インターンの意義、それを教えるという名目で行われる事になった雄英のBIG3の通形 ミリオとの勝負、普通に考えればA組のほぼ全員である20人で戦うので圧倒的に数に分がある此方側。例え爆豪が居ない状況でもそれは同じ、だが不思議と全員は簡単に勝てる気はしなかった。
『現雄英生の中でもトップに君臨する3年の3人、通称ビッグ3だ』
それは相澤のあの言葉、それが重く圧し掛かっているのだ。ハッキリ言ってどんな人の言葉よりも信用と信頼がおけるとA組の皆が思う。
「ミリオ、やめた方がいいと思う。俺達は形式的にこういう具合でとても有意義です、と語るだけでも一年生としては充分で有意義なんだ。全員が皆上昇志向に満ち満ちている訳じゃない。立ち直れなくなる子が出てはいけない」
「天喰ったらちょっとそれは失礼じゃないかな~?少なくとも、後輩君は絶対に折れたりしないし寧ろ納得しやすいって」
「波動さんの彼に対するその信頼、寧ろ重くて僕からしたらプレッシャーにしかならない……!」
如何にも好き勝手に言ってくれているようにA組としては聞こえてくる、自分達は職場体験や林間合宿でマジのヴィランとの空気を感じ取っているし何なら一戦も交えている。それなのにそこまで自分達は弱く見られるのは不服でしかない。
「通形先輩、貴方がどんだけ強いのか俺達は知りません。ですけど―――あんまり下に見られすぎるっていうのは正直気に入らねぇ」
「なんか雰囲気が一気に変わった……なんか凄い邪悪な物を感じてしまった……申し訳なくて帰りたい……」
「ああ後輩君は戦う時にスイッチが入るとああなるから気にしなくても大丈夫だと思うよ?」
「だからよ……俺も割と勝ちに行くぜ」
「それは寧ろ光栄だね、全力で来なよ!!」
「―――変身!!」
本気で行くとの言葉通り、フェーズ4一歩手前のエボルダイナソーをいきなり切る星辰。スペックだけで言えばブラックホールフォームを超えるので単純な真っ向勝負を考えば最強の形態とも言えるそれになった。それだけ本気という事を実感しながらもミリオは笑顔で来いと答える。
「それじゃあ通形先輩!!胸を借りるつもりで行かせて貰いますんで、ご指導お願いしまぁす!!!」
「おいでよ、一年坊達!!」
が直後に目を疑う光景が広がった。なんと……ミリオの服がずり落ちていったのである。思わず女子から叫び声にも悲鳴が木霊する、耳郎も例外ではないのか叫びながら星辰の後ろに隠れた。
「キャアアアアアアアアアアッッッッ!!!!???変態、変態、変態ィィィィィッッッ!!!!なんで人前で裸になろうとしてるのあの先輩ぃぃぃぃぃぃぃっっ!!?」
「ああっごめんワザとじゃないんだ!!?調整が難しくてね……!!」
「それでもいやああああああああああああああ!!!!?」
大慌てでジャージのズボンを履き直しているミリオ、その一方で弁解をしようとするのだが耳郎というか女子の中ではミリオの株はどんどん暴落していくのであった。
「隙、ありっ!!!」
そこを突くように緑谷が飛び出して行く。職場体験、林間合宿を経て彼はフルトランスを完全な物へと仕上げた。トランス・フルカウル、そして其処に自らのスタイルとして蹴り主体のシュートスタイル、目まぐるしい速度で進化していく彼の一撃がミリオの顔面へ炸裂―――しなかった。足がミリオの顔をすり抜けるかのようにしながらヒットする事が無かった。
「やっぱり、すり抜けた!?」
「いきなり顔面とは思い切りいいよね!!」
その隙を突いた遠距離攻撃持ちが一斉に攻撃するが、それすらもすり抜けていく。そして直後ミリオの姿は掻き消えた。
「いねぇ!?」
「すり抜けるだけじゃないのかよ!?」
「まずは―――遠距離持ち!!」
姿を消したミリオ、今度は背後を取ったように姿を現した……但し、耳郎の背後に。
「―――ギャアアアアアアアアアアアッッッ雄英の変質者BIGBIGワンンンンンン!!!?」
「ちょっ流石にそれは不服だよねぇ!!?」
最早、トラウマになっているじゃないかというレベルで叫びまくっている耳郎。その悲鳴に流石のミリオも不服そうな顔をしつつもこれは模擬戦なので加減はしないと攻撃を加えようとするのだが耳郎は素早く屈んで回避した。それをミリオは感心しつつも通り抜けるようにしつつも他の皆の腹部をその剛腕で殴り付けて行った。
「そして、君は主に重点的に!!」
「なっぐっがぁ!!」
氷を出そうとした焦凍、それに対してはミリオは特に念入りに攻撃を仕掛けていた、首に手刀を入れてから腹パンを加えて地に伏させる。そして僅かな隙に耳郎を除いた遠距離攻撃持ちが全滅したと言ってもいい。
「POWERRRRRRRR!!!」
ズボンを履きつつもポージングを取りながら叫ぶミリオ、その実力に皆が驚愕する中―――耳郎は蹲ったまま動かなくなっていた。それに反応して咄嗟に星辰が駆け寄って抱き寄せながらも距離を取る。
「大丈夫響香さん!?何かあったの!?」
「ジロちゃん大丈夫!?何かされた!?」
「顔真っ赤!?本当に大丈夫……!?」
「―――見、見ちゃった……」
真っ赤にしながらも身体を震わせる耳郎、何か恐ろしい物でも見たかのような震え方にこれ以上は戦えないと星辰は相澤に許可を取ってから彼女を壁際へと抱き上げて運ぶ。
「大丈夫、俺が仇を討つからさ」
「―――見ちゃった……見ちゃった見ちゃった見ちゃった……」
壊れたプレーヤーが如く同じ言葉を呟き続ける彼女の仇を討つべく、星辰は改めて構えを取る。その間に相澤は耳郎の傍まで行き精神状態を確認する。
「おい耳郎、保健室まで行くか」
「―――見ちゃった……あんなにハッキリ……ドアップで……」
「……そうか」
その言葉で全てを察したのか、相澤は唯……静かに、出来るだけ優しく彼女の肩を叩いたのであった。
「回避した耳郎さんでも戦闘不能になるなんて……」
「油断出来ねぇけど、マジでどんな個性だ!?分かるか緑谷!?」
「理解は追い付かないけど、それなら理解できる範囲で考えよう。その範囲で仮説を立ててとにかく勝ち筋を探って行こう!!」
「それしかないだろうな……」
そんな言葉を掛けた皆の動揺を抑えて纏め上げる緑谷、そしてミリオはそれを見つつも良い後輩だと思いつつも再び姿を消した。そして緑谷の背後から現れようとした時、それよりも早く緑谷は背後を向き直った。
「(速い!!反応、じゃなくて予測か!!)」
「SMASH!!」
「だけど、必殺!!ブラインドタッチ目潰し!!」
予測によってミリオの行動を先読みした緑谷に対して、再びその一撃を通り抜けながらもそのまま緑谷の頭部に手を突っ込んだ。思わず反射で瞳を閉じてしまった
緑谷を狙って一撃を加えようとする―――その時!!
「そこぉ!!!」
「っ!!」
瞳を閉じた緑谷、腕を引き抜いて改めて攻撃をした時にミリオの腹部に蹴りが炸裂した。
「すり抜け、ない!!チェストォォォ!!!」
「こりゃ、参るなぁ!!」
腹部に決めた脚を振り抜くのだが、緑谷の攻撃は阻止しきれなかった。ミリオは吹き飛ばされながらもその途中にいた切島に腹パンを決めつつも再び姿を消す。そして―――今度は出現と同時に攻撃を仕掛けていく、再び星辰が攻撃を仕掛けるがそれには即座に反応してすり抜けていく。そして星辰以外のメンバーは全員倒されてしまった。
「POWERRRRRRRR!!!……そしてやっぱり君が残るよね、波動さんのお気に入り君!!」
「チッ……厄介な技だ」
正直此処迄一方的な展開とは思わなかった、それだけ彼も友達の実力に疑いを持っていないという事だった。此処までなのかと驚愕する。
「さあ―――続けるかい後輩君!!」
「当然……!!!」
響香ちゃん……なんか……ご愁傷様です。