ソードアート・オンライン Re:紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、ユイとカナの正体が明らかになるまでです。


第25話 ユイとカナの心

 ユイとカナが苦しんだものの、すぐに元気になった。

 何だったのかよく分からず、俺達は教会へと戻った。

 その時、子供達の朝食合戦を見て、唖然としていた。

 

キリト「これは………すごいな……。」

アスナ「そうだね………。」

カルム「でも、すごく楽しそうだな。」

ミト「そうね……。」

サーシャ「毎日こうなんですよ。いくら静かにって言っても聞かなくて。」

アスナ「子供、好きなんですね。」

 

 ユイとカナの発作の影響もあって、昨日は教会に泊まった。

 キリトがサーシャに、軍の内情を聞いている最中に、俺の索敵スキルに反応があった。

 

カルム「ん?」

ミト「どうしたの?」

カルム「誰か来る。」

サーシャ「またお客様かしら?」

 

 一応、サーシャだけでなく、俺とキリトも行くとそこに居たのは、軍の所属であろう長身の女性プレイヤーだった。

 子供達は警戒心を見せたが、サーシャの一声で安心したのか、すぐに騒ぎ始めた。

 

ミト「この人は?」

カルム「この人はユリエール。どうやら俺達に話があるようで。」

ユリエール「初めまして。ユリエールです。ギルドALFに所属してます。」

アスナ「ALF?」

ユリエール「アインクラッド解放軍の略称です。正式名はどうも苦手で………。」

アスナ「はじめまして。私はギルド血盟騎士団のと言っても、今は一時退団中なんですが、アスナと言います。この子はユイ。」

ミト「私も、一時退団中とはいえ、血盟騎士団のミト。この子はカナ。」

ユリエール「KoB……。なるほど、道理で連中が軽くあしらわれるわけだ。」

カルム「……昨日の件の抗議か?」

ユリエール「いやいや、とんでもない。今日はあなた方4人にお願いがあってきたのです。」

 

 ユリエール曰く、当初はギルドMTDという感じでやっていて、リーダーはシンカーという。

 しかし、あのキバオウが台頭してきてから変わってしまい、軍が出来てしまったそうだ。

 その結果、シンカーは名ばかりのリーダーとなってしまったそうだ。

 しかし、資源の蓄積だけにうつつを抜かした結果、末端のプレイヤーから不満が出てきて、無茶な博打として、コーバッツを送り込んだそうだ。

 結果として、キバオウは糾弾されて、もう少しで追放できそうだったが、3日前、シンカーをダンジョンの奥に丸腰の状態で置き去りにしたそうだ。

 助けには行きたいものの、レベル的にきついそうだ。

 しかし、俺たちが現れたという話を聞いて、居ても立っても居られずに来たそうだ。

 

ユリエール「キリトさん、アスナさん、カルムさん、ミトさん。お会いしたばかりで厚顔きわまるとお思いでしょうが、どうか、私と一緒にシンカーを救出に行って下さいませんか?」

カルム「………分かった。」

ミト「カルム!?」

カルム「どうにも嘘を言ってる様には見えん。」

カナ「パパの言う通りだと思う。」

ユイ「そうだよ。ママ。」

アスナ「ユイちゃん……。」

キリト「そうだな。疑って後悔するよりは信じて後悔しようぜ。」

 

 こうして、シンカー救出を計画する事に。

 俺達はしっかりと武装して、シンカーを助けに行くことに。

 カナもユイと一緒にサーシャに預ける予定だったが、2人とも頑固に一緒に行くと聞かなかったので、連れていくことに。

 シンカーがいるダンジョンは、黒鉄宮の下にあるようで、ベータテスター組は驚いた。

 カナもユイも怖くないと言うので、行く事に。

 

キリト「ぬおおおおりゃああああ!!」

カルム「ウェイ!」

 

 俺とキリトは、休暇中に溜まったエネルギーを晴らすことにした。

 キリトの二刀流と、俺のキングラウザーとブレイラウザーで、カエル型のモンスターやザリガニ型のモンスターを倒していく。

 その光景を見てそれぞれの奥さんは、呆れ気味だった。

 愛娘達が応援してくれるのもあって、やる気が非常に出てくる。

 

ユリエール「な……何だか、すみません、任せっぱなしで……。」

アスナ「いえ、あれはもう病気ですから……。」

ミト「やらせておけばいいのよ。」

キリト「何だよ、酷いなぁ。」

カルム「全くだ。」

アスナ「じゃあ、代わる?」

ミト「私も代わろっか?」

「「もうちょっと。」」

 

 ユリエール曰く、シンカーは数日動いていないようで、急ぐ事に。

 ユリエールに謝罪された。

 

キリト「い、いや、好きでやってるんだし。」

カルム「それに、アイテムも出るしな。」

ミト「へぇ。」

アスナ「何が出たの?」

カルム「キリト。」

キリト「おう。」

 

 俺達は、スカベンジトードの肉を取り出すと、女性陣は顔を引き攣らせる。

 

アスナ「な……ナニソレ?」

キリト「スカベンジトードの肉。」

ミト「さっきのカエル!?」

カルム「ゲテモノほど旨いっていうし。後で料理してくれ。」

「「絶、対、嫌!!」」

 

 そう言って投げてしまった。

 

カルム「ああああ!!」

キリト「何すんだよ!!」

「「フン!!」」

キリト「なら……。」

カルム「これでどうだ!?」

 

 俺達は、大量に出したが、全部投げ捨てられてしまった。

 その際に掴みかかってきて、俺達は応戦していると、ユリエールさんが笑い、それにユイとカナも反応した。

 人の感情に敏感だな。

 その後、俺達は進み続けて、遂に安全エリアのすぐ近くに着いた。

 

アスナ「安全地帯よ!」

ミト「やっと到着ね。」

キリト「奥にプレイヤーが1人いる。」

カルム「グリーンという事だから、恐らくシンカーだな。」

ユリエール「シンカー!!」

 

 ユリエールが感極まったのか、駆け出した。

 シンカーもユリエールに気付いたのか、大声を出す。

 しかし、なにやら様子が変だ。

 

シンカー「ユリエール!来ちゃダメだ!」

カルム「!!!」

 

 索敵スキルに引っ掛かった。

 それも、かなりヤバそうな奴が。

 The Fatal Scythe。直訳は運命の鎌。

 あれは、ボスだ。

 キリトも気づいたそうで、駆け出し、俺も遅れて駆け出して、何とかユリエールを抱きしめて、剣でブレーキをかけられて、奴の鎌を食らわずにすんだ。

 

アスナ「この子と一緒に安全地帯に避難して下さい!」

ミト「この子も頼みます!!」

 

 アスナとミトが、ユイとカナを預けてこちらに向かってきた。

 

キリト「アスナ、今すぐ安全エリアの3人を連れて、結晶で避難してくれ。」

カルム「ミトもだ。」

アスナ「え………?」

ミト「どういう事?」

キリト「コイツ、ヤバい。俺の識別スキルでもデータが見えない。」

カルム「多分、強さ的に90層クラスだ……!」

「「…………!?」」

 

 そう、俺も識別スキルを使っているが、データが見えない。

 何で90層クラスの敵が第一層の下にあるダンジョンに出現すんだよ………!

 心の中でそう毒づいていると。

 

アスナ「ユリエールさん、ユイを頼みます!3人で脱出して下さい!」

ミト「カナの事もお願い!」

 

 ユリエールが戸惑っていると、死神が恐ろしい勢いで突進してきて、俺とキリトは、ミトとアスナを守る様に仁王立ちし、それぞれの武器で防御の体勢をとる。

 しかし、死神は意に介せず、大鎌を振るった。

 俺達は盛大に吹き飛ばされて、全員一撃で半分も持っていかれた。

 次の攻撃は耐えきれない、そう思っていると、2つの足音が。

 そう、カナとユイの2人が、恐れも微塵もない表情で、巨大な死神を見据えていた。

 

キリト「ばかっ!!はやく、逃げろ!!」

カルム「早く逃げてくれ!!」

「「大丈夫だよ、パパ、ママ。」」

 

 2人はそう言うとふわりと浮かび上がった。

 だが、死神は意を介さずに、その鎌を再び振り上げる。

 

アスナ「だめっ……!逃げて!!逃げてユイちゃん!!」

ミト「カナも逃げて!!」

 

 だが、その鎌は、2人には届かなかった。

 2人の掌の前にシステムタグが浮かび上がった。

 【Immortal Object】、つまり、不死属性。

 だが、不死属性は、プレイヤーが持つ筈がない物だ。

 死神が戸惑っていると、2人の前に彼女達より大きな剣が現れた。

 2人の冬服は一瞬にして燃え落ちて、元から着ていた白ワンピースになった。

 そして、カナとユイが振るった剣が死神に当たり、死神は消えた。

 俺達は、それぞれの武器を支えにして、立ち上がった。

 

アスナ「ユイ……ちゃん……。」

ミト「カナ………。」

 

 2人は掠れた声で呼びかけると、2人の少女は、音もなく振り向いた。

 微笑が浮かんでいたが、2人の瞳には涙が。

 

ユイ「パパ……ママ……。全部、思い出したよ。」

カナ「私たちが何なのか………。」

 

 俺達は安全エリアに向かい、石机に2人を座らせた。

 だが、何を思い出したのか。

 

アスナ「ユイちゃん……カナちゃん……。思い出したの……?今までの、事……。」

ミト「何を思い出したの……?」

ユイ「はい……。全部、説明します。」

カナ「カルムさん、ミトさん、キリトさん、アスナさん。」

 

 2人が語り出したのは、SAOの根幹に関する事だった。

 2人曰く、SAOは、《カーディナル》という1つのシステムによって制御されているそうだ。

 カーディナルは元々、人のメンテナンスが要らない存在として設計され、2つのコアプログラムが相互にエラー訂正を行い、無数の数の下位プログラム群によって世界を調整する。

 モンスターにNPCのAI、アイテムや通貨の出現バランス、何もかもがカーディナルの指揮下のプログラムによって調整されるそうだ。

 しかし、人間の精神的な問題は人間にしか解決出来ないので、数十人規模のスタッフが用意される筈だった。

 しかし、カーディナルの開発者は、それをもシステムに委ねようとして、あるプログラムを試作した。

 

ユイ「《メンタルヘルス・カウンセリングプログラム》、MHCP試作一号、コードネーム《Yui》。それが私です。」

カナ「私は、その試作三号なの。」

アスナ「プログラム……?」

ミト「AIだって言うの……?」

 

 2人は掠れた声で問いかける。

 2人の少女は、悲しそうな笑顔で頷いた。

 

ユイ「プレイヤーに違和感を与えない様に、私達には感情模倣機能が与えられています。」

カナ「だから……。偽物なの、全部……この涙も。ごめんなさい、ミトさん、アスナさん……。」

カルム「………だが、記憶喪失は?AIにそんな事が起こるのか?」

 

 俺がそう問いかけると、再び話し始めた。

 2人曰く、カーディナルが予定にない命令を2人に下した。

 それは、プレイヤーに対する一切の干渉禁止。

 恐らく、その命令を下したのは、SAO唯一のゲームマスター、茅場晶彦の操作による物だと推測できた。

 状況は最悪と言っていいもので、殆どのプレイヤーから、恐怖、絶望、怒りといった負の感情に支配されていて、それを見続けた結果、エラーが蓄積していき、崩壊していったそうだ。

 だが、ある日、モニターしていると、他のプレイヤーとは大きく異なるメンタルパラメータを持つ2組のプレイヤーに気づいたそうだ。

 つまり、俺たちだ。

 俺達に会いたいが為に、俺達が住んでいるプレイヤーホームから1番近いコンソール、つまり第22層のコンソールだ。

 

ユイ「はい。キリトさん、アスナさん……。」

カナ「カルムさん、ミトさん……。」

ユイ「私達は、あなた方に会いたかった。」

カナ「でも、おかしいですよね、そんな事、思える筈が無いのに……。私たち、ただの、プログラムなのに……。」

アスナ「ユイちゃん……カナちゃん……。あなた達は、本当のAIなのね。」

ミト「本物の知性を持っているのね……。」

ユイ「私たちには……分かりません……。」

カナ「私たちが、どうなってしまったのか……。」

キリト「ユイとカナはもう、システムに縛られるだけのプログラムじゃない。」

カルム「だから、自分の望みを言葉に出来る筈だ。2人の望みは何だ?」

ユイ「わたし……わたしは……。」

カナ「私達は、ずっと一緒に居たい……!」

 

 その言葉に俺達は2人を抱きしめた。

 

アスナ「ずっと、一緒だよ、ユイちゃん。」

ミト「カナもね。」

キリト「ああ……。ユイは俺達の子供だ。」

カルム「カナは俺達の子だ。ずっと、一緒に居ようぜ。」

ユイ「もう……遅いんです。」

カルム「どういう事だ……?」

カナ「私たちが記憶を取り戻したのは、あの石に接触した影響なの。」

 

 2人曰く、システムコンソールで、そこからシステムにアクセスして、あの死神を消した。

 しかし、カーディナルに目をつけられた結果、2人のシステムは走査されて、2人は消去されてしまう。

 

アスナ「そんな……!」

ミト「嘘でしょ……。」

キリト「何とかならないのかよ!」

カルム「そうだ!ここから離れれば……!」

「「パパ、ママ、ありがとう。ここでお別れなんです。」」

アスナ「嫌!そんなの嫌よ!」

ミト「これからみんなで楽しく……仲良く暮らそうって……!」

ユイ「暗闇の中……いつ果てるとも知れない長い苦しみの中で、皆さんの存在だけが私たちを繋ぎ止めてくれた……。」

キリト「ユイ、行くな!!」

カルム「カナ!行くんじゃない!!」

カナ「パパとママ、キリトさんとアスナさんのそばにいると、みんなが笑顔になった。私達はそれがとっても嬉しかった。お願い、これからも……私たちのかわりに……皆を助けて……喜びを分けて下さい……。」

 

 その時、2人の身体が透け始めて、徐々に消えていく。

 

アスナ「やだ!やだよ!!」

ミト「カナが居ないと、私、笑えない!」

 

 その時、2人が、笑ってと言った。

 そして、消えた。

 

「「うわああああ!!」」

 

 二人の叫び声が響いた。

 その時、俺達は動いた。

 

キリト「カーディナル!!」

カルム「思い通りに行ってたまるか!!」

 

 俺達は、ホロキーボードに飛びついて、手分けして作業を始める。

 

アスナ「キリト君、カルム君……!?」

ミト「何を……!?」

キリト「今なら、今ならまだ、GMアカウントでシステムに割り込める筈だ!」

カルム「急いでやるぞ!」

 

 俺達は、幾つかのコマンドを打ち込んで、作業を終えようとした途端、コンソールがフラッシュして、俺達は弾き飛ばされた。

 

アスナ「キ、キリト君!!」

ミト「カルム!!」

 

 2人が近寄って来た時、キリトはアスナに、俺はミトに、クリスタルを渡す。

 

アスナ「こ、これは……?」

ミト「一体……?」

キリト「2人が起動した管理者権限が切れる前に2人のプログラム本体をどうにかシステムから切り離して、オブジェクト化した。」

カルム「つまり、2人の心だ。」

 

 俺達は、意識を失った。

 その後、シンカー、ユリエールと共にバーベキューをした。

 シンカー曰く、キバオウを除隊して、軍自体も解散。

 改めてもっと平和的な互助組織を作るそうだ。

 俺達は、サーシャ達に別れを告げて、第22層に戻り、キリト達とも別れた。

 

ミト「ねえ、カルム。」

カルム「ん?」

ミト「もしゲームがクリアされて、この世界が無くなったら、カナはどうなるの?」

カルム「容量的にはギリギリだが、クライアントプログラムの環境データの一部として俺のナーヴギアに転送される様になってる。まあ、カナとして展開するのは大変かもしれんが、何とかしてみせるさ。」

ミト「そっか。向こうでも会えるのね。私達の、初めての子供に。」

カルム「ああ。」

 

 クリスタルを見ると、カナの応援する声が微かに聞こえた様な気がする。




今回はここまでです。
次回は、ニシダさんの釣り大会をやった後に、スカルリーパー戦をやる予定です。
いよいよ、アインクラッド編もクライマックスです。
ギルバートの武器は、現状、仮面ライダーの武器が多いですね。
ギーツも始まって、マグナムシューターにするのもありかなと思い始めました。
アーロンの武器は、ゼロガッシャーで行こうかなと考えています。

ユージーンと戦うのは、どっちか

  • カルム
  • キリト
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