ソードアート・オンライン Re:紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、ラフコフ討伐戦の話です。



第18話 ラフコフ討伐戦

 2024年8月。

 俺は、聖竜連合の本部へと向かっていた。

 別に聖竜連合に入る訳ではない。

 理由は、ラフィン・コフィンに関する事だ。

 ラフィン・コフィン。

 それは、リーダーのPoHを中心とした、レッドギルドだ。

 以前、シリカと出会った時に遭遇したタイタンズハンド。

 あれも、ラフコフと繋がりがあったのではないかと推測している。

 そんなギルドがどうしたのかと言うと、実は、ラフコフのアジトの場所が判明したのだ。

 話によると、罪悪感に押し潰されたプレイヤーが、アジトの場所を伝えてくれた。

 その作戦会議を行う為に、聖竜連合の本部へと向かっていた。

 すると、ミトが視線に入る。

 

カルム「ミト。」

ミト「カルムも、参加するのね?」

カルム「ああ。これ以上、奴らの凶行を無視するわけにはいかない。」

ミト「分かったわ。」

 

 そんな風に話して、俺たちは聖竜連合の本部へと入っていく。

 そこには、聖竜連合にアスナの血盟騎士団、キリトの知り合いだというクラインの風林火山、そして、俺やキリトの様な、ギルドに所属していないプレイヤーも集まっていた。

 ミトは、血盟騎士団の方に戻っていった。

 ただ、血盟騎士団のリーダー、ヒースクリフは参加しない様だ。

 正直言うと、ヒースクリフは来て欲しいと思っていたが、致し方ない。

 しばらくすると、シュミットが幹部を連れてやって来る。

 どうやら、シュミットも元気そうだな。

 

シュミット「志願者はこれで全員だな。よし、これより《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》討伐戦の会議を始める。本作戦の指揮を執ることになった《聖竜連合》ディフェンダー隊リーダー、シュミットだ。」

 

 その言葉と共に、周囲に緊張感が満ちた。

 それもそうだ。

 何せ、これから相手をするのは、ボスモンスターなどではなく、プレイヤーなのだ。

 もしかしたら、死者が出るかもしれない。

 シュミットは、口を開く。

 

シュミット「まずは、奴らのアジトの場所についてだ。もう知っている者も居るかもしれないが、改めて伝えておく。」

 

 シュミット曰く、ラフコフのアジトがあるのは、すでに攻略された低層フロアの小洞窟のダンジョンの安全地帯を根城としているらしい。

 そりゃあ、見つからない訳だ。

 そんなダンジョンがある事を知る者は多くないし、仮に知ったとしても、口封じで殺されるだけだ。

 

シュミット「次に、《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》の主要メンバーに関しても話す。まずは、リーダーのPoH。」

 

 PoH。

 ラフコフのリーダーで、武器は、モンスタードロップの《友切包丁(メイト・チョッパー)》。

 アルゴ曰く、PoHの武器の友切包丁は、モンスターを倒しまくるとスペックが下がるが、ある一定数に達すると、似たような名前のカタナに進化する。

 だが、プレイヤーを倒せば倒すほど、パワーアップするらしい。

 ていうか、何でそんな物騒な武器があるんだよ。

 まさにPKに使って下さいと言わんがばかりのスペックじゃないか。

 

シュミット「次に、ザザこと赤目のザザ。ローこと青目のロー。」

 

 ザザとロー。

 ザザは髪の毛と眼を赤くカスタマイズし、ローは髪の毛と眼を青くカスタマイズしたプレイヤーだ。

 ザザはエストック、ローは片手剣を使っている様だ。

 2人は、殺したプレイヤーの武器をコレクションしているらしい。

 

シュミット「そして、その2人の相棒であるジョニー・ブラックとシーフ。」

 

 ジョニー・ブラックとシーフ。

 この2人は、先ほどのザザとローの相棒で、毒ナイフを使う。

 シーフは、プレイヤーの武器を奪い、平然とその武器を使って殺す事から、《武器奪いのシーフ》という異名が付いている。

 

シュミット「この五人が、要注意なプレイヤー達だ。だが、他のレッドプレイヤーが危険でないという訳ではない。油断をするな。そして、本作戦の概要を話す。今から配布する紙に詳細が書いてあるから、目を通してくれ。」

 

 シュミットは、幹部に資料を配らせる。

 俺は、その資料を見る。

 

シュミット「まず、ラフコフのアジトの入り口を封鎖し、奴らが寝静まっている時を狙い、周囲を包囲し無血投降を呼びかける。だが、奴らがそれに大人しく従うとは思わん。十中八九戦闘になるのは間違いない。戦力を削ぎつつ、捕縛する。それが主な作戦内容だ。………だが。」

 

 シュミットが作戦内容を伝え終えると、最後に付け加える事があるらしい。

 全員がシュミットの方を見る。

 

シュミット「無論、そう上手くいく訳ではない。もし、仲間が殺されそうになったら、その時は…………。」

 

 シュミットは、そう言い淀む。

 つまり、その時は、自分達で殺すしかない事を。

 その後、作戦開始時間を伝え、去っていく。

 俺たちは、装備を整えたり、消耗品を確認したりする。

 すると、ミト、キリト、アスナが近づいてくる。

 

ミト「カルム。大丈夫?」

カルム「大丈夫。殺す様な事にはなりたくないんだがな………。」

キリト「そうだな。」

アスナ「ええ…………。」

 

 そんな風に話す中、ミトは、キリトとアスナから俺を離して、俺に尋ねる。

 

ミト「エボリューションキングは使うの?」

カルム「いや。今回ばっかりは、使いたくない。」

ミト「そうね。高火力だし。」

 

 そう、エボリューションキングは使わない。

 何せ、あの突然現れたトライアルDというモンスターに使ったら、HPがワンパンで半分持っていったのだ。

 まあ、普段のボス戦でも使っていないのだが。

 しばらくして、仮眠を取ったり、装備を整えて、遂に、討伐戦が始まる。

 

シュミット「全員揃ったな。これより《笑う棺桶》討伐作戦を開始する!」

 

 そう言って、シュミットが大きく叫ぶ。

 そして、ある物を取り出す。

 

シュミット「奴らのアジトがある場所には、回廊結晶を使う!」

 

 それは、濃紺色の結晶だった。

 アレは、回廊結晶。

 一度、シリカと出会った時に、依頼主が渡した物と同じだ。

 回廊結晶とは転移結晶と違い『任意の地点』を登録することでその地点を出口に設定できるアイテムで、また、NPCショップでは売られてなくボス級モンスターからのドロップかトレジャーボックスでしか手に入れることの出来ないレアアイテムでもある。

 更に転移結晶は1人しか使えないが回廊結晶はゲートが開いてる間は何人でも転移できる。

 あの人は、回廊結晶を全財産を叩いて買ったと言っていた。

 おそらく、回廊結晶を持っているプレイヤーに、全財産を叩いて譲ってもらったのだろう。

 

シュミット「コリドー・オープン!」

 

 回廊結晶を掲げて叫ぶと結晶は砕けてゲートを開く。

 

シュミット「よし、全員、いくぞ。」

 

 最初に《聖竜連合》が入り、次にミトとアスナを筆頭に《血盟騎士団》が続く。

 そして、俺とキリトも続く。

 目を開けると、奴らのアジトがあるダンジョンに到着する。

 だが、その空気は、かなり緊張した物となっていた。

 それもそうだ。

 もしかしたら、死人が出る可能性があるからな。

 ダンジョンの中はモンスターもいなく、不気味なほど静まり返っていた。

 この中を50人もの討伐隊は慎重に進んで行く。

 

カルム(一応、索敵スキルを使うか。)

 

 そんな風にしていると、索敵スキルに反応がある。

 俺は、キリトに話しかける。

 

カルム「キリト!」

キリト「ああ。」

 

 その時、ラフコフのプレイヤー達が現れ、俺たちに襲ってくる。

 数は30くらい。

 見張りならまだしも、こんなに居るのはおかしい。

 つまり、どこかから作戦が漏れてしまったのだ。

 

プレイヤー「ラフコフだ!ラフコフが現れたぞ!」

プレイヤー「なんでラフコフが!?」

プレイヤー「まさか、作戦が漏れていたのか!」

 

 突然の奇襲に、討伐隊は混乱する。

 作戦が漏れていた事は、想定外だったからだ。

 それでも、何とか体勢を整える事が出来て、ラフコフのプレイヤーを捕縛していく。

 俺も、1人向かって来たプレイヤーの武器を破壊して、麻痺毒を塗付したピックを刺して行動を封じる。

 そのプレイヤーをロープで縛る。

 すると、ミトの目の前にレッドプレイヤーが現れる。

 

カルム「ミト!」

 

 ミトは、突然現れたプレイヤーに反応しきれずにいた。

 俺は、即座に間に入り、そのプレイヤーの武器を吹っ飛ばし、塗付したピックを刺して行動を封じる。

 

カルム「大丈夫か!?」

ミト「ええ。ありがとう。」

カルム「ああ。」

 

 現状、まだ犠牲者は出ていないが、いつ出てもおかしくない。

 そんな風に警戒していると。

 

プレイヤー「ぎゃぁぁぁぁ!!」

プレイヤー「ぐわぁぁぁぁ!!」

カルム「まさか!?」

 

 そんな声が聞こえて来て、俺はそっちを向くと、プレイヤーが2人、ポリゴンと化して消えて、そこにはラフコフのプレイヤーが。

 遂に、討伐隊からの犠牲者が出てしまった。

 更に、いくつかの場所で、プレイヤーが死亡していく。

 それは、無意識に俺の精神を削っていた。

 

カルム「くそっ!」

 

 そんな風に毒づいて、俺はラフコフのプレイヤーを拘束しようとする。

 すると、そこにローが現れる。

 

カルム「ローか。」

ロー「言ったはずだ。今度は、俺がお前を追いかけるってな。」

カルム「そうかよ。」

 

 ローはそう言って、俺に襲い掛かる。

 俺とローは、お互いに剣をぶつけ合う。

 だが、どういう訳か、俺が押していた。

 それに違和感を感じながらも、奴の武器を吹っ飛ばし、麻痺毒がついたピックを刺して、動けなくする。

 

カルム「諦めろ。お前は捕縛させて貰うぜ。」

ロー「…………なら、こうするとしよう。」

プレイヤー「ヒャッハァァァァ!!」

カルム「っ!?」

 

 すると、別のラフコフのプレイヤーが、俺に襲ってくる。

 俺はブレイラウザーでそのプレイヤーの武器を吹っ飛ばそうとするが。

 

ロー「オラァ!」

カルム「何!?」

 

 すると、ローが何とか右手を動かして、俺に向かってナイフを投げつける。

 それに気づいた俺は、そのナイフを躱すが、敵の武器に向けてたブレイラウザーが、そのプレイヤーの首元に向かっていき、首を一刀両断する。

 

カルム「なっ!?」

ロー「フッ。」

 

 俺が驚き、ローが笑みを浮かべる中、そのプレイヤーはポリゴンとなって、消えていった。

 

ロー「これで、お前も俺たちの仲間だ。お前は人殺しなんだよぉ!」

カルム「………ッ!!」

 

 そう、俺は、プレイヤーを殺してしまった。

 つまり、あのプレイヤーの現実の体を殺してしまったのだ。

 俺が呆然とする中、ローは笑っていた。

 その後、ローは捕縛した。

 だが、俺は、人を殺めてしまった。

 それが、俺の精神を確実に削っていく。

 その後は、正直言うと、あまり覚えていない。

 あの後も、血みどろな討伐戦は続いていき、討伐隊とラフコフから、死者が出てしまった。

 俺は、あの後も、もう1人殺めてしまった。

 討伐戦が終わった後、俺は失意の中、50層のアルゲードにある宿へと戻る。

 ミトが声をかけていた様な気がしたが、無視した。

 今は、1人でいたい。

 宿に着くと、俺はベッドに座る。

 すると、ローの言葉が蘇る。

 

ロー『これで、お前も俺たちの仲間だ。お前は人殺しなんだよぉ!』

カルム「俺は………人殺しなのか………?」

 

 そう呟くと、涙が出てくる。

 殺すつもりなんて、無かった。

 なのに、俺はプレイヤーを、現実世界にいる2人の人間を殺めてしまったのだ。

 

カルム「ううっ………!うわぁぁぁぁぁ!!」

 

 俺は、慟哭した。

 プレイヤーを殺めてしまった事に対する後悔、そんな事をしてしまった自分に対する不甲斐なさを。

 すると、ドアがノックされる。

 俺は慟哭を止める。

 

カルム「…………誰だ?」

 

 俺は、そんな風に呟きながら、ドアを開ける。

 そこには、ミトが居た。

 

カルム「…………ミト。」

ミト「話があるの。」

カルム「………少しだけ、1人にしてくれ。」

ミト「嫌。」

カルム「………頼むから。」

ミト「嫌よ。」

カルム「………1人にしてくれ!」

ミト「嫌よ!」

 

 俺はミトを追い返そうとすると、ミトは拒否する。

 少しずつ語調を荒くすると、ミトも語調を荒くする。

 

ミト「あなたを1人になんて出来ない!」

カルム「ミト………。」

ミト「…………。」

 

 ミトの顔を見ると、意思は固い様だった。

 俺は、追い返すのを諦める。

 

カルム「………分かった。どうぞ。」

ミト「ええ。」

 

 俺は、ミトを中に入れる。

 椅子に座らせて、俺も向かいの椅子に座る。

 

カルム「………それで、何の用だ?」

ミト「貴方が心配で来たの。討伐戦が終わった後、貴方は心ここに在らずって感じだったから。」

カルム「………大丈夫だよ。」

ミト「嘘でしょ。だって、全然大丈夫には見えない。」

カルム「…………お見通しって訳か。」

 

 俺は、ため息を吐きつつ、話す。

 

カルム「…………俺さ、プレイヤーを殺してしまった。」

ミト「……………。」

カルム「勿論、故意的ではないさ。でも、それでも、俺はプレイヤーを………現実世界の人を殺めてしまったんだ。俺は、アイツらと一緒なのか………?」

 

 俺は、そう話した。

 俺が頭を抱えて、机に突っ伏していると、ミトが俺を包み込む様にしてくる。

 

カルム「ミト…………?」

ミト「大丈夫。貴方は、アイツらと一緒なんかじゃない。」

カルム「でも………俺は、人を………。」

ミト「でも、貴方は、攻撃されそうになった私を守ってくれた。そんな優しい貴方が、アイツらと一緒なんかじゃない。」

カルム「ミト…………。」

ミト「貴方の気持ちは分かるわ。でも、それを受け入れて、前に進まないと、ね。」

カルム「前に………進む………。」

ミト「そう。私にキリト、アスナ、ノーチラスにユナだって居る。だからさ、少しは私たちを頼ってよ。」

 

 その言葉に、俺は涙が再び流れ出す。

 俺は、ミトの胸に飛び込む。

 

ミト「カルム?」

カルム「いきなり、こんな事をしてごめん。でも、少し泣かせてくれ。」

ミト「うん。いいわよ。」

カルム「ううっ………!うわぁぁぁぁぁ!!うわぁぁぁぁぁ!!」

 

 俺は、ミトの胸の中で泣く。

 ミトは、そんな俺の頭を優しく撫でる。

 しばらくして、俺は泣き止んだ。

 

カルム「すまない。」

ミト「いいのよ。」

カルム「それとさ、ミト。君に言いたい事が出来たんだ。」

ミト「何?」

カルム「でも、まだ決心がつかないからさ。もう少し待っててくれないか?」

ミト「うん。」

 

 俺は、ミトの事が好きなんだ。

 一緒に行動する度に、そんな想いが生まれていた。

 でも、もう少し強くなってから、言う。

 その為にも、この世界で生き抜かないと。

 俺は、そう決意した。




今回はここまでです。
ラフコフ討伐戦にて、精神を削られたカルム。
そんなカルムを、ミトは受け止め、カルムは、ミトへの好意を自覚します。
次回は、ミトの護衛のキャラも出したいと思います。
いよいよ、アインクラッド編も、クライマックスへと向かっていきます。
冥き夕闇のスケルツォが、公開延期になってしまいました。
いつか、公開されるのを、待っています。
前の紫紺の剣士と違って、色んな描写を書く事が出来たんじゃないかなと思います。
こんな感じに、頑張っていきたいと思います。
感想、リクエスト、絶賛受け付けています。
シノンの彼氏キャラとして、ギルバートを出す予定ですが、どんな感じにシノンとくっつければ良いんですかね。
ファントム・バレットから登場するので、死銃もといザザとローとは、戦闘するかどうか、分からないんですよね。
それに関しての意見も受け付けています。

アリシゼーションでのカルムの武器はどうするか

  • 刃王剣十聖刃
  • オージャカリバー
  • オージャカリバーZERO
  • その他
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