「……パンドラ、パネル……」
『あ~あ、こんな深くに跡残しやがって……戦兎あの野郎』
身体の支配権を一時的に取ったエボルトは立ち上がりながらも改めてパネルを見ていた。深々と残されたビルドの物と思われる蹴りの跡、それによって歪んでいるパンドラパネルは既に本来あるべき働きをする力を失っているかのように見える。改めて目を凝らしてみると粉々に近いレベルに散らばっているボトルの破片のような物が周囲に転がっていた。恐らく……ブラックロストボトルの残骸。それを見てエボルトは忌々し気に溜息をついた。
『ったく……取り敢えずこいつは持ち帰るとするか……放置しとくのも勿体ねぇし』
「―――待てよ、おいエボルト……この世界がもしも新世界の未来なら個性は何なんだ!!?」
思わず星辰が言葉を発した。エボルトの推論は的を射ている、この世界がビルド本編によって統合されて生まれた新世界というのは理解出来たが個性は一体何なのだろうか。ある時、中国で光り輝く赤ん坊が生まれたというのが個性の始まりである筈……もしかしたらそれは……
『お前も薄々察してるんじゃねえか?なあ相棒』
「個性を持つ人々は―――スマッシュ……!?」
『当たらずとも遠からずだな』
ネビュラガスを注入された人間、それがスマッシュ。だがこの世界の人間は統合される際にネビュラガスの影響を受けたのだろう、それが世代を重ねて行く事に身体に定着していった……それが個性へとなったのかもしれない。
『そもそも、如何して俺が緑谷にハザードレベル云々って言ったと思う?』
「あっ……!!」
被験者のネビュラガスに対する耐久力を段階的に分けた基準がハザードレベル、そうこの世界の人間がネビュラガスに対する耐性がある事自体が可笑しな事だったのである。
『仮免試験でのミルコもそうだ、何であいつの攻撃からラビットのボトルを作れた?俺はずっとこの世界が新世界なんじゃねえかとは疑ってた、それが漸く確信を持てた……時間こそかかったがな』
「じゃあやっぱり―――いや、それじゃあ前に店に来たカズミンとかは如何なんだ!?」
『単純に記憶がねぇ状態なだけなのか……純粋な子孫なのか……恐らく前者だがな、子孫にしても見た目だけならまだしも性格まであそこまで似ねぇだろ』
「まあうん……カズミンが何人もいたら溜まったもんじゃないな」
『だろ』
という事は父である惣一も、姉の美空も本当にビルドに出てきた二人という事になる……そうなると自分はどういう立ち位置になるのだろうか。息子で弟でありながらも彼らにとって最大の怨敵であるラスボスというとんでもなくややこしくも複雑な関係になってくる……。
「そうなると……戦兎たちもこの超人社会に、いる……?」
『そう、考えるのが妥当だろうなぁ……だけどそうなると厄介だな、仮に戦兎たちが本気で倒しに来た時、俺達は成す術もなくやられるだろうな』
「スペック差か……」
星辰が変身するエボルは本家に比べてもどうしてもスペック的に劣る、が新世界にいる戦兎や万丈は確実にビルドドライバーなどを使って来る。それもビルド本編と同じ物を、となると幾らスペック最強のエボルダイナソーでも太刀打ち出来ない事は明白。
「考えたくないなぁ……戦兎と万丈と戦うなんて……」
『全くだ……相棒のハザードレベルも順調に上がってるが、それでも及ばないからな……だけど疑問もある、如何して戦兎たちは接触を図ってこないのかって事だ』
そう言われると確かにそうだ、雄英体育祭でエボルとして十分過ぎるに顔を出しているのに向こうは全く接触を図ってこようとしないの妙な話だ。自分、石動 星辰という人間の事を考えてどうやって引き剥がすべきかという事を考えているという事もあり得るが……あの二人にしては余りにも行動をしなさすぎる。
「あ~……何か考えすぎて頭痛くなって来た……もう新世界の事だけでもいっぱいいっぱいなのに……」
『そりゃ俺もだ……取り敢えず、このパネルだけでも持って帰るか……』
「それ、何に使うんだよ」
『さあな、取り敢えず取り込みはしとく』
そう言いながらもエボルトはパネルを身体へと押し込んでいく、パネルはそのまま同化するかのように溶け込んでいく。そして完全にそれが飲み込まれた時に星辰は思わず顔を顰めた。
「お前、まさか怪人態になろうとしてんのかよ……?」
『なれるもんならなってみたいねぇ……戦兎と万丈がいるかもしれないと思うと余計にな』
「その時は、俺がお前を道連れにして二人からのライダーキック受けてやる」
『勘弁してくれ相棒、死なば諸共なんて流行らねぇよ』
おどけてこそいるが、エボルトの声は僅かに震えているようにも感じられた。彼にとってあの二人は本格的に天敵なのだという事が察する事が出来た。そのまま恐らくパンドラタワーであった場所から出てから火星を一瞥する。エボルトが滅ぼした大地……それを目に焼き付けておく。
「おいエボルト、地球をこんな風にする気なら俺はお前を許さねぇからな」
『変な事を言うなよ相棒、俺がそんな事をすると思ってるのか?』
「そう言う奴だから言ってんだよくそ野郎」
『ですよね~』
そう言いながらもエボルはそのまま浮き上がって再び宇宙に向けて飛び上がる。そして再び重力ゲートを使用して地球圏にまでワープ、そのまま日本へと目指して行く最中、星辰はある事を思ってしまった。
「(新世界か……って事はこの世界に、ファントムリキッドが存在してる可能性もあるって事なのか?)」
本当にそれがあるとすると、この先の未来でビルドNEW_WORLDのクローズやグリスの事件が起きるのでは……と思わず考えてしまった。
「ハァッ……何でこんな世界になったんだろうな」
『戦兎と万丈を恨むんだな』
「その原因お前じゃねえか!!」
「―――重力場の異常を確認、地点は衛星軌道上か……そしてその直線状には火星がある……」
「好い加減動くのか?基盤固めって奴にも好い加減疲れたぞ」
「しょうがないでしょうが、俺達この世界の戸籍ないんだから俺が頑張ってサポートアイテム作ってるんだから」
「俺だって資材運びとか色々頑張ったじゃねえか」
「はいはい、バカにしては仕事を頑張ったのは認めるよ」
「筋肉付けろっつの!!」
「それで認めるお前一体何なんだよマジで」
ある二人がいよいよ動き出そうとしていた。
「にしても何でエボルトがいんだよ、あいつは」
「それについては散々話したろ分からないって……でも、この星辰って子は明らかにあいつを抑え込んでる。好い加減、俺達も会ってみてもいいかもな」
「よし!!それじゃあ早速行こうぜ!!」
「―――の、前に……仕事が先だ。生活費だって稼がねぇと」
「ハァッ……もうヒーローの資格取った方が良かねぇか?」
「俺はあんなヒーローと一緒になりたくねぇな」
「まあ、気持ちは分かるけどよ」
その二人が居る小さな工場には、こんな看板が掲げられていた……桐龍開発工房、と。
スレにいる転生者紹介
・光の国の勇士
ウルトラシリーズ、M78星雲・光の国に転生した。
ウルトラマンとして転生したが、神などの手によって転生した訳ではなく偶然記憶を保持したまま転生してしまった。困惑こそすれど、直ぐに適応してウルトラマンとして活躍中。
元文明監視員、現勇士司令部のエリート戦士……なのだが、最近は同僚などに光の国の王族とのお見合いの斡旋を行っており、同僚からは別の意味で恐れられている。
その正体は別のヒロアカ次元で出久の相棒として過ごした―――ウルトラマンマグナ。
光ニキこと、ウルトラマンゼファーから話を聞いて転生者掲示板に顔を出した。
という訳で緑谷出久はウルトラマンと出会う。からマグナさんが友情出演です。