「また新しい姿になりましたね……」
「……考えてみれば、あいつのバリエーションはドライバーに指すボトルによって変化してる。それを考えれば種類さえ変えれば新しい姿になるのはある種の道理だな」
「ダガ先程ノ姿程ノ物ハ感ジナイ」
「あの姿何だか特徴的ね~」
エボルロックの姿となった星辰を見つめる相澤とセメントス、エクトプラズムにミッドナイトの教師陣。恐らく起点となるだろうエボルトリガーを使っていないのでブラックホールフォームとやらの程ではないだろう……とは思うが、それでもあの姿も不明瞭。故にエクトプラズムの分身が攻撃を仕掛けてどんな事が出来るのかを確かめる事になった。
「ハァッ!」
地面を蹴って急速に接近しつつも連続的な蹴りを浴びせ掛けて行く、これまでの星辰ならばこの位軽々と避けてカウンターなどを入れて来る―――筈なのだがそれらを全てガードしている。そして軽やかなステップも全く踏まない重心の重い立ち回りをしている。
「あらっ石動君ったら今までと全く逆ね」
「そうですね、これまでは機動力を生かした動きだったのが相手の攻撃を受け止める防御型になってます」
「……動きも随分と鈍い。防御力があの姿の特徴か?」
「さてと―――そろそろ行くか!!」
その言葉の直後に肩のEVOセキュリティショルダーから鍵を模した巨大なバインドマスターキーが左腕に装着される、そしてそこから鎖が伸びて来てそれを地面に叩き付けながらも迫って来るエクトプラズムの分身へと鞭のようにして攻撃を開始する。
「クッオオッ……!?」
鎖が振るわれる速度は尋常ではなく鎖の先が全く視認できない程の速度で振るわれていく。回避した鎖が崖のように切り立っているセメントへと激突するのだが、抉る様にセメントを打ち砕いてしまった事から凄まじい威力が伺えた。
「あれほどのスピードで振るわれたら遠心力も加わってエゲツない威力になるって訳か……」
「私の鞭といい勝負ね」
が、その時だった。一瞬の隙を突いたが如く分身へと鎖が伸びて一瞬のうちにぐるぐる巻きにされて拘束されてしまった。
「―――LOCK!!」
「―――っ……」
鎖で繋がれた分身、それへと鎖を通じてエネルギーが送られていく。そしてそれが到達すると錠前のような形へと変化しつつも大きな音と共に錠前が閉められてしまった。直後にバインドマスターキーから鎖が切り離されて分身を完全に拘束する、拘束された分身は完全に観念したかのように座り込んで動かなくなった。
「完全にお縄にしちゃったって感じね」
「相手を捕縛する事に特化した姿という事ですかね、となるとある意味ヴィランを確保するという意味では適役だな」
「確かに……如何したエクトプラズム?」
「妙ダ……ドウナッテイル……!?」
エボルロックの分析を行っていた相澤だが、隣でエクトプラズムが何やらブツブツと呟き続けている事に気付いた。しかもかなり狼狽えているのが分かる程。
「おい如何した?」
「新タナ分身ヲ作リ出セナイ……!!」
「えっちょ、イレイザー貴方個性消してる?」
「ンな事してませんよ」
「それじゃあ如何して……」
クラスメイトの相手をしていた分身が消えてしまったので新しいのを生み出そうとしたのだが、それが全く出来ない。それも丁度、星辰によって分身が鎖で拘束された瞬間から身体の中の個性因子が封印されてしまったかのような感覚。状況から判断した相澤は星辰へと声を掛ける。
「石動、その姿は俺の抹消と似た事が出来るのか」
「みたいです。鎖で縛りあげた上で錠前でロックすると相手の個性を封じられるみたいです、でもまさか分身じゃなくて本体のエクトプラズム先生にもそれが通用するなんて……すいません今鎖解きます!!」
流石にこれは想定外だったと言わんばかりに星辰は驚きながらも大急ぎで分身の鎖をマスターキーの力で開錠する。それによってエクトプラズムの個性も復活して元通りに分身を生み出せるようになった。
「すいません先生!!まさかこんな事になるなんて……!!」
「イヤ驚キコソシタガ、ソノ力ハヴィランヲ確保スル上デコノ上ナク頼リニナルモノダ」
とエクトプラズムは何処か嬉しそうにしていた、驚きこそしたが生徒がそんな事が出来るようになったという事は教師としては喜ばしい事だ。その一方で相澤はやや険しい顔を浮かべていた。
「(今度は個性の封印だと……?ブラックホールといい、本当に如何言う個性なんだ……ヴィラン連合が石動を狙う理由も何となくだが理解出来てしまうな)」
此処までの広い範囲で力を切り替えつつも高い能力を発揮する個性、正しくこれまで類を見ないタイプだ。ヴィラン連合が欲しがるのも納得だが、新しい姿を現したのならばその能力を徹底的に洗い出す必要がある。相澤はエクトプラズムに頼み5体の分身を生み出して貰いそれらを同時に星辰へとぶつけてエボルロックの性能評価を開始する。
「そぉらぁ!!」
迫り来る分身の攻撃を的確に防御しつつも細かな隙を見つけてはその防御力を利用した打撃で返り討ちにしていく、がそれだけではない。
「イダダダダダダッ!!?」
「これ以上、いけないってねぇ!!」
分身にレッグロックを決めつつも脚の力だけでぶん投げて他の分身に当てつつも他の分身にも関節技を次々と決めていく、ロックだけあってそう言った技が得意なのだろうか……と相澤は思いながらもこれまでの事を纏めて行く。
レバーを回した後、分身の一人に高速で鎖を巻き付けるとそのまま片腕だけで分身を凄まじい勢いでぶん回して行く。そして地面や壁へと激突させ続けながらも勢い自分へと引き寄せる。そしてそのまま身動きが取れない分身目掛けて飛び掛かりながらキーロック*1を仕掛けた。
「相手の動きを拘束しつつも周囲に敵がいる場合はそれらにぶつける事で蹴散らしつつも対象にダメージを与え、止めに得意技か……合理的だな」
「嫌でもあれ相当にやばいですね……」
「かなり、エゲツないわね……」
「……分身デ良カッタ……」
かなりエゲツない極まり方をしたキーロックを受けた分身はそのまま消滅していった、辺りにぶつけたり振りまわすだけでも十二分な必殺技になるだろうに……そこに最後のあれは色んな意味で酷い。
「こういう方向性でもいいな、投げ技も多分行けるだろうし」
『まあ関節技程じゃないが行けるぞ』
エボルロック
機動面ではワースト。最も動きが鈍いが、その分防御力に優れている。
鍵の開け閉めは勿論相手のコスチュームの安全機構を強制的に発動、及び機能のロックを掛けるなども可能。
が、一番の目玉は鎖で拘束した後に錠前を掛けると個性を使えなくしてしまう能力。相澤の抹消と異なり、星辰が開錠しない限り使えないまま。故に捕縛という点において優れている。
そして関節技が大得意で関節技を使うと相手に与えるダメージが増える。