星狩りのヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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仮免試験編
64スレ


「んじゃ父さん、行って来るわ」

「ああ、気をつけてな。休日にはちゃんと帰って来いよ?」

「当たり前だ、俺が居なかったらこの店潰れるしな」

「なんだと~!?これでもお菓子作りの腕は大分上がったんだぞ!?」

「俺が猛特訓させたからだろそれ」

 

朝、何時も通りの時間に玄関に立った星辰はそれを見送る惣一に言葉を送る。今日から自分はこの家を出る、雄英は寮制に移行するので自分は雄英の敷地内に建てられる寮に入る。その事で色々と不安はある、寮生活云々というよりもカフェの事が心配でならないのである。

 

「大丈夫だよアタシがちゃんとリードするから」

「頼むよ父さんだけじゃどうしても不安残るから」

「あのさ、君達父親に対してどうしてそんな辛辣なの?俺なんかした?」

 

何処か不憫な扱いをされていることに不満を漏らす惣一だが、そんな姿を見て美空()星辰()は思わず笑いながら惣一()を見た。

 

「んじゃ行って来る、なって来るわ―――仮面ライダーに」

「ああ。最高のになってくると良いよ」

「どうせだからオールマイトを超える勢いでな」

 

そんな応援を受けながらも星辰は一歩を踏みだして行った、これからは新しい未来への一歩、フェーズ4は自分にとっては終わりなどではない、此処からが本当の始まりだ。次の一歩をどんどん踏み出して走り出して行く勢いで行かなければいけない。その足跡が軌跡となるまで。

 

 

林間合宿のゴタゴタもあってから初めて1-A組が全員集合する事になった、新築の寮を前に皆が思ったのは星辰の身の安全だった。エボルの姿はオールマイトの戦いを中継していたヘリによって放送はされていたが、こうして姿を見るまで安心しきる事は出来なかったので生で姿を見れて初めて胸を撫で下ろす事が出来たのが素直な本音であった。

 

「当面は林間合宿で行う予定だった仮免取得の為の強化を目的に行っていく。その為の寮制、そして今回の寮制の導入は一方的だが皆を守る為に必要な物だった。皆、ご家族を説得するのは苦労したと思うが此処にいる事を感謝しておこう」

 

相澤先生の言葉に納得を浮かべつつも、そう言えばそう言う話で合宿してたっけと激しすぎていた状況の変化に戸惑っていたせいで目的を見失っていたり、寮生の説得に苦労したりとそれぞれに大変な事があった事が伺えた。

 

「合宿では俺達大人がお前たちを守るべきはずだった。そのせいで皆には迷惑を掛けた、だが今度は大人が君たちを守る、それを信じて欲しい。そして君たちは俺達の保護下の元で仮免習得の為に精を出して欲しい。さて……長々と話したがこの位にして中に入ろう、元気に行こう」

『はい先生!!』

 

皆が相澤に続いて中へと入っていく中で、星辰を相澤を引き留めて一言を伝えた。

 

「石動、お前には色々と苦労を掛けた……そしてよく頑張った、あの状況で多くの人を救ったお前を誇りに思える」

「俺はやりたいようにやっただけです」

「そうか……ならこれからもやりたいようにやればいい、合理的に周囲の状況を踏まえてな」

 

そう言いながら肩を軽く叩きながら寮へと入っていく相澤に星辰は少しだけ胸が熱くなった気がした。

 

肝心の寮は地上5階地下1階建、2階から左右に分かれており向かって右が女子用、左が男子用となっている。1階は共同エリアになっていて食堂も完備されていて此処で調理して食事を用意する事も出来る。朝と夜はランチラッシュが食事を届けてくれる事になっているので、使うとしたら昼食時だろう。そんなこんなで各自の部屋も割り当てられ、それぞれの荷物が運び込まれているのでこの日は部屋づくりになる事になった。

 

「皆お疲れ~」

「お~う、石動は終わったのか?」

「俺は直ぐに終わったよ」

 

日も沈んで暗くなって来た頃、皆共同スペースに集まって雑談に勤しんでいる。折角なので星辰が皆にアイスティーを振る舞っているそんな時に芦戸と葉隠がある提案をした、これから寮生活を行う上で大切な事、皆の部屋の場所を知っておく事と行く事に慣れる事。

 

「という訳で……お部屋披露大会をしませんか!?」

『えっ』

 

まさかの唐突に始まった部屋披露大会に一部は大慌て、何せ趣味全ぶりな部屋になっていたりするからである。一部の部屋は全員が驚愕するような仕上がりになっていたり、洋室だったのに和室にリフォームされていたりと色んな意味でフリーダムな事になっていた。そして最後は5階、残るは星辰を残すのみとなっていた。皆がどんな部屋なのかドキドキしている中で最も緊張しているのは耳郎だった。

 

「でもあたし達は期末試験の時に石動の家行ってるんだよね~」

「そうね、だからあの時と同じような感じなのかしら?」

「だがそれでも楽しみなのは変わらん」

「そ、そうだね」

 

と勉強を教えて貰った時に行った面子はある程度のイメージは固まっているのだが……矢張り耳郎は星辰の部屋というだけで緊張しっぱなしであった。

 

「まあどうぞ」

 

扉を開けて中を見せる、ワクワクとした装いで皆が中へと視線を伸ばしてみるとそこにあったのは……目を引く巨大なデスクトップパソコンに巨大なスピーカーの音楽プレイヤー、此処までは普通だが他にはドリッパーやサイフォン、サーバーに細口ドリップポットなどなど珈琲を淹れる為の道具が並べられていた。

 

「お~!!流石カフェの息子さん!!」

「珈琲淹れる道具がいっぱいある~!!」

「というか何で既に珈琲の匂いしてるな、飲んでたのか?」

「ちょっと休憩にね」

 

尚、自分で淹れたのでブラックホールが如く黒くなって酷く不味かった。

 

「飲みたいなら何時でも声を掛けてね、一応冷蔵庫には俺の作ったケーキもあるから―――というか今から食べる?」

『食べる~!!!』

 

砂藤の部屋を紹介した時に彼が作っていたシフォンケーキを食べたというのに女子達はケーキに飛びついた、まあ男子も飛びついたのだが……その後は共通スペースで簡単なお茶会を催す事になった。

 

「やっぱり美味しい~!!」

「はふぅっこの抹茶ケーキ絶品……」

「この珈琲も素晴らしいですわ……苦味と酸味のバランスが絶妙でなんてコクがあるのかしら……」

 

「マジかよこのケーキすげぇうめぇ……!!石動今度俺と一緒にケーキコラボしようぜ!」

「勿論」

 

この時、同時に珈琲も振る舞ったのだが……この時ばかりは自分が飲むのと違うのでnascitaでも販売している珈琲ドリップパックを使用した。惣一が前以て用意してくれていたらしく、自分の珈琲セットを淹れていた段ボールの中に入っていたので有難く其方を使わせて貰う事にした。

 

因みに部屋王はケーキと珈琲が美味しかったという理由で星辰に決まった。贈賄なのでは?という疑惑もあったが気にしない事にした。

 

 

「ふぅっ~……」

 

部屋のお披露目大会も終わった星辰は外で空を見上げながら溜息を吐いていた。寮の陰に隠れるようにしつつも空を見上げていると、影の中にあった自分の影が姿を変え始めてエボルコブラの姿になった。

 

『なに疲れたような顔してんだ相棒』

「……何お前、そんな事まで出来んの?」

『俺はお前なんだぜ、お前の視覚情報の一部を改竄して俺の姿にするなんて楽なもんだ』

「……俺に影響ないだろうな」

 

なんて無駄な事をするんだこいつは……と思いつつも星辰は特にそれ以上何も言わなかった。

 

「エボルト、お前は如何するつもりだ」

『さあな。ウルトラニキが居るから下手な事はしたくねぇし真面目にお前の相棒を続けるさ』

「いまいち信頼性がねぇな」

『じゃあこういってやろうか、相棒―――黒いパンドラパネルを作って更に進化しようぜ!?ってか』

「俺が許すとでも?あれ完全に仮面ライダーじゃねぇだろ」

『ですよね~』

 

エボルトも分かってましたと言わんばかりの声色だ、それを喜んでいる節もある。

 

『俺が今一番警戒してること、分かるか?』

「……なんだよ」

『この世界に戦兎と万丈が居ないかって事だ。居たら確実に俺たちを狙って来る、それはそれで勘弁して貰いてぇんだよなぁ』

「あ~……確かに、巻き添えはごめんだ」

 

美空や惣一、一海と言った存在からこの世界にも戦兎と万丈、即ち仮面ライダービルドとクローズがいるのではないかとエボルトは警戒し続けている。居たら確実に自分を倒そうとする筈……出来ればいない事を祈りたい。

 

「何独り言言ってんの?」

「っ!?じ、耳郎さんか」

 

突然声を掛けられた事に吃驚してしまう、少し取り乱すが呼吸を落ち着けながら顔を覗き込んできた耳郎に応対する。チラリと影を見たが、エボルトは見えなくなっていた。そんな星辰を他所に耳郎は隣に立ちながら空を見た。彼女は何処か覚悟を決めたような表情をしながら此方を見た。

 

「せ、星辰!!」

「はっはい!!」

「―――っえっと、その……ま、また会えて嬉しい……また一緒に、その頑張ろうね!」

 

顔を赤くしながらも耳郎はそれを笑顔で伝えた、それを星辰は驚きながらも受け取って頷いた。

 

「うん、頑張ろうね耳郎さん」

「好い加減名前で呼べっての、響香で良いっての」

「ええっと……きょ、響香……さん?」

「さん付け禁止っ♪」

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