ、合理的そして物理的に考えろって言いそう」

「でしょ」

 

そんな事を言い合っていると自然と笑いが込み上げて来る、そうだ自己的で結構。自意識過剰な正義の味方なんて結構じゃないか、自分のエゴを拡大して人々を守る、それで良いじゃないか。それで救われる人がいる、そもそも人なんて自己中心的な生き物だそれでいいんだよと何時の間にか納得していた。

 

「―――アリガト耳郎さん」

「な、何急に」

「いや、何となく有難う御座います」

「や、やめてよ急に……」

 

突然の感謝に顔を赤くしながらも口元を自分のプラグで隠すようにする、そしてすぐに何か思いつくと悪い顔をしながら言った。

 

「んじゃ感謝を物品で表してよ」

「そう来ましたか、ケーキなら2つ出すよ」

「もう一声、3つとアンタの持ってる音楽の焼き増し(コピー)で手打つよ」

「結構強欲だなぁ……まあいいか、分かったよ耳郎さん」

「好い加減名前で呼べっつの星辰」

 

そんなこんなで勉強会も継続していく中で遂に期末試験の日がやってきた、日曜日だけではなく学校でも昼休みや放課後も使って図書室を利用して勉強したりなどもしたので手応えは抜群だった。

 

『あっ其処の答え間違ってんぞ』

「(あっマジ?って入ってくんなよ!?)」

『別にいいじゃねぇか相棒。ほれ早く直せ』

「(ズルしてるみてぇで嫌なんだよ!!)」

『ズルじゃねえだろ、相澤的に言わせれば個性の有効活用だ』

 

といった風にエボルトの介入もちょくちょくあったりした。そのせいか、時折星辰の机から何かが割れるような音が聞こえて来たという。テストの回収も済んだところで実技試験前の少しの休憩時間に耳郎がすっ飛んできた。

 

「アンタのお陰で情報学完璧だった……マジで感謝」

「良いって良いって」

「あっやっぱり完璧だった!?こっちパーペキだったよ~!」

「ケロ、私も中々の手応えだったわ」

「同じく」

 

と勉強会に参加していたメンバー全員がなかなかの手応えを感じる事が出来ていた。中間では不安の残る点数ではあったが、今回は自信を持って点数を待つ事が出来る。そして―――次は実技試験。場所は実技試験会場中央広場、そこでコスチュームを纏ったA組メンバーを待っていたのは……相澤やミッドナイトを始めとしたプロヒーローでもある教員の面々であった。

 

「それでは演習試験に入る。当然これにも赤点はある、補修地獄に遭いたくなきゃ死ぬ気で乗り越えてみろ」

「あれ、先生多い……?」

 

全員がコスチュームを纏っている中で集合、間もなく行われる演習試験に向けて気合を入れるのだが……明らかに先生の数が多い。相澤にエクトプラズム、セメントスにミッドナイト、13号にパワーローダーと雄英が誇る教師陣が集結している。ヴィランが前にしたら絶望必死だろう。

 

「尚、君達なら事前に情報を仕入れてこの試験の事を聞いてるかもしれんが生憎その情報は無駄になった」

「「……えっ」」

 

その言葉に絶望し真っ白になったのは上鳴と芦戸であった。情報ではロボ相手の演習という話だった、この二人に共通しているのは対人相手では全力で個性を使いづらいという事。だがロボ相手ならば一切の加減をする事なくぶつかっていけると踏んでいたのだが……どうやら変わっているらしい。

 

「残念!!今回から内容を変更しちゃうのさ!!」

『校長先生!!?』

 

相澤の捕縛布の中から顔を出す根津、その口から語れるのは変更するのは試験をロボから対人戦、つまり教師との対決へと変更。ヴィランの活性化を警戒してより実戦的な物に変更し、より高みを目指した教育の為との事。そして、これから行われるのは二人一組か、三人一組での教師と戦う試験となる。

 

「ペアの組と対戦する教師は既に決まっている。動きの傾向や成績、親密度…その他諸々を踏まえて独断で組ませてもらったから発表してくぞ」

 

発表されていく組み合わせ、星辰は一体どうなるのかとドキドキしながら待っていると遂に自分の名前が呼ばれた。

「石動、そして麗日」

「あっ一緒みたいやね」

「みたいだね」 

 

この二人の組み合わせ、そしてその相手とは……

 

「僕が相手ですよ」

「えっ13号先生が!?」

 

 

それを語るにはまず数日前の事、学校の一室では教師らが集まりA組の演習試験によるペアの検討が行われていた。試験の変更理由はヴィランの活性化、生徒達を危険に晒さない為に教師は何をするのか、そう言われたら生徒達を更に強くすること。その為に壁になる、それが変更理由だった。

 

「んで石動ですが……正直言って、こいつが一番の難題です」

 

そう言われて校長を含む全員が首を縦に振る。

 

「戦闘力は言わずもがな、それだけに飽き足らずアイテムの創造能力すらある。そのアイテムの性能は圧倒的、しかも発展が見て取れる。何処まで伸びるが末恐ろしい存在」

「全くだ。体育祭でも二段階の進化を見せた、しかも爆豪との戦いは途轍もなかった」

「本当にとんでもねぇHOT BOYだぜ!!」

 

軽く驚けてみせるがマイクも星辰の異常性は分かっている。幾らなんでも個性の幅が広すぎる、無理矢理A組の生徒で表現するならば緑谷と八百万のハイブリットとも言うべきとんでもない個性。その相手を誰にするか……個性を無効化出来るイレイザーヘッドか、それとも相手を眠らせるミッドナイトか、それとも相手の何手先を容易く読み取る根津か……悩む中、一人が手を上げる。

 

「僕がしましょう」

 

それは13号だった。

 

「良いのか13号、生徒とはいえかなりきついぞ?」

「それは承知です、ですが誰かは相手をして導かなければいけません。それとも貴方がしますかブラドキング?」

「ムッ」

 

まさかそう返されるとは思ったなかったのか口籠ってしまうブラドキング。だが相手として壁に成りえるのか?という疑問もある。

 

「僕の個性はブラックホール、USJでは不覚を取りましたが……今度は油断せずに努めます」

 

13号の個性はブラックホール。いかなるものをも吸い込み、分子レベルで崩壊させる虚実の穴。その重力に囚われたら光すら脱出出来ない。確かにどんなアイテムを作ろうが、どんな身体能力だろうが無意味と化す重力の井戸。一番的確かもしれない。

 

「それに……私は彼を導きたいのです、USJで自らの不安を吐露した石動君を」

「そう言えばあいつ……」

 

その言葉で相澤はUSJでの事を思い出した。

 

『―――っ……ただ、唯何かを破滅させる事に特化してしまっているような個性でも、誰かを助けて救う事が出来ますか?』

 

13号の言葉に強く反応していた星辰。しかも破壊ではない、破滅に特化したと言っていた。つまり、星辰の個性の本質は破滅、その存在価値を失わせて滅ぼす個性。だからこそ13号は手を上げた、ブラックホールも本質的には破滅を齎す物でしかないから。

 

「先達として、壁になりましょう。そして僕の重力を超えられた時、彼は一つ壁を越える事でしょう」

「……分かりました、では石動は13号先生に任せます。そしてそのペアですが……ブラックホール繋がりで重力、麗日にするつもりですが如何ですか」

『異議なし』

 

 

「という訳ですので、お二人とも全力で来てくださいね。僕はそう簡単に超えられる壁ではありませんよ」

「望む所……!!」

「うん、頑張ろうね石動君!!」

 

待ち兼ねるは最強の姿と同じ力を持つ13号、それに如何立ち向かう……仮面ライダーエボル。

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