万丈「おい戦兎、俺一体どういう感じになったんだ!?」
戦兎「さあ、エボルトが増えるよりかはいいだろ」
万丈「俺は如何でもいいのかよ!?」
戦兎「お前なんかよりエボルトが増える事の方が最悪だわ。それじゃあ事態が進む94スレ、どうぞ!!」
万丈「星辰!!お前は如何思う!!?」
星辰「えっと、深刻ですよね」
万丈「それだけか!?」
「なんて事だ、なんてことだぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
桐龍開発工房に木霊する叫び声、その中心にいるのは一人の男。その周囲を様々な人が見つめるがその視線は深刻且つ呆れているものだった。
「悲劇だ、惨劇だ、あんまりだぁぁぁぁ!!!」
『やっかましい奴だな……おい戦兎、このドルオタこんな奴だったか?』
「お前のせいだエボルト」
「ああああああああああああ!!!!」
「んもううるさいカズミン!!好い加減に黙るし!!」
「はい黙ります!!」
『もう奴隷だなあの様』
呆れた声と共にその先にある人、姉に向かって正座して頭を下げる仮面ライダーグリスこと、猿渡 一海の姿に星辰は引き攣った笑みを浮かべるしかなかった。
「まあ気持ちは分かる、ポテトにとって神に等しい対象の弟にエボルトが宿っている。そう思えば嘆きたくもなる」
『俺は悪霊かなんかか』
「寧ろそっちの方がましだな」
『おいおいおいそりゃねぇだろ相棒』
「お前も苦労してるようだな」
「それなりには」
そう言いながら珈琲を口にするスーツ姿の男……仮面ライダーローグ、氷室 幻徳、この工房に仮面ライダービルドにおける主要人物が集結していると言ってもいい。
「それにしても……まさか美空ちゃんの弟があの星辰君だなんて……ねえ、今度取材受けて貰ってもいいかしら」
「ええ。キルバスから地球を守ったら幾らでも」
「ありがと♪」
そこにはジャーナリストの滝川 紗羽もいた。彼女としては雄英体育祭で優秀な成績を上げた上にリューキュウやミルコという超有名ヒーローの元でインターンをしているので是非とも取材を行いたいと思っていたらしい。なので今回の事は正しく幸運としか言いようがない、と言いたげだ。ジャーナリストというのは強いと思い知らされる。
「キルバス、エボルトの兄貴か……しかもエボルト以上の化物とは、成程俺達の記憶を戻す訳だな」
「ごめん皆……」
「謝ってんじゃねえよ戦兎、何も知らずに消されるなんて御免だからな。抗えるだけめっけもんって奴だ、それに―――そいつはみーたんの弟君が何とかしてくれんだろ?」
「うん、こうして戦兎君と万丈とまた会えたし悪い事ばっかりじゃないよね」
頭を下げる戦兎は皆は余り気にしていなさそうな様子だった。此処まで死線を潜り続けて来た者達、星辰が思っている以上の強い強い絆が紡がれているのだろう。
「んで戦兎、星辰から預かったボトル、解析出来てんのか?」
「順調ではあるが、余りにも情報量が膨大でまだ時間がかかる。だけどキルバスが来るまでには絶対に間に合わせる、そして―――俺達仮面ライダー全員でキルバスを叩く」
それに全員が頷いた。其処に迷いはなく、それを否定する者はいない。
「問題は何時、キルバスが来るかだな……おいエボルト、テメェなんかわからねぇのか」
『分かったら苦労しねぇ、と言いたい所だが……相棒とパンドラボックスの波動を起こした時にこっちに来ようとしてる何かを感じた。近いのは確実だ、もうちょい時間が経てば正確な時間も割り出せるんだがな……』
宣告するエボルトに一同は凍り付いた、まさか本当に再び地球を賭けた戦いが行われるという事になるなんて誰も思わなかっただろう……。
「俺は何時でもいい、キルバスは俺が止めます」
その中で真っ先に声を上げたのは星辰だった。エボルトと共に居る彼が真っ先に覚悟を決めている、その表情はこれまで家族として過ごしてきた美空も見た事も無いような物だ。
「おい弟君、分かってると思うがこの戦いはお前さんがやってきたヒーローとは全く別だ。生きるか死ぬかの戦だ、キルバスを消滅させない限り、俺達の地球に未来はねぇぞ」
「分かってる。ヒーローだからこそ逃げる訳には行かない」
「でも、星辰……」
其処には不安そうな瞳を作る
「俺は戦う、俺は仮面ライダーエボル。俺は―――仮面ライダーだから、戦う」
そう言いながら星辰は工房を出た。既に日も暮れて夜の帳に包まれている、夜の下に出る彼の背中には覚悟が宿っている。それを見た仮面ライダー達はそれを見て―――覚悟を決める。
「俺も戦う……何とかジーニアスボトルも復旧出来た、エボルトの協力っていうのが腹立たしいけどな」
「あいつが覚悟極めてんだ、俺達が戦わねぇなんて事をしない訳に行かねぇもんな」
「みーたんの弟が覚悟してんだ、俺だって命を懸けて守ってやる」
「素晴らしい奴だ、ああいう奴こそ、国の未来を背負うに相応しい。そんな奴を殺させる訳には行かない」
大人として、仮面ライダーとして、彼を守って地球も守る。キルバスを倒して。
「はい」
『あっ星辰?今、大丈夫?』
星空を眺めていると、響香からの電話が掛かって来た。
『アンタ、大丈夫なの?なんかナイトアイに特別な任務をお願いされたから単独行動をとってるって聞いたけど』
「(ナイトアイ……お気遣い、感謝します)大丈夫、俺の個性なら危険区域にも入れるし毒とかも効かないから頼まれたんだ」
『ああ、成程……確かにあのスーツなら毒とか効きそうにないよね』
ナイトアイは気を回してくれた、自分は暫くキルバスの事に集中しなければならない。だがインターンである自分は身勝手な行動はとれない、だからナイトアイの事務所に一時預かりとなった、という事になっている。リューキュウもミルコも怪訝な顔をしつつも了承してくれた。
『こっちは一旦雄英に戻っていつもの日々だけど、なんか……妙に気合入るんだよね……壊理ちゃんって子、助けたいからね』
「―――そうだね、俺も力を尽くすよ」
『星辰?』
僅かに声が震えた、いつも通りの日々……それに戻りたいと思った。キルバスなんて戦いたくはない、仮面ライダーと肩を並べて戦う事は光栄だが、余りにも逸脱した時間だ。それでもやらなければならない……やらなければ……世界が消える、それだけはさせない。
「……」
『星辰、アンタ如何したの?』
「なんでもないよ、そろそろやる事に戻るよ―――響香さん、声が聞けて良かった」
『あっちょっと星辰―――』
通話を切る。ヒーローを目指す日常、それは雄英に通うもの取ってはかけがいの無い物。自分にとっても、響香にとっても、他の友達にとっても……それを守る為の戦いがキルバスとの戦い。そう思うと迷いは消える。世界の運命なんて如何でもいい、自分はあの日々に戻る為に戦う事にする。
「エボルト、万丈さんの中の細胞を取り込んでどのぐらい力は上がった」
『さぁてねぇ……究極の姿の細胞の一部だ、相当に上がってる筈だが……それでもキルバスに勝てるかは微妙だな。戦兎のアイテム次第だな』
「十分だ。勝ちの目はある」