ソードアート・オンライン Re:紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、シュミットを聖竜連合の本部まで送り届けるまでです。


第15話 再びの圏内事件

 俺たちは、ヒースクリフがあっという間に居なくなるのを見送っていた。

 

カルム「なあ………ミト。さっきの、意味分かったか?」

ミト「………ええ。」

カルム「その意味は………?」

ミト「あれね。つまり、《醤油抜きの東京風しょうゆラーメン》。だから、あんな侘しい味なのよ。」

カルム「へ?」

ミト「決めたわ。私、必ず醤油を作ってみせる。そうしないと、この不快感は消えないわ。」

カルム「頑張って………いや!そうじゃなくてな!」

 

 俺がそう突っ込むと、ミトは首を傾げる。

 キリトとアスナも、似たようなやり取りをしていた。

 すると、ミトがアスナに話しかける。

 

ミト「ねぇ、アスナ。あれ、侘しかったわよね?」

アスナ「うん。だから、一緒に醤油を作ろう。」

ミト「ええ!」

キリト「頼むから、それは忘れてくれ。」

カルム「そうじゃなくて、ヒースクリフが言ってた、禅問答みたいな事だよ。」

 

 俺がそう言うと、ミトとアスナは、頷いて答える。

 

ミト「あれはつまり、伝聞の二次情報を鵜呑みにするな、って意味でしょう。」

アスナ「この件で言えば、つまり動機面………ギルド黄金林檎の、レア指輪事件の方を。」

カルム「それは、ヨルコさんを疑うことになるよな。まあ、証拠なんてないけどさ。」

キリト「それに、さっきアスナも、今更裏付けの取りようもないから、疑っても無意味だって言ってたじゃないか。」

 

 キリトがそう言うと、アスナは一度キリトから視線を逸らし、二、三度頷く。

 

アスナ「ま、まあ、それはそうなんだけどね。でも、団長の言う通り、PK手段を断定するには、まだ材料が足らなすぎるわ。」

ミト「こうなったら、もう一人の関係者にも直接話を聞きましょう。指輪事件の事をいきなりぶつければ、何か漏らすかもしれないし。」

キリト「へ?誰?」

カルム「お前から槍を掻っ払った、シュミットだよ。」

 

 そうして、俺達は第56層にある聖竜連合のギルド本部へと向かう。

 シュミットは恐らく、本部に籠城していると思われ、門番に対しての交渉は、アスナとミトに任して、俺達は待機している。

 

キリト「なあカルム?」

カルム「うん?」

キリト「お前は何で、血盟騎士団への誘いを保留の形にしてるんだ?」

カルム「………まだその時じゃないと思っているからさ。」

キリト「そうなのか………。」

 

 しばらくすると、シュミットが現れて、俺とキリトも合流して、話をする事に。

 

シュミット「誰から聞いた?」

カルム「ん?」

シュミット「指輪の件を誰から聞いたんだ?」

キリト「元黄金林檎のメンバーからだ。」

 

 キリトの返答に、シュミットは顔を青ざめる。

 

シュミット「………名前は?」

カルム「………ヨルコさんだ。」

 

 俺は一瞬迷ったが、ミトやアスナも頷いたので明かす。

 

シュミット「ヨルコ?………そうか。そうだったんだな。」

 

 シュミットは、安堵するかの様に顔色が戻り、息を吐く。

 

キリト「その様子だと、ヨルコさんも指輪の売却に反対してたのは知ってたんだな。」

シュミット「あぁ。」

カルム「だからこそ、同じ売却反対派のカインズが殺されたと知って、自分も殺されるのではと思ったんだな。」

 

 俺がそう言うと、シュミットは再び顔を青ざめる。

 

ミト「一応言っておくけど、私達は黄金林檎のリーダー、グリセルダさんを殺した犯人を探してる訳じゃない。昨日の事件を起こした犯人、そのトリックを知りたいだけなの。」

アスナ「シュミット、グリムロックはどこにいるの?仮にグリムロックが犯人じゃなかったとしても、あの槍を作った人だから、どうしても彼から話を聞きたい。」

シュミット「し、知らない!」

 

 シュミットが大声で叫んだ。

 だが、ミトとアスナの視線を受けてか、ポツリと語る。

 

シュミット「………グリムロックが異常に気に入っていたNPCレストランの場所を教える。その代わり、条件がある。」

ミト「何?」

シュミット「ヨルコと話をさせてくれ。」

 

 シュミットはそう頼み込んだ。

 俺達は、少し話し合いをする事にした。

 

カルム「シュミットとヨルコさんを話させて大丈夫なのか?」

キリト「俺達が目を離さなければ大丈夫じゃないのか?」

ミト「なら、何でシュミットは今頃、ヨルコさんに出会わせろなんて言うんだろ?」

アスナ「さあ……実は片思いしてた、とかじゃ……無いわよね、うん。」

キリト「えっ、マジで。」

 

 キリトがシュミットを見ようとするのを制止する。

 

カルム「違うに決まってるだろ。」

ミト「とにかく、アスナ。ヨルコさんにメッセージをお願い。」

アスナ「分かった。」

 

 アスナがメッセージを送ると、返ってきてOKだそうだ。

 シュミットにOKと言うと、シュミットは安堵した様な表情を出す。

 そうして、俺達は第57層主街区マーテンへと転移して、ヨルコさんが泊まっている部屋へ。

 

カルム「まず、安全の為に確認だ。2人とも武器は装備しない事、そしてウインドウを開かない事を守って欲しい。」

ヨルコ「………はい。」

シュミット「解っている。」

 

 元黄金林檎のメンバーの2人は、しばし無言のまま視線を見交わしていた。

 さて、どう動くのか。

 そう思っていると、ヨルコさんが口を開いた。

 

ヨルコ「………久しぶり、シュミット。」

シュミット「……ああ。もう2度と会わないだろうも思ってたけどな。座っていいか。」

 

 ヨルコが頷いて、シュミットが座る。

 俺とミトは、シュミットとヨルコさんの西側の方に立ち、キリトとアスナは、東側に立った。

 俺は2人を見ながら、周囲に警戒を張り巡らせていた。

 何やら、ギスギスした会話だが、俺は部外者なのだ。

 やたらに首を突っ込む訳には行かない。

 それにしても、シュミットはともかく、ヨルコさんも結構着込んでるな。

 

シュミット「グリムロックの武器でカインズが殺された。その4人からそう聞いたが、本当なのか?」

ヨルコ「本当よ。」

 

 何やら、不穏な空気だな。

 

シュミット「何で、何で今更カインズが殺されるんだ!?もしかして、グリムロックが売却に反対した俺たち3人を殺そうとしてるのか!?……じゃあ、俺やお前もターゲットにされてるのか!?」

ヨルコ「彼に槍を作らせたのは他のメンバーかもしれない。もしかしたら、グリセルダさん自身の復讐かもしれない。………だって、圏内で殺人なんて、幽霊じゃなきゃ不可能でしょ。」

 

 幽霊ね……。

 プログラムで動くゲーム内でそんな事が起こるのかと思ったが、実際に起こっているので、鼻で笑えない。

 俺達は顔を見合わせた。

 

ヨルコ「私ね、昨夜、寝ないで考えたの。結局のところ、リーダーを殺したのは、ギルメンの誰かであると同時に、メンバー全員でもあるのよ。あの指輪をドロップした時、投票なんかしないで、リーダーの指示に任せれば良かったんだわ。ううん、いっそ、リーダーに装備させれば良かったのよ。剣士として一番実力があったのはリーダーだし、指輪の能力を一番活かせたのも彼女だわ。なのに、私達は皆、自分の欲を捨てられずに、誰も言い出さなかった。」

 

 ヨルコさんはそう言いながら、窓の方に、その姿に俺は気圧されながら、違和感を感じていた。

 

ヨルコ「ただ1人、グリムロックさんだけはリーダーに任せると言ったわ。あの人だけが自分の欲を捨てて、ギルド全体の事を考えた。だからあの人には、多分私欲を捨てられなかった私達全員に復讐して、リーダーの敵を討つ権利があるんだわ……。」

 

 しばらく沈黙が続いたが、シュミットがそれを破った。

 

シュミット「…………冗談じゃない。冗談じゃないぞ。今更……半年も経ってから、何を今更……。」

カルム「シュミット………。」

シュミット「お前はそれでいいのかよ、ヨルコ!今まで頑張って生き抜いてきたのに、こんな、訳も解らない方法で殺されていいのか!?」

 

 俺達全員の視線がヨルコさんに集中する。

 ヨルコさんも言葉を紡ごうとしたが、その瞬間に、とん、という乾いた音がした。

 まさかと思い、ヨルコさんの背中を見ると、一本のダガーが。

 そして、ヨルコさんが窓の奥へと傾いた。

 

アスナ「あっ………!」

ミト「まずい………!」

 

 その2人の喘ぎを漏らしたと同時に俺とキリトは飛び出して、ヨルコさんの体を引き戻そうとするが、届かずにヨルコさんは音も無く宿屋の外へと落下していく。

 

キリト「ヨルコさん!!」

カルム「嘘だろ!?」

 

 そうして、ヨルコさんはポリゴンとなり、そこにはダガーのみが残っていた。

 有り得ない!!

 そんな思いが俺にあった。

 宿屋はシステム的に保護されている。

 それなのにも関わらず、ヨルコさんは殺されてしまった。

 宿の向かいの屋根を見ると、そこには、1人の人間がいた。

 キリトも見たようで。

 

キリト「野郎っ………!!」

カルム「逃すかっ………!!」

キリト「アスナ、後は頼む!!」

カルム「ミトも頼む!!」

アスナ「キリトくん、ダメよ!」

ミト「カルムも戻って!!」

 

 そんな悲痛な叫び声を聞きながら、俺とキリトは犯人を追跡する。

 犯人は、こちらを攻撃する訳でもなく、そのまま疾走していく。

 すると犯人は、転移結晶を取り出していた。

 

カルム「転移する気か!?」

キリト「くそっ!」

 

 俺達はピックを投げるも、犯人の方が早く転移結晶を使えたようで、システム障壁に阻まれる。

 ならば、行き先だけでもと聞こうとするが、5時の鐘の音で分からない。

 そうして、逃げられた。

 俺達は、ダガーを回収して、宿屋へと戻っていった。

 アスナとミトは武器を取り出していた。

 

アスナ「ばかっ、無茶しないでよ!」

ミト「本当にそうだよ!!」

カルム「すまん。逃す訳には行かなかった。」

ミト「それで、どうなの?」

キリト「テレポートで逃げられた。誰なのかも分からなかった。」

 

 その後、シュミットが怯えてしまい、黄金林檎のメンバー全員の名前を書いてもらって、聖竜連合本部へと送り届けた。

 そうして、俺達はグリムロックがよく訪れるレストランへと向かっていった。




今回はここまでです。
次回で、圏内時間は終わりにします。
そして、ラフコフのオリキャラを二人ほど追加したいと思います。
以前言った通り、ファントム・バレットとアリシゼーションにて、カルムと因縁が出来る奴を。
何とか、リメイク版も、旧版の紫紺の剣士に追いつけるようにしたいと思います。

アリシゼーションでのカルムの武器はどうするか

  • 刃王剣十聖刃
  • オージャカリバー
  • オージャカリバーZERO
  • その他
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