強化合宿と題された必殺技を作る為の訓練が続けられて行く。訓練も始まって早4日、それぞれがスタイルや必殺技を定め始めてきた中でサポート科などにも顔を出してコスチュームの改良など行い始めて行く頃の事。星辰も訓練に励み続けていた―――が
「おい石動、耳郎、客だ」
「へっ?」
「客、ですか?」
二人は共に訓練をし続けていた。星辰はエボルロックとエボルタンクの習熟を目的に、耳郎はある種の泣き所とも言える近接戦闘能力を向上として組み手を行っていた時に相澤から呼び出しを受けた。客が来たらしいのだが一体誰が……と思ったらそこにいたのはサポート科の発目であった。
「あれ、発目さんどうしたの?」
「フッフッフッ……勿論、お願いされていたサポートアイテムが完成&認可が下りましたのでお届けに上がったんですよ!!!」
「えっもう!?」
先日、耳郎はコスチュームの改良を踏まえて新しいサポートアイテムをサポート科にお願いしに行った。そこで星辰のホークガトリンガーやカイゾクハッシャーを作った発目を紹介して貰ってアイテムを作って貰える事になったのだが……まさかこんなにも早く完成するとは思っても見なかったので驚きだった。
「フフンッ優れた開発者というのはクライアントを待たせない物なのです、それに仮免の事もあるんですから出来るだけ早いのが好ましいと思いましてパワーローダー先生にも協力いただいて仕上げました」
「新しいアイテムであれば習熟訓練も必要になる、合理的だな」
「という訳で―――はいどうぞ!!」」
そう言いながらも発目は背負っていたバックからそれぞれが注文したアイテムを出した。
「おおっ……前のも思ったけどまさかここまで完璧に作ってくれるなんて……流石天っ才メカニックだね」
「いやぁ照れますね~私としては石動さんのフルボトルを解析させて頂けましたから得るものも大量でしたから~」
再びフルボトルを貸し出し解析、それから得られたデータを基にしながら仕上げて貰ったアイテムだがそれは星辰が思い描いていたモノそのものだった。新しいサポートアイテム、ビートクローザー。フルボトルの装填も可能、これなら自分が思い描いていた事が出来そうだ。
「んでこれがウチの?」
「はい、耳郎さんのは基本的に私のオリジナルが基です。と言っても此方はビートクローザーを原型にしてますけどね」
そう言いつつも手渡されたものを手にする耳郎、思ったよりもしっくり重さと形状に軽く振って見てもかなりの手応えを感じる。そしてバッチリ自分のプラグの差込口もある。
「凄い、凄いしっくりくる」
「フフンッ!!使い手の手の形や握り方、それを考慮するのもデザイナーですからね!!」
とドヤ顔しつつも胸を張っている発目だが、星辰は仮面の内側で引き攣った笑顔を浮かべずにはいられなかった。何故ならば……ライダーで見た事がある物だからだ。
「それでは銘の発表です、それは―――音銃剣錫音です!名前の通りに剣と銃の二つの姿を併せ持つ自信作です!!」
「錫音……」
「はい、それでは軽く説明しちゃいますので錫音にプラグを指していただけます?」
「あっうん」
早速錫音にプラグを差し込んでみると錫音は光を放ち始めた。
「今みたいにプラグを指す事で錫音は起動しますので耳郎さんの完全専用アイテムです、そしてそれは貴方の心音を利用する事で真価を発揮します。剣の状態では常に刀身は振動していてその状態では様々な物をスパッと!!斬る事が出来ます、平たく言えば超振動カッターですね」
様々な物を斬れると言われたので試しにセメントの壁に向かって錫音を振るってみるとまるでバターでも斬るかのように簡単に切断してしまいその切れ味に思わず驚いてしまう。
「す、すごっ……!?」
「それは流し込む音を調整すれば切れ味を変える事は出来ますからその辺りは色々とお試しくださいね、それと銃モードでは音の銃弾を発射します。あっ正確に言いますと対象の固有振動数を無効化する特殊弾丸を耳郎さんの心音などを利用して生みだ―――」
「あっそこら辺は良いから、取り敢えず音の弾って事でしょ」
「そう言う事です!!」
「(やっぱり音の聖剣じゃないか……)」
「後これもどうぞ、フルボトルを解析して作った拡張アイテムです」
追加で渡されたのは錫音のマガジンのようなところにセットするらしいアイテムだった。どうやら必殺技を発動させる為のキーアイテムらしく、大切にしようと決めると追加で発目は勝手に耳郎の腕に何かをセッティングし始めた。
「そしてこれも私の自慢のベイビーで錫音の強化アイテム、ドレミファターンテーブルです!!」
「(今度はドレミファビートか……)」
これも自分がフルボトルを渡してしまった影響なのかと軽く遠い目をする星辰。そんな彼を他所に発目はそれの説明を行う。
「これは起動させると錫音と共鳴して音楽を発し始めます、その音楽のリズムに合わせて錫音を使うと最大で4倍のパワーアップをさせるんです!!」
「4倍!?」
「ええ、ですけどこればっかりは扱う人のリズム感覚とかセンスにかなり依存しちゃいます。音楽経験あるとの事ですのでこんな風にしちゃいましたけどどうします?今の段階なら変更可能ですけど」
それを聞いて耳郎はジッとターンテーブルを見つめながらも小さく、リズム……と呟いた。そして徐にテーブルに手を伸ばしてそれらを撫でた。同時に聞こえてくる音楽、それを全身で聞いてリズムを確認すると即座に錫音を振るい始めた。
「フッたぁよっはぁ!!」
リズムに合わせてステップを踏んで、それに合わせて踊るように動きながらも錫音をスナップを利かせるようにしながらも振り回しながらも演武を刻んでいく。
「おおっ突然のスタートに驚きましたけど中々に見事に使いこなしてるじゃないですか!!」
「それじゃあ俺も―――!!」
それを見つつも星辰はエボルドラゴンにチェンジしながらも耳郎の前に立つとビートクローザーを構えた。それを見ると耳郎は笑いながらもステップを刻み続けながらも迫っていきながらも剣を振るって行く。
「よっほっ!!」
「ふったぁ!!」
リズムに乗りながらも時々耳郎のアレンジも加えているのかリズムとは少し異なったリズムも加えるで相手にも聞こえてくるリズムと呼吸をズラすというフェイントも織り交ぜていく。
「これは、結構厄介だなこれ!!」
「フフフッさて如何するよ!?」
「んじゃ俺も!!」
錫音と何合か斬り合い続けたが、バックステップを踏みながらもビートクローザーのグリップ部分を掴んで引っ張る。
『
まるで対抗すると言わんばかりにビートクローザーからも音楽が流れだし始めた、それと同時に刀身のイコライザーのようなメーターが一気に上昇していきエネルギーを纏って行く。それを勢い良く振るうのだが、それを耳郎はドレミファターンテーブルと共鳴している事で威力が倍増している錫音の一撃で相殺するのだが―――直後にモードチェンジを試してみる。
「これでリズムだから……こうかな?」
今度はリズムに乗りながらも発射のタイミングや連射数を変えてみたりして見る耳郎、その直感は見事に命中しており乗っている弾丸は不規則な加速や軌道を変えながらも星辰へと襲い掛かっていく。
「ちょっこれマジか!?」
リズムに乗っている、と言いながらも極めて不規則でランダムな加速によって防御タイミングが掴めないので蒼炎を展開して防御壁を展開する星辰。何とも癖の強いサポートアイテムだと言わざるを得ない音銃剣錫音、だがそれを耳郎はターンテーブル共々酷く気に入ったような瞳で見つめていた。
「ウチこれ凄い気に行った!!絶対に使いこなすから!!」
「お気に召したようで何よりです~っておおっあちらでは緑谷さんがアイアンソールを実戦使用してるじゃあぁ~りませんか!!んじゃ私は其方に行きますので~!!」
と直ぐに走り出して行ってしまった発目を見送りながらも耳郎は何処か満足気に錫音を握りしめている。
「星辰、これの相手も頼むよ」
「分かってるよ、俺だってビートクローザーを使いこなさないといけないしね。とことん付き合うよ響香さん」
という訳で耳郎ちゃんに強化入ります。ライダーシリーズから音関連の物を引っ張ってきました。
まあうん、発目さんだからしょうがないよね。