街中を飛び続ける翼、それは雄々しくも邪悪に広げられた悪の翼。そしてそれは忌々し気に大地を見つめながらも火球を放って目標となる物を破壊しようとしている。
「好い加減に死ねぇ!!死ねぇ!!!」
「だったら俺を殺してみろよ、ああ出来ねぇからこんな躍起になってんのか。ハッご苦労なこったぁ出来ねぇ事をしようとするからこういう苦労をするんだぜ覚えときな!!」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!!!」
飛ばされてくる煽り、それに完全に怒り狂ってしまって相手を倒す事のみに執着してしまっているヴィラン。その為に火球を次々と放つのだがそれは回避される所ではない、全ては正確に迎撃されていく。そんなヴィランが追っている相手は―――
そう、仮面ライダーエボル タンクフォームであった。足裏にある無限軌道を使っての高速移動をしつつも両肩にあるEVOタンクショルダーの砲塔は背後からの攻撃だろうが何の淀みも躊躇もなく確実に相殺する。
「これなら、如何だぁ!!」
これならばと前方の道路に爆撃を仕掛けて道路を吹き飛ばそうとするのだが、それを星辰は跳躍して自ら楯になって火球を受ける。が、それも拳で。タンクフォームの拳と肩には反応装甲が仕込まれており接触した物体に強烈な衝撃波を放つ機能が備わっている、故にそれを利用して火球を打ちのめす。そして再度着地しながらもフルスピードで走る。
「クソッあの野郎、戦車みてぇななりのくせになんて速さだ!!」
空から追いかけるヴィランは思わず毒づくが、そもそも戦車が遅いという認識自体が間違っている。日本などにもある10式戦車も最高時速は70キロで戦車はそれなりの速度は出る。遅いという認識は恐らく戦車の代名詞的な存在になったドイツのティーガーなどの重戦車の影響だろう。
「さあ到着だぁ!!」
「到着って―――ゲッ!!?」
飛び出した先、そこで待ち受けていたのは空中には無数の瓦礫などが重力を無視して浮遊しておりそこにはリューキュウなども待機していた。其処で漸く気付いたのだ、自分は此処まで誘い込まれていたのだという事を。元来た方向から逃げようとするが、そこも無数の瓦礫が浮いていた。
「幾らスピード自慢のお前でもこんな障害物だらけの所は跳べねぇだろ、MAXは大したもんだけどそれ故にそれ以外は鈍い」
「テ、テメェ……俺を怒らせたのも」
「当然。それだけのスピードを持ってるならそれに対して絶対の自信と自負がある、そして攻撃能力も高ければ捕まえられない相手はいないという慢心が生まれる。其処を刺激して此処まで誘導したって訳だ」
「テ、テメェ……!!!」
怒りを露わにした時、周囲から自分向けて一点に照射される爆音が放たれた。思わず耳を塞ぎながら周囲を見ると瓦礫には指向性のスピーカーが突き刺さっていた。あれが原因なのか、と思っている時に全身に無数の石礫が突き刺さって来た。
「必殺―――メテオ!!」
「ファフロッキーズ!!」
視界の端、瓦礫に隠れるようにしていた二人の少女からの奇襲、翼にも食い込んでいる石礫、激痛が走るがまだ翼が動く。逃げ出そうとした時―――
「まだ逃げれるんだ~不思議だね~!!」
正確に翼を撃ち抜くように波動が直撃した、しかもそれは何故かねじれているのか翼が可笑しな方向に曲がってしまって飛行が出来なくなっていた。もう終わりか、と悟った時―――あいつだけも仕留める!!と星辰に向けて最後の力を振り絞った特大火球を放った。
「最後まで足搔こうとするのは立派だが―――相手が悪すぎたな三下」
放たれた火球に向けて星辰は必殺技を発動させた、それはエネルギーを両脚の履帯へと集中させそれを一気に蹴りに載せて放出すると言う物。放出されたエネルギーは凄まじい勢いで飛び出していきながらも火球をあっさりと貫通するとヴィランの全身を拘束した、そして其処に向けてエボルは両肩の砲塔から高エネルギーを発射、それを受けたヴィランは大爆発を起こして地面へと落ちた。
「全国指名手配の第一級ヴィラン、ドラゴンフライ確保」
「よくやってくれたわエボル、悪いけど完全な拘束をお願い出来る?」
「今直ぐ」
そう言いながらも星辰はエボルロックに変身をし直すとすぐさまドラゴンフライに鎖を巻き付けると個性封じを行った。これで星辰が許可しない限り、彼は個性を発動する事は出来ない。それを見届けてからリューキュウは改めてインターンで来てくれた事に感謝しつつも他の3人にも笑顔を送った。
「本当に有難うね、インターンに来てくれたばっかりなのにこんな事に付き合わせちゃって悪かったわ。でもいい経験になってくれたと思ってくれると有難いわ」
「いえ本当にいい経験でした!!それに、開発したばっかりの合体必殺技も披露出来ちゃったし」
「そうね、あれなら結構なレベルのヴィランにも通用するって事だ物ね。いい経験しちゃったわね」
そんな風に語り合っているのはウラビティとフロッピー、麗日と蛙吹であった。二人はねじれがインターンに誘いをかけてこのリューキュウ事務所へとやって来ていた。二人とも元々希望していたヒーローの元へインターンに行けずにいたのでねじれの提案は渡りに船だった。
「それにしてもイヤホン=ジャックだったわね、貴方の索敵能力も中々の物よ。家の事務所に足りなかった能力を見事に解決してくれたわ」
「い、いえウチは全然……」
「謙遜なんてしなくていいのよ、貴方が逐一スピーカーから聞こえてくる情報を提供してくれるからチーム全体に情報の共有が出来てスムーズに行けたわ」
「あっその、有難う御座います……何か、ハズい……」
そしてもう一人、それはイヤホン=ジャックこと、耳郎であった。彼女もインターン先が決まっていなかったのだが、ミルコからどうせなら一緒に向かってきた奴も連れて来い、と言われたのでリューキュウに確認を取ってみたら快諾されたので一緒の事務所でインターンを行う事になったのであった。
「にしても星辰君、じゃなくてエボル君って凄いやね……リューキュウさんに誘導を任せられるなんて……」
「職場体験の時にも一緒にやってるからある程度は分かってるしあの時よりも成長している、と考えたら一層の事を信頼して任せられるからね。このメンバーの中だと相手を誘導する相手としては適切だからね」
言われてみると確かにと納得する、ねじれもリューキュウも飛行は出来るが一方は速度は出せず、一方は巨体ゆえに小回りが利き辛い。そこで抜擢されたのが高スピードを出せるエボルだった。
「それじゃあ一旦事務所に戻りましょうか、エボル昼食お願いしてもいいかしら?」
「大丈夫ですよ~というか、朝のうちに仕込みは済ませてありますから」
「えっあの出発前の時に!?」
「手早いのね、流石だわ」
そしてこれからは事務所に戻って昼食タイム、お楽しみの星辰特製ランチの時間。前々から彼の料理の腕は利いているので是非とも味わってみたいと思っていた麗日にとっては初体験、リューキュウもねじれも太鼓判を押すので益々楽しみになって来た。
「ねえねえ後輩君、今日の献立な~に?」
「ちょっ先輩!?」
目の前で星辰に背後から思いっ切り抱き着くねじれに麗日は思わず顔を赤くする、なんて大胆だと思うが星辰は一切動じる事もなく対応をする。
「今日はうどんですね、付け合わせに揚げ物も準備しますから楽しみにしてくださいね」
「わ~い!!ねえねえ私はかしわ天とレンコン揚げが好きなの!!」
「ちゃんと用意するから安心してください」
「やった~!!」
「なんか、お姉ちゃんと弟って感じやね」
「そんな感じするわね」
何処か恋愛的な雰囲気はなく、単純にねじれが一方的にだが相当に懐いているように見える。姉に手を焼く弟、という構図に見える。
「……まあそれなら……」
「あら、エボルとねじれの事が気になる?」
二人の事を見ていて黒くなりかけたが、姉と弟に見えると言われて確かにそれならまあ……と抑える耳郎にリューキュウが声を掛ける。
「あの二人は職場体験の時からああよ、彼の方がねじれに合わせてくれてるのよ。そうした方が色々と何ですって」
「そうなんだ……もしかしてウチって重いのかな……?」
「フフフッ相談乗ってあげましょうか」
「……迷惑でなければ」
エボルタンク
両足のキャタピラで高速移動しつつも両肩の砲塔での中遠距離での砲撃戦や近距離での格闘もこなす事が出来る、攻撃力、防御力、機動力の配分がバランスよく星辰的にも使いやすいフォーム。
射撃攻撃を行う際の弾道計算などを瞬時に行って命中を底上げする、射撃武器の威力を上げるなどの力もあるので射撃主体のフォームとも言える。